どうしようか迷ってしまいます!!
カイドウさんの龍の姿には男心を擽られます!!
海軍本部が消失し、島一帯に広がる限りなく平らな大地。
血で血を洗う悲惨な戦場の中、ルフィ一行はエースを救出するべく走っていた。
そこら中で壮絶な戦いが起き、戦う者達はいずれもが世界中に名前が知られる大物ばかり。
ルフィ達が走る逆方面を見ると、七武海の一人"暴君"くまと海軍の伝説の女海兵つるが白ひげ海賊団の船長達と激しい戦いを繰り広げているのが見えた。
「くま……ッ」
「イワちゃん、あいつ知ってんのか!?」
「ちょっとね……。まァ、場所的にヴァターシ達がやり合う事は無さそうっチャブルから、いいけどね」
思うところがあるのか、顔を伏せるイワンコフ。
走る一行の前に人影が現れる。
「また会ったな、麦わらァ!」
「お前はシャボンディ諸島の時の……!!」
「おめェらのせいで、わいもオジキもボロボロや! おめェは必ずわいがぶっ殺す!!!」
現れたのはルフィがかつて、シャボンディ諸島で戦った鉞を担いだ男、戦桃丸。
その姿はあまりにも悲惨で、黄猿と同じように、満身創痍の状態だった。
「そして、わいがいるという事は、こいつらもいる」
「……ッ!!? く……!! くま!!!?」
「また、あのくまみてェ奴か……!」
戦桃丸の背後に控える十人の"くま"。
理解不能な目の前の光景に愕然とするイワンコフと、シャボンディ諸島での記憶を思い出し、顔を顰めるルフィ。
「こいつらは、王下七武海"暴君"くまを元にして"ベガパンク"により作られた、人間兵器"パシフィスタ"。どういう繋がりか知らねェが、おめェの知るクマ公とは別物だ」
「人間兵器……!!? くまは一体、政府で何をしているっチャブル!!?」
「わいは世界一ガードの固い男であり、世界一口の固い男や! 秘密は喋らねェ。──クマ公は政府ととある契約を交わし、ベガパンクの手により人間兵器へと改造手術を受けた。あそこにいるクマ公はもうおめェが知る男じゃねェよ」
「結局喋ってんじゃねェか」
「どういうこと!!? くまが改造手術!!?」
一瞬で口を割った戦桃丸に突っ込むルフィを尻目にイワンコフは彼の言葉に困惑する。
"革命軍"の仲間として長い付き合いである彼が何故そのような状況になっているのか。
会わない数年の間に何があったのかと、混乱するイワンコフ。
「──麦わらボーイ! ヴァターシはこいつに聞く事が出来タブル。ヴァナタは先に行きなさい!! ボンボーイも麦わらボーイと一緒に行くのよ!!」
「……任せてい!
「気を付けろよ! その"くまみたいな奴"強ェぞ!!」
「心配いらなブル。ヴァナタはエースボーイを助け出す事だけを考えなさい!!」
「分かった!!!」
「おれらはパシフィスタの相手をするから安心して行け!!」
「麦ちゃん、行きましょう!!」
「あぁ、行こう!!!」
イワンコフとニューカマー達、LEVEL6の脱獄囚に送り出され走り出すルフィとボンクレーだが、逃すまいと戦桃丸が動く。
「逃がさねェよ、麦わら!!」
「ヴァナタの相手はヴァターシよ。事情を全て聞くまで逃がさない!!」
鉞を振りかぶり追う戦桃丸を強烈な瞬きで吹き飛ばすイワンコフ。
世界一のガードを自称する戦桃丸だが、覇王によるダメージにより、成す術なく吹き飛ばされてしまった。
「"オカマ王"……!!」
「さァ、洗いざらい吐いてもらおうじゃないの……!!」
「わいは世界一口の固い男。何も喋らねェ……!」
イワンコフ&"ニューカマー"&LEVEL6の脱獄囚対戦桃丸&パシフィスタ。
各地でどんどんと勢いを増していく戦いの業火。
遥か海上では、超弩級の巨人と漆黒に光り輝く大仏、豪雨のように荒れる剣鬼が天災を起こしながら激しく戦う。
空、凍り付く海を縦横無尽に動き回りながら戦うのは、一撃で山河を海を崩壊させる拳骨の英雄と、漆黒の鎧を自在に変形させる攻撃力、防御力共に規格外の怪物。
氷河を齎す大将は島周辺の海を際限なく凍てつかせ、全てを読み取る"究極の一"は大自然の力を真っ向から打ち砕いている。
地震を司る伝説とマグマ爆ぜる怪物は絶え間なく島を破壊し、その余波で周囲数百キロの環境を変貌させる。
不死鳥が無尽蔵の極糸に切り刻まれては再生し、蘇りながら堕ちた天竜へと強烈な一撃を与える。
汚染された大地では、石化の呪いと即死の毒が吹き荒れ、尋常ならざる覇気が飛び交う。
この世で最も速い男と暴虐なる王が、互いの血溜まりの中、目にも止まらぬ激闘を繰り広げる。
全てを切り裂く斬撃と百の武器が衝突し、理性を失い思考を失い本能のみで動く獣が酩酊する拳を打ち付ける。
砂漠の王が、奇跡の人が、四皇の一味が、暴君が、伝説の女海兵が、白き煙が、地獄を守る鬼達が激しく、島の環境を変貌させ、大地を破壊しながら戦う。
正に地獄。
間違いなく、今この島は世界で最も凄惨な戦争が起きている。
被害は計り知れない。
海軍本部及び建造物は全て消滅し、マリンフォードも最早以後二度と足を踏み入れる事は叶わない。
大地が沈み、消滅し、崩壊し、侵され、異常な環境となっている。
かつて、海賊王の船員だった男、"道化のバギー"の手により、頂上戦争の全てがシャボンディ諸島へと放送されていた。
安全の中に戦争を眺める者達は皆、世界の本当の恐ろしさを確認することとなる。
尋常ならざる化け物達が蔓延る海を世界政府が取り締まる意味を。
天竜人の存在、理解不能の法律、それらを差し置いても守ってもらっている感謝を。
"政府が、海軍がなければ今頃、あんな化け物達に簡単に殺されていた"。
この日、彼らはこの海の恐ろしさを本当の意味で知ることになった。
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エース救出に向かうべく走るルフィとボンクレー。
行く手を阻む海兵を薙ぎ倒し進む二人はとうとうエースの姿を目視する。
手錠を嵌められた状態で地面に座り込むエースの周囲には、各地でぶつかり合う覇王色の覇気により気絶した死刑執行人や海兵の姿が見える。
まだ生きている。
エースを死守或いは、その首を落とすべく集まった者達は、少し強さに欠けていたようで、覇王色の牙に退場されていたらしい。
「エース!!! 来たぞォ!!!」
「ルフィ!!!」
「はぁ、はぁ……、もう少しだ、待ってろよォ!!!」
眼前を阻む海兵は最早少ない。
いずれもが、覇王色の覇気を耐え抜いた強者ではあるが、この極限の戦場により加速度的に見聞色の覇気を成長させるルフィは最小限の動作で倒していく。
「麦ちゃん、凄いわねい! 敵の動きが分かってるみたい!」
「"見聞色の覇気"っていうみたいだぞ。なんか、色んな事が分かんだ!」
「ガッハッハ! 麦ちゃんも強くなったし、敵も少ないし、これは勝ったわねェい!!!」
「──好き勝手やってんじゃねェぞ、海賊!」
突如現れた人影が走るルフィを殴り飛ばした。
「ルフィ!!」
「うわァ! ゴムなのに痛てェ! これが武装色の覇気か!!?」
「麦ちゃん、大丈夫!!?」
ルフィを殴り飛ばしたのは一人の大男。
紫色の短い髪と鍛え抜かれた筋骨隆々の男が海軍将校のコートを纏い、ルフィとボンクレーを睨み付けていた。
ルフィの見聞色で感じられる強さはこの戦争においても、最上位に位置し、そんな男がルフィ達とエースの間に立っている。
「おれは海軍本部中将ゼファー。よくぞ、あの戦力を抜けてここまで来た。だがァ、それもこれまでだァ!」
ゼファーの両腕が漆黒に染まり上がる。
"黒腕"の異名を持つゼファーは世界的に見ても最上位の武装色の覇気使い。
異名の元になった漆黒の腕を構えたゼファーは、ルフィの背中の麦わら帽子を見てため息を吐き、両拳を打ち付ける。
「ガープの孫だからって容赦しねェぞ。兄貴を救いてェんなら、おれを越えていく事だ、モンキー・D・ルフィ!!!」
「くそッ、ここに来てこんな強ェ奴か……!! ボンちゃん、おれがこいつ食い止めるから、エースを頼む!!」
「──分かった!! 麦ちゃん、絶対兄貴救い出して、皆揃って逃げるわよぅ!!!!」
「あぁ、約束だ!!!」
エース救出も目前。
最後に立ちはだかった圧倒的格上を前に、ルフィは覚悟を決めて己の血流を加速させる。
戦争で磨かれた見聞色の覇気を総動員させ、己の寿命を縮める諸刃の剣を抜いてゼファーと向かい合うルフィ。
「おれは、モンキー・D・ルフィ。エースの弟だ!!! お前を越えて、絶対に助け出す!!!」
「フッ! せいぜい気張れやァ!!!」
"火拳のエース"を助け出すため、難攻不落のインペルダウンを完全攻略し、最悪の囚人達を仲間に引き入れ頂上戦争へと乗り込んだ"麦わらのルフィ"は、とうとうここまでやって来た。
たった一人のルーキーが起こした数々の大事件は、記者の手により世界中に知らされ、世界中の海賊達からは関心の的になる。
頂上戦争も後半戦に至る!
頂上戦争にカイドウさんを乱入させる?させない?
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カイドウさん乱入上等!
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カイドウさん悔し涙でやけ酒なり!
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カイドウさん以外にその他大海賊が大集結!