こんなに読んでいただけるとは書いた当初は思っておらず、とても嬉しいです!!
カイドウさん人気が凄い!!!
漆黒の拳と拳がぶつかり合う。
武装色の覇気による強固な拳がぶつかる事により、まるで金属同士がぶつかり合うかの如く硬く重い音が響き、衝突による衝撃により、辺り一面に暴風が吹き荒れる。
「ぐッ……ォあァ!!!」
「こんなものか、小僧ォ!!!」
限界を超えたダメージと覇気の過剰使用により肉体が悲鳴を上げるが、それを覚悟と根性のみで抑え込み、ルフィは全身に力を漲らせる。
ゼファーとの戦いの中で形になってきた武装色の覇気。
その身に受けた武装色を観察し、見よう見まねで行う覇気は、少しずつ本質を捉えていき、その意志の力により確実に精度を増していく。
土壇場で模索する新たな力。
武装色で強化された筋肉に空気を送り、全身を膨張させ強敵にも負けない肉体を作り上げる。
肉体強度を底上げする事だけを考え、ゴムの弾力等を度外視したこれまでのルフィでは考えつかない荒技。
事実、武装色により強靭に固められた筋肉は弾性を落とし、だが、高密度の筋肉は比類なき硬さと力を手にし、高速で流れる血液により、膨大なエネルギーと速さを獲得する。
ルフィ史上最強の敵であるゼファーを倒すための命を削る力。
ゼファーの拳を真っ向から迎え撃つルフィだが、強化されたルフィの拳であっても僅かな拮抗の後に弾き飛ばされる。
続く拳がルフィの顔面を打ち抜き、連続で突き刺さるゼファーの猛攻により意識を飛ばしかけるルフィ。
「こ……こんなところで、諦めて……たまるか……!!」
「素晴らしい根性だ! 敬意に値するぞ"麦わらのルフィ"!! お前が敵じゃなけりゃァ、部下に引き入れたものだ!」
「ふざんけんな……! おれは海兵にはならねェ!!」
「何故お前は海賊なんぞになった? ガープのように海兵になればよかったものを」
「じいちゃんにも散々断ったんだ! おれは世界一自由な男になるんだ!!」
どこかで聞いたことのある言葉。
大口を開けて笑う馬鹿な男の顔が浮かぶが、こちらを睨み付けるルフィの顔を再度殴り飛ばす。
「そのお前等の身勝手な"自由"とやらが、民衆を不安にさせる。罪もない民衆の命を奪う。お前等の自由ってのはクソだ、麦わらァ!」
「"自由"ってのはそんなもんじゃねェ! 悪ィことはダメだ。そんなやつ、おれが全員ぶっ飛ばしてやる!!」
「……海賊の言葉とは思えねェな。ならば、お前は何故インペルダウンの──世界最悪の大犯罪者達を世に放った。あいつらはお前が言う、悪い奴らだぜ」
海賊とは思えないルフィの言葉に一瞬言葉を失くすゼファー。
しかし、ルフィが行った事件の数々。中でも、インペルダウンの囚人達を脱獄させた罪は果てしなく重い。
海軍が勝てど負けれど、ここを脱出した脱獄囚達は必ず罪もない民衆の厄災となるだろう。
愉快気に意味もなく殺されるかもしれない。
泣き叫ぶ女を惨たらしく陵辱するかもしれない。
抵抗する勇気ある民衆を悍ましく拷問するかもしれない。
このまま行けば必ず訪れる未来だ。
それだけこの世界では、海賊による犯罪が後を絶たない。
そのために海軍が存在する。
ルフィがインペルダウンの囚人達を脱獄させた時点で世界の安全は一気に暴落したのだ。
「お前が行った事は最悪だ。誰が何と言おうと、奴らを脱獄させたお前は、クソみたいな"悪い奴"だ……! 分かっているのか"麦わらのルフィ"!!!」
全身に覇気を漲らせ、ゼファーはルフィを睨み付ける。
そして、ルフィは──。
「……おれはインペルダウンであいつらを解放した時にイワちゃんと約束したんだ。あいつらには、今後絶対に悪い事はさせねェ。おれが責任を持ってあいつらを見る……! おれは約束を破らねェ!!!!」
覚悟と共に吹き荒れる覇王色に目を細めるゼファーは、ルフィと相対して何度目かのルフィとロジャーの姿が重なって見える。
かつて何度も拳を合わせた強敵。
同僚であるガープが多く当たっていたロジャーだが、ゼファーも当然ぶつかる事もあり、その度に見ていた彼の確固たる意志を内心認めていたゼファーは、眼前でまだまだ未熟な覇気を放つ男の顔を見やり、ニヤリと笑う。
「──そうか……あいつの麦わら帽子は今はお前が被ってるんだな。……フン! いいだろう! ならば、お前の覚悟を見せてみろ! お前がこの戦いの中でどれだけ成長できるか、最後まで見てやろう! だが、覚えておけ。目の前にいるのは海軍本部中将"黒腕のゼファー"。かつて大将だった男だァ!!!」
「ッ!! いよっしゃァ!! 覚悟しろ、ゼファー!!!」
熱い男達の戦いは加速する。
何もかもを背負う覚悟で拳を握る一人の男と、かつての
漆黒の拳がぶつかり合い一方的に拳が突き刺さる中、戦場のど真ん中にいて尚、まるで師弟のように、訓練のように殴り合う二人の姿。
化け物達が暴れ回る戦場の中、ルフィもまたその仲間へと一歩一歩近づいていく。
□◾️□◾️□◾️□◾️□◾️□◾️□
「はぁ……はぁ……! 麦ちゃんの兄貴、今助けるから待っててねェい!!!」
立ち塞がったゼファーの相手を引き受けたルフィにエース救出を頼まれたボンクレーは、息を荒げながら全速力でエースの元へと走る。
寒気がする程力の差を感じたゼファーと戦う友の心配をしながら、しかし、友情の名の下に必ずエースを助け出すと決意を固める。
「麦ちゃん、絶対に兄貴たすけるから死なないでねい……!!」
「──ここから先は一歩たりとも行かせん!!」
「ドゥワッ!!?」
突如巨大な手裏剣が迫り、身を逸らして避けるボンクレー。
「いきなりなァんなのよーう!!?」
「正義の名の下に"火拳のエース"を渡さぬぞ、海賊」
「ここまで来といてまだいるの! まァ、いいわ。アナタを倒して麦ちゃんの兄貴助ける!!」
ボンクレーの前に立ち塞がったのは忍者のような格好をした男。
刀を手にして戻ってきた手裏剣を背に収めた男、ゼファーの部下ビンズはボンクレーを睨み付け、一気に駆ける。
恐ろしい速度でボンクレーへと迫ったビンズは刀を振り、敵を切り払わんと刃が舞うが、ボンクレーはそれを柔軟な体で避け、流れる動作で蹴りを放つ。
しかしそれを察知していたかのように既に開始終えているビンズ。
「アナタも見聞色の覇気ってやつを使えるのね……!」
「無論だ! "鬼の跡目"のおかげで能力は使えぬが、貴様程度モサモサの力を使うまでもない!!」
「がーはっはっ! 舐めてくれるじゃない! あちしはオカマ。オカマは
「覇気も使えぬ雑魚が何を言っている……!」
「あんまりやりたくないけど、友達の為! あちしはあちしを超える!!!」
突如ボンクレーの体が膨れ上がる。
ボンクレーが食らった悪魔の実は"マネマネの実"。他者の顔に触れる事でその相手の顔、体型に変化する事が出来る"マネマネ人間"である。
ボンクレーが変装したのは、遥か彼方で海軍本部元帥センゴク、インペルダウン看守長と激闘を繰り広げる規格外の巨人、"巨大戦艦"ウルフ。
ワールドの能力とウルフ自身の能力で巨大化する前の、ウルフ。
18メートルもの巨体を誇る怪物が突如としてビンズの前に現れた。
「なッ……!!?」
「ガーッハッハッハ!! あちしの能力はコピーした相手の体格まで再現する! 本当は変装しながら戦いたくなんてなかったけど友達の為! 友情の前にプライドなんてクソくらえ!! 覚悟せいや!!!」
ウルフの恐ろしい巨体から発せられるボンクレーのオカマ口調。
己の拳法に誇りを持ってこれまで戦ってきたボンクレーは、友情の名の下に誇りを捨て、約束を果たす為だけに拳を握る。
ボンクレー自身のしなやかな肉体が要である"オカマ拳法"を捨てざるを得ない故、敬遠していたこの戦法だが、その全てを投げ打ち、ウルフの姿になったボンクレーは眼下で立ちすくむビンズへと渾身の拳を放つ。
素の大きさでも規格外の巨体であるウルフに変貌したボンクレーの拳は、しかし慣れない体の大きさを操りきれずビンズに届かず大地を穿つ。
凄まじい轟音と共に大地に大穴が開き、辺り一面に砂塵が舞う。
「やっぱり慣れないわねーい! でもあちし負けない! オカマを封じたあちしは強いわよ!!」
「クッ、馬鹿げている! 任せてくれたゼファー先生のためにも、絶対に負けられん!!」
エース救出も目前。
規格外の巨人に変貌した性別を超越した仁義の人と、能力を封じられど熱き魂を持つ正義の忍者が激突する。
鳴り止まぬ轟音。
吹き荒れる覇王色の覇気。
飛び交う即死の一撃。
戦場各地が気を抜けば一瞬で命を失う最悪の地獄。
次々と崩壊していくマリンフォードの大地と塗り替えられていく気象環境。
人外魔境の大地にて"火拳のエース"は己の命運を天に任せ、静かに決着を待つ。
頂上戦争、決着の時は近い!
頂上戦争にカイドウさんを乱入させる?させない?
-
カイドウさん乱入上等!
-
カイドウさん悔し涙でやけ酒なり!
-
カイドウさん以外にその他大海賊が大集結!