殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー 作:謎多き殺人鬼
出久君と一緒に受験会場に入った私に待ち受けていた光景は数多くの制服がバラバラの受験生が集まる今までに見た事もない物だった。
『へぇ、こいつら全員がライバルか?』
「(そうみたいね……気が滅入るわ)」
ヒーローとして優秀な逸材が多いのは間違いない。
私の個性と身に着けた技が何れだけ通用するか全く分からない……何で私、ナイフなんだろう……
「今日は俺のライヴにようこそー!!!」
『うるせぇッ!何だ彼奴は!』
「(プロヒーロー、プレゼント・マイクね。ラジオやってるらしいわ)」
『ラジオを?あんな大きな声を聞き続けたら頭がおかしくなる。お前がそのラジオを聞かないのは救いだな』
私はアーサーの言葉に苦笑いしか出来ない中、隣にいるヒーローオタクの出久君はプレゼント・マイクに大興奮。
何故かその隣にいる勝己はアーサーと同意見で『こればかりは仲良くなれそうだな』なんて言ったわ。
まぁ、プレゼント・マイクの言う試験内容は簡単に言えばA~Gの指摘の演習会場に行って10分間の模擬市街地演習つまり、各々のポイント次第で難度が変わるロボット相手に模擬戦をするらしい。
無論、妨害行為は失格の対象と言うのもお決まりだ。
「質問よろしいでしょうか!?」
プレゼント・マイクの試験の説明が行われる中、何か真面目そうな受験生が質問を始めた。
「プリントには四種のヴィランが記載されております!誤載であれば日本最高峰たる雄英において恥ずべき痴態!!我々、受験者は規範となるヒーローのご指導を求めてこの場に座しているのです!!」
違った。
真面目じゃないクソ真面目だ。
『何時の時代にも真面目な奴はいるんだな。いや、彼奴は真面目過ぎるか』
「(誰か知り合いに真面目な人がいたの?)」
『シャーロットだ』
「(あぁ……貴方を捕まえた人ね。うん。分かった)」
取り敢えず無かった事にしてプリントを見ようとしたら此方見てきた。
「先程からボソボソと……気が散る!!物見遊山のつもりなら即刻、
「すみません……」
クソ真面目の矛先が出久君に向いた。
と言うかもう少し言い方はなんとかならないのかな?
幾ら不愉快でも最初は軽く注意し、それでも直らないなら厳しく言うべきであって最初から一気に厳しくすれば言いと言う訳じゃない。
下手したら注意された側が悪いと思っていても不快に思わせて終わってしまう。
「オーケーオーケー。受験番号7111君ナイスショットなお便りサンキューな!四番目のヴィランは0P!そいつは言わばお邪魔虫!」
『成る程な。試験の邪魔をする要素もあるって事か』
「(まぁ、簡単にはいかないでしょうね)」
『だが……果たしてそのお邪魔虫の役目はそれだけなのかが問題だけどな』
「(それって……何かあるって事?)」
『おまえの試験だろ。自分で考えろ』
アーサーはそう言ってそれ以上は何も言わなかった。
0Pの仮想敵……お邪魔虫たるそれがもたらす何か……間違いなくヒーローに関する内容になるのは間違いない。
それは試験を始めたら分かる事だろう。
「ナポレオン・ボナパルトは言った!真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者と!!Plus Ultra!!それでは皆、良い受難を!!」
Plus Ultra、更に向こうへ……か。
私はCだから二人とは別になり、軽く別れを告げて持参したジャージに着替えていざ、戦場へ!
……一言言うわ……広っ!!?
ちょっとした都市が広がってるけどマジなの雄英!?
『税金の大部分が使われてそうな所だな』
「(それ言ったら負けよ)」
とにかく気にするな。
私は軽く準備運動をしながら受験生達を見るけど皆、受かる気満々で全く、自信が落ちてない。
私?
私はあれを見てもうごっそり、落ちてしまいそうだよ。
『やれやれ。少しは自信を落とした方が不合格の時のショックを和らげるだろうにな』
「(それって私に言ってる?)」
私はアーサーからの不吉な言葉に不安を覚えそうになった時、スピーカーがなった。
《ハイスタート!》
私はそれを聞いた瞬間、本能的に駆け出した。
アーサー曰く、実戦でカウントなんて無いから万が一、勢い言われても動ける様にしとけと散々言われたけど……まさか当たるとは。
《どうしたぁ!?実戦じゃカウントなんざねぇんだよ!ハーフの美人ちゃんが一人で爆走してんぞぉ!走れ走れぇ!!賽は投げられてんぞ!!?》
プレゼント・マイクのその言葉に他の受験生も事態を察知したのか一斉に駆け出す足音が聞こえてきた。
あと、美人ちゃん?
私はそこまで美人じゃないけど……?
『おまえは少し、自分の容姿の評価を上げろ』
「上げろって言われてもね!」
私はアーサーと話しながら生み出したナイフを投擲し、手始めに1Pの仮想敵を倒した。
そこからナイフを左手でしっかり握って手足の様に振るい、蹴って、殴って、投擲して、反撃を受けそうなら躱してナイフで切り突ける。
軽く37Pは行ったかな。
でも、間違いなく私より高い人は多い筈だし油断はできない。
「だ、誰かぁ!」
「なに?」
『何だ?おいおい、運が無い奴だ。破壊された仮想敵の下敷きになってやがる』
受験生の一人が飛んできたのか或いは自分でやってしまったのか仮想敵の下敷きになって動けなくなっている。
自力では抜け出せない個性持ちなのか全く抜け出せそうにないし、周りはライバルが減ったとばかりに試験に集中してる。
『どうすんだ?』
「はぁ……助けるわよ」
『試験はどうするんだよ?下手したら不合格だ』
「それでも助けを呼ぶ相手を無視できない。無視したらそれこそヒーロー失格よ」
私はアーサーにそう言って下敷きになってる受験生の元に来ると仮想敵を持ち上げる。
……結構、重い。
「ほら、這って出なさい……!もたないから……!」
「ご、ごめんなさい!ありがとうございます!」
受験生がそう言って抜け出すのを見届けた私は一息ついてるとプレゼント・マイクの終了の声が響いた。
やってしまった……。
『ほら見ろ!終わっちまったぞ!』
「……終わった」
私はやってしまったこの結果に対し、項垂れるしかなかった。