魔法少女まどか☆マギカ~After Ten Years of History~ 作:イデスツッラ
『よかったね』
そして、心の中ではもう1人の彼女が労いの言葉を掛ける。
その彼女もまた…今までの彼女からは想像も出来ない程の笑顔であった。
ほむらの変化を、心から祝福していたのだろう。
「...えぇ」
ほむらは、彼女に背を向けたまま短く返事をする。
その表情は、実に充実感に溢れるものだった―――
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『本当に、良かったよ』
『これで、ようやく“時間”を取り戻せる』
『あなたも…』
『そして、“私”も…』
『…』
『…ふふ』
第1章『再会の物語』 完
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『…』
『…はは』
『…断られちゃった』
夢の世界でタツヤを出迎えた桃色の髪の少女は、その場でゆっくりと立ち上がり空を見つめる。
タツヤに見せる事のなかったその表情は…笑顔だった。
『もう少しだったのになぁ』
『でも、ま…いっか』
そう…不気味な程に――――
『だって』
『もう何もかも手遅れだもんね』
次の瞬間―――
少女の居た世界が、一変する。
綺麗に咲き誇っていた花達は一瞬にして枯れ、砂のように崩れ落ちる。
美しい花畑だった辺り一面は全て砂漠と化し、澄んだ青空は…この世の終わりとも思える程どす黒いものへと変わった。
そして、少女が来ていた純白の服も…その色を黒く染め上げる。
そう、まるで…その世界の全てが、『絶望』に堕ちてしまったかのように―――
『タツヤ』
少女は先程までこの世界に居た少年の名前を口にする。
それは、まるで…愛おしい恋人を呼ぶかのように―――
『あなたはもう、私から逃げられないんだよ?』
そう言って、少女は寄り掛かっていた一本の木に触れる。
すると、その木の青々とした葉っぱ達は一瞬にして枯れ落ちる。
太く逞しかった幹も、生気を失い…枯れていった。
『楽しみだな~』
枯れてしまった木には目もくれず、少女はその朽ち果てた大地の上を…楽しそうに舞い踊る。
表情は相変わらず不気味な程に笑顔であったが…
その顔は、どす黒い内心を現すかのように…歪んでいた。
『何年ぶりかな?』
『10年?随分かかっちゃったな~』
その歪んだ笑顔が―――これまでで一番の絶望をもたらす事になる
そのことは、まだ誰も知らない。
『…イヒヒッ』
『でも、やっと会えるね』
『ほむらちゃん♪』
そう、タツヤやほむらは…まだ知らなかったのだ――――
彼等にとって…『最悪の悪夢』が、もう直ぐそこまで来ていることを―――
魔法少女まどか☆マギカ~After Ten Years of History~
――――第2章―――
―――『救済の物語』へ続く―――