殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー    作:謎多き殺人鬼

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任侠決戦 ~前編~

私は近くの廃墟で綾乃のおかげで出久達のインターン先がオールマイトの元サイドキックである敏腕ヒーローのサー・ナイトアイだと判明してサー・ナイトアイの言っていた事を気にしていた。

 

"志だけで救けられる程、世の中甘くない。現に切り裂きジャックの行き当たりばったりのその後を考えない行動によって世の中は大きく荒れ果てた"

 

その言葉が響き、心苦しくなる中でそこへ綾乃がやって来た。

 

「お食事ですよ。と言ってもコンビニのサンドイッチとミルクティーですが」

 

「珈琲は?」

 

「残念ながらありませんでしたね。生憎、品揃えが……」

 

「ごめん。我が儘を言うつもりはなかった」

 

私はそう言って綾乃からサンドイッチとミルクティーを受け取ると綾乃は困った微笑みを見せている。

 

「気にしているのですか?」

 

「……まぁね」

 

「確かにサー・ナイトアイの言う事ももっともですよ。しかし、貴方のおかげで助けられた人もいます。そしてこれからも」

 

「でも、私がやった事で全てが滅茶苦茶。サー・ナイトアイに言い返せる言葉も無い」

 

「ジル」

 

綾乃が突然、私の名前を呼び捨てしてきたのに驚いて視線を向けると綾乃は真剣な表情を見せていた。

 

「どんな結果でもそこにいる人を助けられた事実は消えません。それに助けるのに時間を掛けてはいけない時だってある筈です。貴方が弱気になってどうするのですか?貴方にはまだ助けるべき人々がいるのですよ?しっかりしてください」

 

「綾乃……」

 

私は厳しくも優しく叱咤する綾乃に何処か母の面影を見た後、街の何処かでまた大きな崩れる音が鳴り響いた。

 

「抗争ね」

 

「恐らくは個性による戦闘でしょう。でなければ此処まで音は届きません」

 

「早く終わらせないと……」

 

私は兎に角、緋色の安否が心配だった。

 

これだけ大きな抗争の指揮を取っているのなら命を常に狙われていてもおかしくない状況だ。

 

もしも緋色に何かあれば……アーサー。

 

アーサーならこの時、どうしていたの?

 

「(アーサー?)」

 

『ん?あぁ……すまない。少しボーっとしていた』

 

「(……ねぇ、最近になって会話が少なくなってない?)」

 

『そうか?いつも通りだぞ?』

 

私はアーサーがいつもの笑みを浮かべても不安だった。

 

個性が発現してから常に一緒にいた私の相棒であり、師であるアーサーがいつか居なくなるんじゃないかと思ってしまう。

 

もう何年もいるのよ……せめて私が死ぬまで側にいて欲しい。

 

『何を考えてるのか分からねぇが。人間、いつかは別れが来る。例え老衰だろうが病死だろうが殺されようがだ。お前と俺はいつかは別れる時が来る。それが何時になるのか分からねぇがな』

 

「(どういう意味?)」

 

『俺達の人格は合わさろうとしている。昔に言ったろ?俺はお前に持っていかれ掛けている。もし、持っていかれたら俺は生きているのか……死ぬのか分からない。だが、例えそうなっても俺は常にお前の心にいるさ』

 

「(アーサー……)」

 

私は近い日にアーサーとの別れを受ける事になる事が分かった。

 

嫌な奴と思った……頼りになる助言者でもあった……自称英国紳士気取りの紅茶マンでもあった……一人の家族として好きだった……私はアーサーとの別れに耐えられるのかしら。

 

「ジャック様?」

 

「なに?」

 

「何故……泣いているのですか?」

 

「そうね……親しい人との別れを思い浮かべたら泣いちゃったのよ」

 

私はそれだけを言うともうサー・ナイトアイの言う事なんて気にしないと決めて決意を新たにした。

 

「行きましょう綾乃。緋色の居場所は掴んでるのでしょ?」

 

「はい。しかし、急ぎましょう。既に緋色さん達は決戦の構えを見せています。場所は死穢八斎會の本拠である屋敷。そこに戦力を集中させて雌雄を決するつもりの様です。しかもヒーローと警察まで集結しつつあります」

 

「なら、モタモタ出来ないわね。ヒーロー側だって死穢八斎會をマークしていた。何かしらとんでもない事があるのは間違いない。そうなるとヒーロー側の戦力だって馬鹿にならない」

 

私と綾乃は抗争を止める為、緋色を助ける為にも急いで死穢八斎會の本拠へと向かった。

 

~別視点side~

 

その頃、緋色は死穢八斎會の本拠である屋敷の前に部下を集結させていた。

 

「オーバーホール!聞こえているか!!聞こえいるなら今すぐに壊理を解放しろ!!さもないとお前達の築いた全てを壊す!!全てだ!!お前のした事は極道の風上にすら置けない外道だと理解して負けを認めるなら八斎會の面子が保つ様に休戦する!今すぐに顔を見せろ!!」

 

緋色の最後通帳が言い渡された時、屋敷の玄関が吹き飛び、デカイ筋肉質の体格をしたマスクの大男、乱波肩動が出てきた。

 

「こんな所にノコノコ来やがったか。獅子皇会さんよ?」

 

「ちッ……やっぱり、一筋縄にさせてくれないか……行くぞ!!!」

 

緋色の号令と共に獅子皇会と死穢八斎會の決戦が始まった。

 

激しい戦いが繰り広げられ、銃の弾が飛び、個性を発動し合い、殺し会う光景は戦場そのものだった。

 

「遅かったか……!」

 

その戦場にサー・ナイトアイ達、ヒーローと警察の捜査隊がやって来るとその光景の酷さを目の当たりにした。

 

「おらおら!どうした!!」

 

「舐めんなぁッ!!」 

 

乱波の猛攻に対して獅子皇会の組員達が飛び掛かるが乱波の猛攻によって次々に蹴散らされている。

 

他にも獅子皇会と死穢八斎會の組員同士の血みどろの戦いが繰り広げられている。

 

出久はそんな状況で視線に緋色の姿を一瞬、捉えた。

 

「神速さん!?」

 

「えッ!何処!?」

 

出久に反応して麗日も辺りを見渡すと丁度、屋敷の中に入っていく緋色の姿を見つけた。

 

「いた!神速さんだ!!」

 

「神速って……会長は意識不明やから神速 緋色か!?」

 

「獅子皇会の大物の一人じゃねぇか!?自ら飛び込んで来たのか!?」

 

要請に応え集まった時に説明された死穢八斎會の抗争相手である獅子皇会の会長とその娘の神速の名字に反応し、驚くファットガムとロックロックの二人は驚くとサー・ナイトアイは冷静に告げた。

 

「このまま進ませればいずれ治崎達と接触しかねない。何としても進まなければ」

 

「なら、彼らはリューキュウ事務所が対処します!皆は引き続き仕事を!」

 

ヒーローのリーキュウはそう言うと竜化して乱波を押し潰し、両勢力の組員達を出入り口から払う。

 

「さぁ、今の内に!!」

 

「クソ!獅子皇会め!後でたっぷり絞ったるからな!!兎に角、行け行け!!」

 

「神速さんの事は任せるね!!」

 

「うん!麗日さんも気を付けてね!!」

 

こうして出久達が突入してからリーキュウ事務所と残った警察、死穢八斎會、獅子皇会で三者入り乱れる戦闘が繰り広げられる中、そこへ一人の影が素早く駆けて乱闘を避けて行く。

 

「あれは誰なの!?」  

 

リーキュウが影を目撃して叫ぶと蛙水と麗日はその影を見る。

 

「私達以外にも来たのかしら?」

 

「もしかして……」

 

「少し退いて頂戴」

 

その声が不思議と響くと死穢八斎會の組員達が血の華を咲かせた。

 

~side終了~

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私は乱闘になった死穢八斎會の屋敷前で手始めに死穢八斎會の組員達を切り捨てた。

 

「じゃ、切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)だぁッ!!」

 

その声に周りの全ての視線が私に注がれた。

 

「何じゃテメェ!殺人鬼が何の用じゃコラァ!!」

 

「何の用?お前達を潰しに来てやったのよ!」

 

私はそう言って死穢八斎會の組員を切り捨てると出入り口を目指して突き進む。

 

「止めろや!!」

 

「殺人鬼風情に八斎會を潰させるか!!」

 

「退け!!雑魚には用は無い!!」

 

私はそう言いながらナイフを振るって、投擲するを繰り返しながら進む中、そこへ何かドラゴンが出てきた。

 

「行かせない!!」

 

ドラゴンは恐らくヒーロー……そしてドラゴンのヒーローと言えばリーキュウね。

 

生で見ると迫力あるわね。

 

「いいえ。ジャック様を通させて貰いますよ」

 

同行していた綾乃が私をリーキュウから反対の方向へ転移させると私はそのまま駆け出す。

 

「霧先さん!!」

 

「貴方を行かせる訳には行かないわ」

 

今度は麗日さんに梅雨ちゃんが立ちはだかった。

 

私は麗日さんの個性を受けない様にしつつ梅雨ちゃんの拘束しようとする舌を上手く避けながら軽めの挨拶をしておく。

 

「あら、おはよう二人共。腕を上げたわね」

 

「こっちも貴方を止めたいって必死だからね!!」

 

「いつまでも貴方を野放しに出来ない。貴方は大切なお友達よ。だから貴方のお友達として止めるわ」

 

私は二人を傷つけない様にしつつ立ち回りながら会話をしつつ隙を伺うけど……全く、見せない。

 

二人は間違いなく経験を積んでより強くなってる。

 

これはウカウカしてたら危ないわね。

 

「目標にしてくれて嬉しいけど緋色がいるでしょ?彼女が危ないの。通して頂戴」

 

「残念だけどそれは無理!それにデク君達が入って行ったからきっと大丈夫だよ!!」

 

「その大丈夫が私にとって不安なのよ!!」

 

私はついカッとなって叫んだ事に気が付いて小さく咳払いして誤魔化した。

 

「出久達を信頼していない訳じゃない……でも、不安なのよ。近くで直接、守らないとこの不安は消えないのよ。母さんを助けられなかった私にとって……守れないって言うのは辛いのよ……」 

 

「霧先さん……」

 

麗日さんは悲しげな表情を見せるけどそれでも私を通さないとばかりに屋敷の出入り口を固めて立つ中、麗日さんが綾乃に遠くへ転移させられた。

 

「行ってください!私が時間を稼ぎます!!」

 

「分かった!任せるわよ!!」

 

私は綾乃に任せて先を急ぐ形で屋敷に侵入し、緋色を追って行った。

 

~別視点side~

 

一方、その光景を眺めているジャスティスと公安会長によって特別に"仮釈放"されたレディ・ナガンがいた。

 

「新聞やテレビで見た時は半信半疑だったけど……あんたの娘さん。まさか本当に殺人鬼に成り下がってたんだな」

 

「言い訳も立たねぇな……」

 

「……それで?どうするつもりだ?あん中に手掛かりがあるんだろ?グリーン・メイスンって奴等の」

 

「そうなんだよな……たく、ヤクザ連中とヒーローと警察での乱闘。これじゃ、迂闊に間に入ったら一発貰いかねないな」

 

「あんたは物理攻撃なら無敵だろ?」

 

「まぁな……はぁ、嫌だな……行きたくねぇ……ジルに間違いなく罵倒されるしな……」

 

「つべこべ言わずに行くぞ!」

 

ジャスティスはレディ・ナガンに引っ張られる様に乱闘のどさくさに紛れながら屋敷への侵入していった。

 

~side終了~

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