殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー 作:謎多き殺人鬼
季節は春となり、暖かい太陽が照らす絶好の入学日和に私は鏡の前で雄英の制服を着て身嗜みがちゃんとできているのか確認し、部屋を出ると母さんの前に出た。
「……ジル。よく似合うよ」
「ありがとう母さん。父さんにも出張じゃなかったら直接見せたかったな」
「仕方ないわよ。父さんは他のヒーロー達とは違っていろんな所に行かなくちゃいけないからね」
私の父さんはヒーロー。
でも、他のヒーローの様に有名じゃないし何処へでも行っちゃう様なヒーローで幼い頃はそんな父さんがまた出張に行くって言った時に行かせない様に抱きついたりしたのが懐かしいとと思う。
そんな父さんはまた出張でしかも長期間に渡るそうで何時、帰って繰るか分からない。
だから、この制服を直接見るのは母さんくらいである。
でも、そんな父さんを嫌いになった事はない。
父さんはたまにでも帰ってきてくれるし、ヒーローとして有名でなくても多くの人達の為に手柄関係なくヴィランを捕まえたりする人だって知ってるから。
でも、後から聞いた話だけど流石にオールマイトと知り合いなんてビックリしたけどね。
「もう行かないと。じゃあ、行ってきます」
「行ってらっしゃい。気を付けてね」
私は母さんからの見送りを受けた後、雄英に向かって力強く歩きだした。
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私は雄英に着くとさっそく中に入り1-Aの教室を探す……て言うか広すぎて何処にあるのか分かりにくい。
『本当にデカイな……初日くらい案内を出せよな』
「(過ぎた事を言ってもしょうがないでしょ。あれ?)」
私がやっとの思いで1-Aの教室を見つけるとそこでそろ~と個性でのバリアフリーなのか大きすぎるドアを開けようとしている出久君がいた。
『あいつ受かったんだな』
「(ビックリした……え?でも、どうやって受かったのかしら?)」
本当にどうやって受かったのか分からないけどズルをする様な人じゃないし尚且つ雄英にそんな教員は絶対いない。
正当な実力で受かったのなら素直に彼の合格を祝福すべきだ。
「出久君。おはよう」
「え…?ジル!お、おはよう!ジルも受かったんだね!」
「えぇ。貴方も雄英に受かったのね。凄いわ。でも……どうやって受かったの?先に言っておくけど疑ってる訳じゃなくて貴方、無個性だって聞いてたから」
「え、えーと……それは……き、急に個性が発現したんだ!それで何とか!」
何か怪しい言動してる……
まさか、本当に不正行為してるなんてあり得ないし……うん、あり得ない。
『へぇ、急にね……なんか言動がおかしいが本当なのか?』
「(アーサー……知ってるでしょ?出久君はそんな人じゃないわ)」
『そうかな?人間って言うのは思いのほか欲が深い。雄英も一つの組織ならそう言った不正もあり得なくはないぞ』
「(雄英での試験は個人で判断できない様になってるから不可能なの!全く……変な所で疑り深いわね)」
私はアーサーの疑り深さに呆れつつも取り敢えずこれ以上の追求は止める事にした。
もし、本当なら個性を使う機会はあるし必ず見る事になる。
嘘を言っていないなら個性が発現したなんて言わないからね。
「本当に良かったじゃない。でも、突然なら個性を使いなれてないでしょ?何か力になれる事があれば言ってね」
「う、うん。ありがとう」
追求を止めた途端、安心しだす出久君。
結構、疑われる要素が多すぎてちょっと不安になってきたから教室に入って不安を消そうとして扉を開けたけど……不安が一気に大きくなった。
「机に足をかけるな!雄英の先輩方や机の製作者方に申し訳ないないと思わないか!?」
「思わねーよ!テメーどこ中だよ端役が!」
まさかの出久君の苦手な人2ートップ。
眼鏡のクソ真面目君と勝己がまさかの同じ教室被りで出久君が顔を真っ青にしてるじゃないの。
『あっははは!これは傑作だ!よりにもよってこいつの苦手な奴が二人も揃ったのか!』
「(黙りなさい!たく……まぁ、同じならしょうがないわよ。それよりも)」
私は爆笑するアーサーを他所に取り敢えず机に足を乗っけてる己の頭に向かって平手で殴った。
「ぐほッ!?」
殴られて良い音が鳴ると同時に勝己は勢いつけて顔を下に向けると私は一言声をかけた。
「あら?爆発不良少年の勝己君じゃない。貴方も受かるなんてね。取り敢えず机から足を下ろしたら?」
「てめぇ……入学早々に何すんだジル!」
「貴方が注意されてるのに無駄に不良少年感を晒してたから注意しただけよ。物理でね」
「普通は口で言うだろうが!馬鹿が!」
「君達!入学早々に喧嘩をしてはいけない!あと、ボ……俺は私立聡明中学出身、飯田天哉だ」
「あ、ご丁寧にどうも。霧先ジルです。不本意ながらこの爆発野郎と同じ折寺中学校の出身です。あと、後ろにいる出久も同じです」
私はそう言って後ろにいる出久君に指を指して言うと出久君はビクリッも身体を震わせた。
あ、もしかして心の準備ができてなかった?
私が考えてるとクソ真面目君こと飯田君が出久君に急接近してる。
「俺は私立聡明中学の」
「聞いてたよ!あ……っと僕、緑谷。よろしく飯田君……」
「緑谷君……君はあの実技試験の構造に気づいていたのだな?俺は気づけなかった……!!君を見誤っていたよ!!悔しいが君の方が上手だったようだ!」
飯田君がそこまで出久君を評価するなんて!?
出久君……貴方はとても成長していたのね。
私もうかうかしていないで負けないようにしないと。
『いや、たぶん気付いてなかっただろ……まぁ、言わなくて良いか』
アーサーなんか言ってるけど気にする事でもないわね。
それにしても飯田君ってクソ真面目と言うより律儀なタイプなのね……あと、出久君も色々と成長してて良かったわ。
「あ!そのモサモサ頭は!!地味めの!!それに綺麗な人!」
あ、試験の前にあった女の子。
覚えてくれてたんだ……でも、私ってそこまで綺麗じゃないけど。
『だから……はぁ……もう良い。どっかの狼に食われっちまえ』
「(だから何なのよ。それにこんな都市部に狼なんていないわよ)」
私は当たり前の事を返すとアーサーはまた深い溜め息を吐いた。
何なのよこの反応?
「プレゼント・マイクの言ってた通り受かったんだね!!そりゃそうだ!!パンチ凄かったもん!!」
「いや!あのっ……!本っ当あなたの直談判のおかげで……僕は……その……」
出久君が凄く照れてるよ。
そんなに女の子と話した事がないのかな?……私、女じゃん。
『そもそも女と見られてなかったりしてな?』
「(うるさい!)」
アーサーに言われるとかなり腹が立つからもう黙ってて欲しいと思った時、教室の廊下辺りから声が聞こえた。
「お友達ごっこしたなら他所へ行け。此処は……ヒーロー科だぞ」
「(え?誰、この人?)」
そこにいたのは寝袋に包まった中年で何処か不衛生な男が堂々と廊下で寝転がっていた。
『こいつ……やろうと思えばスカートの下のパンツを覗けるぞ。変質者か?』
「(その発想が変質者だけどね)」
私がそう言ってる間に男は寝袋に入ったまま教室の中に入ってきたよ。
もう脱げよ……何の用なのか知らないけどそこまで来たなら寝袋を脱げ。
教卓に来てから脱ぐんじゃない!……え?
「ハイ。静かになるまで8秒掛かりました。時間は有限。君達は合理性に欠くね。担任の相澤消正だ。よろしくね」
さっきまで不審者全開だった人がまさかの教師で尚且つ担任でした。
大丈夫なの雄英?
不審者丸出しの登場だったけど教師=担任って事はプロヒーローよね?
とてもそうには見えない……
『成る程な……ジル。経験の浅い奴から見ればこの男、大した奴には見えないのは分かる……が、俺から言わせればかなりできるぞ』
「(そうなの?)」
『チャランポランとしてるがな。人は見た目では判断できないって事だ。覚えとけ』
アーサーからそんな評価を受けるなんて……この人、そんなにできるって言う事なら侮っちゃいけないわね。
いや、教師を侮るなんてしないけど。
「早速だが
相澤先生はそう言ってスタスタと歩いていってしまい残された私達は言われた通り、体操服に着替えてグラウンドに出るしかなかった。
……他の行事は良いのかしら?