抽選で当選したのは、ゲームの中でアニメを撮影する企画でした……はい? 作:サクサクッキー
更新ペースが戻せる……か怪しいところはありますけど、ご指摘や疑問、訂正などがありましたら遠慮なくコメントして頂ければありがたい限りです。
「わー……流石異世界からの勇者様、お城の兵士が力負けしてるっスね」
あの人達って、革命時代のベテラン達から毎日扱かれてる精鋭なんだけどね、若いけど。まさに異世界チートって奴だ。
「あ、こっち見た……」
どうしたらいいんだろうか。気まずいな……微笑んで手を振っておこうか、一番丸く収まりそうだ、うん。そうしとこう。
「……って、私は何を目指してるんスかね?」
こんなでも中身は男です。そこを忘れちゃいけない。
「近過ぎないで、かつ支援するのに問題のない距離感……っスね」
アダルトなゲームのヒロイン
「助けないと……それが役目だから」
ああわざわざ面と向かって助けることを個人目標? 的なものに設定したんだ。よほど大切なんだろう。運営様には。
「順当にフィー姉様とシータ姉様、二人と仲良くなってって欲しいっスね」
勇者様も強いけどね。しかし万が一の時に二人なら守れるし、仲がいいなら勇者様の方にも守ってもらえるだろうから。
「……あーあ、ここまで先が見えないと匙を投げたくなるっスねぇ」
それができたら良いんだけどなぁ。引き受けちゃったしログアウトの方法知らないし。そもそも女の子役になるって知らなかったし。やはりあの友人はどうにかして一度懲らしめるべき。
「……あ、フィー姉様が呼んでる」
怪我人でも出たのかな、私が必要になるってことは。とりあえず降りようか。
「よっ……」
座っていた場所から、重力に身を任せするりと落ちていく。怖そうに見えるけどジェットコースターみたいで嫌いにはなれない感覚だ。
「
ふわり、と一瞬体が宙に浮いた……ような、気がした。
今のは風属性魔法である。あまり適性が高くなくてもこのくらいはできるのだから、魔法って便利だねぇ。現実にも欲しい。
「んー……この距離なら」
強化は必要ない筈。使える量は必要最低限でいい、必要な時に足りなくなっては困るのだ、特に俺のようなのは。
と、言うか。そもそも急ぐ必要性も薄いのだが、怪我って言っても軽傷なのは予想ができるし。
「あ、フィーねえ……フィーネ様、何かあったんですか?」
「……ええ、怪我人が出たから、お願いしても良いかしら」
「わかりましたっ……」
危ない危ない、公の場で姉様二人に敬語以外だとどやされるんだよね、お貴族様に。師匠の変な条件、今更変えるのもなんだけど、敬語より使いやすいのがたまに傷だ。
「怪我人は誰ですか?」
「アノンよ、ちょっと手違いがあったみたいで」
「ほうほう……手違い、ですか」
周りをちらっと見回して、やっぱり。
過半数の兵士は勇者様を尊敬の眼差しで見てる……と思うよ、人を見る目はないんだけどね?
「ええ、アノンが予想以上の強さを見せたから」
「なるほど、把握しましたフィーネ様、だったら仕方がないですね」
この国は革命を起因として、今の王を軸にした一代国家だ。当然ながらというか、仕方ない面というべきなのか、権力より武力……より戦える力を尊重する風潮が強い。
もちろん今の王の絶対的な権力による支配あってなものだけど、王様が強いからねこの世界、仕方ない仕方ない。
そしてそれは当然ながら悪い風潮にも繋がってしまう。
「っ……!!!」
……見つけた。
革命を支えた強靭なる先達……かっこいい言い方をしたけど、ベテラン達に厳しく扱かれてるからか、着実に強くなってるって感覚を噛み締めているからなのか。
なんというか、自分より才能がある人間……あ、王族みたいな、仕方ないな……って諦めがなくはない血筋はともかくね?同じ土台と、同じ訓練を受けて自分よりも伸びている……って思う相手を認められない人が出てくるんだよね頻繁に、この国。
「アノン様、大丈夫ですか?」
「あ、うん、大丈夫だよ、ちょっと擦りむいただけ……っつう……」
「あー……ちょっと、じゃなさそうですね?」
相当強い一撃を受けたみたいだ。うーん、怨みが込められてるなぁ、これは厄介そう。
「見せてください」
「……ごめんね」
「大丈夫です、これも私の仕事の一つなので」
怪我したのは腕らしい、剣戟をしたのならそうなる……のかな?そういう立場にいないから、こうだ、という確信は持てないんだけど。
「
魔力を勇者様の腕に流す……ような、感覚を思い浮かべる。浮かべるだけである、他人の魔力回路に魔力を流すのってすごく難しいんだよね。
魔法ってまだまだ未知数だから、漠然とした感覚で使わないといけない場面も多い、多分この辺りの感覚で得意不得意が別れるんだと予想してる、特に回復魔法はその影響をもろに受けてる。
「ちょっと不快な感覚かもしれませんけど、今だけなので我慢してくださいね」
「……いや、全然不快じゃないよ、むしろ心地良い感じが、する」
「それなら良かったっ……です」
無駄なく正確に、相手の回路に魔力を通せたら消費も少なくなる……という自己理論を立ててるけど、証拠はない。
回復魔法の使い手に研究者気質の人が少なくて全然わからないからね、その辺りは。
「……これで、大丈夫だと思います」
「ありがとう」
「いえ、腕は問題なく動きますか?」
「……うん、凄いねリリア、腕がとっても軽い」
どうやら、不備はなかったご様子。あと回復魔法の快適さに驚いてるみたい。
気付いてなさそうだな、このお人好しの勇者様、でもフィー姉様とシータ姉様もいるんだし、あんまり大きな動きはできないと思う、精々が今みたいなちょっとした怪我だと思う。
「では、私はこれで」
「え、あ、ありがとう!本当に!」
うーん、本当に善意に対して無垢だなって感じる、主人公だなぁ。それに、さ……。
人混みから離れた場所にて、思わずぽつりと呟いてしまう。
「なんだかんだ言って、解決するのが主人公、っスよね?」
彼は勇者、少なくともこの国に勇者として招かれてるんだから、この程度は問題ないんじゃないかなって思う。
もちろん、手助けはするけどね!
エタってるけど、未完にはしたくないので、書きます。