殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー    作:謎多き殺人鬼

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ヒーローへの道 ~前編~

ヘドロのヴィランの事件以降、私は出来る限りの事をした。

 

入試試験は勿論、実技試験もあるので勉強をしながら実技に備えたが個性の扱い方はそれなりに分かっているが戦闘となるとそこまで習得している訳ではない。

 

護身術程度、その位のレベルだ。

 

だから本格的に身に付けなければならないが生憎、ヒーローである父さんは地方に出張でいないし、母さんは元警察とは言え個性による戦闘などそこまでやりこんではいない。

 

だから必然的に私が教えを乞う人物は最も個性に適した戦闘スタイルを持ち、尚且つナイフに扱い慣れた殺人鬼アーサーになってしまった。

 

『何だよ。結局、俺が教えるのか?』

 

「あまりそう言いたくないけどね……」

 

『まぁ、良い。俺の指導をきっちりと聞けよ』

 

それからと言うもの、勉学を疎かにしない様に私は実技をアーサーの指導の元で学んだ。

 

ナイフの扱い方、人数に応じての立ち回り方、格闘や体捌き、壁を駆け上がったり、三階くらいから飛び下りて無事に済む訓練と詰め込めるものを積み込んだ。

 

『いや、おかしなの混じってたろ。指摘しろよ』

 

「え?何かおかしな事があったの?」

 

『……あれか?ヒーロー社会ゆえに人離れした動きが当たり前になったからなのか?それとも俺がおかしくなったのか?』

 

アーサーは困惑してるけど私には時間が無い。

 

私はアーサーの指導をうけ、守り、勉学に励み、試験に挑む用意を整えた。

 

動きがパルクールみたいな動きやナイフを手足の様に振るえる様になり、今まで身に付けるつもりがなかった物が身に付く実感を得る様になってきた。

 

私が決死の勢いで試験対策をやって来て遂に10ヶ月後。

 

私は遂に一般入試実技試験を雄英高校の前にやって来た。

 

「大きいわね……」

 

『無駄にデカイな。確か税金とか使われてたなんて聞かなかったか?』

 

「ヴィラン対策でしょ?それよりもう口では話さないから気をつけて」

 

『はいはい。精々、頑張れよ』

 

私は一息ついてから足を踏み出し歩き出す中、周りの受験生達が反応を見せてきた。

 

「うわ、霧先だ……」

 

「え?あのヘドロの時に凶悪化したあの?」

 

「人質になってた爆豪ともう一人を助けたって言うけどヴィラン殺そうとしたんだってよ」

 

「私、怖いんだけど……あの子も受けるの……?」

 

当然、悪い印象が強い。

 

それもそうだ……オールマイトが関わった事件だからニュースになったんだ。

 

アーサーが余計な暴走さえしなければまたボッチフラグなんて立たなかったのに……泣きたい。

 

「き、霧先さん!」

 

「出久君?え…?貴方も雄英なの?」

 

「う、うん」

 

「そうなの。それで何科なの?サポート科?経営科?貴方はヒーローの分析の知識は凄いからどっちもいけると思うわ」

 

「え、えーと……僕……ヒーロー科なんだけど」

 

私は取り敢えず聞き間違えたのかなと思った通り。

 

悪いけど幾ら何でも無個性じゃ出久君にヒーローへの道は開かない方が高い。いや、もはや高いなんて物ではない。

 

なのに何でヒーロー科なんだと問い詰めたくなる。

 

『へぇ、度胸あるな。記念受験か?』

 

「(出久君がそんなのする訳がないでしょ!多分……本気よ)」

 

「霧先さん?」

 

「なに?」

 

「やっぱり……僕には無理だって思ってる?」

 

図星突かれた!?

 

ど、どどど、どうしよう!

 

何ていえば良いのか分からないし、頭が真っ白になりそう!

 

「そ、その……えーと……そうなのね!驚いたけどお互い頑張りましょう!」

 

「やっぱり無理だと思われてる……」

 

結果、かなり無理な返答をしてしまい出久君を泣かせました。

 

私があたふたと出久君をどうにか慰めようとする中、そこに憎き爆破魔、勝己が来た。

 

「どけデク、ジル!!」

 

「かっちゃん!!」

 

「ちッ……やっぱりこいつもか」

 

「俺の前に立つな!殺すぞ!」

 

こいつ本当にヒーローになる気あるのかしら?

 

ヒーローが殺すぞなんて禁句中の禁句だってしらないのかしら。

 

「だったら横に避けて通りなさい。それにヒーローになりたい癖に死ねなんてね……これは一人脱落は確定ね。ねぇ、出久君?」

 

「あぁ?喧嘩売ってんのかテメェ?」

 

「売ってるつもりだけど?」

 

「二人とも落ち着いて!試験前だよ!」

 

出久君の言う通りだ。

 

こんな奴の為に十ヶ月を無駄にしたくないし、勝己もそれが分かってるから舌打ちしてきたくらいで後は何もなく、そのまま会場の方へ歩いていってしまった。

 

「はぁ……全く。ほら、遅れたら大変だし行きましょう」

 

「そ、そうだね。い、いいい、行かないと」

 

出久君、緊張し過ぎて言葉も身体もガッチガチになってる。

 

気を付けないと転ぶよって言おうとしたら言う前に凄い角度で転けそうになってるけど何故か浮いてる。

 

「大丈夫?」

 

声を駆けてきたのはショートボブが似合う受験生の女の子だった。

 

「わッ!え!?」

 

「落ち着きなさい。多分、この人の個性よ」

 

「うん、そうだよ」

 

女の子はそう言って御丁寧にも出久君を地面に下ろしてくれた。

 

「私の個性。ごめんね勝手に。でも転んだら縁起悪いもんね」

 

「此方こそありがとう。えーと……」

 

「お茶子。麗日お茶子っていうの」

 

「お茶子さんね。私は……霧先ジル。ジルって読んでくれる?」

 

自分の悪名がお茶子さんにも伝わってるかもしれないけどそれでも相手が名前を名乗った以上は此方も名前を名乗るのが礼儀。 

 

もしかしたらそれ以降、避けられるかもしれないけどせめてものお礼としてなら安いものだしね。

 

「霧先ジルね。うん、覚えたよ。お互い頑張ろう。二人共」

 

これは予想外。

 

多分、私の事をニュースで聞いてるかと思ったけど全然、普通だった。

 

あと、出久君。

 

なーに顔を赤くしてお茶子さんを見てるのかな?

 

『お?嫉妬か?』

 

「(そんなわけないでしょ。早く行くよ)」

 

私は取り敢えず試験に遅れたら大変だから出久君の手を引っ張って駆け出した。

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