覇王、自由気ままに旅をする。   作:イチゴ俺

16 / 38
尾田っちはワンピースに恋愛は描かないと言っていますが、私の中でルフィとハンコックのカップリングは大好きであります!
ハンコック様、う、美しいです!!!
でも私はヤマトが好き!!!


第16話"バギーの企み"

「んがっ……!!? おれ様はいつの間に寝てた──って、なんじゃこりゃァ!!?」

 

 バレットとガープの覇王色の覇気の衝突により吹き飛ばされ、気を失っていたバギーは意識を取り戻し、擦った目で周囲を見渡すと、先程まで存在していた建物や兵器、軍艦全てが見当たらない、平らな大地のみが広がっていた、

 最初から存在していなかったような、瓦礫すらない大地にバギーは己の目を疑う。

 

「ど、どうなってんだこりゃァ……! おれ様は夢でも見ているのか!!?」

「キャプテン・バギー、おれ達も今目覚めたところだが、起きたらこんな事になっていやがりました!」

「どうなってやがる……?」

 

 周囲を見渡すと同じように困惑する海兵な海賊達が目に入る。

 海軍と海賊、両陣営の軍艦も消失しており、皆がマリンフォードの大地、凍った海へと移っている。

 

「この能力は、バレットの野郎だなァ! 派手にやりやがる!」

 

 遥か遠方で凄まじい激闘を繰り広げるバレットとガープを見やり、バギーは震える。

 かつてロジャー海賊団の船員時代に見たバレットの強さ。

 ロジャーに幾度となく向かっていったあの頃の強さより、更に強くなっている。

 感じる覇王色の覇気にバギーは戦慄した。

 

「ヤベェな……。あんな化け物どもの近くになんか行ってられっか! 野郎ども! 今の覇王色の覇気で電伝虫も気絶してるハズだ! 探して叩き起こして、おれ様のハデで偉大な姿を放送するぞォ!!!」

『ウォォォォ!!! 流石キャプテン・バギー!! こんな異常な状況にも、全く冷静さを欠いていねェ!!!』

「都合の良い奴らだガネ……」

 

 覇王色の覇気により吹き飛ばされていたバギー一行は己らの目的のため、戦闘せず電伝虫を探す。

 全てはバギーの偉大な姿を世間に知らしめるため。

 未来の海賊王となるべきキャプテンの威光を知らしめるために行動する。

 

「電伝虫を手に入れたらエースの野郎を助け出しに行くぞ! ド派手に気張りやがれェ!! ギャ〜ハハハハ!!!」

「本当に大丈夫なのカネ……」

 

 将来の輝かしい未来を想像し高笑いするバギーと不安に惑うMr.3。

 

 バギー一行もまた、頂上戦争において、特殊な活躍をし始める。

 

 

□◾️□◾️□◾️□◾️□◾️□◾️

 

 

「──あの小僧、覚醒の範囲が広くなってやがんな」

「オヤジ! モビー・ディック号まで飲み込まれたよい!!」

「あァ、仕方ねェ。今まで世話になった。これで退路はなくなった。海軍を絶滅させるしかあるめェ」

「傘下含めて全員、大地に降り立ったよい!」

「随分見晴らしが良くなった! おれが出る……!」

 

 バレットの能力により、長年旅を共にした船、モビー・ディック号、他全ての船を失い退路をなくした白ひげは前線へと進み出る。

 巨大な薙刀、最上大業物の一振り、"むら雲切"を大きく振りかぶり、地震のエネルギーを込める。

 

「ふんッ!!!」

 

 規格外の膂力で振り抜かれ、前方に凄まじい振動するエネルギーを内包した飛ぶ斬撃が放たれる。

 空間を軋ませながら突き進む斬撃は扇型に海兵を斬り飛ばしながらどこまでも進んでいく。

 すると、範囲外から必死で逃げようとする海兵達の前に大柄な男が現れ、岩石のような漆黒の腕で斬撃を受け止めた。

 

「"赤犬"か!!! お前も若返ったんだなァ、若造!」

「貴様ら船を失ったんじゃろう。諦めてその首置いていったらどうじゃ、ゴミども……!」

「グララララ! 抜かせ、マグマ小僧。お前らこそ、海軍本部が跡形もねェじゃねェか! 諦めてエースを渡したらどうだ?」

「舐めるな、白ひげェ!!!」

 

 売り言葉に買い言葉。

 大柄な男、海軍本部大将"赤犬"。

 食らった自然系悪魔の実"マグマグの実"のマグマ人間らしくすぐ熱くなる赤犬は、白ひげの言葉に激怒し、腕をマグマに変化させ放つ。

 

冥狗(めいごう)!!!」

「グララララ!!!」

 

 覇気が乗ったマグマの拳と地震のエネルギーが乗った薙刀が衝突する。

 周囲に莫大な熱気と恐ろしい振動が広がり、海賊も海兵も吹き飛ばされる。

 

「フッフッフ!! 馬鹿げた戦闘力だ!!」

「お前の相手はおれだよい!!」

 

 白ひげと赤犬の凄まじい強さに笑っていた桃色のファーコートを着た長身の男。

 七武海の一人であり、闇の世界の大物、"天夜叉"ドンキホーテ・ドフラミンゴへと白ひげ海賊団1番隊隊長"不死鳥"マルコが足蹴りを繰り出した。

 

「"不死鳥"マルコか! フッフッフ! なァ、戦いなんてしないで、アイツらの殺し合いを一緒に見ねェか? 見ものだぞ!!」

「バカ言うなよい! お前ら全員、どうやって若返ってるのか知らねェが、お前はあんまりその恩恵を受けているようには見えねェよい!」

「フッフッフ! おれは昔から完成されてんだ。若返ろうが、年老いようが、おれは強ェ。お前ら人間と一緒にするんじゃねェよ」

「気味の悪い男だよい! 誰一人仲間は操らせねェからそのつもりで来いよ!!!」

 

 マルコは肉体を青い炎を纏う怪鳥へと変化させ、ドフラミンゴへと肉薄する。

 動物系悪魔の実幻獣種"トリトリの実モデル不死鳥(フェニックス)"を食らったマルコは、自身の肉体を不死鳥へと変化させる事が出来る。

 

 青い炎を纏い、凄まじい速度で空を飛び、衝撃波を伴った蹴りをドフラミンゴへと繰り出す。

 

「"鳳凰印(ほうおういん)"!!!」

「"五色糸(ゴシキート)"!!!」

 

 強靭な鉤爪による蹴りと五色の糸による斬撃が衝突する。

 四皇からも一目置かれる男同士の激突に、雑兵は為す術なく吹き飛ばされ、離れていく。

 

 伝説の大海賊、四皇"白ひげ"対"徹底的な正義"を掲げる大将"赤犬"。

 

 白ひげ海賊団1番隊隊長、白ひげの右腕である"不死鳥"対世界の闇を取り仕切る男、悪のカリスマ"天夜叉"。

 

 二つの巨大な戦いが勃発する。

 

「おれ達は先に進むぞ! ジョズ! オヤジとマルコが大物を引き受けてくれたんだ! この先はおれ達が切り開かなくてはな!!!」

 

 海軍側の特級戦力二人を相手にする己のリーダー達を置いて、ビスタ達白ひげ海賊団は先へ進む。

 処刑台が消失した事でエースの姿は見えない。

 感じられる弱々しいエースの覇気を頼りに進軍する彼らの士気は高い。

 

 "白ひげ海賊団"、エースを救出するべく特攻をかける!

 

 

□◾️□◾️□◾️□◾️□◾️□◾️

 

 

「──どうなってんだ、これ!!?」

 

 建物や建造物が消失した戦場を見てルフィは目を飛び出して驚く。

 "鷹の目"ミホークと海軍本部中将モモンガから、仲間と恩人であるハンコックの手助けにより抜け出し、海兵達を倒しながら突き進んでいた頃の出来事だった。

 黒い波が恐ろしい速度で広がっていき、人間以外の全てを飲み込んでいった。

 残ったのは平らに広がる大地とその上に呆然と立つ海兵、海賊達のみ。

 

「こんなの見た事なァいわよーう!! 街が消えちゃったわァ!!?」

「こりゃァ凄ェニャーー!! なんちゅう規模の能力だ……!!」

「バレットの"ガシャガシャの実"の覚醒ねェ……! 島全土を飲み込むなんて、馬鹿げた範囲っタブル!!!」

「バレットのおっさんの能力なのか……! 何にも無くなっちまったぞ!!」

「麦わらボーイ! さっきボア・ハンコックが言ってた言葉忘れたの!! エースボーイの処刑を早めるって言ってタブルけど、こんな状況になった今、執行人が刑を執行するとも思えない! 急がないと手遅れになっタブルよ!!!」

「そうだった……! 急がねェと!!!」

 

 バレットの能力により海軍本部も処刑台すらも消失した今、海軍が大人しく通常通りの処刑を行うとは思えない。

 ましてや、想像以上に戦場が混乱し、海軍側の戦力の殆どが各海賊の強者に当たり、海軍の被害が恐ろしい速度で増え続ける今、せめてエースの首だけは、と考えているだろうとイワンコフはルフィに教える。

 

 エースの気配を頼りにルフィが走り出そうとしたところ、またしても強大な気配が現れる。

 

「お〜お〜、麦わら〜。こんなにまた早く会えるとはねェ〜。君達のせいで、酷い目に遭っちゃったよォ」

「"黄猿"!!!」

 

 眩い光と共に現れたストライプのスーツに身を包んだ男は海軍本部大将"黄猿"。

 先日、シャボンディ諸島でルフィ達、麦わらの一味を壊滅に追い込んだ因縁の相手だ。

 だが、ルフィがシャボンディ諸島で相対した時の黄猿の様子と異なり、見るも痛々しい傷が至る所に見られる。

 

「腹いせじゃないが〜、君は絶対にここで殺させてもらうよォ!」

「なんであんな大怪我してるっチャブル!!? ヴァターシ達が来る前に白ひげにやられたのかしら……?」

「ニャハハハ!! 怪我をしてるなんて好都合だ! おれが奴を殺してやるニャー!」

 

 こめかみから二本の角が生えている男、アバロ・ピサロが海兵から奪った銃を手で遊ばせる。

 

「君はァ、インペルダウンLEVEL6の脱獄囚、"悪政王"アバロ・ピサロだねェ? 君一人でわっしを相手に出来ると思っているのかァい?」

「必死に隠しているようだが、今にも倒れそうなダメージを感じるニャー。どこのどいつにやられたんだ?」

「ん〜、"覇王"に少しばかりねェ。でも、わっしは君じゃなくて、"麦わらのルフィ"に用があるんだよねェ〜!」

 

 そう言うなり、光の速度でルフィに迫り蹴りを放つ。

 しかし、凄まじい速度で飛来してきた覇気が込められた銃弾に、覇王ダイナーに付けられた傷を撃ち抜かれてしまう。

 

「ニャーハッハッハ!!! "覇王"にやられたのか!!? それなら、尚更お前の相手はおれだニャー、海の黄色いお猿さん!!!」

「お〜、やってくれるねェ、アバロ・ピサロ……!」

「楽しくなってきたニャー! 麦わら坊主、おれの獲物は渡さないニャー! 早く行け!!!」

「ありがとう!! そいつには、前酷い目にあったんだ! 助かる!!」

「麦わらァ、行かせないよォ〜!!」

「ニャハハハ! お前の相手はおれだろ。逃げんじゃねェよ……!!」

 

 走り出すルフィ一行とそれを追おうとする黄猿。

 そして、そんな黄猿を未来を見た狙撃で撃ち抜かんと覇気の銃弾を放つピサロ。

 光速である己を簡単に狙撃するピサロの腕と、込められている武装色の覇気の強さに歯噛みする黄猿は、痛む体に顔を歪めながらピサロを睨みつけた。

 

「絶対に許さないからァ、覚悟することだねェ……!」

「上等だニャー!! お前こそ小便漏らさねェように気ィ付けるんだニャー!」

 

 最強の悪魔の実とも称される"ピカピカの実"の"光人間"、海軍本部大将"黄猿"。

 一国を武力で制圧し、暴虐の限りを尽くした暴政の愚帝、"悪政王"アバロ・ピサロ。

 どちらも"覇王"に縁ありし者達。

 

 片や、つい先日瀕死状態までに叩きのめされ、今も満身創痍の体で戦争に臨む海軍の最高戦力。

 

 片や、真の世界の頂点に魅せられ、王の立場を捨て、あらゆる強者に殺し合いを仕掛けた頂きへの登攀者。

 

 二人の強者がぶつかり合い、戦場は更なる混沌に包まれる!

 

 

 

 

 

 

頂上戦争にカイドウさんを乱入させる?させない?

  • カイドウさん乱入上等!
  • カイドウさん悔し涙でやけ酒なり!
  • カイドウさん以外にその他大海賊が大集結!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。