覇王、自由気ままに旅をする。   作:イチゴ俺

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毎週ワンピースが楽しみで、週が始まってほしくないけど、月曜日になってほしい、というジレンマ!
新しい映画の入場特典が欲しいので、もう一度行って参りまする!
たくさんのお気に入り、ご感想、ご評価、誤字のご報告ありがとうございます!!!


第9話"インペルダウンの混乱"

『侵入者です!!! "王下七武海"マーシャル・D・ティーチ、"黒ひげ"とその一味!!! 明らかな敵意をもって獄内へ侵入!!! 目的は不明!!!』

 

 正面入り口の警備からの報告に、猫のような被り物を被った男、インペルダウン副署長、ハンニャバルは口から泡を出して震える。

 

 現在進行形で脱獄を企てる、最悪の世代の一人、"麦わらのルフィ"と"オカマ王"イワンコフ、"革命家"イナズマ。そして彼等によって解放されたLEVEL6の全囚人。

 インペルダウンの歴史が始まって以来、最大最悪の状況。

 最下層から各階の囚人達を全て巻き込み、怒涛の勢いで上る一騎当千の化け物達に加え、LEVEL2では"道化のバギー"が囚人を解放し、脱獄を企てる始末。

 そんな最悪の状況にトドメを刺すように、正面入口から七武海の一人、"黒ひげ"が目的不明のまま侵入した。

 

「こんなもの……!!! 何からどう手をつければいいのだ……!!! LEVEL6の囚人達全てなど、署長の手にも負えん……ッ」

 

 最早、己の責任など言ってる場合ですらない、と言うハンニャバルはかつてない程の絶望感と焦りを覚えていた。

 LEVEL6に収容されていた囚人達は、いずれもが世界でも指折りの強者達。

 覇気や強力な悪魔の実の能力者である彼等が相手では、インペルダウンが誇る最強戦力、マゼラン署長でも一人では厳しいものがある。

 そんな絶望的な状況にハンニャバルは気を失いそうになる中、電伝虫から希望の声が聞こえてくる。

 

『ハンニャバル!! 聞こえるか』

「あ!! ……マ……マゼラン署長ですか!! 今どこに!?」

『今、LEVEL2だ。暴れ出したバカ共の処置を終えた。この階は出口も塞ぎ、直全員が動けなくなる』

 

 マゼランの言葉に驚くハンニャバル達。

 迅速な対応と頼もしさに、安心感を覚えるが、続くマゼランの言葉に気を引き締める。

 

『黒ひげの襲撃の意味は全くわからんが、それよりもLEVEL6のバカ共の処理が優先だ。流石におれ一人で奴等の相手は難しい。不本意ながら……シリュウを解放した。おれとシリュウで挟み討つ……!』

「……!!!」

『今こそ我らが愛する民衆の為に戦う時だ……!! 全身全霊を賭してそこ(LEVEL4)を死守しろ! 直ぐに行く……!!!』

 

 マゼランの言葉に涙ぐむハンニャバルは気合を入れ直し、愛する民衆の平和を守るため、己の職務を全うするため、気合の咆哮を上げる。

 

 世界一の大監獄、インペルダウン。

 唯二つの例外を除き、鉄壁の歴史を誇った大監獄は未曾有の非常事態に陥る。

 たった一人のルーキーの侵入を許した事で、世界から存在を消された大悪党が全て解放され、今尚、解放者は増すばかり。

 協力する事などあり得ぬはずの囚人達が、謎に協力し合い、殺せるはずの囚人を、一人たりとも殺す事が出来ない。

 

 インペルダウンの全職員。この日、命を賭した戦いに臨む。

 

 

□◾️□◾️□◾️□◾️□◾️□◾️

 

 

 メリケンサックを着けた巨大なコアラ、ミノコアラ。

 棍棒を両手に持つ巨大な人型のサイ、ミノリノケロス。

 モーニングスターを持つ巨大な人型のシマウマ、ミノゼブラ。

 インペルダウンが誇る強靭な戦力、獄卒獣三人が、バレット一人に一瞬で倒される。

 周囲では看守達が成す術なく倒されていき、恐ろしい速度で囚人が増え、突き進んで行く。

 

「──みんな、めちゃくちゃ強ェな! 手出す暇もねェ!」

「ヒーハー! 流石っタブルね! ヴァターシ達の出番がまるでナッシブル!!!」

 

 LEVEL6の天井に穴を開け脱出した一行は、LEVEL5、LEVEL4と囚人達を解放しながら進み続けていた。

 先頭を前に、前に進むルフィを先行するのはダグラス・バレット。海賊王の船に乗っていた異次元の強さを誇る怪物である。

 眼前に敵が現れた瞬間、目にも留まらぬ速さで接近し、拳の一振りで全てが薙ぎ倒されていく。

 ここに至るまで一切戦闘を行っていないルフィは、LEVEL6の囚人達の強さに驚く。

 

「フン。この程度じゃ肩慣らしにもならねェ」

「久しぶりの自由だ! てめェら、さんざん好き勝手やってくれやがった看守共をぶち殺してシャバに出るぞォ!!!」

「囚人全て解放して困らせてやろうぜ!!! 海楼石の鎖が無ければ、こんな奴ら怖かねェ!!!」

 

 久しぶりの闘いに物足りなさを覚えるバレットとゲラゲラと笑い暴れ回る囚人達。

 

「そういえば、ダイナーがインペルダウンにやって来た時、どうして分からなかったのかしら?」

「イワさん、数日前電伝虫の映像が途絶えた時がありました。その時かと」

「そんな事もあったわねェ。彼の覇気で電伝虫が気絶したっていうことタブルね」

「あとは、"触れるべからず"に従い、職員達の方で彼の映像のみ映さなかったのでは?」

「なるほどねェ。通りで私達が知らなかったわけね」

 

 イワンコフ達はLEVEL5とLEVEL6の間に、LEVEL5.5、ニューカマーランドという地獄の楽園を作り、潜んでいた。

 各地の電伝虫から獄内の情報の全てを知り、また、看守のゴミの新聞から外の情勢も把握している。

 それにも関わらず、"覇王"ダイナーが"火拳のエース"の元へ来たどころか、インペルダウンに侵入したことすら知らなかった。

 なるほど、ヒーハー! と納得するイワンコフとグラスの中のワインに口を付けるイナズマ。

 しかし、ダイナーの行動のおかげでここまでの戦力が味方に付いてくれたことに、イワンコフはニヤリと笑う。

 

「最悪な状況!! 攻めるなんて、ん〜〜♡ 言ってられない!!! 署長が来るまで持ち堪えるのよ!!!」

「ここを出たら、政府の奴らには地獄を見せてやる。署長が来るまで持ち堪える? お前らにおれが止められるかァ!!?」

 

 己の心情を曲げてまで、インペルダウンを守り抜こうとする扇情的な格好をした女、獄卒長サディちゃんと、それに言葉を返す頭頂部から左目上までに傷がある男、バーンディ・ワールド。

 世界の破壊者と呼ばれるワールドは能力で、己のスピードを100倍にして一瞬の内にサディちゃんに迫る。

 

「ッ!!?」

「歯ァ、食いしばれェ!」

 

 ドガンッ、という轟音と共に殴り飛ばされたサディちゃんは、気絶した獄卒獣へと衝突し、倒れ伏す。

 全身の骨が折れ、己の部下の巨体に押し潰されたサディちゃんは苦痛の声を上げる。

 

「ん〜〜♡ 屈辱的!!! 覇王といい、最近いいことないわ〜〜!」

 

 数日前、非番の日にダイナーと出会った時の事を思い出し、顔を赤らめたサディちゃんは叫ぶ。

 

「──ここが地獄の大砦!!! 何人たりとも通さんぞォ〜〜〜〜!!!」

 

 インペルダウン副署長、ハンニャバルが両側に刃が付いた薙刀、"血吸"を振り回し、ルフィ一行の前にーーLEVEL3への階段の前に、立ち塞がる。

 

「か弱い庶民の明るい未来を守る為!! 前代未聞の海賊"麦わら"!! 私が貴様らに敵わぬのは百も承知! だが!!! ここから先へは、死んでも通らせん!!!」

「けよく言った。後は任せろ……!」

『し、署長!!!』

「まただ……! あのドクのやつ……!!!」

 

 現れたインペルダウン署長、マゼランに、ハンニャバルや看守達が歓喜の声を上げる中、ルフィは己を死の一歩まで追い込んだ下手人を警戒する。

 

「よくもやってくれたな、"麦わらのルフィ"……! どうやって生き延びたのか知らんが、あの時、確実に息の根を止めるべきだった」

「お前に構ってる暇ねェんだ! おれはエースを助けに行く!!!」

「何をふざけた事を……! それによって、罪なき民衆が恐怖を覚える。解き放たれたクズ共によって、命を失う! 脱獄など、絶対に許さん!!!」

「……なら、今度こそお前をぶっ飛ばして、おれは行く!!!」

 

 全身の血流を上げ、身体能力を底上げするルフィ。

 かつてマゼランの毒にまるで歯が立たなかったルフィは、なんとかマゼランを倒そうと考えを巡らせる。

 すると、ルフィ達の後方から更なる敵が現れる。

 

「お前ら、さっきはよくもおれをコケにしてくれたなァ。ぶった斬ってやる」

 

 看守服に身を包み、葉巻を咥えた男、看守長シリュウが額に青筋を浮かべ、後方を塞ぐ。

 

「インペルダウン史上最大の一大事だ。頼むぞ、シリュウ」

「大失態だなァ、マゼラン。おれがいればこんな事にはならなかったはずだ」

「これが終わればどのみち、俺の首は飛ぶ。無駄口叩かないで、やるぞシリュウ……!」

「ハッ! お前との共闘たァ、久しぶりだ!!」

 

 そう言って一気に駆け出す二人。

 迫り来るマゼランにルフィが攻撃を仕掛けようとしたところーー。

 

「お前じゃまだ勝てねェよ、小僧」

「バレットのおっさん!」

「後ろは、我が行こう」

 

 バレットが前方のマゼランを迎え撃ち、拳を放つ。

 かつて同じように拳を叩き付け、毒に侵されたルフィは、声を上げようとしたところ、予想外の光景に目を剥く。

 

「ガファァァッ!!!」

 

 黒く染まり、黒い稲妻が迸るバレットの拳はマゼランに触れる事なく、凄まじい轟音を響かせながら彼を吹き飛ばした。

 

「なんだ!!?」

「凄まじい覇気……!!! これが噂に聞く、触れない攻撃……!!!」

「イワちゃん! 知ってんのか!!?」

「この世界にはヴァナタが知らない"力"がまだまだある……! あれ(・・)はその中でも最高峰の"力"!!!」

 

 ルフィの理解の及ばない戦いは後方でも行われており、愛刀を手に持つシリュウと、看守の刀を奪ったレッドフィールドは目にも止まらぬ斬撃合戦を繰り広げている。

 未来を見ているのではないかという読みに、レッドフィールドが一気に捲し立て、針の穴程しかない隙にシリュウの体を斬り裂いた。

 

「すげェ……」

「いい、麦わらボーイ。ヴァナタがこれから行こうとする戦争は、この化け物達と鎬を削った"白ひげ"がいる。半端な覚悟じゃ、舞台にすら上がれない!!!」

「……覚悟なんて、ここに来た時から出来てる。それに今は、みんながいる! 必ず、エースを助け出す!!!」

「フフ。いいわ! ヴァターシ達が必ずエースボーイを助けられるようにしてあげる!! だから今はこの戦いを見届けましょう。どのみち、ヴァターシ達が加勢したところで彼らの邪魔になるだけっタブル」

「あぁ!! バレットのおっさん! レッドのおっさん! 頑張れ〜〜!!!」

 

 普段は一味の船長として先陣を切り敵のボス達と戦って来たルフィだが、この日初めて応援する側に回る。

 一人の男として、一味のリーダーとして、強敵を倒して来た男は、兄を助けるために自分の心情すら捻じ曲げた。

 

 強烈な殴打を食らって尚立ち上がる毒の怪物を見ると、かつての苦痛が脳裏に浮かぶ。

 背後から感じるプレッシャーは、到底今の自分が勝てるものではないだろう。

 

 しかし、そんな怪物達を薙ぎ倒す味方が心強いと感じる。

 生死の淵を彷徨い、恐怖を知り、そして特級の強者達の戦いの中に身を置いたルフィに一つの変化が生まれる。

 

「なんだ、これ……? 誰がどこにいるのかが、分かる……」

 

 ルフィに生じた一つの変化。

 気配を感じる"力"、"見聞色の覇気"。

 バレットの目にも止まらぬスピードが、凄まじい勢いで倒れていく看守達の気配が、不思議なくらいに感じるようになった。

 

 全てが極まった極限状態の中、バレットやレッドフィールド達の覇気に影響されたルフィは、不完全ながら覇気を覚醒させた。

 戦いの中で成長する覇気は、極限のストレスと極まった強者達により、少しずつ、だが確かに成長していくことになる。

 

 "麦わらのルフィ"。後に"四皇"の一人となる男の見聞色の目覚めである。

 

 

 

 

 

頂上戦争にカイドウさんを乱入させる?させない?

  • カイドウさん乱入上等!
  • カイドウさん悔し涙でやけ酒なり!
  • カイドウさん以外にその他大海賊が大集結!
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