超地球救済戦記!真・ダンザイオーΩ〈オメガ>~戦争もやめねぇ!環境破壊もやめねぇ!バカで愚かな人類は身長170センチ以下で無職童貞ニートの俺が全員滅ぼす!~   作:かにグラタン

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第百九話 20××年 5月7日 その2

第百九話 20××年 5月7日 その2

 

『組織』を裏切り、自由を求め『ブレイズ』に寝返ったナガツキとカンナヅキに『組織』の施設を襲撃され居場所を失くした私たちは予備施設に向かって移動を開始した。

しかし、予備施設は『ブレイズ』の襲撃によって既に炎上。再び居場所を失くした私たち

の前にカンナヅキと武装した『ブレイズ』の軍人達が現れた。

「おっはようございま~すっ!」

カンナヅキが大剣の断罪刀『神無月』を私たちが乗っている軍用車に向かって振り上げる。私は杉本さんを、キサラギは担架に乗せられていたミナヅキの両手に持って、急いで軍用車から脱出する。

カンナヅキが軍用車に向かって振り上げた大剣の断罪刀『神無月』が振り下ろされる。

軍用車が真っ二つになって炎上する。

燃え上がる軍用車の中から『組織』の上層部のメンバーや、負傷したスタッフ達の悲鳴と叫び声が聞こえる。

そして、それは『組織』の崩壊を意味していた。

強力な断罪刀『神無月』の使い手であるカンナヅキの前で、人命救助を優先する余裕は私たち4人にはなかった。

カンナヅキが微笑みながら口を開く。

「車に乗っていた『組織』上層部のメンバーはこれで全員死んだわ、これでもう私たちが争う意味はなくなった」

「なら、あなた達に投降すれば、私たち4人全員を助けてくれるわけ?」

「サツキちゃん、キサラギちゃん、ミナヅキちゃんは助けてあげらるかもしれないけど、杉本さんはちょっと難しいかもね」

「元カレにずいぶんと厳しいのね」

「あら、ミナヅキちゃん、もしかして嫉妬してるの?」

「なら、カンナ、俺たち4人は全員投降する、その代わり、サツキとキサラギとミナヅキは助けてやってくれ」

「ずいぶんと余裕ね、他の女の子達の心配していいのかしら?」

「そういえば、ナガツキがいないですね...」

「さすがキサラギちゃん、するどいわ」

「カンナ...てめぇ、もしかしてナガツキをヤヨイと友助のところに送ったのか!」

「そんなに怖い顔しないでよ~指示を出したのは私じゃなくてアカリさんよ。ホント、杉本さんはヤヨイちゃんが大好きなのね~」

「けっ、カンナ、お前、ヤヨイに嫉妬してるのか?」

「そりゃあ、もちろん、結局、杉本さんは私よりヤヨイちゃんが大事なんでしょう?」

「ああ、その通りだよ!俺の娘だからな、それに比べればお前なんかただの遊びだ」

「ちょっと杉本さん!挑発しないで!」

杉本さんが小声で私に向かって話しかけてくる。

「サツキ、俺が今から5秒数え終えるうちに、キサラギとミナヅキをつれて、ここから逃げろ」

「ちょっとあんたもしかして...!」

「1...2...」

「キサラギ!ミナヅキ!行くわよ!」

私は肩にミナヅキを担いだキサラギの右手を握って、ダッシュで逃走を開始する。

「3...」

私たちの動きから、なにかに感づいたカンナヅキが武装したブレイズの軍人たちに向かって大声で叫ぶ。

「総員退避!」

「4...5...!」

杉本さんの全身が爆発した。

爆炎がカンナヅキと『ブレイズ』の武装した軍人たちを襲う。

「サツキちゃん!杉本さんが!杉本さんが!嫌だ!嫌よ!こんなの!」

「ちょっと、ミナヅキさん、耳元で叫ばないでくださいよ!」

「キサラギ!急いで!」

「わかってますけど、ミナヅキさんが暴れちゃって...」

「キサラギ離して!お願い!離して!杉本さんを助けなくっちちゃ!」

「ミナヅキ...現実を見て!杉本さんの思いを無駄にするようなことを言うのはやめなさい!」

「うあああああああああああああッ!」

私たち3人はなんとか爆炎から逃げきることに成功した。

しかし、キサラギの肩に担がれたミナヅキが子供のように泣きわめくのをやめない。

「サツキさん...杉本さん、もしかして...」

「ええ、たぶんだけど、こういうときのために小型の爆弾でも持ってたのかもね...」

「小型であの威力ですか...カンナヅキさんはもう...」

「あの威力なら、ありえるわね...」

「あの、サツキさん、僕たちこれからどうするんですか?」

「杉本さんだったらきっとヤヨイちゃんを助けに行くと思うわ...」

「ミナヅキの言う通りよ、ヤヨイちゃんを助けることが杉本さんへの恩返しになる」

「でも、確か、ヤヨイさんの所在は昨日いきなり確認できなくなったはず...」

「『組織』の上層部は昨日、『ブレイズ』の襲撃前に所在確認ができなくなったヤヨイに殺害命令を出していたはず、殺害命令ですでに動ていた『組織』のスタッフがヤヨイの居場所を見つけ出しているはずよ」

「とりあえず、そのスタッフに連絡してみましょう」

               *

朝、目が覚めて、顔を洗って、リビングに行くと、銃を持った軍人みたいなやつらが椅子に座っている俺の父さんと母さんを取り囲んでいた。

「げっ!お前らもしかしてヤヨイちゃんを探しにここに来たのか!『組織』か?それとも『ブレイズ』か?」

背後からナガツキちゃんの声が聞こえてくる。

「おっはよう!友助!」

「ナガツキちゃん!どうして、こんなひどいことを!」

「だって、友助のお父さんとお母さんを人質にとれば、ヤヨイちゃんも素直にいうこときいてくれるでしょ?」

「友助...俺達のことは気にするな...」

「父さん!」

「そうよ...この人たちヤヨイちゃんを捕まえに来たんだろ!なら、私たちの事は気にせずにヤヨイちゃんと逃げるんだ!」

「母さん!」

次の瞬間、俺の両親を取り囲んでいた軍人たちが手に持っていた銃が一瞬で粉々になる。

「ふぇ!」

寝室から刀を右手に持ったパジャマ姿のヤヨイちゃんが出てきた。

「おはようございます、友助さん...ちょっと私の後ろに移動してもらっていいですか?」

「は、はい...」

俺はダッシュでヤヨイちゃんの背後に移動する。

銃をヤヨイちゃんに壊された軍人達が俺を捕まえようと、一斉に襲いかかってくる。

「NO!バイオレンス!」

「全員止まりなさい!悔しいのは分かるけど、友助には手を出すなとアカリさんから言わているはずよ!」

「ナガツキちゃん...」

軍人たちがナガツキちゃんの叱責に不服そうな顔をする。

「今回の作戦の指揮権は『断罪刀』を持つ私にあるわ、いいわね?」

軍人たちが悪態をつきながら俺へと離れていく。

「あら、おはようヤヨイちゃん!どうしたの、随分と怖い顔して、もしかして寝不足かしら?」

「これもお母さんの命令ですか?」

「そうよ」

断罪刀を手に持ったヤヨイちゃんとナガツキちゃんがにらみ合う。

俺はヤヨイちゃんとナガツキちゃんのいつかのやりとりを思い出す。

『あっそ、じゃあ、次、会った時はもう容赦しないわよ』

『それはこちらのセリフです』

二人のやりとりを思い出した俺は確信する。

俺の実家が戦場になろうとしている。

 

次回予告 第百十話 20××年 5月7日 その3

 

 

 




次回もお楽しみに!

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