『だから、女は乳も尻もデカくてなんぼだって』

長旅のあとようやっと目的地に着いて、適当に入った酒場の隣の卓からそんな下品な会話が聞こえてきた。

「聞き捨てならないな、それはお前の一方的な意見にすぎない」

思わずそう口に出してしまえば、もう止められない。いきなりなんだという不躾な視線を受けながらも、彼は声を大にして叫ぶ。

「未成熟な蕾の体に、大人な精神性が入っている。それこそが何よりも素晴らしいのだ」

なんだ、何だと周囲もこちらを見てくるし、当の隣の卓は変わらず不審気な目だ。
だが、こればかりは譲れない。そのために態々こんな北の果てまで来たのだから。

「いいかい諸君。銀髪のじゃロリこそ至高!! ロリババアであれば至極!!」

わめく狂人と化したその男に、遂に周囲の者は目を合わせることをやめた。
正しい判断であろう。

「悪魔と契約しこの世に生まれ変わった俺が、貴様らに教えてやろう!! 」

店主の要請で、ダンジョン中層まで潜る腕利きの冒険者達に店より押し出されるまで、
彼は声高々に語っていた。

抜けないのじゃロリの話を。ドラゴンの少女と疲れた青年のありふれた出会いの話を。
貴方にもご清聴いただこう。馬鹿なその男の話を────
  シルヴィアは森という意味らしい()
  森には足の生えた蛇が住んでいるらしい()
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