シン・バルタン星人   作:ケツアゴ

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変態と黒幕気取りのフュージョン

「マジで面倒な時期に攻めて来くさって。アレスのアホ、今度は従来通りの対応やと思うなよ」

 

 本来ならば定期的に行われる神会。今回は謎の巨大モンスターや巨人の戦いで歓楽街が壊滅し、弱小ファミリアが殆どではあるが大勢の神が送還された事で生じた混乱を狙い攻めて来たアレス率いるラキアについて緊急で臨時の神界が開かれていた。

 

 不愉快さを露わにしながらロキが口を開き、面倒事を持ち込まれたと他の神も眉を顰めるものの深刻さは薄い。

 

「調査によると随分と無理な行軍をしてるんだろう? 近隣の村とかは大丈夫か?」

 

「そっちは事前に避難勧告して物資と共に離れてるってさ。オーディンが大人しくしてるのは助かるよな」

 

「ダンジョンに出た奴と歓楽街に出た奴等ってイレギュラーが頻繁

 しているし様子見じゃねえの?」

 

 ラキアに関しては何度も侵攻を行い、その度にオラリオの冒険者に叩きのめされ商人達に軍資金も奪われ続けて来た。

 それこそ殺さない手加減の余裕すらあり、混乱が続く今のオラリオでさえ市民の日常を脅かす程では無い。

 

「まあ、今回はアレスのアホを捕まえて暫く戦争なんて出来ない様に徹底的に搾り取るとして……」

 

「あの子がどう出るか、よね。私としては手を汚して欲しくはないのだけれど、言っても力でも止められなさそうじゃない?」

 

 ラキア自体は問題じゃない。今回は無理に侵攻を急いでか従来の様に物資を売りつける形で金を搾り取るのは難しいだろうが、それだけ。

 

 この場の全員が問題視しているのは冒険者ですらない一人の少女。恩恵を持たず第一級冒険者や古代のモンスターを撃退し、神殺しの武器まで手に入れたアーシア。

 

 商売の邪魔をするなら神相手でも容赦しない彼女が故郷の村をラキアの侵攻で滅ぼされた事は周知されており、店が休みの際の温厚な年相応な姿なら兎も角、冷徹な際の姿ならラキア軍を壊滅させかねない。

 

 それこそ大勢の命を、神であるアレスすら例外とせずに奪いかねないとの認識だ。

 

 実際は休みの際に体を使っているアーシアこそが復讐鬼なのだが知る由もなかった。

 

 そして止めるべき言葉も無い。今まで適当にラキアをあしらって来たのはオラリオだ。

 ラキアが壊滅する事で生じる問題を危惧して、そんな言葉をラキアの被害者に向けられる程にはこの場の神の面は厚くないのだから。

 

「まあ、アレスが送還されたパターンも想定しておかんと駄目よな。マジでアレスのドアホは余計な事をしくさってからに」

 

 口には出さずともロキの愚痴はこの場の共通認識だ。アーシアというあまりにも大きいイレギュラーに会議は続くも進展せず、その時へと刻一刻と近付くのであった。

 

 

 

 

「オムライス二皿。カルパッチョ一皿とアイスティーがレモンとミルクとストレート一杯ずつ、五十番テーブル」

 

「注文受諾、分身を増やし調理作業に入る」

 

 先日に発生したラキアの使者による勧誘。同化し記憶を読んだ事により進軍速度を計算、クロッゾという破壊兵器を作る事で名を上げた一族の工作を阻止。息子を連れ戻しに来た男も使者と共に魚を肥えさせる役目を全う。

 

 万事解決、問題は見当たらない。

 

『……善神の誰かが説得に来たら面倒だって思ったけれど来ないね』

 

 アーシアは何処か安堵が見受けられる。復讐という行為に対する世間の評価に基づく妨害を危惧しての物だろう。

 

「疑問へ可能性の提示。復讐の正当性を認めている」

 

 全ての個体が同一個体であるバルタン星人、その中でイレギュラーであるこの身には家族の敵討ちという動機は理解不能。

 己が受けたと同一な被害への怨恨に関しては接続の希薄性が要因と判断。

 

 結論、理解不可能な理由でアーシアの心境に大きな変化が起きている。善悪は問わず、行動への熱意を重視。

 

 ……同時に家族から受け継ぎ成功させた飲食店への影響の可能性大。協力するという契約の全うの為、解決案を模索中。

 

 

 

「やあ、アーシア。随分と忙しいみたいだね」

 

「神デュオニソスに通達。現在我が店舗【バルタン】の席は埋まり、順番待ちの用紙に記名を要望。簡略したメッセージを伝達、順番を待て。客でないのなら帰れ」

 

「相変わらずだなあ。俺は可憐で逞しい小さな花の様子を見に来ただけさ」

 

「そうか。帰れ」

 

 作業中、声を掛けて来たのは優男の見た目をしたメフィラスの同類である神デュオニソス。

 繁殖能力を持たぬはずの身で異性を口説く道具に使っている花を手にして迷惑な事だ。

 

 花弁や葉が床に散乱した場所、速やかに清掃活動を請求すべきと結論。

 

 

 ……あの半精神体の護衛の不在を警戒。変化の理由を確認すべし。

 

「フィルヴィスかい? 彼女ならちょっとお仕事さ。最近目標の為の準備が台無しになってしまって、挽回も難しい。なので面白そうな噂を集めて貰っているよ」

 

「回答を理解。昼日中から葡萄酒によるアルコールの摂取を行いつつ娯楽確保の為に年下の異性をこき使って居るのか。まるでダン・モロボシの様だ」

 

「酷い言い方だ。やれやれ、俺はそんな気は無いさ」

 

 この神の態度には虚偽が見受けられないが、メフィラス同様に胡散臭い何かがある。

 何処か自棄になっている様子も見受けられるが目的の破綻とやらの影響だろうか。

 

『案外ダンジョンの外に作ってた迷宮に関しての物だったりして。ほら、ゴモラがオリハルコンとかを集める際に破壊した場所』

 

 疑問にアーシアが可能性を提示する。あの場所の破壊が何を意味するかは不明だが、メフィラスの同類への嫌がらせに繋がったのならば良しとすべきと判断。

 

 飯が美味い、という奴か?

 

 

「既に目的の達成を確認。花で店内の汚染が発生する前に退店を強く要望する」

 

「塩対応! だが、それが良い!」

 

 

『うわぁ。変態さんだ……。関わりたくない』

 

 「同意。アーシアの精神の安定の為、一刻も早い退店を強く要求する」

 

 

 

 

「通達。生理的嫌悪につき出禁」

 

「生理的嫌悪!? 幾ら何でも酷くないかい!?」

 

 騒がしい。神はどうして此処まで喧しいのやら理解不能だ。

 

 

 因みに祖父と大きい年齢差が無いにも関わらず求婚を匂わせたフィン・ディムナとそれを聞いて暴走したティオネ・ヒリュテも暫く出禁にすべきか検討している。

 

 身と心の二つを守ってこその安全の保障であるからして。

 

 

 

 

 

「ダリーの捜索が難航しているのに変な神まで来るなんて大変だな。胡散臭い腹黒(メフィラス)の同類だなんて何を企んでいるのやら」

 

「この星に来て大きく変質した様ですからね。吸血と寄生能力を除けば別物。しかし年下好みにも程がある変態(ウルトラセブン)の同類とは面倒な」

 

「肯定。面倒である。出方次第では送還を推奨する」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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