覇王、自由気ままに旅をする。   作:イチゴ俺

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最近のワンピースアニメ、作画が良すぎます!
うるティも可愛い過ぎます!!
漫画もアニメも楽しみ過ぎますね!!!


第11話"超弩級巨大戦艦"

「──"火の神(アータル)"」

 

 世界最強の男、"覇王"ダイナーの指先から漆黒の極光が射出される。

 濃密な武装色の覇気と覇王色の覇気のエネルギーがサンジを撃ち抜かんと迫る。

 

「し、死ぬッ! おわっ!」

「ハハハハ! 死ぬ気で避けろ。マジで死ぬぞ!」

「ふ、ふざけんな!!!」

 

 漆黒の極光が縦横無尽に暴れ回る。

 直撃すれば簡単に命を奪うであろう規格外の攻撃を、冷や汗を流しながら必死に避けるサンジ。

 サンジはこんな恐ろしい状況になった経緯を思い出す。

 

 

□◾️□◾️□◾️□◾️□◾️□◾️

 

 

 

「──いや、まずはお前の"血統因子"を覚醒させる。自分の血を受け入れろ、サンジ」

 

 これからの修行内容を聞いたサンジは、ダイナーの口から発せられた予想外かつ最悪な返答に驚愕する。

 

「な……ッ! な、なんでお前、その事を……!」

「少し調べさせてもらった。お前もなかなか大変な人生だったみてェだなァ」

 

 サンジを鍛え上げるために血縁関係を調べたダイナーは、彼のこれまでの人生の壮絶さに口笛を鳴らしていた。

 

 武力で北の海を制圧した武力国家の王子。

 強靭な兵士にすべく生まれる前から改造を施された子供達。

 改造による超人的な力を持たずに生まれた唯一の子供。

 失敗作として父親からも兄弟からも虐げられ、"死亡した"事にされ幽閉された過去。

 

 この残酷な世界においても相当な境遇。

 

「……ッ」

「まァ、今は過去の事はどうでもいい。お前も家族は捨てたんだろう?」

「……あぁ、俺はもうヴィンスモークじゃねェ。ただのサンジだ」

「なら、それでいい。俺は、友としてお前を鍛える。そこに過去は一切関係ねェ」

 

 ──だが。

 

「強くなるために、お前の中の血を受け入れてもらう」

「……なんだと?」

「お前の父親──ヴィンスモーク・ジャッジの研究、血統因子による強化は確かにお前の体にも眠っている」

「ふざけんじゃねェ!! あいつは俺の父親じゃねぇし、おれには、あいつらみてぇな力はねェ! おれは……おれは、あんな感情が欠落している化け物じゃねェ!!!」

 

 サンジの生家、ヴィンスモーク家は闇の世界において知らぬ者はいない悪の軍団"ジェルマ66"を保有するジェルマ王国の王族だ。

 王、ヴィンスモーク・ジャッジによる改造により、兄弟達は超人的な才能と引き換えに、相手を思う気持ちや己の死を恐れる気持ちを持たずに生まれた。

 

 そんな中に生まれた超人的な才能を持たず、感情もあるサンジ。

 兄弟と比べ、明らかに弱いサンジは、肉体的にも精神的にも暴力を受けた。

 

「ただ眠っているだけだ。失敗作と呼ばれていたようだが、"外骨格"も"固有能力"も、確かにお前の中にある。人体のスペシャリスト()が言うんだ、間違いない」

「……仮に、おれにもそれがあるとして、そんな力、おれはいらねェ。あんなクズ共と同じになんか、なりたくねェ!」

 

 人を人とも思わない父親、兄弟を思い出し怒り叫ぶサンジ。

 そんなサンジにダイナーはゲンコツを頭に落とす。

 

「甘ったれんじゃねェ。力に貴賎はねェんだ。強くなりてェんなら、なんでもやれ」

「いやだ! あんな力、おれは絶対使わねェ!!!」

「──お前の固有能力、"透過能力"だぞ」

「……何……だと…………」

 

 透過能力──サンジが夢に見ていた能力。

 かつて、"スケスケの実"の能力者相手に咽び泣く程思い焦がれていた能力が己にあるという言葉を聞き、言葉をなくすサンジ。

 女好きである彼が抱いていた男の夢を実現する能力。

 そんな長年思い描いていた能力が手に入るかもしれないとダイナーは言う。

 

「い、いや、だからって、おれは──」

「──サンジ、いや、心の友よ。おれと一緒に女風呂、覗かねェか?」

「師匠、よろしくお願いします」

 

 過去の家族への憎悪、血統因子による力への恐怖、最低の夢への罪悪感。

 それら全てを一瞬で忘れてサンジはダイナーへと土下座するのだった。

 

 

□◾️□◾️□◾️□◾️□◾️□◾️

 

 

 見渡す限りピンク色の砂浜。

 数日前、ダイナーとサンジが再会した場所に二人は立っていた。

 

「早速、お前の血統因子を発現させようぜェ」

「……発現させるってのは、もういいけどよ。どうやってやんだよ?」

「ハンッ。任せとけ」

 

 そう言うなり、ダイナーはサンジの頭に手を乗せる。

 乗せたダイナーの手から武装色のエネルギーが溢れ、サンジへと纏わりつく。

 

「おわっ。ダイナー、なんだよこれ!」

「黙って待ってろ」

 

 気味が悪い状況にサンジは反抗するが、ダイナーは力で抑えつけ、纏わりついた武装色のエネルギーは徐々にサンジの肉体へと浸透していく。

 異物が入り、体が熱を帯びる。

 全身の燃えるような熱さにサンジは苦痛に顔を歪め、体内で何かが蠢く感覚に恐怖を覚える。

 

「お、おい、これ本当に大丈夫なのか!!?」

「……」

 

 いつになく真剣な表情のダイナーにサンジは口を噤む。

 

 それから数分、熱さと痛みと気味が悪い感覚を耐え切り、とうとうダイナーの手が離れる。

 

「──よし。これで眠っていたお前の血統因子は覚醒した」

「……はぁ……はぁ、何にも感覚は変わらないが、ほ……本当に成功したのか……?」

 

 息も絶え絶えにサンジは疑問を浮かべる。

 凄まじい苦痛を乗り越え、晴れやかな気持ちではあるが、己の体に何か変わったような感覚はない。

 

「ハハハハ! お前の血統因子は確かに覚醒した。だが、本番はこれから。オラ、歯ァ食い縛れェ!」

 

 突然ダイナーはサンジを殴り飛ばす。

 無抵抗のまま強烈な拳を受けたサンジは凄まじい勢いで吹き飛び、砂浜に頭から突き刺さった。

 先程までの苦痛による疲労と今の強烈な拳により、ピクピクと生まれたての子鹿のように足を震わせながら立ったサンジは怒りに叫ぶ。

 

「だ、ダイナー! テメェ、なにしやがる!!!」

「血統因子は覚醒したがァ、それを真に覚醒させるには、命懸けの戦闘あるのみ。気張らねェと、死ぬぞォ!」

 

 凄絶な笑みを浮かべたダイナーの指先から漆黒の極光が迸る。

 命を容易く奪うだろう黒き光が一直線にサンジへと向かい、そんな恐ろしい光景に目を飛び出し驚きながら必死に避ける。

 

「オラオラ、気張れやァ!」

「テメェ、覚えてろよ!!!」

 

 

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「とうとうここまで来た!!!」

 

 世界最高の監獄、"インペルダウン"の全囚人を解放し、引き連れたルフィはとうとうLEVEL1から海上、正面入口へと上がった。

 LEVEL6の特級戦力が前代未聞で手を取り合い各層の囚人達を解放し進んだ結果、囚人側の被害は数少なく、数千人規模の勢力となり、海上へと到達した。

 

「あとは、軍艦を奪い脱獄するのみじゃのう」

「ヒーハー!!! これだけの戦力、マゼランもいない中失敗する方がおかしいっタブル!」

「うまくいきすぎて、何かありそうだ」

 

 ジンベエ、イワンコフ、クロコダイルがそれぞれ口を開き、正面入口の扉を開く。

 この先には海軍の艦隊が待ち受けている。

 10隻はいるであろう海軍の軍艦、海兵は実に8千人程。

 その軍艦を奪い、エースの処刑場であるマリンフォードへ向かうのが、今回の計画だった。

 

 ──しかし。

 

「な……ッ」

「船がねェ!!?」

 

 見渡す限りの凪いだ海。そこにあるはずの軍艦が一隻もなかった。

 

「どういうこった……」

「成る程。敵も思った程バカじゃなかったようだな……。海底には大型の海王類達。確かにこの凪の帯こそがインペルダウン最大の防御壁だ」

 

 頭を抱えるバギーと納得したような顔のクロコダイル。

 解放された囚人達が口々に諦めの声を発する中、一人の巨人が声を発する。

 

「みんな、おれに乗れー。歩いてマリンフォードまで向かう」

 

 巨人──サンファン・ウルフがそう言うと海上へと飛び立ち、その瞬間、彼の体が巨大化した。

 元々規格外の大きさだった巨体が十倍に膨れ上がり、海に沈んだ彼は海面へと顔を出す。

 

『な、なんじゃこりゃぁ〜〜〜〜!!!?』

 

 見たことも聞いたこともない巨体。

 かつて国を引いたという規格外の巨人のゾンビと戦ったことのあるルフィだが、目の前にいるウルフの大きさは比べようもなく、口を大きく開け驚く。

 

「みんな、早く乗れー。おれ、あんま足早くないから急がないとー! 体に力も入らねーし」

「お前、大丈夫なのか!?」

 

 同じ悪魔の実を食べた者として、ルフィは思わず問いかける。

 海に入れば体から力が抜け、成すすべなく沈んでしまう体質である悪魔の実の能力者にとって、海は天敵だ。

 

「足つくし息もできるから大丈夫だー。いいから早く乗れー!」

 

 皆が驚く中、早くしろと言うウルフに一人の男──バーンディ・ワールドがニヤリと笑い、声をかける。

 

「バロロロロ! おい、デカイの。面白ェこと考えたぜ。試させろよ」

「ん? なんだ?」

「おれの食った悪魔の実は"モアモアの実"。触れたものの大きさを最大100倍まで倍化させる事が出来る。お前を100倍にしたらどうなるんだろうなァ?」

「……面白そうだな、それ! やってくれ!」

「バロロロロ、そうこなくちゃな!! そら、いくぞ!」

 

 ウルフが差し出した指にワールドが触れた瞬間、ウルフの肉体が爆発的に膨れ上がる。

 ただでさえ深い海底に足がつくほどに巨大だったウルフは、最早ルフィ達からは足しか見えず、頭は雲をついている。

 

 身長18,000メートル。

 小国であれば一踏みで破壊できるほどに巨大化した。

 

「バロロロロ!!! これはスゲェ!!!」

「これが人間の大きさか……!?」

「ブォエェェ!!? じょーダンじゃァないわよーう!! あちし、ビックリ!!!」

「す、スゲェ〜〜!!!」

 

『こりゃ、すごい! これなら早くつきそうだっつ! 皆早く乗り込めー!』

 

 ルフィ達があまりの巨体に驚く中、遠くから聞こえるウルフの声と共にルフィ達の前に巨大な手が移動してくる。

 

「ビックリしたけど、これなら行ける! 野郎共、マリンフォードに乗り込むぞ〜〜!!!」

 

 この日、前代未聞のインペルダウン全囚人脱獄の大事件が起きる。

 強靭な看守達を次々薙ぎ倒し、周到な彼らの作戦を打ち砕き、驚愕の方法で逃亡した。

 

 インペルダウンの被害は甚大。

 マリンフォードへと向かう戦力は絶大。

 世界政府の心労は計り知れない。

 

 "最悪の世代"、"麦わらのルフィ"。最悪の悪人達を脱獄させる!

頂上戦争にカイドウさんを乱入させる?させない?

  • カイドウさん乱入上等!
  • カイドウさん悔し涙でやけ酒なり!
  • カイドウさん以外にその他大海賊が大集結!

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