殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー 作:謎多き殺人鬼
私はグリーン・メイスンのメンバーの元に行っては拷問、殺害を繰り返してはいるけど情報が全く掴めなくなっていた。
もしかしたら過去のアーサーの所業から学んで対策して来てるのかもしれないと考えると打つ手を変えないといけない。
「聞いてるのかいジル?」
「え?あ、すみません……」
行き詰まっている私は定期検診に外堂先生の診療所に来て傷口を見て貰いながらお説教を受ける事になってしまった。
「全く……君と言う娘は……緋色君を亡くしたのは残念だが最近では無理をし過ぎて困る。殴られて痣が出来ていたり、背中に銃弾を受けていたりと何をしたらそうなるのか」
外堂先生は呆れながら私に言ってくる事に私は何も言い返せない……うん、これは私が悪いもの。
「本当にすみません……ですがやっと仇が取れたんです。やっと……」
「それで?君は気が晴れたのかい?」
「いいえ……」
私が首を横に振ると外堂先生は溜め息をつくとカルテを書きながら話す。
「復讐と言うものは一時期においては大きな精神的な支えにもなる。だが、もし復讐が果たされれば待ち受けるのは達成感か無気力か或いは……新たに復讐を求めるかだ。君は何れだね?」
「……恐らく新しい復讐を求めているのかと」
「だろうね。そうでなければ君は殺人を続けやしない。君は強いと思われているが君自身、心はとても脆い。君は優しさを捨てるつもりでいる様だが……その覚悟は本当にあるのかい?優しさを捨てると言う事は君は冷酷に振る舞い、周りの全てを震え上がらせる存在になる。つまりは……怪物となる」
「怪物……?」
「復讐と怒り抱く怪物。ヴィランなんて生易しいものではないだろう。誰かに恐れられ、憎まれる様な存在に君は成り果てると言う事だ。本当にそうなりたいのかい?」
外堂先生のその言葉に私は答えようとしたけど口には出来なかった。
私自身……覚悟が足りないのかもしれない。
怪物になる覚悟が……
「私は……」
どう答えようかと悩んでいた時、そこへ誰かがやって来る気配を感じて視線を向けるとそこに智枝美がいた。
「ジルお姉ちゃん」
「どうしたの?」
「緋色お姉ちゃん……亡くなっちゃったんだよね?」
智枝美はそう言って微かに涙を見せる姿に私は只、静かに智枝美を抱き締めた。
「うん……そうよ。私が不甲斐ないばかりに彼女は……」
「お姉ちゃん……」
「二人共。気が滅入る話は此処でよそう。彼女も何時までも引き摺って欲しいとは思っていない筈だからね。それとジル君。一ヶ月後は診療所は休みかもしれないから怪我はくれぐれもしないでくれよ?」
「休み?」
「雄英の文化祭だよ。診療所を休みにして智枝美と一緒に回ろうと思ってね」
文化祭……雄英も学校なら文化祭もあるわよね……ちょっと行ってみたい気もするけど行ったら文化祭は中止になっちゃうし体育祭を潰してしまった御詫び代わりと言わないけど近付かない様にしないと。
「分かったわ。文化祭の日は休むとするわ。仕事をして怪我をしたけど治療出来ないなんて困るもの」
「お姉ちゃんは来ないの?」
「流石にちょっとね……楽しんで来なさい。私の友達も良い人達ばかりだから」
私は智枝美にそう言って頭を撫でた後、一通り治療を終えてお礼を言った後に診療所を後にした。
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私は路地の壁にもたれながら何か情報はないかスマフォを弄っていると一本の動画が挙げられていたのを確認した。
「何これ?」
私は"ジェントル・クリミナル"と言う人物の動画を開けばその内容は単なるコンビニ強盗……しかも、無駄にキザでわざわざブリーフケースでかつ、千円札を十枚単位で纏めさせてる。
ジェントルが無駄な事をしてたらヒーローがかなりの人数で来たけどカットされればヒーロー達はジェントルに倒されていた。
「何をしたのかしらね?しかもコンビニが揺れてる?」
「たった一人でヒーロー共をやったのか……何で無名なんだ?」
「馬鹿みたいな事をしてるからじゃない?でも……そうね」
私はコメント欄まで画面を動かすコメントをしておく。
「これ以上の馬鹿な行為をしたら殺しに行くわよ。
『わざわざコメントするか?』
「警告よ。止めたら見逃してあげるつもり。そう……止めたらね。その時は殺す」
私はそう冷たく吐き捨ててスマフォをしまうと一先ず文化祭の日の休みまで私はグリーン・メイスン狩りを続ける事にしてその場から去った。
~別視点side~
その頃、コンビニ強盗を撮影していたジェントルとラブラバは唖然としていた。
「物凄く再生回数が増えてるわ!?」
「う、うむ……やはりこれか……?」
ジェントルが注目したのは世間だけでなく世界的にも有名になりつつある美しき殺人鬼、
齢16歳にして捕まる事すらなく、オールマイト等のトップとも渡り合い、数多くのヴィランを殺害して回り、またヴィラン以外の者は抵抗の為に怪我こそさせても殺さない事からダークヒーローとも呼ばれている。
そんな彼女からの直々の……と言うか見てると思ってなかったまさかのジルからのコメントにジェントルは冷や汗をかきっぱなしだ。
ほぼ無名で尚且つ小さな悪事しかしないジェントルとヴィランのみ殺し尚且つオールマイトにすら最後まで逃げ切ったジル。
どちらが影響力があるかは明らかに明白だった。
世間は今、
「むぅ……しかし、これでは丸被りだね」
「問題無いわ!!ジェントルの方が素敵だもの!!」
ジェントルが更に注目したのは犯行目的。
"ジェントル"
何かしらの疑惑やら不祥事があったらちょっかいを出すセコい義賊(?)の紳士。
"ジル"
法から逃れる悪を裁く為に殺人を厭わない義賊的な
「ほら、この義賊とか特に」
「確かに……で、でも!ジェントルは無用な暴力は好まないわ!!」
「その通り!!私は力ずくで解決するのは好まないからね」
ジェントルはそう言って頷くと問題のコメントを考え直す。
「しかし……まさか彼女に眼を付けられるとはね。これは次なる目的の障害にならないと良いが」
「こ、このコメントって明らかに殺人予告よね?」
コメントの内容に堂々と載せられた殺しに行くと言うメッセージにラブラバはかなり不安になる中、ジェントルは高らかに宣言する。
「過激で暴力的な行動は時に人を魅力する。私の流儀に反する……そして彼女は個人でありながら勢いと確かな実力があるのも事実。しかし、だからと言って屈するつもりはない!!私はその次の企画でそれを証明しよう!!それにこのコメント事態がフェイク。つまりジャックを騙る者のコメントかもしれないしね」
「そうよね!!聞かせてジェントル!次の企画は何なのよ!?」
「偉業とは常に時代への問い掛けだ。彼らを話の中心足らしめた始まりの地。そして話題の彼女の母校でもある。そこが次の案件だ。一ヶ月後、例年と通りならば文化祭があるんだ。一度襲撃に逢い、セキュリティを強化した学校。ヒーローの今を象徴するあの学校にこの私が侵入してみたらそれは凄い大事になるだろうねぇ」
ジェントルはそう言って微笑んだのだった。
それが……後にジルの怒りを買う行いだとも知らずに。
~side終了~