殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー 作:謎多き殺人鬼
父さん達が裁判所から家宅捜査の令状を受け取り、警察とエンデヴァー事務所の合同でアズエル教会を捜査する事になったのだけど……
「どういう事だジャスティス!この小娘が来る事は聞いていないぞ!!」
「いや、うん……マジですまん……後に引けなくなってな……」
「捜査の邪魔だ!帰らせろ!」
「すまねぇがコイツしか内部情報を知らねぇんだよ。我慢してくれ」
「だったら聞けば良い!」
「聞いても細かい所が分からねぇだろうが」
父さんとエンデヴァーの二人が私の事で口論を始めてしまい、私は本当に此処に来てよかったのかと疑問を感じていた時、私の肩に手が置かれた。
「ほっとけば良いさ。あの二人の口論はいつもの事さ」
「貴方はあの時の刑事さん?」
私の肩に手を置いた人は道春さんの旦那さんの事件で事情聴取の際に警察署まで行った時に会った何処か軽い刑事さんだった。
「俺は大門 義治。刑事をさせて貰っているよ。よろしくな」
「はい。改めて、私は霧先ジルと言います。すみません。ご迷惑な筈なのですが……」
「構わんさ。情報を一番持ってる君が来てくれるのは助かる。だが、君は仮免も無い学生だ。戦闘は無論、正当防衛でもなければ禁止させて貰う。それだけは覚えておいてくれ。まぁ、どのみち後ろに下げておくがな」
大門刑事はそう言って笑うと私は父さんとエンデヴァーの関係を聞いた。
「あの、父さんとエンデヴァーの事を知っているのですか?」
「人間関係の事か?まぁ、知ってるとも。仕事を何度か一緒にやったりしたよ。ジャスティスもエンデヴァーも凄くてな。頼りにしていたりしたんだ。だが……全盛期真っ盛りのジャスティスはある事件で失脚してな。トップヒーローだったのにランキングは大きく転落、黒い疑惑を掛けられたりもした。白い目で見られる視線が嫌になったのかロンドンに飛んだと思ったら嫁さん連れて帰ってきたりと忙しい奴だよ。彼奴は」
聞いた事がある。
父さんは過去にトップヒーローにまで登り詰めたって父さんが酔ってた時に少し聞いたんだけど……父さん、ある汚職疑惑を追ってて疑惑が掛けられた相手に嵌められて失脚しまって。
疑惑の相手は教えてくれなかったけどロンドンから日本に帰って以来、ランキングに拘らなくなったっとも。
「エンデヴァーは見た通り、キツイ性格だろ?そんなエンデヴァーを唯一からかえるのがジャスティスでよく、エンデヴァーを怒らせては追い駆けっこの毎日だったな。だが、ジャスティスとエンデヴァー。この二人はいざとなれば互いに背中を預けれる様な信頼関係はあった。馴れ合いは好かないエンデヴァーが唯一、背中を任せるヒーロー、それがジャスティスだ」
「その話は聞いた事が無い」
『あのおっさんはあまり詳しくは話さないからな。分からない事もあるだろう』
アーサーの言う通り、父さんは昔の事はあまり話さない。
聞いてみても父さんにはぐらかされたり、酔ってる隙を突いて聞いてみないと言わないなんて事がよくあった。
勿論、酔ってる時に試しに父さんの関わっていた事件の詳細を聞いたら普通に少し怒られたからそこまで隙を出さないのだと思う。
母さんにも聞いたんだけど……母さんも母さんで父さんの昔の事はあまり知らないと言われたから父さんは結局、家族でも謎が多い人だって言うのが私の結論になっている。
「ジャスティスがヒーロー活動をしてからオールマイト同様にエンデヴァーに追い抜かせない様なヒーローだった。事件解決に積極的で少し無愛想だったがファンが求めてきたら応えて、トップになっても小さな事件でも動く。その姿勢が認められ続けた結果、エンデヴァーに思いっきり疎まれていた。まぁ、本人は全く気にしないでからかったりしてな。それで毎回、喧嘩はするわ、追い駆けっこするわで周りを呆れさせたりもしたが……周囲には分からない二人の信頼関係はあったんだろうな。いつの間にか背中を預けて」
「おーい。長話すんな。そろそろ行くぞ」
「いつまでもグダグダしていられるか!早く来い!」
大門刑事の長話の最中に父さんがトコトコとジャッジと打美さんを連れて出ていき、エンデヴァーもドスドスと他のサイドキック達を連れて出て行った。
「まぁ、昔は凄かったって事だ。着いてくるんだろ?俺達も行こう」
大門刑事はそう言ってぞろぞろと出て行く警官達と共に行ってしまい、私もそれに続いていった。
~別視点side~
その頃、ジルに説得されていた道春は重い足取りでいつもの様に礼拝堂へと向かっていた。
両親の反対を押しきって結婚して勘当され、移植手術が必要な程の重い病気になり、入院したくてもお金は無く、夫は治療費を手に入れる為に罪を犯して自首をした。
もう、何も残されていない……いっそう死んでしまいたいと思っていた矢先、ジルの言葉を思い出した。
「貴方にはまだ旦那さんが残っているじゃないですか」
道春はその言葉を思い返すと立ち止まり、迷いを見せていた時、目の前に人影を見つけ、視線を向けるとそこには仕事服のスーツを着た緋色が悲しげな表情を見せて立っていた。
「先生……何処に行くつもりですか?」
「何処へって……それは」
「あのカルト教団の所ですか?……駄目です先生。思い直して下さい。ジルから聞きました。貴方が自殺を考えているのではと」
緋色のその言葉に道春はうつ向くと緋色は道春の近くへ行き、その両手を包み込む様に両手で取った。
「貴方の事が大切だから僕は言っているんです。貴方はまだ一人じゃない。一緒に旦那さんを待っていよう。それまで僕達、"獅子皇会"が支えるからさ」
緋色はそう言って絶対に放さないとばかりに包む両手に軽く力を込める。
「ねぇ、緋色……私、本当に生きて良いのかしらね……?」
「良いんだよ。私や、ジルが言うんだ。生きていて良いんだよ。だから、馬鹿な事は言わないでくれ。先生……!」
緋色のその言葉に道春は泣き始め、緋色は万が一の憂いが消えたと判断した。
「(次は君が解決する番だ。ジル、終わらせてくれよ?)」
緋色は事件解決に動いたジルの事を思いながら道春を連れてその場を去った。
~side終了~
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私達は父さん達に続くように現場に来るとそこには静かに建つ礼拝堂だけがそこにあった。
「(何でかしら……礼拝堂なのにとても不気味に見える……)」
『そりゃそうだろう。神の家を騙って自殺幇助をしていた教団のアジトだぞ?不気味にも見えるさ』
私とアーサーが会話している時、大門刑事が令状を手に、礼拝堂の前に出て読み上げ様とした時、父さんが突然、飛び出す様に前に出ると扉を蹴りでぶち破った。
「えッ!?」
『派手にやったな……あのおっさん』
「何やってんだ!?ジャスティス!?」
「いや、読み上げてる最中に証拠とか隠されるのが嫌だからな。……つい」
「何がついだよ!馬鹿!」
大門刑事がそう怒鳴ったけど父さんは気にせずに礼拝堂に入ると中では混乱していた。
「だ、誰だ!?」
「警察にヒーロー!?」
「何故だ!この礼拝堂には疚しい事など無いぞ!」
信者達は混乱しながらもフォールン・救火の元へ行き、フォールン・救火もそれに応える様に自身の後ろに匿うと教団員達もフォールン・救火を守る様にぞろぞろと固まった。
「何者……と言いたいですが何用ですか?此処は救済されるべき人々の家。警察やヒーロー達の疑いが掛けられる謂れの無い場所ですよ?」
「残念だがな教祖のお嬢様」
「私は男ですが?」
「え?……いや、失礼した」
フォールン・救火って……男なの!?
いや、見た目が……その……
『男だって言うのは正しいぞ。カストラートって言ってな。男のアレを去勢した男性聖歌手だ。まぁ、本人の声とあの見た目じゃ間違えるよな』
アーサーのその説明に私は納得……いや、納得せざるえないと思う反面、何処かで男に負けたと思ってしまう程に綺麗な顔立ちだったから。
「兎に角!残念だがな教祖殿」
「私は
「……あぁ!もう良い!!兎に角だ!俺達はヒーローそして、警察だ!家宅捜査させて貰うぞ!言っておくが令状もバッチリあるからな!」
父さんが何度も言い返されて自棄糞になって言うと大門刑事が溜め息をつきながら令状を読み上げた。
「アズエル教会のきょ……御使いのフォールン・救火だな!お前達が自殺教唆及び三人のヒーロー及びサイドキックに対する賄賂罪、犯人蔵匿及び証拠隠滅の罪の疑いがある!よって、この礼拝堂の全てを調べさせて貰う!抵抗する場合は取り押さえる事になっているので抵抗しないように!」
「成る程……あの時に言われた事が現実になりました」
フォールン・救火は微笑みながら私に視線を向けてきた。
あの顔……天使の様だったのにまるで……!
「悪魔……!」
私はそう呟いた時、後方にいた教団員の一人がこっそり何処かへ行こうとしているのが見えた時。
「動くな!!」
エンデヴァーの怒鳴り声が礼拝堂に響き、信者達が怯えてしまった。
「エンデヴァー……もう少し、穏便にな」
「そうだぞ。仮にも民間人もいるんだからさ」
信者達を怯えさせたエンデヴァーに対して父さんと大門刑事はジト目で見る中、その視線が気に触ったのか、はたまた気にしたのか誤魔化す様に前に行こうと足が動いた。
「えぇい!御託は良い!とっとと調べるぞ!」
「ま、待て!何の根拠があっての事だ!」
エンデヴァーが進もうとした所で信者の一人が騒いだ。
「そ、そうだぞ!疑われる事なんてしてねぇぞ!」
信者の一人がそう言い出すと信者達はフォールン・救火を庇う様に騒ぎ出し、私をふくめて周りを唖然させる中、父さんが切り出した。
「救済の炎……と、言ったな。具体的には何をするんだ?」
「……秘密です」
「秘密ね……しらばくれるな!焼身自殺を綺麗事で並べただけの胡散臭い儀式の事だろ!証言もある。街中なのに焦げ臭い臭いを……特に礼拝堂から嗅いだとな。確かにおかしい。街中なのに焦げ臭いとはまずあり得ない。周りは住宅地ですらないしな。料理の失敗と言う線もあったが、飲食店も周りに無い。つまり、最初の証言であった礼拝堂しか発生していない。それにあの怪しげな扉。確かに調べれば何かありそうだ。被害者が入った所を家の娘が見たって言ったからな」
「ジルさんの事ですね」
「……おい、ジル」
「ごめん。アーサーが先走った」
『俺のせいかよ!』
名前を知られていた事に父さんの批判的な視線を向けられたからアーサーが口を滑らせたと言うと父さんはなんか納得した様にまたフォールン・救火に視線を向けた。
「という事だ。まだ足りないか?」
「た……足りない!足りないぞ!」
「そうだとしても俺達は望んで此処に来たんだ!」
「ほっといてよ!」
信者達は庇う姿勢を見せる中、父さんは一枚の書類を出した。
「これが決め手だ。読んでやるよ」
父さんはそう言って書類を読み始めた。
「本名は……まぁ、省略。言ってもフォールン・救火だと分からんだろうし。生年月日も省略。だが、これは省略出来ない。個性……魅了の歌声。歌声によって人々を魅力し、洗脳していく個性。効果は小さなものだが、何日も聞き続ければもはや疑う事を知らない人形に成り果てる。欠点としてはそれは真実が知られないまでの間だけ……てな」
父さんの読み上げたものって……?
「個性届け?」
「彼奴……本当にどっから証拠を見つけてくんだろうな」
大門刑事がやれやれと首を横に振るうと信者達は明らかに動揺していた。
「さーて、答え合わせだ!お前達にはある疑惑がある」
「や、やめてくれ……!」
「聞きたくない……!」
「駄目だ、聞け。……その疑惑と言うのはお前達がフォールン・救火の洗脳を受けている可能性だ。最初は微々たるもんだったろう。だが、奴の個性を受けていく内に"自分は死にたい"なんて思う様になった」
「嫌……!」
「頼むから止めてくれ……!」
「つまり……お前達は……フォールン・救火に騙されたんだ。個性を上手く使われてな。残酷な事だが」
父さんの言ったその答えに信者達はショックを受けたのか泣いたり、喚いたりしていた。
父さんも心苦しいのか、顔をしかめつつもフォールン・救火を睨み付ける。
「お前は誰かを救済する為にこの教団を始めた。なのに洗脳で信者達を騙して、死に追いやった。それでもまだ、救済だって言うのか?」
「死こそが救済なのです。病による苦しみ、差別による苦しみ、孤独による悲しみ……その全てから解放される!その死によって!」
「馬鹿野郎が!!死んで救われるなんざな!本当にどうしようもない奴が選ぶ道なんだよ!どんなに辛くても生きてさえいればどうにでもなる!俺だって死んでやろうかなんて考えた事はあるがな……生きていたから、家族が出来て、幸せにも思えたんだ。それを救いだとかで死ななくても良い奴を誘いやがって!簡単に死を救いだなんて騙るんじゃねぇよ!!」
父さんのその怒鳴り声は礼拝堂だけでなく人の心にも刺さるものだった。
父さんは嵌められて失脚して地位と名誉も何もかも無くしてロンドンへ行ったって大門刑事も言っていた。
確かに全てを失ったなら一度くらいは自殺を考えてしまってもおかしくない。
だからなのか、父さんはいつも以上に怒っている。
自分の過去と同じ境遇に近しい人達を死に追いやろうとするフォールン・救火に対して特に。
「テメェの戯れ言にはウンザリだ。捜査の後、身柄を拘束して警察に引き渡す。それが俺の……俺達、ヒーローと警察の出来る範囲での裁きだ。その後は法がお前とその下で働いていた連中を裁く」
「ふ……ふふ……ふふふ……ふっははは!裁きですか!神にすら見放された人々を救済しようとした私が貴方方にさばかれると言うのですか!」
「何がおかしい!頭のイカれた邪教党の集まりが!捕まらない事こそ間違いだ!貴様達は終わりだ!」
エンデヴァーがそう言った時、何処か焦げ臭い臭いが立ち込めてきた。
その臭いは……あの扉からだ!
その臭いは勢いを増して強くなり、やがて扉から火まで見えてしまった時、礼拝堂が勢いよく燃えていった。
「この野郎!証拠ごとこの礼拝堂を燃やす気か!!」
「ちッ!これは油だ!全員、すぐに退避!!礼拝堂から離れろ!!消防と近隣にいる水を扱える個性持ちのヒーローを呼び出せ!!」
父さんが突然の火災にたじろぎ、エンデヴァーがすぐに退避命令を下していると大門刑事が叫ぶ。
「民間人の信者がまだ動かねぇぞ!!」
その叫び声に父さんは退避する足を止めて
「ちくしょう……!足と力に自信のある奴は信者達を引っ張りだせ!!勿論、容疑者連中もだ!!時間がねぇぞ!!」
父さんがそう指示を出すと言われた通り、他のサイドキック達が急いで信者達や容疑者である教団員達を連れ出す中、私は唖然としているとジャッジが私の肩に手を強く置いてきた。
「良いか!此処にいてろよ!間違ってもお前は行くんじゃねぇぞ!」
「ジャッジの言う事は聞きなさいね!私も行ってくるから!」
打美さんの言葉を最後に二人は火災が起こっている礼拝堂に入り、信者達や教団員の確保を始めた。
「(私……何も出来ていない……)」
私は自分の理想と目の前の現実の狭間で何も出来ない事と言う事実に打ちのめされいた時、出される人々の中にフォールン・救火がいない事に気が付いた。
私は辺りを見渡すと礼拝堂の奥にフォールン・救火が一人、取り残されながら祈りを捧げていた。
「あの狂人野郎!のんびり祈りなんて捧げやがって!」
「火の勢いが強すぎて近づけない!」
「おい!水を扱える個性持ちはまだか!消防でも良い!とにかく、早くしないと重要参考人が死ぬぞ!!」
サイドキック達は火の勢いに負けて近づけず、父さんも限界だと考えたのか救出に入っていたサイドキック達に出る様に促す姿が見えた。
私は……どうするのか……
『おい、ヒーロー志望だろ?やらないとか?』
「(駄目よ……私は……)」
『彼奴……死ぬ気だぞ?前もそうだった。焼かれて死ぬ事に恐怖なんてない奴だ。あっさりと死ぬ。それでも良いのか?』
「(私は……!)」
『……仕方ねぇな。今回だけだぞ!』
「え……?」
困惑する私を他所にアーサーは私の身体の主導権を握るとそのまま火災の中へと飛び込んだ。
「ッ!?馬鹿野郎!もう限界だってわからねぇのか!!」
「何処のサイドキックだ!?」
「いや、あれは……!?」
「一般人の!?それもジャスティスの娘さんだぞ!?」
他のサイドキック達を他所にアーサーは素早い動きで走る中、瓦礫が落ちてくれば横に軽く避け、通り道が無ければ瓦礫を利用して飛び越え、スライディングをして隙間を通り抜けた。
アーサーがやってる事とは言え……これは……生きてる心地がしない。
『ちょっとアーサー!?』
「はっははは!楽しめよ、ジル!!」
アーサーはそう言って簡単なアトラクションだとばかりに突破して行くとそのままフォールン・救火の元へと辿り着き、祈りを捧げる手の内、片手を取るとフォールン・救火が視線を向けてきた。
「お迎えだぜ。堕天使さんよ?」
「おや?……アーサーさんですか。何を今さら。焼かれたくなければ彼処にいれば宜しかったでしょうに」
「そうはいかねぇさ。ジルは言ったんだ。お前は牢屋にぶち込むってな。悪いが神に召されるのはもう少し先だ」
「……断っても貴方が無理矢理にでも連れ出すでしょう。何とも奇妙なものですね。貴方は犯罪を止める為に殺人をしていた筈なのに、ジルさんは犯罪を止める為に捕まえる……目指すべき道が違う二つの意思を持つと言うのも大変なのですね」
「はッ!確かに俺は悪を裁く悪だ。だがな、ザフカ。この身体はジルの物だ。だから、ジルに道を決めさせる。まだ決した訳じゃない。こいつの選ぶ道が善か、悪かなんてな。こいつが自分で道を選ぶ限り、俺は少ししか手を貸しやしないさ」
『アーサー……』
アーサーのその言葉を聞いた私は少しだけアーサーと言う人物は単なる殺人鬼ではないと思えた時、アーサーはフォールン・救火を抱き抱えるとまた器用に火や瓦礫を避けたり、飛んだりして避けて行き、そのまま礼拝堂から脱出したと同時に中は完全に火に包まれてしまった。
「ふぅ……危なかったぜ」
「おい、こら!アーサー!!」
「あ、やべ……後は任せたジル」
『えッ!?』
私は急にアーサーに主導権を返されると危うくフォールン・救火を落としそうになり、何とか地面に下ろした所で父さんに両肩を捕まれた。
「この殺人鬼野郎!うちの娘に危険な真似をさせやがって!」
「父さん!私よ!私!」
「え?アーサー!アーサーは!」
「……沈黙。完全に逃げに徹してる」
「くうぅ……!これはアーサーに怒るべきなのか……?それともジルにか……?助けてくれオリヴィア……!」
父さんは頭を抱え込んでしまい、私はアーサーを止められなかった事を申し訳なく思う中、エンデヴァーが視線を向けているのに気付いた。
怒られる……!
これは怒られても仕方ない事をしたけどアーサーがした事なのに私が怒られるなんて嫌だなと思っていたけどエンデヴァーは何も言わずに指示を出しに戻った。
フォールン・救火は幸いにも軽症だった事で駆けつけた警官に身柄を拘束されると手当ても予てパトカーで直接、病院に行き、手当てした後、正式に逮捕される事になった。
フォールン・救火は連行されつつ歩こうとしていたけど、不意に足を止めた。
「ジルさん」
「……何でしょうか?」
「貴方には良き、師がいます。例え悪の道に進んでいたお方だとしてもその正義は高潔です。貴方が自分の心を強く持つ事が出来るのなら……その師の教えを生かせた貴方はきっと、素晴らしいヒーローになれますよ」
フォールン・救火はそう言い残すと再び歩き出し、パトカーに乗せられるとそのまま行ってしまった。