シン・バルタン星人   作:ケツアゴ

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ギャンブル

 地球の神話と現在滞在中の星(名称不明)の神の類似性に関する考察。

 

 ※ この考察は宿主の精神への影響を考慮して伝達をしないものとする。

 

 注目したのは地球出身の宇宙飛行士から得た神話の知識である。

 各地域の文化等々に関する事で妄想・政治都合での創作をされた神話であるが、登場人物である神の名前と役職がこの星の神と共通しており、その適合率からして偶然の可能性は低いだろう。

 この星が別バースの地球なら兎も角として、可能性としてはバルタン星人の情報共有能力に酷似した力を限定的に所有する者がこの星の神(を名乗る存在)を受信、自らの発想と思ったと思われる。

 

 

 ……この考察は現在の星の存在が先である事が前提であるが、地球の創作が先のパターンも存在する。

 

 科学者担当の狂った個体が以前作って危険だと宇宙空間に廃棄した”思考を受信、形状性質を変化する物質”に酷似した物質(以降・仮称ギャンゴ)が天然に存在、もしくは何処かの外星人による精製の可能性である。

 

 ギャンゴの性質が思考及び記憶を現実化・物質として精製する、等だとした場合、地球上の創作の種族や神、調理方法と名称が同じ料理の存在が考えられる。

 

 この星の核がギャンゴだとした場合、光の星の危険人物が天体制圧用最終兵器を使用した場合、宿主を避難させてもギャンゴの消失に合わせて消える可能性もある。

 また、危険物質故にギャンゴの実在を確認しても回収する事は危険だと判断。

 

 

 

 もしくは神を名乗る者達は過去に地球に訪れており、その時の行動が脚色や情報操作によって神話として残った可能性も存在する。

 

 

 ……裏ルートでは神の血も流通しているという。

 入手、解析の必要性が今回の解析で増した。

 

 

 

 尚、現在は宇宙飛行士との接触時に宇宙船に侵入、この星に解き放たれた超極小生物の細胞片の解析を優先する。

 この星の影響を加味し、細胞増殖を行って行うが少々日数が掛かると思われる。

 

 

 以上、地球の神話と現在滞在中の星(名称不明)の神の類似性に関する考察。

 

 

 

 

「ま、待ってくれへん?」

 

「要請、別の手を打ってチェックメイトを遅らせる。返答、却下。チェックメイト」

 

 黄昏の館にて私はロキとチェスを行っている……訂正、行っていた。

 既にチェックメイトを掛けた、私の勝利である。

 私は黒、ロキは白でありチェス盤の上の駒の八割は黒、圧勝であった。

 

 冷や汗を流しながら勝負の延長を懇願するが、賭博が絡んでいる以上は私が頼みを聞く必要性が存在しない。

 

 後ろでは額に手を当てて空を仰ぐ、私の背後にはロキが集めた調度品や秘蔵の酒が積み重ねられていた。

 

 

 

 

 

「チェスか。随分と盛り上がっている」

 

 本日の売り上げは好調、夕方前には食材を使い切った私は早めに屋台を片付け、アーシアに肉体の支配権を早めに渡しても良いかと考慮していた時だ、街の一角に机と椅子を置いてチェスをしている者達が居て、ギャラリーも盛り上がっている。

 チェス盤の横には魔石やヴァリスを詰めた袋、挑戦者は指定された金額を支払い、勝てば机の上の物を総取り……ふむ。

 

 

『あの運営側の人、凄いね』

 

「あれは神だ。神の気配を消しているが間違い無いだろう」

 

『どうして分かる……バルタンだからね』

 

 神と人の違い、それを語ってもアーシアには理解不能だろうが、納得して貰い幸いだ。

 向こうは神の挑戦を禁止しており、狡猾ではあるが……。

 

 全知無能、神の力を封じてはいても知能は現星住民とは比較にならず、だからこその神の挑戦の禁止ではあるが、周囲の神も分かっていながら黙っているのは性格上の問題が見受けられる。

 

 

『分かりきっていた事じゃない? 神様の性格が悪いのって』

 

 肯定、万能(自己申告)故の退屈が精神に悪影響を与えると考察。

 尚、現在屋台の合間の会話から考察する限り、外星人やマルチバースに関する知識は無いらしく、あくまでこの恒星内での万能であり上位存在である。

 

 

 退屈が精神に影響を及ばさない種族など私が認識しているだけでもそれなりに存在する。

 精神的脆弱性は突くべき弱点では無いだろうか。

 

 

「挑戦を宣言。金はある」

 

 さて、ゲーム上での神の知性を調査する良い機会である。

 

 

 

 結果? 先程のロキとの遣り取りから推察可能である。

 

 神に勝ち、面白がって挑戦を申し出たので向こう側の支払額のみを大幅に払う事で了承していたのだが、そこに現れたのがロキである。

 

 

「ウチはそんなセコい連中よりも金出せるで。ホーム来て勝負せえへん? ウチが勝ったら一日中メイド服でホームにおるって事で」

 

『良いよ、バルタン。ちょっと痛い目見せちゃって』

 

 了解、徹底的に搾り取ろう。

 

 

 

「さて、飾られていた個人所有の調度品は手に入れた。ファミリアの共有資産に手を出せないと推察。もう帰っても良いだろうか?」

 

「ま、待てや! ……服とかどうや?」

 

「古着は不要。神ロキが着ていた物という情報も、それが必要な呪詛の使い手以外には不要である」

 

「ロキ、もうその辺で……」

 

 中古の家具屋に売れそうな椅子や机は既に入手し、残りはベッドと服が入ったタンスのみ、酷くさっぱりした室内である。

 

 

 

「とても最大勢力の一角の主神の部屋とは思えない」

 

「誰のせいやっ!」

 

「ムキになって負けに負けた神ロキの責任と主張」

 

「ロキ、反論出来ません」

 

「ぐぬぬぬ……」

 

 中々座り心地の良いソファーに体重を預け、部屋の何処に設置すべきか考察する。

 アーシアは元が貧しい村の出身だからか家具には拘らないが、良いソファーがあった方が良いだろう。

 

 勝負に勝った事への優越感……は存在しない。

 勝って当然の勝負であり、バルタン星人の知性ならば当然の結果であった。

 

 

 

 

「ったく、戦闘能力やらでも異常なのに知能までとか悩み事が無いやろ」

 

「否定。タケミカヅチの代わりとなる従業員が見付からない」

 

 当初は的確だと思ったのだが、性欲とは厄介な感情である。

 バルタン星人には理解不能だ。

 

 

 歓楽街の方に視線を向ける。

 稼ぎ場所としては良さそうだと思ったのだが……。

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃、歓楽街の支配者であるイシュタルは自室のベッドの上で寝転がって手を伸ばす。

 枕元に置いているのはオッタルと共にアーシアが発見したものと、既に誰かが発見してイシュタルの手に入った赤と青の石。

 調べさせた所、その正体は不明とのこと。

 

 

「……ふん。まあ、あの女が手に入れられなかった物と思えば……」

 

 

 

 この時、イシュタルは何となく二つの石をくっつけた……。

 

 

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