殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー 作:謎多き殺人鬼
私はアーサーに連れ出されるままに外を歩いていた。
そのまま身を委ねていればいつの間にか住宅街から色々なお店や人が行き交うが街中に出ていた。
『何時まで歩くつもりなのよ……?』
「(俺が気が済むまでだな)」
『だったら早く、気が済んでよね。私は……』
「(家で引き込もっていても始まらねぇんだよ。前に行こうが、後ろに下がろうがその場から動かないで出来る訳じゃねぇ。それともアレか?お前は母親一人、殺されてヒーローになる処か復讐する事すら臆しているのか?)」
『アーサー……!言って良い事と悪い事があるわよ!』
「(怒るくらいなら先ずはその怒りを誰にぶつけるべきか考えな。もう分かっているだろ?)」
私はアーサーのその問いで思い返したのは母さんを殺したヴィランの事だった。
母さんを殺したヴィランは今だに捕まる気配もない……そいつはのうのうと生きている。
私は力一杯に拳を握っ……いつの間にかアーサーが身体の主導権を返していたわ。
『さて、どうする?ヒーローなんか辞めて殺人鬼にでも転職するか?』
「……冗談じゃないわ。言ったでしょ?私は私のやり方で事件を解決するってね」
『そうかよ……たく、頑固だなお前は』
頑固で結構よ。
何だかアーサーと話してたら少しだけど……元気が出てきた。
そうよ……母さんの仇はまだ塀の外にいる。
捕まらないなら私が捕まえる……絶対に見つけ出して暗い牢屋の奥深くにぶち込んでやる!
それが母さんへの弔い……ヒーローになれると信じてくれた人達の為に、私はどんな事があっても殺人は犯さない。
私はやるべき事を見つけ出した時、視界に人が大勢集まっているのを見た。
老若男女と問わない群衆に私は何かあるのかと見る中、その中心には天使と間違えそうな程に綺麗な人が修道服を着た二人の男を連れていた。
「皆様。私達、アズエル教会そして私、フォールン・救火は社会的弱者の救済に主に力を注ぎ、活動しております。個性社会と呼ばれる現代では異質な個性であるから、異形の個性であるから、無個性であるからと差別が繰り返され、苦しむ人々が沢山います。我々はそんな社会的弱者を救済し、普通の生活を送れる日々を勝ち取る為にそんな彼らを助け、教会に招き、互いに力を合わせて共に活動しております。どうか我々、アズエル教会にご協力を。差別無き社会の為に戦いましょう。全ての人々に救済を」
綺麗な人ことフォールン・救火が演説を終えると周りの人々は大きな歓声と拍手で迎えた。
よく見ると異形系の個性持ちもいる事から差別に苦しむ経緯を持っていると推測した。
『何だ?この現代社会で新興宗教立ち上げしてるのか?』
「(さぁ?私にも分からないわ。けど、良いんじゃない。人助けみたいな事を言ってるみたいだし。それに憲法では信教の自由があるから余程の事が無ければ新興宗教でも問題無いわよ。)」
『それが認められて様が宗教と言うのは胡散臭いんだよ。一回調べてみようぜ』
「(宗教とか医者とか貴方って疑り深いわね。それに調べるって私は仮免許すら無い学生なのよ?変に首を突っ込まない方が良いわよ)」
『へぇ、逃げるのか?ヒーロー希望者の癖に』
私はアーサーの言葉に少し苛立ち覚えた。
『いや、しょうがないよな。学生を盾にして目の前にいるあの団体がヴィランだとしても暴かずに放置しようとするのは間違いじゃない。だが、これだとお前の母親の仇は見つからないだろうなぁ?』
「言わせておけば……!」
私はアーサーの挑発的な言葉に怒りを見せてつい、声に出してしまうけどアーサーはまるで子猫の威嚇を見ている感覚なのかヘラヘラと笑っているだけだった。
『悔しいか?だが、逃げるんだろ?ほら、さっさと無視して行っちまえよ。そうすれば何も見なかった事になる』
「……分かったわよ。行ってやるわよ。これで何もなかったら一ヶ月は紅茶は飲ませないからね」
『あぁ、良いぜ。その賭け、乗ってやる』
何だかアーサーに上手く言いくるめられた様な気がする。
でも、教会ね……母さんも私も勿論、父さんも信仰になんて興味はなかったら行った事はなかったわね。
個性差別を受ける者達への救済と撲滅を掲げる宗教団体……一見、良さそうだけどアーサーの勘通りならどんな悪事を働いているのかしらね。