シン・バルタン星人   作:ケツアゴ

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憎悪

「オラリオを攻め落とすならば今が好機だ! 謎のモンスターと巨人による被害と混乱、それが収まる前に進軍せよ!」

 

「いや、戦争はもう少し後の予定でしたし、物資はどうするんです?」

 

 オラリオから離れた場所に存在する国ラキア、戦神アレスを頂点とした国家系ファミリアであり、オラリオを我が物にせんと幾度も戦争を仕掛けて連戦連敗、オラリオの住民など気にせず日常生活を送っている程。

 

 

 だが、多くの村を、森を焼いて領土を広げて来た事には変わりない。王子などはオラリオに行きたがっているが、エルフには間違いなく狙われる事だろう。

 

 

 今年も戦争を仕掛け、最終的に恩恵を捨てて戻って来る事になるだろうと多勢に無勢が通じないのを理解する王族は今回はどうやって馬鹿の無茶ぶりを聞きつつ被害を抑えるかを考えていた。

 

「物資など後から運べば良い! 直ぐに用意出来るだけ用意して混乱の隙をつくのだ!」

 

「言わせて貰おう! アンタはど阿呆だと!」

 

「何だと! まあ、良い。実は既に命じてあるからな」

 

「何やってるんだ、アンタは! 地方の方で黒竜が村を滅ぼしたばかりだし、少しは考えろ!」

 

 そう、実はラキアの端の端、ギリギリ領地に入る村が黒竜に襲われたばかりなのだ。

 

 ……実はその村の近くの空間に穴が一瞬だけ開き、異なる場所と時代と繋がり、強い力を秘めたメダルが一枚だけ落ちて来て、それを幼い少年が拾い、更に落としたのを家畜が食べてしまっていたが、メダルは特に反応していない。

 

 

 その後、家畜は何かに惹かれるように現れた黒竜が村を滅ぼした際に丸呑みにされており……。

 

 

 

 

「もう命じちゃったもんは仕方が無いだろう! ああ、それと噂では恩恵も得ていないのに上級冒険者に匹敵する力の持ち主が居るらしくてな、密偵を先に送ったし、本当だったならば引き込んで内と外からの同時攻撃だ」

 

「そんな噂あてになりませんし、本当でも上手く行きますかね? アレス様の作戦ですよ?」

 

「私の作戦だから上手く行くんだよ! 見ていろ。上手く行ったら絶対に謝らせるからな!」

 

 この様にアレスは王族とは何だかんだで仲が良く、国民にも慕われていた。

 

 

 その行動が今までどれだけの悲劇を生んでいたとしても……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 復讐するは我にあり、バルタンが出会ったうちゅーひこうし? のジャミ何とかさんの信仰していた神様の信仰に関係する言葉で要するに悪い事をすれば神様が罰を与えるから復讐なんて止めなさい、って解釈をジャミ何とかさんはしていたらしい。

 

 結局、自分で復讐をしようとした結果、殺されたらしいけれど、ダンさんが言ってた。

 

「そっか、ちゃーんと神様が罰を与えてくれるんだ。ふーん、へー、嘘吐き……」

 

 じゃあ、神様がやった悪い事は誰が罰してくれるの?

 確かにオラリオで悪さをしていた神様って倒されて来たけれど、戦争を続けるアレスは何度負けても送還されてないよね?

 オラリオ、何をやっているのかな?

 

「私の村を襲った連中はバルタンが殺してくれたし、ラキアを率いているアレスは普通に地上に居る」

 

 彼奴、オラリオには負けているけれど他の土地には侵略を続けているし、王族も国民も彼奴を信仰して追い出すとか諫めるとかしていないんだよね。

 

 壁に飾った槍を見る、神殺しの力を持つ槍を見る、量産化と事前の準備さえすれば誰でも使える槍を見る。

 

 

 

『今回ウルトラセブンは口出しをしない事になっている。ラキアは侵略戦争を繰り返しており、奴は数多くの侵略者を始末して来た。そして君は被害者側である』

 

 元々口出しされても私は止まる気は存在しない。

 

「憎しみは消えない、復讐は繰り返す、こんな感じの事を本か何かで目にした事があるけれど……本当にそうだよね」

 

 最初に遭遇した連中はゴモラが潰してくれたけれど、そんなんじゃ私の復讐心は消えない。

 モンスターに大切な物を奪われた人がモンスター全てに憎しみを抱くのと同じ様に私はラキアを、何よりもわざわざ天界から降りて来て戦火を振りまくアレスを許さない。

 

 

 

 

 

「……してやる。絶対に殺してやる」

 

 歓楽街の壊滅の一件で多くの神様が送還されたりオラリオから逃げ出したりで弱体化……とかはしていないっぽい。

 逃げ出したのは心が折れた人達位だし、強い所の神様は自分の立場を理解しているっぽいし減ったのは下級冒険者が殆ど、魔石だって最初の頃は騒ぎになったけれど、結局は質の悪い物ばっかりで……だけど馬鹿は釣れる。

 

 

『アレスの抹殺は構わないが、王族皆殺しは辞めておくのを推奨。代わりに兵士の何千人かに留めておくべき』

 

「……そーだね。ちゃんと王国を維持する為の人達は必要だよ」

 

『主神が居なくなり支配地から反旗を翻らせた場合、敵意を受ける役は必要である。公開処刑は革命の仕上げに丁度良い』

 

「うん! 良いね、それ!」

 

 ふふふふふ。

 

 

 平穏? 楽しい日常? 家族の仇がのうのうと生きているのに心の底から楽しめないよ。

 

 

 

「成る程、寄生型の生物、地球で怪獣の名称で呼ばれる類の生物か」

 

 ウルトラセブンの定期検診の最中、宇宙船内に残った細胞の分析結果からどの様な生物かの詳細なデータを得たが、惑星間侵略用生物兵器でもないのにこの様な生物が数多く生息する地球にて意識の統一化も出来ず非力で知能も低い人類が発展出来た事に疑念が残る。

 

「おや、私が何かしたとでも? 確かに文明を発展させる手助けをしてから支配するのは私が好む事ですが、この次元の地球は私の管轄では有りませんよ」

 

 私からの認識を理解しているのだろう、メフィラスは資料を眺めつつも私の視線から疑念を感じ取ったらしい。

 

「ふむ。それにしても……こんな星をよく侵略しようと思いますね。するにしても手間は最低限、面倒なら即撤退が正解でしょう」

 

「星間侵略用生物兵器に匹敵する生物が自生しており、他の侵略者への対策も必須である。緊急性が無い場合、関わるべきでない星だ」

 

「君達散々言い捨てるな……」

 

 ウルトラセブンも機器から分析終了の音が聞こえてカプセルの蓋が開いたからか起き上がって資料に目を通す。

 呆れているように見えるが、同時に共感もしているらしい。

 

 

 光の星に目を付けられる星とは別の理由で面倒である。

 

 

 

 

 

 

「所で今回の支払いについて値上げを要求する。理由、メフィラスが目障り」

 

「酷いな。別に構わないが」

 

「支払うのは僕なので構うんだが!? ……って、この怪獣、僕は知ってるぞ! 間違い無い、ダリーだ!」

 

 

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