黄金の樹年代記~ある家に伝わる家系史あるいは妄想に満ちた偽史   作:フォン・セテム

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プロキオン星系の独自性と名士としてのゴールデンバウム家。

シリウス戦役後の銀河統一戦争期にプロキオン星系政府は旧ゲルマニア民族共同体の復興と、崩壊した宗教的道徳の再興を目指し連邦議会代議士ウィリアム・コバーグによる運動のもと、ゲルマニア民族主義による復古的権威主義政治として確立してゆく。

星系政府首相にコバーグ議員は選出されると彼はヴィルヘルム・フォン・コーブルグと改名し星系政府首相改めプロキオン星系民族共同体指導者を名乗り始めた。

プロキオン星系は人類の宗教的道徳の復興のため、有識者を集め古代地球時代より細々と伝わっていた北欧神話をもとにした宗教体系をもとにオーディン信仰をつくりあげ広めてゆく。

オーディン信仰は最高神オーディンを中心にトール、フレイア、フロー、フリッカなど神々を信仰する緩やかな多神教である。

フォン・コーブルグ民族共同体指導者は政治的にはゲルマニア民族主義、精神的にはオーディン信仰を権威の根拠としプロキオン星系を導いてゆく。

プロキオン星系政府は、行政府として星系政府執政を長とする内閣、立法府としてプロキオン民会の一院制、そして司法を司るプロキオン民族共同体大審院の三権分立による共和制だが、民族共同体指導者はその上位権威として民会による立法への拒否権と、民会立法に優越する民族共同体指導者令を発する。任期は終身だが世襲ではなく指導者選任の選挙がプロキオン民会において行われ選出される。

星系憲法としてプロキオン星系民族共同体基本法があり以上の政治システムは民族共同体的政治思想による規定がなされる。

 

プロキオン星系の宗教的権威であるオーディン教は教皇を頂点とし各教区責任者を任命する権限を有す。教皇も民族共同体指導者同様任期は終身で、教区選挙により選出された教区責任者による投票で決められる。

オーディン教団はかつての北米教団国家群の先例のもと政治的権力は持たされず、成人の儀・結婚・葬礼・その他礼拝などを司る。

 

ここでいうゲルマニア民族主義はこの段階では人種主義と言うよりは、同じ思想と信仰を持つ共同体主義として理解されていた。ゲルマニア民族主義右派はゲルマニア=アーリア民族主義としてコーカソイド人種至上主義を掲げていたが、アドルフ大帝の人種主義は失敗であったとの了解がこの時期では優勢であり少数派に甘んじている。

 

かようにプロキオン星系は銀河連邦加盟国の中でも権威主義国家として存在していた。連邦加盟時には軍事的協力のもと黙認されていたものの連邦成立後中央政府はプロキオンの反民主主義的傾向と権威主義体制を危惧し何度も査察団を派遣したが、形式上の立憲主義共和制と、星系民の絶大な指示のもとやはり黙認せざるを得なかった。

 

 

ゴールデンバウム家はプロキオン星系において名家とされていたが、銀河連邦最盛期では未曾有の好景気のもとで中央での活躍の機会がなく軍人家系のかの一族は地方の名士として根付いていく。

 

しかし連邦崩壊の端緒たる銀河大恐慌により治安の悪化、道徳の崩壊、宇宙海賊の跋扈や中央の統制を外れた加盟星系政府の反乱などにより連邦軍出動の機会が増えてきた。

 

 

その様な情勢下、地方の名士ゴールデンバウム家は銀河連邦後期の混乱の時代に再び頭角をあらわしてゆく。

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