超地球救済戦記!真・ダンザイオーΩ〈オメガ>~戦争もやめねぇ!環境破壊もやめねぇ!バカで愚かな人類は身長170センチ以下で無職童貞ニートの俺が全員滅ぼす!~   作:かにグラタン

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第二百四十三話 山下テツヤ その7

第二百四十三話 山下テツヤ その7

 

科学部部長で稀代の天才マッドサイエンティスト野村の爆弾制作を手伝う俺は、授業をサボって部室で異常行動を繰り返す先輩を見て見ぬふりをしながら、今日もコンビニに自分と野村のぶんの昼食を買いに行く。

コンビニの帰りに俺は先輩の様子を見るために、超能力研究部の部室に戻る。

超研部(超能力研究部の略)の部室の床には脚立が横たわっている。

部室に戻った俺を先輩がいきなり押し倒してくる。

よく見ると天井にも断罪者(社会不適合者)特有の例のイラストが描かれている。

先輩に押し倒された俺はその天井を見ながら、先輩に『されるがまま』だった。

(それで、脚立が必要だったのか...)

十数分後、身なりを整えた俺は、科学部の部室に戻る。

「遅い」

「ちょっと超能力研究部の部室に行ってまして...」

「なんだ、また例の先輩と不純異性交遊に励んでいたのか」

「............部室の床に脚立が横たわってました...多分、先輩が買ってきたんだと思います」「なるほど、今度こそ不純異性交遊に励んでいたのか...」

「どうして、わかるんですか?」

「死んでしまえ、貴様の呆けた顔を見ればそれぐらいわかる」

「まぁ、もうすぐ死ぬかもしれないんですけどね...」

「でも山下は内心、嬉しいんじゃないか?この長い人生の中で愛する女のために命を懸けて悪と戦う、まるで、漫画やアニメの主人公だ。そうつまり、今、貴様は浮かれている!自らの魂に打ち立てた正義という名の十字架に酔いしれている、重症だな」

「ですね...」

「つまらん、実につまらんぞ山下、もうちょっと面白い言い返しはできんのか、それともその例の先輩とやらに部室で精も根も絞り取られてしまったというのか!ああ!やはり死んでしまえ山下!今すぐこの僕のやりきれない魂を救うために死んでくれ山下!」

「安心しろよ、野村...さん...俺が野村の爆弾でカエデを倒せたら、きっと俺も死んでいると思う...」

「まさか、全身に爆弾でも巻きつけて、そのカエデとかいうバケモノ女と共に爆発でもするつもりか?」

「ええ、先輩がカエデの呪縛から解き放たれたら、先輩はもう俺と秘密を共有する必要性がなくなるんです」

「でも、山下はその先輩とやらの殺人の証拠隠滅に加担した、カエデが死んでも山下とその先輩は人には言えない秘密を共有することになる、そうだろ?」

「ええ、でも仮にカエデを殺して生き残っても僕と先輩はまだミセーネンですから、自首するつもりです。自首すれば大した罪にはなりませんし、二十歳を過ぎてショーネンインを出れば僕と先輩はそれまでなにもなかったかのように今とは違う名前で新しい人生を生きていくんです。つまりそういうことなんです。でもカエデにこの国の法律は通用しません、カエデが生きている限り、先輩は生きていくためにずっとカエデの言いなりです、だからカエデだけは殺さなくてはならないんです」

「ふむ...なるほど、まったくミセーネンとはいいご身分だな。それより爆弾できたぞ山下。すごいぞこの小型爆弾は、あの以前話した不埒な暴走族共を全員あの世送りにしてやった発展途上国のテロリスト共も真っ青な超高性能小型爆弾だ!」

野村から小型爆弾の使い方を教えてもらった俺は、小型爆弾を通学カバンの中に入れる。

「バカ者、所持品検査でセンコーにバレたらどうするつもりだ、山下研究員」

「じゃあ、どうやって、家まで持って帰れば...」

「パンツに入れろ」

「パンツ?」

「ああ、パンツだ。パンツならいくら教員でもチェックできまい、仮にチェックされても小型爆弾の発見と同時に山下の在学権利もセンコーどもの教員免許も剥奪されること間違いなしだ」

「間違ってパンツの中で爆発したらどうするんですか!」

「誰が作ったと思ってる!そんな怪奇現象は絶対に起こらん!多分!絶対に!」

「今、多分って言いましたよね?」

「山下、人生は何が起こるかわからんから面白いのだ、わかったか、つーかわかれ!」

「作戦決行日、野村...さんも同行するんだよな?」

「無論だ」

「連絡先交換しますか?」

「男の連絡先などいらぬ、安心せい、小型爆弾にはGPSが搭載されている、小型爆弾の位置がすなわち山下の現在位置を特定してくれる」

「なるほど、じゃあこっちから連絡する必要はありませんね」

「うむ、作戦決行日が楽しみで、楽しみで作戦決行日まで夜も眠れん...ああ!未知との出会いが僕を待っている!」

俺はパンツの中に小型爆弾を入れた状態のまま、科学部を出た。

超能力研究部の部室に戻った俺を待っていたのは、部室のクッションの上で、まるでダンゴムシのように丸まっている先輩の姿だった。

「後輩!アレが食べたい!」

「なんでしょ?」

「おでん」

俺はパンツに、野村が制作した発展途上国のテロリスト共も真っ青な小型爆弾を入れたまま、近所のコンビニでおでんを買ってくる。

「どうぞ」

「うむ!」

先輩はアツアツのおでんを食べながら、嬉しそうに『あっちぃなァッ!』と言っている。

「後輩は食べないのか?」

「ええ、僕はこのあと塾があるんで」

もちろんウソだ。

自宅に帰った俺はパンツから取り出した小型爆弾を黒いガムテープで巻きつける。

鏡で自分の姿を見る。

全裸の状態で、小型爆弾を全身に黒いガムテープで固定したその姿はまさに狂人だった。

自分の姿を鏡で見た俺はふいに、真夏の空の下、海に設置したセットの上で全身を黒いガムテープのようなにかを身にまとった状態で踊るアーティストのPVを思い出した。

俺はその上から衣服を身に着け、押入れからアルバムを取り出して、読む。

読みながら今までの自分の人生を回想する。

そして、深夜、俺はカエデに以前、耳打ちされた場所に向かうために自宅を出た。

約束の場所へ向かう途中、俺の横で一輪車に乗った誰かが止まった。

両手を広げたまま一輪車に乗っていたのは迷彩服に身を包んだ野村だった。

全身に迷彩服をまとった野村は何も言わず、親指を立てて俺にウィンクをする。

野村はおそらく俺の全身に巻きつけられた小型爆弾のGPS情報から、俺が行動を開始したのを察知したのだろう。

深夜の道を、全身に小型爆弾をまとった男と、両手を広げながら器用に一輪車を乗りこなす迷彩服の男が決戦の場所に向かっていく。

 

次回予告 山下テツヤ その8

 




次回もお楽しみに
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