殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー 作:謎多き殺人鬼
~別視点side~
オーバーホールは若頭補佐であるクロノスタシスと共に壊理と個性消失弾を持って脱出ししようとしていた。
オーバーホールはその道中に数年前の事を思い出していた。
まだ中学生になりたてだった緋色が笑顔で自分を見つけて"
壊理とも仲が良く、本当の姉妹の様に笑い合う姿に八斎會の組長と獅子皇会の会長である英一郎も微笑みながら見守る姿と緋色と壊理の二人を見習えと組長に説教される日々。
緋色の振り回しにうんざりさせられていた筈なのに袂を分かつ前柄になってその姿やあの時の日々が失くなってから心の何処に穴が空いた様なそんな感じを抱いた。
「(何故……こうなった……俺は間違っていない筈だ……)」
オーバーホールには野心と組を守りたいばかりにもはや見えなくなっていた。
本当はヤクザの復権や裏社会の頂点に立つなどどうでも良い……只、本当はあの時の日々を、当たり前の笑い合う毎日を守りたかっただけなのだと。
自身の目的の為に多くを犠牲にしてしまったオーバーホールこと治崎廻にはもはやそれを理解し、戻る事も出来なくなっていた。
「オーバーホール!!」
「……来たか……獅子皇会の小娘」
オーバーホールの視線には部下である諢達を引き連れて緋色が鋭い視線を向けて現れたのだ。
「決着を着けよう……私の義妹を返して貰うぞ?」
「利用価値も分からない奴め……余程、死にたい様だな?」
二人の極道が対峙し、己の道を貫くべく互いに戦いの火蓋を切ろうとした時、そこへもう一人現れた。
「お二人ともすいませんね。……少し待って貰って良いですか?」
妨害の為に動かされていた壁を個性ですり抜けて僅かな時間で追い付いたミリオだった。
~side終了~
私は予想だにしなかった同行者であるトガヒミコと支離滅裂な会話をするマスクのヴィランであるトゥワイスが私に着いてくる。
「あのさ……着いて来ないでよ!緋色の味方だとか何とか知らないけど!!」
「仕方ないじゃないですか。緋色ちゃんはジャック様の向かう方向と同じなのですから」
「そうだぞ!俺達は着いて行く!いや、お前がどっか行け!!」
トガヒミコは狂気染みた笑顔を見せ、トゥワイスはまた矛盾した言葉を発すると私は溜め息をついた時、急にまた周りが動いた。
「あぁ、もう!またなの!!」
「本当そうですよね~。いい加減にしろって感じてすよね~。……無駄なのに」
トガヒミコがそう言った時、今度は激しく動く。
私は何やってんのよと思ったけど周りの動きが何処か甘い事に気付いた。
もしかしてわざと挑発してる?
私は少し考えて二人の意図に勘づくと私も乗ってみた。
「あのね……無駄に挑発しないでよ……此処まで規模の大きく個性を使ってるのに誰一人、殺す所か満足に足止め出来てないおじさんが可哀想よ」
私がそうわざと挑発染みた事を言うとトガヒミコは満面の笑顔を見せて挑発を続ける。
「ですよね~。可哀想で可哀想で仕方ありません。気の小さい人ほど怒りっぽいです。怒って注意が散漫になります」
「呆れるわよね。短気な人程、すぐに身を滅ぼすと言うのに」
「気の小さな人程、自分が弱いの隠したがります」
「その弱さを隠すのが弱いと言ってるのと同じなのに」
「自分を強く見せたくて他人を上から見下すのです」
「見下しといて見下されたら感情任せに怒って。馬鹿よね」
「「八斎會の極道って、カッコ悪い
私とトガヒミコが交互に挑発し、トドメに二人同時に八斎會の事を貶すと怒りの声が辺りに響き渡り、すぐに破壊された音が響けば男が落ちてきた。
やっぱり、この二人の策略で男をわざと怒らせる事でヒーロー側に見つけ出させる機会を作り仕留めさせる……悪い考えだけどわりと名案でもあったわね。
「カッコ良かったのは緋色ちゃん達の方でしたね」
「だよな!」
「……そうよね。人をましてや子供を道具にして切り刻む奴等が極道を名乗るなんて……緋色の様な本当に任侠を貫く人達に失礼極まるわ。それじゃあ、さよなら。短気なお馬鹿さん」
「「バイ」」
私達は落ちていく男に最後の別れを告げた時、男の怒鳴り声が響いたけど気にせずに緋色の所へ急ごうとするとトガヒミコとトゥワイスが別の方向に向かい出した。
「短い間でしたが私達は別件があるのです!」
「あばよジャック!いや、お前も来いよ!」
「行かないわよ……それに別件?」
「オーバーホールに吠え面をかかせに行くのです」
トガヒミコのその表情は急に黒い物になり、先程まで見せていた笑顔とは違った。
「緋色ちゃんは優しいのです。八斎會みたいに私達を見下したりしないのです。優しい緋色ちゃんを泣かせたオーバーホールに悔しがらせないと気が済まないのです」
「だよな!気が済まねぇよな!」
緋色……いつの間に懐かれたのよ。
いや、確かに緋色は優しい所も多いし、雄英でも友人は多そうだったけど……
「という訳でジャック様。緋色ちゃんは任せますね」
トガヒミコはそう言ってトゥワイスと共に崩壊している空間に消えて行くのを私は見届けた後、駆け出した。
~別視点side~
オーバーホールと緋色が対峙した頃、ミリオは息を切らせながら酒木と音本を撃破して二人に追い付いていた。
「邪魔をしないでくれヒーロー。僕は」
「壊理ちゃんを助けるですね。分かってます」
「……僕達のやる事は殺し合いだ。捕縛じゃない」
「壊理ちゃんの前でですか?」
ミリオの言葉に緋色は項垂れる中、オーバーホールは馬鹿にした様子で緋色を見る。
「何だ?お前はまだそんな小さな情に囚われているのか?」
「黙れ。僕の義妹を返せオーバーホール。それ以上、傷つけて苦しめるな」
「お前はこいつの利用価値を知らないからそんな事が言えるんだ」
「そんなおぞましい利用価値なんていらない!!お前は壊理を……人を何だと思っているんだ!!」
"あの子を……人を何だと思ってんだ"
過去に言われた組長の言葉の緋色の言葉が重なり、オーバーホールは非常に苛立った。
「答えろオーバーホール!!昔のお前はそんな奴じゃなかったのに!!!」
「黙れ!!!」
オーバーホールが初めて怒鳴り、側にいたクロノスタシスは驚き、その腕に抱えられた壊理は震え、ミリオは冷や汗をかいた。
「お前に何が分かる!!次々に解体される他の組を見ても大局を見ずに自分の道しか見なかったオヤジや何時、組が解体されるかと不安になる気持ちを知らず組の者は家族だとぬかすお前に何が分かる!!こうするしか道は無い!!無いんだ!!!」
「治崎兄……」
緋色の悲痛そうな表情と共に発せられたその言葉を聞いたオーバーホールは一瞬の動揺を見せた時、緋色は懐から拳銃を抜いた。
「もう……あの時の日々に戻れないなら……」
「止めろ!!」
緋色が撃とうとしている事を察知してミリオは止めに入ろうと動く。
オーバーホールも撃たれまいと避ける姿勢を見せ、クロノスタシスは壊理を抱えながら臨戦態勢に入った。
獅子皇会の組員達も臨戦態勢に入った時、緋色は引き金を引いた。
~side終了~
遠くから銃声が聞こえ、そこから激しい戦いの音が鳴り響くのを聞いた私は急いで向かった。
"君は悲惨な結末を迎え……そして全てを失う"
その言葉が胸に刺さり、嫌な予感に駆られた私は緋色の無事を願って音の震源へ来るとそこには。
「嘘……嘘よね……」
私が見たものは刺が生えた地面や歪な壁に覆われた場所で、白フードのマスクの男、血塗れで死んだ獅子皇会の組員達、女の子を抱えて対峙する先輩と八斎會の男。
そして……脇腹辺りから血を流して諢に横抱きに抱えられている緋色の姿だった。
「緋色!!」
私は後ろが塞がれた様な音が聞こえたけど気にせずに緋色の元へ行くと諢は驚いた様子を見せるけど気にせずに来た。
「ジル!?どうして此処に来た!」
「そんな事を言ってる場合!緋色!しっかりして!!」
「……ジル?」
「えぇ、そうよ!この馬鹿!!何で私に何も言わなかったのよ……!」
「すまない……オールマイトの事もあって君に会いづらかった……それにこの抗争は僕達、獅子皇会の問題だった……君は僕達の組織の一員じゃない……君はこの社会の味方だ……僕の様な裏の人間の為に……力を使ってはいけない……」
「貴方が求めたのよ!!拒絶するなって……ずるいわよ!!一方的に約束させといていざとなったら破るなんて!!もうオールマイトの事は良いから!!生きて!!!」
私は冷たくなっていく緋色の手を取りながらそう叫ぶけど緋色は力無く笑うと私の頬を優しく撫でてきた。
「良かったよ……君と最後に話せて……和解出来て……お願いだジル……最後の願いだけ……壊理を……助けてやってくれ……あの子に明るい未来を見せてやってくれ……」
「緋色……!」
「お嬢!!」
「頼んだよ……あと、最後に……愛してるよ……ジル……」
緋色はそれだけを伝え終わるとそのまま息を引き取り、眠る様に死んだ。
そう……死んだのだ……間に合わなかった……私のせいで……私がモタモタして時間を掛けすぎて……緋色が……
『ジル。まだ仕事が終わっていない。……緋色の願いを聞いてやれるな?』
「……えぇ、聞けるわ」
「ジル……?」
アーサーへの返答での私の言葉を聞いた諢は涙を流しながら困惑の表情を浮かべるけど私は緋色の頭を優しく撫でてから立ち上がると元凶の男……オーバーホールに視線を向けた。
『俺達は止まれない』
「止まるつもりはない」
私達は諢に緋色を任せてオーバーホールの元へ足を進める。
『大切なものをこれからも失うかもしれない』
「それでも誓いを破れない」
私達はナイフを手に殺す相手を明確にし、睨む。
『俺達の手は多くを殺す。罰を与える為に』
「私達はこの命に変えてでも……人々の大切なものを奪われない様にこの手を汚す」
罪には罰、罰には報いを……犯した罪を償わせる為に。
「『
私達こそ
法から逃れる悪を殺す悪、法に縛られない
オーバーホールは多くを殺し、踏みにじり、傷つけた……彼に与えられる罰は……。
「ジャック……!」
「先輩は下がって。例え……私が法を犯したとしても」
「駄目だ!どんなに理由でも仇討ちは」
「仇討ちじゃない」
私はそう言って先輩を見ると先輩の顔は何処か恐怖の色があった。
その腕に抱えられている女の子も私に怯えている。
「これは……私なりのケジメよ。助けられなかった緋色との約束を果たす。その為には先輩。その子を守って。まだあの白フードもいる。私が奴らの相手をする。殺せなくても出久達の為の時間稼ぎにもなる。だから……ヒーローなら倒すよりも守りを重視して」
私はそう言って泣いた。
失くした者が大きすぎるから……でも、折れる分けにもいかなかった。
「ジャック……」
先輩の顔からは恐怖が消えて悲しげだった。
私の泣き顔はあまり怖くないのかもしれない……いつの間に壊理ちゃんも怖がっていなかった。
「そろそろ話し合いは終わりか?」
オーバーホールの言葉に私は視線を向け、睨み付けた。
「ジャックと言ったな?何だ?緋色がそんなに大切だったのか?それは悪い事をした……うっかり、殺してしまった」
「そうみたいね……あんたみたいな外道に殺されて無念でしょうに……絶対に許さない!!必ず貴方の身体に刻んでやるわ!!"
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