殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー    作:謎多き殺人鬼

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大義無き刃 ~中編~

~別視点side~

 

ジャスティスは撃たれた個性消失弾が未完成品か完成品か分かるまで謹慎しろとサー・ナイトアイ達にしつこく何度も言われ、挙げ句の果てにレディ・ナガンの厳重な監視を受けていたが上手く抜け出していた。

 

夜の暗闇の中を歩きながら考え事をしながら歩いていると前から見知った顔の人物がやって来た。

 

「はぁ……やっぱりな。いつかは出てくると思ってたぜ。レディ・クイック」

 

「少し……話しませんか?」

 

レディ・クイックに話さないかと促され、近くのベンチに並んで座るとジャスティスは切り出した。

 

「何で姿を消していたんだ?心配したんだぞ……お前が何かあったかってな。訳を教えてくれるか?」

 

「心配を御掛けしてすみません……その訳は言えません。しかし、私は只、自分のやるべき仕事をしていただけです」

 

レディ・クイックのその言葉にジャスティスは簡単には話さないよなと思っていると次はレディ・クイックから切り出した。

 

「何故、レディ・ナガンが釈放されたのですか?私は別に釈放までは望んでいない。罪を犯したのなら例え師であっても罪を償うべきと思っています。貴方の働き掛けですか?」

 

「まぁな。ナガンに司法取引的な感じで交渉してな。ある仕事が終えたら無罪放免で永遠に自由の身にするって約束で手伝って貰ってる。勿論、後ろ暗い仕事じゃない。……俺が追い続けた連中の調査だ」

 

「グリーン・メイスンですね?」

 

「そうだ。奴等は尻尾を簡単には出さなかった。だが、油断したのか分かりやすい手掛かりを残した……が、ジルの奴がまた滅茶苦茶にしやがった……マークしていた奴等を尽く甚振ってから殺してやがる。恐らくは……」

 

「拷問して仲間の居場所を吐かせいると言う事ですね?」

 

レディ・クイックのその言葉にジャスティスは溜め息を吐くと頷いた。

 

「そうだ。ジルは非道な手段で真相に逸早く辿り着こうとしてやがる。こんな犯行方法はしなかった筈だがな……だが、俺は前の事があったから一人だけ取っといていたんだ。グリーン・メイスンの一人をな」

 

レディ・クイックは無言でジャスティスを見る中、ジャスティスはレディ・クイックに鋭い視線を向けた。

 

「誰だか分かるか?」

 

「……いいえ。誰ですか?」

 

「それはな……テメェの事だよ!打美!!」

 

ジャスティスはそう言い、レディ・クイックを取り押さえようとしたがそれを予期していた様にレディ・クイックは避け、ピースメーカーを向けた。

 

「貴方は今は個性が使えない事は知っている。苦しまない様に殺しますから大人しくして貰えますか?」

 

「馬鹿か?誰が大人しく殺されるか!!テメェを捕まえてグリーン・メイスンの全てを吐かせてやるよ!!」

 

ジャスティスはそう言ってレディ・クイックの懐に飛び込もうと地面を蹴り、踊り出るとレディ・クイックは冷静に銃口を向けて引き金を引く。

 

放たれる銃弾をジャスティスは避けてレディ・クイックに一撃を与えようとした時、後ろから迫る銃弾を察知し、間一髪で躱した。

 

「卑怯だぜ。個性を使いやがって」

 

「私の個性……ガンスリンガーを覚えていてくれましたか」

 

「そりゃ覚えてるだろ?仮にも雇ってた身だぞ?」

 

「そうですよね。なら、私の"もう一つの個性の能力"も覚えてる?」   

 

レディ・クイックのその言葉にジャスティスは冷や汗を流しながら考え込む素振りをしつつ答える。

 

「確か複合個性だったよなお前?銃の弾を変幻自在に操り、そして……右眼を存在する全てのスコープに切り替えられる。熟達すれば百発百中の技となる。そしてお前自身が身に付けた速撃ち。まさに銃に愛され、銃を撃つ為に産まれた……なんて言われてたよな」

 

「おかげで人殺しに特化したヴィラン女だって言われて虐められました。そんな私を助けてくれたのがレディ・ナガン。私を拾って、私に人を救ける為に撃つ術を教えてくれた」

 

「そんなお前はナガンを裏切ったんだぜ。人を殺し、悪行に加担したお前はナガンから教わった人を救ける為の技を自身の私欲を叶える為に使った」

 

「仕方なかった。そうしなきゃレディ・ナガンは永遠に浮かばれなかった。背負った罪、暴かれない罪。どちらが重いと思いますか?」

 

レディ・クイックのその言葉にジャスティスは溜め息をつくと頭をかきむしりながら答える。

 

「両方に決まってんだろうが」

 

「貴方ならそう言うと思いました」

 

レディ・クイックはそう言って笑い、銃口を向けた。

 

右目はスコープに切り替わり、確実に撃ち殺す為に狙いを定めた。

 

「もう私は引き返せない……目的も見えなくなった……だったらせめて全てを巻き込んで社会を滅茶苦茶にしてやる!!」

 

「止めろよ。そんな事をしたって誰も喜ばねえよ」

 

「喜ばれる必要は無い。脆いこの社会はいつか破綻するのだから早めに壊れても良いじゃないですか。新しく作り直すには壊す必要もありますから」

 

「別に作り直すのに全部壊す事なく直せるかもしれないぜ?」

 

「そんな事には絶対にならない。現に今でも公安は後ろ暗い事を隠し、ヒーローの一部は腐敗した。警察もグリーン・メイスンの工作ですぐに駄目になった。どうです?これで一部を直せば建て直せますか?」

 

「やってみるさ。何もしないで無理なんて言うのは最初から諦めた奴の言う事だ。だから、俺の命……建て直す前に取られる訳にはいかねぇよ」

 

ジャスティスはそう言って睨む中、レディ・クイックは撃鉄を起こした。

 

「なぁ……打美。お前がジャッジをやったのか?」

 

「……えぇ、私です。私が殺しました」

 

「何でだよ……お前ら付き合ってたろ?何を間違ったら殺すんだよ……」

 

「命令でした……始末しておけと……言われなくても遠回しに……私も組織に属する身なら従わざるを得ないです」

 

「そんなにグリーン・メイスンが大事かよ?」

 

「目的の為なら秘密結社でも利用しますよ。さよなら……ジャスティス。恩を仇で返して……申し訳ありませんでした……死んでください」

 

レディ・クイックに銃口を狙われれば最後、個性無しに戦う事も逃げる事も困難であるとジャスティスは考え、少しくらい人の言う事を聞けば良かったかと思いながら笑い、駆け出した時、銃声が鳴り響いた。

 

~side終了~

 

一週間が経って、私がいくら探しても、グリーン・メイスンに問い質しても一向に見つからないレディ・クイックに対して苛立ちを覚えていた。

 

『落ち着けよ。焦ったって見つかりやしないぞ』

 

「分かってるわよ……」

 

母さんを殺した女が今も何処かでのうのうと生きているそいつが許せない。

 

私はレディ・クイックが身を隠しているのは私に母の仇だと知られたのを悟られたのかと思いながら路地を歩いていると後ろに気配を感じた。

 

私は振り向くとそこには。

 

「オールマイト……!?」

 

「やぁ、霧先少女……少しだけ時間をくれないか?」

 

そこには痩せこけて平和の象徴の面影など全く無いオールマイト本人がそこにいた。

 

「何でまた……?貴方は引退したと聞きました」

 

「そう。引退してもうヒーローではなくなった。私に君を捕まえる権限は無いよ」

 

「だったら関わらないで。私は何を言われても引き返さない」

 

私はそう言い放って立ち去ろうとした時、オールマイトの声が路地に響いた。

 

「君のお父さんが危篤なんだ!!」

 

「……え?」

 

「君のお父さん……ジャスティスが撃たれた。個性消失弾を撃たれて個性が使えない状態を狙われた。すぐに病院に運ばれて治療が行われたが残念だが僅かに延命しか出来なかった。目を離してしまった我々の失態だ……君に何かを言う資格も無い……償いと言う訳じゃないが頼む。最後にジャスティスの元に行ってくれ。もう時間が無いんだ。元ヒーローとして失格の行為だが君を面会までの間、一時的に見逃そう。だから……頼む!!彼の元に行ってやってくれ!!」

 

オールマイトはそう言って頭を下げるけど私は父さんが撃たれて危篤と聞いて冷静じゃいられなかった。

 

『どうするつもりだ?』

 

「(どうするって……父さん……!)」

 

私は本当にどうすれば良いのか分からなかった。

 

罠かもしれない……オールマイトに芝居をする様にさせてのこのこと来た所を取り押さえる……いや、雄英で学んでいた時のオールマイトは何処か抜けてた。

 

オールマイトが芝居をすると頷いても本気と演技では必ず言動や身体の変化に食い違いがある。

 

オールマイトのそれは……本気だ。

 

芝居なんてしてないと完全には言えないけどもしかしたら……いや、オールマイトには秘密にして他のヒーロー達が罠を……

 

「信じられないのは分かる!!だが、本当だとしか言えない!!君と君のお父さんの最後の別れになるかもしれない!!信じてくれないか!!」

 

『会ってみたらどうだ?』

 

「(アーサー?)」

 

『最後の別れになるかもしれないなら会っておけ。それだけは後悔したくないだろ?』

 

アーサーのその言葉に私は暫く考えた後、最後かもしれない父さんとの別れをする為にオールマイトの誘いに乗った。

 

「罠じゃないでしょうね?」

 

「私が保証する。もし、私に何も知らせずに他の者達が罠を仕掛けていたら身体を張って止めるさ」

 

「その言葉……信じるわよ」

 

寧ろ嘘だと思いたい……父さんが死ぬなんて思いたくない……お願いだから行った瞬間にドッキリでしたって父さんの悪ふざけじみた罠だとかで良いから……生きてて欲しい。

______

____

__

 

私はオールマイトに連れられた病院へ来るとこっそり裏口から入った。

 

オールマイトの案内の元、父さんにいる病室前に密かに来るとオールマイトは頷き、私は病室に入った。

 

そこには弱々しい吐息で目蓋を閉じて人口呼吸器が取り付けられた状態で寝かされた父さんがそこにいた。

 

「父さん……!」

 

私は父さんの手を取ると危篤状態だった筈ので父さんの目が開いた。

 

「……ジルか?」

 

「うん……私よ……」

 

「なぁ、今までのは夢だったのか……?長い間、寝てて記憶が曖昧だ……お前が殺人鬼になって……人を殺しちまった……今のお前は……」

 

「ヒーローよ……殺人鬼じゃない……誰かを救う……父さんの誇れる様なヒーローよ」

 

私は嘘をついた……父さんが死ぬと思えばこれくらいの嘘は良いと思った。

 

「……馬鹿か……嘘丸出しだ……お前の眼を見れば分かる……お前はオリヴィア譲りの綺麗な青い瞳だった……今のお前の瞳は……殺人鬼の赤だ……」

 

「馬鹿とは何よ……父さんが死ぬなんて聞いたから言ったのに……」

 

「だからって嘘をつくな……お前は自分でその道を選んだなら……もう止めはしない……もう止めてやれないからな……」

 

「父さん……!」

 

「やっぱり良いな……愛する娘から父さんって言ってくれるのは……お前が殺人鬼に堕ちても……俺を父親として見てくれた……ありがとうな……」

 

父さんはそう言って弱々しく握り返してくれた。

 

私は泣くしかなかった……私の大切な家族がまた喪う事実に私は……

 

「父さんをやった相手はレディ・クイックよね……?」

 

「……彼奴の正体を知ったのか……良いかジル……俺の……オリヴィアの仇を取りに行くな……」

 

「でも……!」

 

「俺は復讐は望まない……オリヴィアもだ……彼奴は自分の道を見失った……捕まえて……正して……やらねぇと……」

 

「……父さん。私は」

 

「どうせ行くんだろ……?困った娘だな……全く……彼奴はかなりの銃の使い手だ……間違っても彼奴の土俵に上がるなよ……アドバイスはそれだけだ……」

 

「父さん……?」

 

「言って何だがな……彼奴はもう法じゃ裁いてやれない……ジル……言いたくなかったが……レディ・クイックを……打美を止めてやってくれ……彼奴を……苦しみから解放してやって……くれ……」

 

父さんはそう言ってまた目蓋を閉じて……そのまま呼吸が止まって……私の手を握っていた手は落ちていった。

 

父さんが死んだ……私がそう悟った時、病室に入ってくる者達が現れた。

 

「ジャスティス!!」

 

「落ち着くんだエンデヴァー!!」

 

「黙れ!!奴はこんな所で死ぬ男ではない!!起きろ!!貴様はオールマイトの次に越えてやると誓った相手だ!!起きろ!!!」

 

「黙れって言ってんだよ!!少しは空気読め!!」

 

「そうだよ。遺族の娘さんもいるんだ……少しごめんね」

 

入ってきたのはオールマイトを始め、いつの間にか来ていたエンデヴァーとレディ・ナガン、リカバリーガールだった。

リカバリーガールは父さんが死んだ事を確認すると死亡時刻を言って死んだ事を伝えた。

 

「残念だったね……私達は此処ではヒーローとして手を出すつもりはないから……気が済むまでいなさい」

 

リカバリーガールはそう言って私の頭を撫でた後、エンデヴァーは足早に出ていき、オールマイトは悲しげに出ていき、レディ・ナガンは私を抱き締めて慰めてくれた後、静かに出ていった。

 

『ヴィランの俺達に最後の別れをさせてくれるなんてな。ヒーローもお人好しだな』

 

「今は感謝してる……そのお人好しな優しさがあったから最後のお別れが出来た……」

 

『これでますます仇を取らなきゃな。あの頑固親父に言われたろ?……レディ・クイックを殺してくれって』

 

「父さんがそれを言うなんて思わなかった……でも……言われなくても殺すわよ……」

 

私はそう言ってそろそろ立ち去ろうと病室の扉に手を掛けた時、扉の下の隙間に綺麗に折り畳まれた紙が落ちてた。

 

私はそれを拾って広げるとそこには場所と時刻が書かれていてその復讐戦を受けると書いてあり、最後の辺りに名前が書かれていた。

 

レディ・クイックと。

 

『丁度良い!彼奴から果たし状だぞ』

 

「……そうね。アーサー……必ず仇を取るわよ」

 

私は燃える憎悪の火を激しく燃やしながら病室を開けて密かに立ち去った。  

 

 

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