殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー    作:謎多き殺人鬼

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USJ襲撃事件 ~中編~

突如として現れたヴィラン達に私達は混乱していた。

 

仮にも此処はヒーロー育成を目的とする雄英でまだ有精卵とは言え、ヒーローを志す生徒と現役ヒーローが教鞭を取る様な学校なのだ。

 

なのに奴等は堂々と侵入し、襲撃してきたのだ。

 

「13号に……イレイザーヘッドですか……先日に頂いた教師側のカリキュラムではオールマイトが此処にいる筈ですか……」

 

「やはり先日のはクソ共の仕業だったか」

 

先日のあのマスコミ達を扇動したのはヴィラン達だと私は聞くと拳を強く握り締めた。

 

何がしたいのか知らないけど緋色達の様なヒーロー関連の学科に無関係な人達もいる中で騒動を起こして怪我人まで出した奴等に私は許せずにいた。

 

でも、だからと言って殺したい程ではない。

 

絶対に法の下に必ず裁かせてやると私はまだヒーローですらないのにそう思ってしまう。

 

「何処だよ……せっかくこんなに大衆を引き連れてきたのにさ……オールマイト……平和の象徴……いないなんて……子供を殺せば来るのかな?」

 

手の様なマスクやあちこち手を取り付けてる不気味なヴィランはそう言うと私は恐怖を抱いた……でも、それよりも怒りを抱いた。

 

まるで人の命なんて何とも思っていない様な発言……恐らくは何人も殺している。

 

平気で人の命を奪うなんて言う奴は罪の意識なんて無いに等しい。

 

だから私はあの手のヴィランを許す訳にはいかなかった。

 

「(アーサー。分かってるわよね?)」

 

『分かっている。万が一でも殺しはしないだろ?だが、手加減なんて悠長な事を彼奴ら許すと思うか?』

 

アーサーの言葉に私は項垂れた。

 

ヴィランの数は増えてる……経験や数で勝る相手に手加減なんて出来るのか私には分からないけどもし、戦わざるえないならやるしかない。

 

「先生!侵入者用のセンサーは!」

 

「勿論ありますが……!」

 

「現れたのは此処だけか学校全体か……何にせよセンサーが反応しねぇなら向こうにそういう事が出来る個性がいるって事だな。校舎と離れた隔離空間。そこに少人数が入る時間割……バカだがアホじゃねぇこれは何らかの目的があって用意周到に画策された奇襲だ」

 

轟君の予測は恐らく正しい。

 

確かにこの個性社会において電子機器に影響を与える個性を持つ者もいる。

 

最初からいないなんて予想をする方がおかしい。

 

そして時間割の情報流失……こいつらのせいで何れだけの生徒が恐怖に怯え、怪我を負ったか。

 

「13号避難開始!学校に電話試せ!センサーの対策も頭にあるヴィランだ。電波系の奴が妨害している可能性もある。上鳴、お前も個性で連絡試せ」

 

「ッス!」

 

相澤先生はそう指示を出すと一人、ヴィラン達の所へ行こうとしている。

 

まさか一人で戦うつもりなの?

 

「先生は一人で戦うのですか!?あの数じゃ幾ら個性を消すっていっても!!イレイザーヘッドの戦闘スタイルはヴィランの個性を消してからの捕縛だ!正面戦闘は……」

 

「一芸だけじゃヒーローは務まらん。13号!任せたぞ」

 

出久君の制止を他所に相澤先生はそれだけを言うと捕縛布を手にヴィラン達に向かっていく。

 

『あの先生……良い事を言うな。覚えとけよジル。ヒーローもヴィランも一芸だけじゃ務まらない。それを見ておけ』

 

アーサーに言われて私は相澤先生の戦いを見守る。

 

ヴィラン達は個性で相澤先生を迎撃しようと狙うけど相澤先生に個性を消されて撃てず、そのまま捕縛布で拘束し、ヴィランの二人をぶつける。

 

相澤先生の初手が終われば今度は異形系の個性を持つ岩の様な身体のヴィランが現れたけど顔を殴られて瞬殺すると同時に捕縛布で足を絡ませ、後ろから来たヴィランの攻撃を躱し、そのまま捕縛布を引っ張れば足を絡ませておいた異形系のヴィランが飛んできてそのまま後ろから攻撃したヴィランにぶつかった。

 

凄い……何れも隙が無く、洗練された技の数々……私は相澤先生と戦っても勝てる自信が無いくらいに実力差を見せつけられた。

 

『良いか?これが経験を持つ奴の動きと戦いだ。無駄な動きは最小限に。攻撃は隙をなるべく無くし。そして相手に確実にダウンさせる攻撃を行う。戦う事を専門とする奴には必要な要素だ。彼奴はそれを合理的な動きで行っていて模範としては良い。見ていて損は無い』

 

「(そうね……残念だけど避難しないといけないけどね)」

 

『本当にそうか?絶対に逃がしちゃくれないぞ?何せ、此処まで計画的なんだ。増援を呼ばせない為に俺達を始末したがるだろうな』

 

アーサーの言葉に私は出入り口の方へ振り返って出久君達と避難しようとするとそこへ靄を広げていた黒い霧の様なヴィランが現れた。

 

「させませんよ」

 

「ッ!?しまった!!」

 

奴の後ろは出入り口であり、つまり私達は退路を完全に断たれてしまった。

 

「初めまして。我々はヴィラン連合。せんえつながら……この度、ヒーローの巣窟。雄英高校に入らせて頂いたのは……平和の象徴。オールマイトに息絶えて頂きたいと思っての事でして」

 

「オールマイトを……!?」

 

『コイツら……』

 

ヴィランの目的がまさかオールマイトの殺害だなんて……無謀な事でしかない考えとしか思えないけど殺害計画が立てられたのなら可能性があると言う事になる。

 

「本来ならば此処にオールマイトがいらっしゃる筈……ですが何か変更あったのでしょうか?まぁ……それとは関係なく……」

 

ヴィランの個性は恐らく場所をワープ出来る個性で自分や周りの人達を他の場所にワープ出来ると思える……つまり、私達も例外は無く。

 

「全員そいつから離れて!!」

 

「遅いです。私の役目はこれ」

 

身体を揺らして私達を何処かに飛ばそうとするヴィランに私は咄嗟に叫ぶけど皆が上手く反応しない。

 

私はナイフを投げて少しでも皆が離れる時間を稼ごうとしたけどそこで二人の影が飛び出てヴィランを攻撃した。

 

攻撃したのは勝己と切島君だ。

 

「その前に俺達にやられる事は考えてなかったのか!?」

 

「この馬鹿二人!!13号先生の邪魔よ!!」

 

『あーあ……何してんだよ。こいつら』

 

私は二人が行った愚策に慌てて退くように促すけど土煙と共にヴィランが無傷で現れたのだ。

 

「危ない危ない……そう……生徒と言えど、優秀な金の卵」

 

「駄目だ退きなさい二人共!」

 

「退くのよ!退け!!」

 

私は必死にそう叫ぶけど既に遅く、ヴィランの個性が発動してしまった。

 

黒い靄が覆い、私達を何処かに散らそうとする中、私はアーサーに主導権を取られ、その場から飛び退いた。

 

私の視線には13号先生、麗日さん、芦戸さん、飯田君と言った面々は無事だったが出久君等を含めた一部の皆がいない事に気づいた。

 

『そんな……!』

 

「今は気にするな。彼奴らなら必ず状況を打開して戻ってくる。知ってるだろ?彼奴らは……強い」

 

アーサーの言葉に私は我に帰って気を取り直すとアーサーはニヤリと笑ってヴィランを睨む。

 

「おや?そこのお嬢さんはかなりやる気がある様ですね?」

 

「駄目です!ヴィランから離れて!!」

 

「まぁ、ジルなら応じるだろうな。だが、安心しな先生。あくまでも自衛での戦闘で止めてやるよ」

 

アーサーはそう言って地面を蹴り、ナイフを手にするとヴィランに向かって躍り出た。

 

『アーサー!!』

 

あのヴィランは物理的な攻撃は通用しない。

 

なのにアーサーは何をするつもりなのか分からないまま、アーサーはそのまま。

 

 

 

ナイフでヴィランを叩き切った。

 

 

 

え?叩き切った?

 

物理的な攻撃が効かなかったヴィラン相手に?ナイフにはたしかに血らしき何かが付いてる……と言うよりも殺してないわよね!?

 

「ぐうッ!?貴様!!」

 

「はッ!思った通りだ!お前、本体があるな?」

 

『本体?』

 

「個性を持つ奴は……大概は人間だ。それは異形系だろうが関係無くな。だったらこいつは?個性が発現してから身体は?だったら試すのさ。中身があるのかなてな!」

 

アーサーはあの状況でヴィランの特性を観察し、そしてあの黒い靄が本体では無く、中身に本体がある事を突き止めた。

 

でも、もう少し他に方法は無かったの?

 

「だが、それでもナイフの感触が浅かった。あの黒い靄は確かに物理は無効に出来る。だが、全てでは無い」

 

アーサーはそう言ってニヤリと笑ってナイフの刃をちらつかせる中、ヴィランは苛つきながらもあくまでも冷静にアーサーを見つめる。

 

「……貴方は何者なんですか?」

 

「俺か?俺はなぁ……お前達が虐げてきた弱者。そして亡者さ」

 

アーサーはそう言って両手を広げて、笑う。

 

その左手には鈍く光るナイフ。

 

「亡者……ですか?」

 

「あぁ、そうだ!亡者が地獄から、お前達を殺しに来たぜ!……と言っても先生方の前では殺りはしないし、ジルの望みじゃないからな。まぁ……痛い目に合う事には代わりはないぜ」

 

アーサーはそう名乗り終えるとヴィランの姿勢は戦闘態勢であり、その姿には油断が無い。

 

13号先生達はアーサーの滲み出る殺気や威圧で身体が固まっている。

 

お願いだからアーサー……やり過ぎないで。

 

「この個性社会。亡者の様な方もいてもおかしくありませんね……貴方はどうやら相手にするのはかなり面倒な方の様です」

 

「なら、とっとと捕まれ。さもないと……殺すぞ」

 

『殺さないでよ!アーサー!!』

 

「ちッ……分かってるよ。たく……」

 

「霧先さん!!離れて下さい!!」

 

アーサーから発せられた殺すと言う言葉に反応してか13号先生がそう言うとアーサーはこれからなのにとばかりに不機嫌になりながら油断無くヴィランに視線を向け続けながら言う。

 

「テメェは他の生徒を守れ。こいつは俺がやる」

 

「許可しません!今の貴方は……危険です」

 

「危険?」

 

「貴方の行動力と洞察力は評価します。ですが忘れたのですか。個性は」

 

「人を殺す事が出来る。分かってるさ。ジルも殺しを望んでいないから安心しな」

 

「なら!」

 

「こいつはお前とは相性が最悪だ。お前の個性であるブラックホールの隙を突いてワープでカウンター……はい、終わりだ。テメェはテメェの個性で死ぬかもしれないな?」

 

アーサーの予想に13号は何も言えず黙る中、アーサーは叫ぶ。

 

「テメェの役目は生徒を避難させる事だろ!!だが、今は無理だ……飯田を突破させろ!!理由は分かってるな!!」

 

「貴方も生徒じゃないですか……!しかし今は……委員長!」

 

「は…は!!」

 

「君に託します。学校まで駆けてこの事を伝えて下さい。警報鳴らず。そして電話も圏外になっていました。警報器は赤外線式……先輩……イレイザーヘッドが下で個性を消し回っているにも拘わらず無作動なのは……恐らくそれらを妨害可能な個性がいて……即座に隠したのでしょう。とするとそれを見つけ出すより君が駆けた方が早い!」

 

13号先生の言う事が最もだと私も思えた。

 

アーサーもその可能性に辿り着いていて飯田君を走らせて知らせた方が速いと考えたから飯田君を突破させる様に言ったのだ。

 

「しかし!クラスを置いて行くなど委員長の風上にも…」

 

「行けって非常口!!」

 

「外に出れば警報がある!だからこいつらはこん中だけで事をおこしてんだろ!?」

 

「外にさえ出られりぁ追ってはこれねぇよ!!お前のその足で靄を振り切れ!!」

 

「救う為に個性を使って下さい!!霧先さんの為にも!!」

 

「食堂の時みたく……サポートなら私超出来るから!する!!から!!お願いね委員長!!」

 

「テメェが一番の足を持っているんだ!!守りたい者があるなら自分の行動で守れ!!」

 

周りにいる皆やアーサーの声に押され、飯田君は駆け出した。

 

ヴィランは飯田君を阻止しようとするけどアーサーのナイフの投擲が邪魔をした。

 

『分かってると思うけど……手加減してね。殺しなんて洒落にならないし、色々と聞き出さないといけない』

 

「ふん。分かってる。さて……始めるとするか。黒靄野郎!」

 

「貴方は13号よりも危険ですね……此処で必ず芽を摘み取らせて頂きましょう」

 

初めての実戦……私自身がやる訳じゃないアーサーが主導権を握る戦闘。

 

ハッキリ言えばアーサーが戦ってくれているけど怖い……もしかしたら死ぬかもしれない。

 

「死なねぇよ。何たって俺が戦ってやるんだ。しっかり、俺の動きを見ておけ。お前が使っていくもしれない殺人鬼の技をな」

 

『殺しは絶対にしないからね。でも……この個性を上手く使う為にも学ばせて貰うからね』

 

……必ず、皆を守る。

 

私は……ヒーローになりたいのだから。

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