超地球救済戦記!真・ダンザイオーΩ〈オメガ>~戦争もやめねぇ!環境破壊もやめねぇ!バカで愚かな人類は身長170センチ以下で無職童貞ニートの俺が全員滅ぼす!~   作:かにグラタン

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第百九十九話 すべてのはじまり

第百九十九話 すべてのはじまり

 

伊倉アキオの暴走を止めた俺と奈良見と新田はリンクセンター石間に戻った。

女刑事・新田みくが俺をにらみつけてくる。

「そんな怖い顔でにらむなよ」

「にらむわよ、そりゃあ。アンタが最初から『アイツ』について説明してくれれば、私はもっと冷静な状態で伊倉アキオと向き合えた」

「だってお前さァ、最初にアキオのことは絶対に殺さないって俺達に約束したじゃん。でも、お前なんか普通にアキオのこと殺そうしてたから、俺は『アイツ』について話さないといけなくなったわけで...」

「そーですよ、先に約束破ったのはみくちゃんのほうですよ!」

「はいはい、私が悪うございました。そんでとっとと『アイツ』について話しなさいよ」「お前ら、『オルトロス革命』って知ってるか?」

「ええ、今から四十年前にテロリスト『THE翼』が操る巨大人型兵器オルトロスによってこの国の秩序が崩壊した事件でしょ?」

「そう、この国を管理・支配していた『ゼェイジグゥアーとデエンノヴォー』が絶滅したことで、国内で暴行・殺人・強奪が日常的に繰り返されていた。当然、当時まだガキだった俺の両親もその『オルトロス革命』のせいで、強盗に殺された。あの当時はもう、法律なんてなんの役にも立たなかったからな」

「え、石間さんって50過ぎてたんですか?どう見ても20代にしか見えませんけど」

「うるせぇ!色々あって年取れなくなったんだよ!それで両親を失い餓死しかけてた俺の前に『アイツ』が現れた。『アイツ』も俺と同い年でね、女のくせに日本刀なんて持ってた。それで『アイツ』は俺にこう言ったんだ」

『私の仲間になりなさい』

「よく見ると、『アイツ』の後ろには俺とおなじく両親を失ったガキがたくさんいた。俺は『アイツ』が率いるグループ『孤影』に入団した」

「なるほど、親を失って独りぼっちなった人々ばかりで構成されたグループだから孤影ってわけね」

「当時は『孤影』と似たようなグループがたくさんあってな、まぁそういうグループ同士の抗争とかもしょっちゅうあった。そんで、『孤影』は数々のグループを潰し覇道を極め。いつしか俺も『アイツ』と同じ『孤影』のエースになっていた。でも、その過程で多くの仲間が死んで、『孤影』のメンバーは実質、俺と『アイツ』だけになってしまった」

「それじゃあ、『孤影』はグループ闘争で天下は取れたものの、その時にはもう崩壊同然だったってわけ?」

「そうだ。『孤影』が10年近くかけて暴行・殺人・強奪を繰り返すグループを全滅させたことで、国内では少しずつ『秩序』が再生しようとしていた。俺と『アイツ』はこの世界に『秩序』が再生しつつあることを確信して、国を出て、二人旅を始めた」

「石間さんにも彼女がいたんですね...」

「うるせぇ!そんで『アイツ』と海外を旅する途中で俺と『アイツ』はある男に出会った。そいつは自分のことを『断罪王』と名乗った」

「断罪王...!」

「ああ、断罪王は俺と『アイツ』と同じ国の出身だった。そして、俺達の国が一度秩序を失ったものの、徐々に秩序が戻りつつある事を聞いた断罪王は俺と『アイツ』にある力を授けた」

「まさか、その力が『狂撃波動』...!」

「その通りだ。そして断罪王から強制的に『狂撃波動』を授けられた俺と『アイツ』はその日から歳が取れなくなった。断罪王と名乗る男は自分の代わりに俺と『アイツ』に世界を監視してほしいと頼んできた」

「それってどういう意味?」

「どうやら、断罪王と名乗る男自身が今まで、世界中を旅して世界を監視していたらしいんだが、とりあえず飽きたから、その役目を俺と『アイツ』に無理やり押し付けたってことだ」

「なんか、それって得したのか損したのか、よくわからないですね...」

「そんで、その日、『アイツ』が『狂撃波動』で人類を滅亡させたいとか言い始めた。まぁ、長い間戦い続けてきたせいで、おかしくなっちまったんだろうな、仲間も大勢死んじゃったし」

「それで石間さんはどうしたんですか?」

「俺は当然、反対したよ。だって狂撃波動は人間を社会不適合者にしてしまうからな。仮に、この世界中の人間が社会不適合者になったら、みんな労働もせずに暴行・殺人・強奪を繰り返して人類は自滅してしまう。反対するに決まってるだろ!それで俺の意見を聞いた『アイツ』はこう言ったんだ『ゲームをしよう』ってな」

「ゲーム?」

「簡単に言えば、『アイツ』が旅をしながら様々な人間に狂撃波動を放つ、そんで俺が『アイツ』に狂撃波動を撃たれて社会不適合者になっちまった人間を、自分の狂撃波動で正常に戻す。『アイツ』の狂撃波動でさっき言ったみたいに人類が自滅するか?それとも人類が自滅する前に俺があいつの狂撃波動で社会不適合者になっちまった人々を全員、正常に戻して人類を救うことができるか?つまりはそういうゲームだ」

「なるほど、じゃあ、その『アイツ』がきっかけで断罪王現象が発生して断罪者が生まれた、石間君は『アイツ』のせいで人類が自滅しないように、リンクマスターの仕事を続けているってことね」

「国内で狂撃波動が使えるリンクマスターが石間さんだけなのは、そういう事情があったんですね」

「正確には俺と『アイツ』の二人だ。そんで俺はさっき話したことを政府に説明して、政府にリンクマスターという職業を作ってもらった。各国のトップは『アイツ』がきっかけで起きた断罪王現象による人類の自滅を恐れ自分たちの国にリンクマスター協会を設立して、リンクマスターの職業を広めた。もちろん、俺達の国にもリンクマスター協会はあるわけだが。そんで今に至るわけだ」

「いまさらですが、石間さん、不老不死だったんですね...」

「不老だけど不死じゃねぇよ!」

「それで結局『アイツ』の名前は?」

「教えるわけないだろ!」

「どうして?」

「警察レベルじゃ、全員『アイツ』の狂撃波動で断罪者にされて返り討ちにあるに決まってるからな!『アイツ』の名前なんて知らないほうが安全に決まってる!」

「あっそ、なら私は勝手にやらせてもらうわよ、こっちはその『アイツ』のせいで弟を殺されてるんだからね。警察が動かせないなら、私一人でもやるわ」

「もう勝手にしろ」

 

次回予告 すべてのはじまり その2




次回もお楽しみに

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