殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー    作:謎多き殺人鬼

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親愛なる者達の支え

アズエル教会とフォールン・救火の正体を掴んだ私は現状では彼等を裁く事が出来ない為に退いたけど……待っていても事態は変わらないし、被害者も増えてしまう。

 

私は教会から出て、アズエル教会の裏の顔の事を、フォールン・救火の本性を訴え、相談する為に早足で歩き出した。

 

アズエル教会の、フォールン・救火の歪んだ救済(蛮行)を絶対に許す訳にはいかないと歩く中、突然、目の前に人影が現れ、私は止まるとそこには。

 

「こんな所にいたのね。ジル」

 

「レディ・クイック……さん」

 

「速撃 打美よ。今はヒーローとして来た訳じゃない。理由は分かるでしょ?」

 

レディ・クイックこと速撃さんは少し怒った顔をして私を見ている事からいなくなった私を父さん達が心配して探していたのが嫌でも察した。

 

「……すみません」

 

「……良いのよ。お母さんが殺されて辛かったのね。でも、外出するなら一言ぐらい言いなさい。まだお母さんを殺したヴィランは捕まっていないのだから」

 

打美さんの言う事はもっともとしか言えない。

 

母さんを殺したヴィランは捕まったとは聞いていない……金品を取られた様子も無かったらしいからもしかしたら私怨か別の理由があって殺されたと考えれば私もターゲットにされていてもおかしくない。

 

「私が迂闊でした……本当にすみませんでした」

 

「良いって言ってるの。これからは気をつけなさい。さぁ、家まで送るわ。行きましょう」

 

打美さんは微笑みながはそう言って歩き出し、私もそれに着いて行く。

 

打美さんはその道中、歩きながら父さんへ連絡をしていた。

 

「ジルは見つかりました。はい。今、連れて帰る所です。場所ですか?……丁度、例の教会の近くです。はい……分かっています。帰ったらそこを深く聞けば良いです。様子を見ている限りでは私の話を聞いて表情を変えている事からもしかしたら……」

 

スマフォでのやり取りを聞いていた私の耳に例の教会と言った所からもしかしたら私は父さんの調査対象の所に行ってしまっていた可能性を考えた。

 

下手したら調査に支障を来すかもしれない……私はやっぱり止めておくべきだったと思っていた時、打美さんは電話を終えた。

 

「……ねぇ、ジル。もしかしてあの教会……アズエル教会に関わっちゃった?」

 

「はい……中にも入ってしまいました」

 

「そう。無事なら良かったけど……あの教会はおかしな噂や信者が行方不明になる事が多いの。フォールン・救火とその教団員の身元調査をやってる途中でね。周りに事務所を構えているヒーロー達にも協力とか仰いだりしてるけど何かと断られたりするの。……嫌な予感がするわ」

 

打美さんの予感は的中している。

 

恐らく、そのヒーロー達はアズエル教会、フォールン・救火に癒着している腐敗ヒーロー達の事だ。

 

協力を断るのも癒着している事の原因なのだと分かる。

 

「ジル。中で何か怪しげな物は見なかった?」

 

「……強いて言うなら奥に扉がありました」

 

「扉?」

 

「祈りの時間と呼ばれる中で私が薄目を開けて様子を伺っていたら信者の一人がその扉に……あと、救済される者、現世の枷から解き放たれ、浄化の火と怪しげな単語も言っていました」

 

「……まさかね。いえ、独り言よ。ありがとう、ジル。詳しい話は家で聞かせて貰うから今は帰る事に集中しておきましょう」

 

打美さんはそう言って微笑みながら私の頭を撫でてくれるとそのまま帰宅した。

______

____

__

 

私は打美さんに送られて家に着いて玄関を開けて入った時、玄関は靴で溢れていた。

 

シューズや革靴……しかも雄英の物となるとやっぱり。

 

私は家に上がってリビングに来るとそこには。

 

「よぉ、ジル。やっと帰ってきたのか」

 

「ジル!」

 

「びっくりしたよ!急にいなくなったって騒ぎがあって!」

 

「全く!君はとても真面目だと思っていたが予想以上の行動派だ!」

 

そこにいたのは出久君や麗日さん、飯田君がいた。

 

三人だけでなく、そこには。

 

「確かに気が滅入る時に何時までも引き込もっていても元気にはなりませんが……」

 

「一言言ってから出ないと駄目だろ!まだ狙われていないって保証はないんだぜ!あ、これは土産に。手ぶらなのはアレだったからな」

 

八百万さんやケーキの箱を持った砂藤君も来ていて更に切島君、芦戸さんや上鳴君、耳郎さんも来ていた。

 

「何で皆、此処に?」

 

「ジルの様子を見に来たんだ。本当は私は切島と来るつもりだったんだけど」

 

「此処にいる全員、個別で来て、偶然会ってそのまま来たんだ。あ、因みに他の奴らは用事とかあるからでこれなかったみたいぜ」

 

「この大所帯で来たら流石に迷惑じゃないかと思ったんだけど……」

 

「また偶然!俺と会って招いたんだぜ!」

 

そこで父さんがサムズアップして良い笑顔を見せてくる。

 

「いやぁ、ジル。いつの間にかこんなに友達が出来たんだな……うん。父さん、泣いちまったんだぞ」

 

「父さん。恥ずかしいから止めてよ」

 

「止めねぇよ!ジル!友達は大切にしろよ!」

 

そう言って父さんは泣きながら抱きついてくるけど私は引き剥がそうと力を込める。

 

まぁ、父さんが泣くのも無理はない……だって、小学生時代では虐めがあって、中学生時代ではほぼ孤立していたもの。

 

父さんが心配しないのも無理はないけど……

 

「恥ずかしいから止めろって言ってるの!」

 

私はやっとの思いで引き剥がすと父さんは不貞腐れた表情で私を見てくる。

 

「何だよ……たく……少しくらい良いだろ?」

 

「せめて皆がいない時にしてよ……もう」 

 

私が文句を言い終えるとパンッと手の平を叩く音が響いた。

 

「はいはい。そこまでよ。親子でじゃれてないでお客さん達を持て成してあげましょう」

 

「あ、そういえばお茶の一つも出してねぇな」

 

「何やってるのよ……私が入れるから座ってて」

 

「いやいや、俺が」

 

「父さんはまだ慣れてないでしょ?皆は珈琲?それとも紅茶?」

 

「すまない。本当はすぐ帰るつもりだったんだが」

 

「良いのよ。ゆっくりして言って。……ありがとう、皆。私の為に来てくれて」

 

全員を代表して遠慮した飯田君に私は笑顔でそう答えた時、インターホンが鳴り、私はインタンホーンの所へ行こうとした所で打美さんが声も出さずに制して父さんも鋭い目付きでいつでも動ける姿勢を取っている。

 

やっぱり、安心できる日までは遠いのかもしれない……私がそう思っている中、打美さんが代わりにインタンホーンに出た。

 

「はい。誰ですか?」

 

《雄英の爆豪勝己だ。……じ、ジルの……様子を見に来た》

 

「「「「「「えッ!?」」」」」」

 

父さん、打美さんを除いた私を含めた全員がその一言で驚きの声を挙げた。

 

「あ、あの爆豪がか……!?」

 

「嘘……!?行かないって声を大にして言うてたのに……!?」

 

「こ、これは僕でも予想外だよ……!?長い付き合いだけど他人を心配して直接来るようなタイプじゃないよかっちゃんは……!?」

 

「わ、私も信じられないわ……」

 

切島君や麗日さん、出久君、そして私にすら信じられないとばかりに言う中、父さんはそのまま何も言わずに玄関に行くと。

 

「よく来たなぁ!上がりな!」

 

「な、何だ!?何で引っ張るんだよ!?」

 

私はいきなりの父さんの奇妙な行動に唖然としていると父さんは勝己を連れてくれば勝己は周りの状況を察したららしく声を張り上げた。

 

「な、何でテメェらがいるんだよ!?」

 

「いや、ジルの様子を見にきたんだけど……?」

 

「だとしても一時間もいるか普通!?」

 

「一時間!?貴方達、そんなにいたの!?」

 

「本当ならご迷惑を掛ける前に帰るつもりでしたが貴方がいなくなったと聞いて心配になりまして……」

 

「探しに行こうとしたけど親父さんに止められて厄介になってたって所だ」

 

申し訳なさそうにする八百万さんと苦笑いする切島君に私はかなり迷惑と時間を無駄にさせてしまった事に申し訳なくなる中、父さんはニッコリとして勝己に。

 

「なぁ、お前。お前は……ジルの彼氏か何かか?」

 

「は、はぁッ!?」

 

「父さん!?」

 

何故か突然、父さんが勝己にとんでもない事を聞き出した。

 

何で勝己が私の彼氏扱いになるのか全く理解出来ないんだけど!?

 

「間違いねぇ……時間をずらして全員が帰ったと思ってやって来る男なんざそんなもんだ……俺は……俺はまだジルを嫁には出さねぇぞ!!」

 

「だから彼氏じゃないって言ってるでしょうが!!それにどう言う偏見よそれ!?」

 

私はそう言って父さんの頭を思いっきり、ぶん殴ると父さんは痛そうにしながら私を見てくる。

 

「ジル!俺は全く親らしい事は出来てねぇんだ!でもな!それでも可愛い娘のお前がすぐに嫁に行くなんて耐えられねぇ!」

 

「嫁に行かないわよ!と言うか高校一年で嫁に行くって幾らなんでも速すぎるでしょ!?それと彼氏じゃないからね!?」

 

父さんの狂言に私はツッコミずにはいられない中、父さんと私の言い合いは続く。

 

やれ、不良彼氏は嫌だの、嫁に行くなやのお願いだから出久君達の前でそれ言うのは恥ずかしいから止めて欲しい。

 

「もう良い!帰る!!」

 

「かっちゃん!?」

 

「顔真っ赤にしてんだけどそのまま帰んのか!?」

 

「うるせぇッ!!」

 

勝己はそう怒鳴ってヅカヅカと帰ってしまい、全員が唖然とする中、父さんは……

 

「おのれ……!あれは絶対に好意とかあるよな!打美!」

 

「は、はぁ……好意ですか……?」

 

父さんのその言葉に打美さんは困惑し、私も呆れてしまった。

 

「そんな訳ないでしょ。あの馬鹿は父さんの勢いに負けて帰っただけよ」

 

「本当にそうなのかな?」

 

「え?」

 

芦戸さんのその言葉に私は唖然とすると周りも続いていく。

 

「確かにかっちゃんらしくない……あんな顔、僕も初めてだ」

 

「え?そうなん?」

 

「案外、爆豪の好みは気の強い性格だったりしてな!」

 

「考えてみれば……有り得ますわね」

 

「確かに……」

 

「性格的に有り得そうだ」

 

出久君、麗日さん、切島君、八百万さん、飯田君、砂藤君と続いていき、何だか納得していってる雰囲気になってる。

 

『お前も鈍いな』

 

「(何が鈍いのよ?)」

 

『考えてみろよ。彼奴、中学での女子との関わる中で大抵は怯えられるか、媚を売ってるタイプしかいなかったろ?』

 

「(まぁ、あれでもモテてた様な気がするけど……それが?)」

 

『はぁ……良いか?つまり、お前は彼奴にとって新鮮な感じだったんだよ。怯えず、媚らずに向かってくる女なんてお前だけだったんだろうよ。今まで接した事の無いタイプとして長い付き合いになった。それがいつの間にか好意になってたなんて有り得なくはない』

 

「(そうなの?まぁ、そうだとしても私は勝己は御免よ。絶対に)」

 

『そうかよ。まぁ、人生長いんだ。せいぜい、慎重に相手を選ぶんだな』

 

アーサーはそう言ってヘラヘラと笑う中、周りを見渡せば父さんや打美さん、出久君達が笑い合って話す光景に私は知らない内にとても多くの人達に支えられていたのだと改めて思った。

 

「(何時までもクヨクヨしていられないわね)」

 

私は今度こそ復学を決めた……けど、その前にアズエル教会の事を父さん達に話して解決しないといけない。

 

あのカルト教団もそうだけど……教会で会ったあの人の事も気になるから……

 

~別視点side~

 

爆豪勝己は苛立ちと何処かモヤモヤした気持ちに支配されていた。

 

「(何なんだよチクショウ!)」

 

勝己の脳内にはあの生意気で気が強く、過去に両方の頬をビンタした挙げ句、金的蹴りを食らわせてきたジルの事が頭から離れられなくなっていた。

 

今まで自分に怯えるか、無駄に媚を売る様な笑顔ではなく、勝己自身には興味すらなく、寧ろ敵意満々の顔。

 

出久にしか見せない優しげで綺麗な笑顔。

 

戦闘訓練の際に気に掛けに来た時のジルの心配そうな顔。

 

フラッシュバックする様に出てくるジルに勝己は頭をかきむしって誤魔化す。

 

「だあぁッ!!俺は彼奴なんか好きじゃねぇんだよ!!」

 

ジルの親父ことジャスティスから彼氏疑惑を掛けられたせいで自覚していなかったのに自覚してしまったが故に勝己は己の制御を完全に外してしまい、公の場で叫んでしまったとさ。

 

~side終了~




※因みに緋色はヒーロールートでは好意こそ見せるけども親友的な関係で留まります。

ヒーロールートのカップルは?※作者も決めかねているので参考までに

  • 定番の緑谷だろ!
  • 押し通せ!爆豪!
  • やっぱ、天然で出来たイケメンの轟だろ?
  • ワンチャン、砂藤!
  • 我らの学級委員長!飯田君!
  • こいつは絶対ない!峰田!
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