黄金の樹年代記~ある家に伝わる家系史あるいは妄想に満ちた偽史 作:フォン・セテム
西暦2039年勃発した「13日戦争」と呼ばれた三大陸合州国と北方連合国家の全面戦争は、熱核兵器による相互の主要都市に対する攻撃の応酬で開始されてしまった。
開戦当初の熱核兵器の相互直接攻撃により二大国の首脳は全滅し最初の3日間で指揮統率機能を喪失するも、当初より策定されていた二大国軍部による戦争計画の遂行が自動的に10日間続き世界各国の主要都市が滅亡する。
文明都市が滅ぼし尽くした後、既存の宗教思想において言われた救世主の到来が叫ばれ、北米大陸において幾多の救世主と称する宗教指導者が現れた。
彼ら自称救世主らによる神権国家群が北米大陸において宗教戦争を起こし凄惨な殺し合いが行われた。異教徒の火あぶりをはじめとする拷問による虐殺、強制堕胎や強制不妊治療などによる民族浄化、各自の教団の教義による儀式的な身体の虐待や残虐な殺害、各教団の教義による自己去勢や四肢切断という儀式的な自損行為など地獄絵図と化した。
北米大陸において端を発したこの悪魔的な蛮行が、欧州、アジア、アフリカに伝播し90年に及ぶ黙示録的な戦乱が広まる。
欧州のゲルマニア故地においては、北米大陸発祥の残虐行為を阻止すべく旧ゲルマニア国防軍による軍部独裁による統制を行っていた。
そして人類滅亡につながる戦乱を治めるための軍事同盟が熱核兵器の被害が少なかった豪州大陸を中心とする勢力(北米大陸発祥の教団国家支配を嫌った、かつての英国人の資本家と現地豪州大陸の政治勢力による連合)と旧ゲルマニア国防軍勢力と北米教団国家群との戦争を行っていた南米大陸の勢力によって締結される。
まず北米大陸の教団国家群への侵攻作戦が、豪州勢力の海軍力と南米勢力の人的資源、そしてこの3勢力により結成された世界臨時統一政府軍の参謀本部を担ったゲルマニア国防軍の作戦力により行われる。
そして行われた戦争は臨時統一政府軍の電撃的な作戦による快進撃で勝利する。北米教団国家群は各個に自爆攻撃やゲリラ戦などで抵抗し、敵軍降伏のための宗教的儀式として各地で集団自決や虐殺が蔓延した。
教団国家群による狂信的な統治による疲弊と破壊により、かつて二大国を担い繁栄を誇った北米大陸は荒野と化していて、その地獄絵図は戦後進駐した世界臨時統一政府軍将兵を愕然とさせたとされる。
この統一戦争において旧ゲルマニア国防軍陸軍中将テオドール・フォン・シュヴァンガウは武勲をあげ軍人家系のシュヴァンガウ家の武名をあげる。
北米大陸を解放後、残る紛争地域を制圧し、地球統一政府の樹立を宣言。首都を豪州大陸のブリスベンに定める。
地球統一政府陸軍大将に昇進したテオドール・フォン・シュヴァンガウは、新たなる世界への期待から改名する。
先祖に伝わる黄金の樹にちなみゴールデンバウムと名乗る。
テオドール・フォン・ゴールデンバウムと。