超地球救済戦記!真・ダンザイオーΩ〈オメガ>~戦争もやめねぇ!環境破壊もやめねぇ!バカで愚かな人類は身長170センチ以下で無職童貞ニートの俺が全員滅ぼす!~   作:かにグラタン

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第二百五話 川口ヨシキ その1

第二百五話 川口ヨシキ その1

 

断罪王現象。それは、ある日突然、普通の社会人が社会不適合者になってしまう現象である。

この現象により社会不適合者になってしまった人々を国は『断罪者』と名付けた。

 

リンクセンター石間に今日も依頼人が訪れる。

「ひさしぶりだね、ヨシキ君」

「はい...お久しぶりです」

そう、川口ヨシキは以前、俺が断罪者から正常な社会人に戻した依頼人だった。

しかし、断罪王現象によって断罪者(社会不適合者)になってしまった川口ヨシキは大量殺人事件を起こしたために、断罪者収容所に収監されていたのだ。

そして、断罪者収容所から出所して、まもなく、川口ヨシキはリンクセンター石間に訪れたのだ。

「それで、最近どうなんだ?俺が紹介した作業所はどんな感じだ?」

「作業所で働くのはとても、楽しいです、従業員は僕と同じ、断罪者収容所を出所した方がたくさんいるので、いじめもありませんし、ただ...」

「なんか、あったのか?」

川口ヨシキは週刊誌を机に置いて、ページをめくる。

そこには、以前、人を殺した断罪者達が心神喪失状態とみなされ、死刑にされずに、社会復帰している現状についての批判的な記事が書かれていた。

記事には川口ヨシキが卒業式のアルバム用に撮った時の顔写真が載っている。

「これは悪質だな、名前は伏せてあるが、顔写真にはモザイクがされていない。弁護士さんに相談したのかい?」

「どの弁護士事務所に相談しても、元断罪者の人殺しの弁護はできないと断られてしまいました...」

「なるほど、まだ、社会に復帰した元断罪者に対する風当たりは強いままなんだな...」

そもそも、諸悪の根源は正常な社会人に狂撃波動を放った『アイツ』だというのに...。

しかし、だからといって断罪者現象の主犯格が『アイツ』だと世間にバラせば、『アイツ』は自分の身を守るために何をするかわからない。

もし、最悪の事態が起きた時、俺一人では対処できないのは確実だ。

だからこそ、俺は断罪王現象の主犯格が『アイツ』であることを世間に隠しているのだ。まぁ、リンクマスターという職業を広めるために、各国のトップには説明はしてあるのだが。

「すまんな、ヨシキ、俺は弁護士の資格は持ってないんだ」

「はい、それはわかっています。僕のしたことは決して許されることではありませんし、世間からのバッシングも覚悟しています。それで、これからが本題なのですが」

川口ヨシキは携帯の画面を俺に見せる。

携帯の画面には、ネットの掲示板に川口ヨシキを殺害したら、賞金5000万円が手に入るとの書き込みがされていた。

「こりゃ、ひどいな」

「ええ、ただの書き込まれるなら、まだしも、実は昨日、作業所からの帰り道に刃物で襲われたんです、しかも3回、犯人は全員、別人でした」

「それで、警察は?」

「3人とも、警察に捕まえてもらいました、それで3人とも、さっき見せた書き込みを見て、僕を襲ったって供述したみたいで...」

「なるほど、つまり、5000万円の賞金欲しさに君を殺そうとする奴らから、守ってほしいんだね。でもそれは俺達の仕事じゃない、警察の仕事だよ」

「その通りなんですけど、警察の方々は僕が元断罪者だってわかった瞬間に、対応が雑になりまして...」

「なるほどね、『人殺しなんだから、殺されても仕方がない』、そう警察に言われたんだね?」

「はい...自業自得だとか、自分の身は自分で守れだとか、色々、ひどいことをたくさん言われました...」

「じゃあ、まず、ネットにその書き込みをした、人を突き止めるのが先だな。そうしないと、ヨシキの命を狙う人間がどんどん増えてしまう」

「協力してくれるんですか!」

「最低限の努力はするさ、でも、君は人に恨まれても仕方がない、別にいじわるで言ってるんじゃないぜ、だから、君を必ず守れる保証はできない」

「はい、ありがとうございます、僕もある程度は覚悟はできてます...」

「とりあえず、知り合いに刑事がいるんだ、そいつに連絡してみる」

数分後、リンクセンター石間に女刑事の新田みくが入室してきた。

「つまり、私にネットの書き込みをした犯人を特定して逮捕してほしいってこと?」

「うん、頼むよ」

「無理ね、だって、川口ヨシキは元断罪者で、人を何人も殺してる、私の弟だって、断罪者に殺されたのよ!私はこの掲示板に川口ヨシキの殺害を依頼した犯人の気持ちがわからなくはないわ!」

「でも、前に言ったろ?断罪王現象の黒幕が『アイツ』だってこと。断罪者も結局、被害者みたいなもんなんだぜ?」

俺の言葉に女刑事の新田みくは苦虫を嚙み潰したような顔になる。

「悪いけど、私はこの件には協力できないわ。でも、おそらく、ネットに川口ヨシキの殺害を依頼するような書き込みをした犯人は、ほぼ確実に、川口ヨシキに家族を殺された被害者遺族の可能性が高いわね」

「そんなこと、俺もわかってる、でも、被害者遺族について調べている間にヨシキが殺されたらどうにもならんだろ!」

「元断罪者とか言っても、所詮は人殺しよ、なら殺されても当然じゃない」

「お前、そんなんで本当に警察官なのか!」

「殺人の前科がある元断罪者をかばえば、警察組織全体が国民からバッシングを受けるのが今の現状よ」

「おまえ、弟の仇をとるために『アイツ』の情報が欲しいんじゃないか?」

「私を情報で釣ろうったってそうはいかないわよ!」

「じゃあ、アイツについてどのくらい捜査は進んでるんだ?ん?」

「...」

「それみたことか、どうせ、なんの進展もないんだろ?」

「わかったわよ...協力すればいいんでしょ、その代わり、『アイツ』についての情報はちゃんともらうわよ」

「おう、約束する」

こうして、大量殺人鬼の元断罪者の依頼人・川口ヨシキを守るための戦いが始まった。

 

次回予告 川口ヨシキ その2




次回もお楽しみに
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