殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー 作:謎多き殺人鬼
私は突然、助けを求めてきたトガヒミコとトゥワイスの二人に連れられて何処かの薄暗く少しの光が照らす地下の廊下を歩いていた。
ヴィランが助けを求めるなんて尋常じゃない……でも、助ける道理も無い。
断るのは簡単だけどヴィランの二人が助けを求める理由が気になる。
取り敢えず話だけでもと着いて来たけど……
「それで助けって何?」
「もう少し行った先で話します」
「そこで全員が集まってんだ!」
着いてから話すの一点張り。
まぁ、この二人がまともに話せるとは思えないけどさ……
「此処です此処!着きました!」
トガヒミコが笑顔でそう言って一つの部屋に指差すとそのまま扉のドアノブを手にして扉を開けて入った。
「連れてきました!!」
「マジで連れて来れたのかよ……」
部屋にはリーダーの死柄木弔を始め、黒霧、荼毘、Mr.コンプレス、マグネがいた。
その近くのソファーには知らない顔がいて、その側に数人固まる様に立っている。
「あんた達が呼んだんでしょ?」
「まぁな……」
「申し訳ありませんが時間がありません。本題に入っても?」
黒霧のその言葉に私は視線を向けると黒霧は私を呼び出した理由の本題を話す。
「貴方を呼んだのは他でもありません……我々と手を結んで頂きたい」
「断る」
『即答だな』
「(ヴィラン連合と手を組む訳がないでしょう。どちらかと言うと敵対すべき相手なのに)」
私はヴィラン連合の要件に呆れてそのまま帰ろうかと考えた。
「グリーン・メイスンによって我々、ヴィラン連合は追い詰められているのです」
「……グリーン・メイスンね」
グリーン・メイスンがヴィラン連合を追い詰めているなんて驚いたわね。
敵対している素振りは無かったのにどうして追い詰められる事になったのやら……
「彼らは我々に対してオールフォーワンが死んだ事を好機と捉えたのか傘下に入れと迫ってきました。当然、我々はその話を蹴りましたが……いかせん数は圧倒的であり、尚且つ何処におり、何処に目と耳があるのか分かりません。武力では我々が上だと自負しておりますが不意を突かれ続け、疲労が貯まるばかりなのです」
「そう言う事だよジャック。我々もまたグリーン・メイスンにしてやられた」
「誰よあんた?」
黒霧の説明の後に話してきたソファーに座る男にそう聞くと軽く微笑んで名乗ってきた。
「私はリ・デストロ。異能解放軍の最高指導者をやらせて貰っている。と言っても今は何の力も無い……君はテレビは見るかい?」
「たまに……そう言えば見た事あるわね。デトネラット社。主に日用品のサポートアイテムを扱うサポート企業。その代表取締役社長の四ツ橋力也。でも、前に退任させられたってニュースが流れてたわよね?」
「そうだ。私はグリーン・メイスンが我々、異能解放軍に紛れ込ませた者達の策略によって会社は乗っ取られ、しかも異能解放軍の構成員の大部分がグリーン・メイスンの者達だった」
「……その構成員の数は?」
「ざっと10万人だ。私の元にいた純粋な構成員1万人以上はグリーン・メイスンの軍門に下ってしまった。残ったのは此処にいる幹部達だけだ。更に残った忠誠心ある者達は全員、殺された」
10万人……明らかに以上な数の構成員だわ。
それに残った1万も軍門に下ったとして含めたとしても何れだけの数が占めてるか……
「質は勝てても数の不利は覆せません……ですが我々にはまだ勝てる手段があります」
「手段?」
「奴等の本拠地を叩くのです。そしてその指導者を始末し、指揮系統を崩します」
黒霧のその言葉に私はグリーン・メイスンの本拠地を見つけたのかと驚いていると死柄木弔か答える。
「奴等の本拠地は俺達は既に掴んでいる。あとは戦力。少数精鋭で行く。グリーン・メイスンが何処まで手を伸ばしてるのか分からない以上は人材は厳選しなきゃいけないからな。だからお前だジル。グリーン・メイスンと最も敵対しているお前を選んだ」
「断ったら?」
「お前は今までグリーン・メイスンの構成員を嬲り殺しにして吐かせられたか?本拠地は?頭をやってる奴の名前は?いくらお前でも他人の心までは読めない。だからお前はまだグリーン・メイスンの本拠地にすら乗り込む構えを見せない。そうだろ?」
私は図星を突かれると死柄木弔は私に手を差し出してきた。
「俺達と組め。そうすればお前の欲しい情報を全てやる。俺達には共通の敵が出来た筈だ。ヒーローも奴等の存在を目障りに思っている。別に悪事に加担しろなんて言ってないんだ。奴等を潰すまでお互いに仲良くしよう」
前に会った時には子供みたいな奴だったのに……冷静で尚且つ目的の為なら手段も問わない、敵でも組む。
死柄木弔……貴方は危険な存在……でも、それでも私は……
「本当に持ってるのでしょうね?グリーン・メイスンの情報」
「持ってるさ。組むのか?組まないのか?」
「……そうね」
私はヴィラン連合の面々を見てみれば所々、服や装備がボロボロで傷を治す為に使われたのか包帯もチラホラと見える。
リ・デストロイ達と同様で傷ついて疲れ果てた姿。
どちらもほぼ、戦意喪失していると言っても過言でもない状態で流石に戦えるとは思えない。
「分かったわ」
「組むのか?」
荼毘は疑っているのか鋭い視線を向けるけど私は組むなんて言ってない。
「情報だけ渡しなさい。私が始末を着けて来るわ」
「一人で10万いや、どんだけいるか分からねぇ奴を相手に戦う気かよ!?」
「幾らなんでも無謀よ!!もし、貴方に何かあったら緋色に顔を合わせられないわ!!」
スピナーとマグネがそう言うけど……スピナーは腕が折れてるし、マグネもろくに立てないのか叫んでいても椅子から立ち上がろうとしない。
「組む相手を間違えたのでは?」
「いや、彼女と組むべきなのさ。しかし……一人でやろうとは驚いたがね」
リ・デストロイと話すサングラスを掛けた男……心救党の党首の花畑孔腔じゃない。
ニュースだと不正が発覚したとかで辞任させられて逮捕状まで取られたなんて言われてたけど行方不明になっていた筈。
まさかこの男まで異能解放軍だったなんて……いや、それよりも。
「言えば貴方達が迷惑を掛けられてるグリーン・メイスンを始末して来てあげるわ。戦力も無駄にバラ蒔かずに済むし、何時かは殺しに来る殺人鬼も死ぬ可能性もある。良い事ずくしよ」
「確かにな。だが、どうやるつもりだ?」
「これよ」
私はそう言って取り出して見せたのはグリーン・メイスンの制服である緑衣と無機質な仮面。
それを見たトガヒミコは小さな悲鳴を挙げた……意外ね。
「成る程……変装して喉元を行くつもりか」
Mr.コンプレスは私の考えを理解してそう言うと死柄木弔は暫くの無言の後、溜め息をついた。
「それでしくじったらどうすんだ?」
「その時はその時よ。刺し違えてでも殺す」
私はそう言って笑って見せれば死柄木弔もまた悪意がありそうな笑って見せた。
きっと私の笑みもそうなんだろうなって思いながら結果を待っていれば死柄木弔は両手を挙げた。
「分かった。どちらにしても調子づいたグリーン・メイスンの奴等の鼻を明かせれば良い。今から言う事をよく聞いて実行しろよ?」
私は死柄木弔から何一つ、聞き漏らさない様に耳を傾けてグリーン・メイスンの本拠地とその指導者の名を聞き出していった。