殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー    作:謎多き殺人鬼

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任侠決戦 ~中編~

~別視点side~

 

屋敷内に突入した出久達は特に邪魔を受けずに突き進めた。

 

その理由として屋敷内に死穢八斎會の組員の死体が沢山、転がっている事から邪魔をしようにも人員は今は死んで何処にもいない状態と言う皮肉な光景がヒーローや警察達に写ったのだ。

 

「獅子皇会め!やり過ぎやろ!!」

 

「ヤクザ者を少し舐めてたぜ!!ヒーローや警察の真ん前でも抗争を止めねぇ!寧ろ激化しやがったからな!!」

 

「外の皆は大丈夫だろうか?」

 

ファットガムとロックロックは影に隠れているだけのヤクザがあれだけの力を振るった事に驚きと恐怖を覚える中、天喰は外で行われる三又の戦いの最中で残って戦っている者達を心配する。

 

「リーキュウ達がいるんだ。大丈夫の筈だ。問題なのは屋敷の中に入っていった神速 緋色だ。まだ高校一年とは思えねぇ過激な性格だ。何を仕出かすか分からねぇ。下手したら鉄砲を向けてきてもおかしくねぇぞ」

 

刑事は嫌な物を考えたとばかりに顔をしかめた後、駆け続ける中で緋色が掛軸や花瓶の飾られた場所を弄っている姿が見えた。

 

「あそこは隠し通路を開く為の仕掛けがある場所だ」

 

「神速さん!!」

 

「ッ!?緑谷か?」

 

緋色は出久の存在に気が付きつつも仕掛けを動かそうとする手を止めない。

 

「神速さん!抗争なんてもう止めよう!!仇討ちなんてしても意味は無いよ!!」

 

「すまないが今は出来ないな。この抗争は無益だがやらなきゃいけないんだ。それにお父様の仇討ちの為に私は抗争をしているつもりはないよ」

 

「じゃあ、何でだよ!!お前の事は全然知らねぇけどよ!良い奴だって俺だって分かってるんだぜ!!理由もねぇ抗争なんてお前はしないだろ!!」

 

「……壊理と言う少女に関係があるのか?」

 

サー・ナイトアイの指摘に緋色は動きを止めて暫く停止した後、微笑んだ。

 

「正解だ。壊理……元々は八斎會の組長の孫娘でね。八斎會に引き取られてからまだ交流があった時に僕の事を姉の様に思ってくれてね……お父様が意識不明になった日に重症を負いながら駆け込んできた壊理の世話役が来て、オーバーホールが下らない計画の為に壊理を傷付けているって聞かされた。その世話役は僕に知らせた後に壊理を頼むと言ってそのまま息を引き取取った。そんなの言われたら黙れないし、その世話役の無念を考えれば尚更だ」

 

「あれか?つまりは壊理をあんたらが保護する為にあんなデカイ抗争をしたんか?」

 

「抗争はしたけど……僕達とは違う何かが暴れた様でね。信じなくても良いけど半分以上は私達は無関係だ。それに極道の抗争と言うのはかなり静かにやるんだ。カタギ達を巻き込まない為にね」

 

「じゃあ、あの街の惨状は何だよ!抗争で人っ子一人いねぇんだよ!!ふざけるなよ!!」

 

「ふざけてる暇があるなら壊理を助けに行くよ。よし、これで開くな」

 

緋色はいつの間にか仕掛けを動かす事に再開しており、特定の手順で仕掛けを動かして隠し通路を開くとそこから三人の死穢八斎會の組員が出てきた。

 

「死ねぇッ!!神速!!!」

 

「バブルガール!!一人頼む!」

 

センチピーダーはそう指示し、組員二人を拘束し、バブルガールは個性で生み出した泡でもう一人を目潰しの要領で使用し、怯んだ隙に床に押さえ付けて拘束した。

 

「目があぁぁッ!!!」

 

「君はかなりえげつない事をするね……」

 

「神速さん!貴方も大人しくしてください!!貴方を殺人、傷害罪及び凶器準備集合罪の罪で拘束させて貰います!!」

 

「悪いけどそれは遠慮するよ。お前達。すまないが足止めを頼めるか?」

 

「分かってますよお嬢。早く行ってあげてください」

 

「こいつらの足止めなんて俺達で十分です」

 

緋色の部下の半数はそう言ってゾロゾロとヒーローと警察の前に立ち塞がると緋色は彼らの無事を祈った。

 

「行くぞお前達!!」

 

緋色はそう指示を出すと諢を含めた付いてくる部下達を連れて地下へと降りて行き、追い掛けようとした出久達の前に立ち塞がった。

 

「おっと。何処へ行くつもりだ?」

 

「ヒーローが俺達を無視とは怠慢が過ぎるぜ?」

 

「どんな職業でも勤労でないとなぁ?」

 

「早く行かないと行けないのに……!」

 

緋色の部下達の相手を強制力にさせられる事になった出久達は何としても突破しようとし、足止めをしようとする緋色の部下達は何としても緋色が目的を終えるまで足止めをしようとするのだった。

 

~side終了~

 

私は緋色達がやったと思える床に転がる死体を軽く跨ぎながら急いだ。

 

『随分と派手にやるな……若いとは言え、裏社会に生きている事はあるな』

 

「そうね……」

 

『何だ?緋色が人を殺す事が嫌なのか?』

 

「違うわよ。ヤクザの娘なら容赦が無い所もあるのは私も承知してる事よ。でも……頼って欲しかった。緋色が自分からましてや組織を危険に晒す抗争なんて起こしたのに私は後から気付いて……何も助けられていない」

 

『顔を合わせ辛かっただけだろ?それに抗争に巻き込みたくないって言う話を綾乃から聞いたろ?お前の事を案じての事だ。言えば無理をしてでも八斎會を潰そうとしたろ』

 

「そうだけど……」

 

『お前が無理をして、傷付いていく事が緋色にとっては苦痛だった筈だ。緋色の心情を察すれば顔を合わせ辛いうえに自分の都合でお前を巻き込むのは嫌だと思ったんだろう』

 

アーサーの言葉に私は感情に任せて緋色を怒鳴った事に深い後悔を覚える中、緋色が向かった先と思える廊下を進んでいるとそこで揉めてる人達がいた。

 

「いい加減に大人しくせいや!!」

 

「お前らが大人しくしろよ!!」

 

「退いて下さい!先に進まないと行けないんです!!」

 

「なら、俺らを倒してからにしな!ヒーローの小僧!!」

 

ヒーローや警察に混じって出久も戦う姿があり、相手は獅子皇会の組員達。

 

揉み合い、戦い、取り押さえると言う具合にヒーロー達は一向に進まないのか獅子皇会の粘りによって地下への道らしき入口から一歩も入れていない。

 

私は極力、勘づかれない様に静かに通り過ぎようとした時、丸っこい身体が特徴のヒーロー、ファットガムが転けて出てきた。

 

「痛てて……ん?お、お前は!?」

 

「……何処見てるのよ」

 

転けた拍子に倒れたせいで私のスカートの下を覗く形でいる事に気付いて凄い早さで起き上がった。

 

「すまん!他意はない……て、それ所とちゃうやろ!?切り裂きジャック!!お前まで関わってたんか!!」

 

「わぁ、流石は大阪のヒーロー。ツッコミも冴えてる」

 

私は流石は大阪のヒーローと拍手しつつ隙を見てサッサと行こうとした時、後ろから肩に手が置かれて振り替えるとそこには眼鏡の男性ことサー・ナイトアイが鋭い視線を見せていた。

 

「切り裂きジャック……」

 

「離してくれます?」

 

「駄目だ。君は此処で捕まらなければならい。そうでなければ……君は悲惨な結末を迎え……そして全てを失う」

 

サー・ナイトアイのその言葉は何処か私の心に突き刺さる中、世迷言だと断じて振り払うとそのまま駆け出して地下へと走り出した。

 

~別視点side~

 

ジルが地下に走り去った姿を見たロックロックは獅子皇会の組員をやっとの思いで取り押さえるとサー・ナイトアイを怒鳴り付けた。

 

「何やってんだよ!!切り裂きジャックを逃がしやがって!!」

 

「これは本気で洒落にならへんで!!」

 

ファットガムもロックロックと同じで警察に取り押さえた組員を引き渡しながらサー・ナイトアイの行動を批判した。

 

ヴィランのみを専門とする連続殺人鬼であり、社会に大きな影響を与え続けるジルを逃がす行為は愚策であるのは誰の目にも明らかで、批判されるのも致し方ないものだ。

 

しかし、サー・ナイトアイは眼鏡のズレを直すと静かに告げる。

 

「彼女の未来を見た」

 

「は?切り裂きジャックの未来のか?」

 

「彼女がこれから先に起こす事を知れば対策や次の行動も取りやすい。だが私が見たものは……悲惨だった」

 

「何だ。彼奴が酷い死に方をするのかよ?だったら自業自得だろ」

 

「彼女は死なない。だが、親しく、そして最も大切な者を失う。最初に死ぬのは……」

 

サー・ナイトアイは冷や汗を流しながらジルの未来を語った。

 

~side終了~

 

私は地下に降りてから廊下を全力で駆け続けた。

 

和風の屋敷とは思えない研究所の様な廊下に私は何を研究していたのかと思いながら先に進もうとするといきなり地面に穴が空いて落ちた。

 

「今時、落とし穴!?」

 

『まぁ、別に無効じゃねぇけどな。着地を誤るなよ?』

 

私は深い落とし穴を落ちて上手く地面に着地すると広間に出てからすぐに上を向くと穴が塞がれた。

 

「ちッ……小細工を……!」

 

「何だ?空から殺人鬼一匹が落ちてきたぞ?不思議な事もあるもんだ」

 

私はその声を聞いて視線を向けるとそこには死穢八斎會の組員らしき三人がいた。

 

「また綺麗な嬢ちゃんだなぁ。奴等が来る前にお楽しみでもするか?」

 

「生憎、好みじゃないわね。死ね……あら?」

 

「嬢ちゃんのさがしてんのはこれか?」

 

そう言って刀を持っている組員の男の手には私のナイフがあった。

 

いつの間に……人の物を盗む個性って事ね……でも。

 

「切り裂きジャックも武器を取られちゃ形無し……え?」

 

「だったら素手でやれば良いじゃない。一々盗られるのもめどくさいし」

 

私は彼等が認識する前に躍り出てナイフを盗んだ男の頭を掴んで勢いよく捻って首をへし折ると唖然としているハゲの組員の頸動脈を切り捨てて、ずだ袋の組員の額にナイフを思いっきり突き立てて殺した。

 

「邪魔なのよ……立ちはだかるなら容赦はしない。そこにいるあんたにも言ってるのよ?」

 

私は気配のする壁の割れ目の方に視線を向けると既に移動しているのかそこに気配は存在しなかった。

 

「……それじゃ通らせて貰うわよ」

 

私は意気揚々と歩きだそうとした時、私の後ろから何かが落ちる音が聞こえて振り替えれば出久達、ヒーローと警察がいた。

 

「えぇ……嘘でしょ」

 

私は此処に落として来た奴が出久達を利用して来たのに唖然としていると警察の一人が私に気付いた。

 

「切り裂きジャック!?」

 

「なんやって!こんな所におったんかいな!!」

 

「獅子皇会の次は切り裂きジャックかよ……お前ら!!いい加減にしろよ!!此方は時間がねぇんだよ!!」

 

「あぁ……うん。ごめんなさい!!」

 

「いや、逃げんのかい!?」

 

私が謝った後に後ろのドアから飛び出して逃げると出久達は当然の様に追い掛けてきた。

 

「待ってよジル!話を聞いて!!」

 

「聞いてる暇なんて無いわよ!!」

 

「切り裂きジャック!あの三人はお前がやったのか?」

 

「うん。瞬殺してやったわ。それがどうしたの?」

 

「お前は俺の後輩だと聞いた……そんなに簡単に殺人を犯す奴は許す訳にはいかない!!大人しく捕まってくれ!!」

 

まさかの先輩2号登場だった。

 

先輩は手を伸ばすとタコの足に変えて私を拘束しようとするけど私はそれを躱して先にあった階段を上がる。

 

「器用だなオイ!!」

 

「あら、切島君もいたのね?」

 

「男がこんな大事件をほっとけるかよ!!抗争を終わらせて!!エリちゃんを助け出して!!お前を取っ捕まえて罪を償わせてやる!!」

 

相変わらず気合いの入ってるわね切島君。

 

取り敢えず……本当にどうしよう。

 

出久達、学生組も入ればプロも複数いて拳銃で武装した警察も多くいる。

 

流石にそんなに相手してられないし、どうにかして撒かないと。

 

「止まれ!!霧先!!」

 

「うわ、相澤先生もいた……なによこれ。オールスターなの?」

 

「御託は良い!!いい加減に捕まれ!!」

 

「嫌です。私は自分の責任を貫くって決めてるんです」

 

「そんな責任を貫くな!!俺はお前を正しく導けなかった!!教師もヒーローも失格としか言えないがお前を捕縛する機会を得られた!みすみす逃せば俺は後悔する!また闇の彼方にお前を行かせたと!!」

 

「珍しく熱く語るのは良いけどそろそろ気を付けてね」

 

私がそう言うと私は咄嗟に立ち止まると横の壁が押し出す様に飛び出してきた。

 

飛び出した壁の先には穴があり、そこへ私を放り込もうとした様だ。

 

「危ないわね……あら?」

 

「いや、避けんのかぁぁい!?」

 

「ファット!?」

 

私を咄嗟に助けようとしたのかファットガムが押し出す壁に自分から飛び出してそのまま穴に落ちた。

 

しかもよく見たら切島君までいない。

 

私は二人が穴に落ちたのを確認すると出久達からの視線が痛い。

 

「……ごめんね」

 

「流石に駄目だろ!?」

 

「この馬鹿は……」

 

「君が悪い訳じゃないけどこれは……」

 

ロックロックや相澤先生しかも出久にまでツッコまれた私は居心地が悪くなった私は。

 

「本当にごめんなさい!!」

 

「逃げんな馬鹿!!」

 

私はそれから全速力で逃げて行く。

 

道中、廊下が捻れ曲がるけど私は走る所は走り、飛ぶ所は飛んで、壁を蹴って飛ぶ所は飛んだ。

 

「大した事はないわね!!本気出してる?」

 

私はそう挑発した時、ますます廊下の変化がはげしくなった。

 

「この馬鹿野郎が!!無闇に刺激すんな!!」

 

「よく鍛えられている……あれは独学か?」

 

「彼女が自主退学してから殺人に手を染めていたのなら殆どが独学の我流の筈だ。だが、明らかに誰かの教えを受けている……もう一人の人格か?」

 

「私だって一人じゃ学べないからね。アーサーに教わった。殺人も、証拠の隠滅方法も、逃走方法も全てね」

 

私は今度は分断しようとする動きを見せた廊下の隙間を間一髪で通るとやっと、出久達を撒いた。

 

「全く……しつこいのよね」

 

私は溜め息をつきながら辺りを見渡すと広い空間になっており、廊下に動きはない。

 

「ジャク様!!どわぁッ!?」

 

警戒を怠らずに進もうとした時、後ろからそう私を呼んで誰かが抱きついてきた瞬間に背負い投げをして地面に叩きつけると。

 

「トガヒミコ!?」

 

「痛いです……少しは手加減して欲しかったです……」

 

「うぉ!?見事な背負い投げ!いや下手くそだぞ!!」

 

「そこの覆面はどっちの意見よ……」

 

私はまさかこんな所でトガヒミコとヴィラン連合のメンバーらしきの男を含めて再開するとは思わなかった。

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