シン・バルタン星人   作:ケツアゴ

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間違えてオリジナル入れてた


ヘルメス1/3

「要求、今回の観光旅行とは名ばかりの旅についての説明」

 

 世界観光旅行と銘打っての出し物の内容だが、ヘルメスが信用に値しないのでアスフィに説明を求めた結果、宿泊施設は未定、観光施設や名所も決まっていない、との事。

 

 これが歓楽街跡の復興を祝っての祭りで行われた出し物の賞品、しかもギルドの許可を得て冒険者にも与えられるという事からギルドも予定が杜撰なのを理解しているという事か。

 あの健康状態に著しい不安を感じさせるエルフが着服でもしたのかとの疑念が残る。

 

 ヘルメスとアルテミスを正座させ、両手に光線を発射させる準備をしながら二人の頭に近付け、表情から感情を消し去る。

 

 

『神様って本当にろくでもないよね。人間なんてお人形遊びの人形程度に思ってるんだよ、絶対』

 

 だろうな。

 

 

「うーん、これは隠しておくのは無理だね。正直に話そう」

 

 降参だとばかりに両手を挙げるヘルメスだが表情は相変わらず、信用するに値しない印象を受ける。

 そも、他者の虚偽が見抜けぬのだからどの様な表情であれヘルメスは疑って掛かるべきだ。

 

 故に再びの警告

 

「忠告、一度虚偽の説明をした者の言葉は信用され辛い。警告、虚偽だと判明した場合、指を一本切り落とす」

 

「それって極東の方の責任の取り方だよね?」

 

「肯定、極道がこの様な事をすると教わっている」

 

 包丁は使わない、食材を切る為の物だからだ。

 それは飲食店を営む者としての誇りに反する。

 

 取り出したのは二束三文で買い求めた物である古びていて刃がガタガタのナイフ、これで切られたら相当痛いだろう

 

 ……しかし理解不能である。

 他者に何かを要求したい場合、力関係やメリットデメリットを提示してしまうのが一番だが、どうして虚偽を使って動かそうとするのか。

 

『人形遊びのつもりなんじゃない? もしくはお芝居の監督』

 

 成る程、アーシアの意見に賛同を提示。

 結果、私にはその能力が欠如していた為に装置を使っていたが、全てを共有し全部を共有した生命体であるバルタン星人こそが生物として優れているのを再確認した。

 

 

「実はアルテミスが拠点としている地域にモンスターが出現してね。それがオラリオ外の冒険者では手に余る相手なんだ」

 

「そうか。ならばギルドに正式に依頼を……いや、ギルドも絡んでいたか」

 

「つまりは非公式の依頼って事かい? でも、僕達は冒険者じゃないんだけれどなあ」

 

「それは理解したさ、オリオン。だが、そのモンスターは君が抜いた槍でないと倒せない相手なんだ」

 

 思考の途中、ウルトラセブンとアルテミスの会話が耳に入り、私は二つの推論を行った。

 

 一つ、アルテミスの口にするオリオンだが、宇宙飛行士から得た記憶と合わせればM78星雲、つまりは光の国と同じ辺りに存在し、矢張り地球の神話とこの星の神は深い関係を持っている。

 それこそギャンゴ関連の説が有力になって来た。

 

 この星は地球人の思考の影響を受け、現星住民等の生命体を作り出した、という物。

 とすればダンジョンに関して神が誤魔化すのはそれらを知っており、何かしら……それこそ核がダンジョンである?

 モンスターが人を本能的に襲うのは物語における悪役だからであり、言葉を発する個体は人に屈服した、もしくは友好的な怪物の話が影響……いや、根拠となる事柄が不足している、これは此処までだ。

 

 だが、正解だとした場合、目の前の神を名乗る男は自らの存在が妄想の産物の具現化だと知ってか知らずか人間として作られた相手を使っての人形芝居をしているのか。

 

 

 そしてもう一つ、槍と討伐対象についてだが槍でしか倒せない、という点に疑問が浮かぶ。

 何らかの特性なのか、もしくは……神の遊びで作り出された存在であり、流石にそれを公表出来ぬ故に少数で済ませる気なのか。

 

 決定的な攻撃とならずとも槍の使い手を守る為に大勢を雇うという選択肢にならぬ理由もこれで説明可能だが……。

 

 

「質問、アルテミス・ファミリアは金欠か?」

 

 関係性や娯楽の為にヘルメスが協力したとして、大金を貸さぬ程でないともこれで分かる。

 

 つまりは……。

 

 

「生憎、その男も借金持ちだ。日々利子が膨れ上がる中で冒険者でもないのにクエストを強制される謂われは……」

 

「いえいえ、其れがあるのですよ。彼なら……いえ、彼等なら見過ごせない理由がね」

 

 借金するなり、それこそ天界に戻って本来の仕事をこなすのを覚悟で神の力を行使すれば良い、地上で遊びたいからと巻き込むな、そんな意志を乗せた言葉は横合いから放たれた訳知り声で止められた。

 

 この声自体は初耳だが、声の持ち主が誰かを私は知っている。

 

「おっと、神々への挨拶が先ですね。なにせこの地上における人間の上位存在、礼儀は払わなくては」

 

 その黒髪でスーツ姿の男は急に現れた事に驚いているヘルメス達に近付き、膝を地に突けて深々と頭を下げると名刺を差し出す。

 

 

「神ヘルメス、女神アルテミス、急な来訪、深くお詫びいたします。私、こう言うものですのでお見知り置きを」

 

「”全権委任大使メフィラス”? 所でこの名前が書いた紙、便利だね。俺も真似して良いかい?」

 

 そう、私と同じ外星人であり、一応バルタン星人とは上下関係にあったメフィラス星人である。

 

 今となってはそれは無関係……いや、条約を結んだ以上、一方的に破棄するのはバルタン星人の名を汚す行為となってしまう。

 私一人の判断とはいえ、それは避けたい。

 

 名誉で腹は膨れぬと言う輩もいるし、理解も示そう。

 高度な文明と優れた文化を有するバルタン星人には当てはまらない、それだけの事だ。

 

 

「ええ、私が考案した訳でもないのでご自由に」

 

 ヘルメスと話すヘルメスの次に信用ならない男、それが目の前のメフィラスだ。

 随分と丁寧な態度であり、内心ではどの様に利用する気なのを考えているようだが、ヘルメスは私の関係者らしいのに丁重な態度だからと驚いた様子。

 

 ふむ、ヘルメスがどうなろうと気にはしないが、此方に火の粉が飛ぶのは避けたいな。

 

「ダン、目の前の男は立場が上であり食事に誘った身でありながら自分が多く飲食した席の代金を割り勘にする男だ。信用するな」

 

「……あっ、うん」

 

「ヘルメスの信用出来なさを三とした場合、大凡一だと思え」

 

 一応だがメフィラスは騙し討ちはしない、同族ではなく目の前の存在に限るが。

 他のは知らない。

 

 

「聞こえていますよ、アーシアさん」

 

「聞こえないようにする意図は存在しない」

 

 確かに星間条約は結んでいるが遜る必要と義務は存在しない。

 下に着けども屈服はせず、命令は受けても範囲内で自由にさせて貰う。

 

 外星人への対応などそれで十分だ。

 

「そうですか。それはそうとして、私の調査した結果、アンタレス……今回のモンスターを倒さねばオラリオに影響が出ます」

 

「「!」」

 

 おや、二人が反応した所を見ると本当か、そしてそれならばオラリオ一丸になって行動しない所を見るとアンタレスとやらか槍か……下手をすれば神と人の関係に影響する内容なのだろう。

 

 

「……君は本当に何者なのかな? どうしてそこまで知っているんだい?」

 

「少しばかり情報収集が得意であり、ヘルメス様が想像するよりも多くの事が出来る、それだけです。まあ、今もお二人を正座させている彼女と似た感じだと思って頂ければ……」

 

「ああ……。うん、アーシアちゃんの同類なら」

 

「では、向こうで私の方から説明いたしますので旅のご準備をお願い致します。私はヘルメス様の三倍信用されていますので話が通りやすいでしょう」

 

「アーシアちゃんの同類だね、本当に」

 

「あの子、そんなに変わっているのか?」

 

「旅の途中で分かるけれど、考えない方が楽だぜ、アルテミス」

 

 ……ふん。

 まあ、聞くだけ聞くとしよう。

 

 

 

 

 

 

「さて、アンタレスについてですが、その前に彼、ダン・モロボシもしくはウルトラセブンについてですが、あの説明は良くない」

 

「そうだよな。分かってくれて助かるよ」

 

 神二人から離れ、ターゲットに関する説明の前に切り出された話だが……何か間違った事を言っただろうか?

 

 

 

 

「見た目より十二歳(一周り)以上年上で、二十四歳(二周り)以上離れた相手と年齢を隠して恋愛をしていた、これも重要です」

 

「お前達、僕に何か恨みでもあるのか!? 嘘じゃないけれど、確かにそうだけれど、そもそも僕とアンヌは種族が違う訳だし……」

 

 

 

 

 

 

「あえて言うなら光の星関係の八つ当たりでしょうか。それと此方の地球で同族が光の国と揉めたので」

 

「強いて言うなら光の星関連の八つ当たりだ。他は似たような物である」

 

 元より友好的な星ではない、こんな扱いで十分だ。

 

 

 

 

 

「まあ、それは兎も角、ウルトラセブンがすべき事は地球と変わりません。自己犠牲でどうにもならない場合、大の為に小を切り捨てる。今回も貴方の力では貴方だけを小の代わりには出来ない、それだけですよ。慣れた事でしょう?」

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