超地球救済戦記!真・ダンザイオーΩ〈オメガ>~戦争もやめねぇ!環境破壊もやめねぇ!バカで愚かな人類は身長170センチ以下で無職童貞ニートの俺が全員滅ぼす!~   作:かにグラタン

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第二百四十四話 山下テツヤ その8

第二百四十四話 山下テツヤ その8

 

山下テツヤは先輩である西村アサリを桜原カエデの呪縛から解放するために、野村と共に以前、カエデに耳打ちされた住所を元に、決戦の地へ赴く。

「それにしても、なんだここは...たまげたなぁ...」

野村が驚くのも仕方がない。

依然、カエデが俺に教えた住所の場所には、ごく普通の一軒家が建っているだけなのだから。

「しかも、表札にはご丁寧に、ちゃんと桜原って書いてあるぞ!」

「つまり、ここは単純にカエデの自宅ってことですね」

「山下よぉ、なんか想像してたのとずいぶん違うんだが...」

「野村さんはいったいどんな場所を想像していたんですか?」

「そりゃあ、お前の話が本当なら、桜原カエデは人知を超えた存在だ、当然、なんか怪しげな研究所とか軍事基地を想像するだろ?だがしかし、その人知を超えた存在が、一般人と同じような家に住んでいる、こりゃあいったいどういうことだ?」

カエデの自宅のドアが開かれ、中からカエデが出てくる。

「夜中に人の家で言いたい放題言ってくれちゃって、いったい何の用かしら?」

「何の用も何も、山下にここの場所を教えたのはアンタだろう、桜原カエデ!」

「確かに山下テツヤは誘ったけど、あなたを誘った覚えはないわ...あなた...いったい誰なの?」

「僕は野村だ、三年二組で出席番号16番で稀代のマッドサイエンティストで科学部部長の野村だ!」

「ふ~ん、あっそぉ、まぁ、いいわ、二人とも今日はもう夜遅いわ、とっとと家の中に入りなさい...」

こうして、俺と野村は若干戸惑いながらも、カエデの自宅にお邪魔することになった。

「「お、お邪魔しまぁ~す」」

「ちょっとそこ座ってて、今、お茶入れるから」

カエデの家のリビングの椅子に腰を下ろした俺と野村は、カエデが淹れてくれた緑茶を飲む。

「やっぱり、日本人は緑茶よね...」

「そ、そうっすよね...」

移動用に使っていた一輪車を肩に担いだ野村が小声で俺に話しかけてくる。

「なぁ、山下」

「はい」

「はいじゃねぇよ、お前、今日ここにカエデを殺すために来たんだよな?それがなんで、そのカエデの自宅で茶ァ飲んでいるんだ?」

「とりあえず、様子を見ましょう...」

「なによ、二人ともコソコソしちゃって、私も仲間に入れなさいよ...あ、そうだ、せっかくだからトランプでもやる...?」

「桜原カエデ、あんたはあの日、どうして、俺にここの場所を教えたんだ?」

「そりゃ、山下テツヤ君、あなたが面白い子だからよ...」

「面白い...?」

「ええ、私の『生徒』達は皆、真面目な子達ばかりだからね...『生徒』達のなかに一人ぐらい、教師に反抗的な生徒がいたほうが、面白いでしょう?」

「それは、つまり、俺にアンタの仲間になれってことか?」

「その通り...でも、無理強いはしないわよ...お隣のお友達と相談してよく考えなさい...」

「一つだけ、提案があります...」

「なにかしら?」

「僕が仲間になるかわりに、先輩から狂撃波動の力を抜いてくれませんか?」

「それは、つまり、あなたの先輩、西村アサリを普通の人間に戻せと?」

「はい...」

「無理ね...能力をアサリちゃんから抜き取るのは可能よ...でも、私に力を抜かれた人間は皆、死んでしまう...それはアサリちゃんにも説明したはずよ...まぁ、最初に会った時点じゃ、多分私の言ってることなんて現実離れしすぎて、1ミリも信じていなかったんでしょうけど...」

「なら、交渉決裂ですね...」

俺は全身に巻きつけられた小型爆弾を爆発させるスイッチを押す。

しかし、爆弾は発動しない。

そして、つぎの瞬間、野村がカエデに向かって放った閃光手榴弾が室内を光に包む。

そう、カエデが影を使って相手の動きを止めることを事前に山下テツヤから聞いていた野村は閃光手榴弾で室内を光で包み、カエデの戦闘スタイルに必要な影を一時的に使い物にならない状態にしたのだ。

そして、野村はその隙に、『本物』の小型爆弾をカエデに向かって、何度も投げる。

カエデに向かって小型爆弾を投げまくった野村はそのまま、山下テツヤの手を引いて、カエデの自宅から外に出る。

カエデの自宅が爆発する。

俺と野村は、その爆音を聞きながら、爆発に巻き込まれないように、とにかく走る。

「はぁ...はぁ...野村ァ...俺にくれた、あの小型爆弾...偽物だったのか...」

「当たり前だ、化学は人を幸せにするためにあるんだ、友を人間爆弾にするためにあるんじゃない...」

「ケッ...まったく、大した奴だ...」

「まだ気を抜くのは早いぞ、山下...とりあえず、カエデがあの爆発から生き延びたことを想定して、明るい場所に避難しよう、光の多いところなら、ヤツの武器である影も、できにくいはずだ...」

「了解...」

コンビニに入った俺達はとりあえず、飲料水を買って、店内で飲む。

商品を買ったのに外に出ない俺達にコンビニの店員が怪しげな視線を送る。

コンビニの自動ドアが開く。

コンビニに侵入してきた、まるで蛇のような黒いなにかが、俺と野村に向かって襲い掛かってくる。

「ウソ...だろ...あれは、まさか...!」

「間違いない...あれは爆弾でダメージを折った状態の桜原カエデだァ!山下ァ!すごいぞォ!僕たちは今ァ!いまだかつて誰も見たことがない未知の現象を目の当たりにしているんだァ!ヤツを生きたまま捕獲できれば、僕の名前はこの世界の科学の歴史に一生語り継がれることになるだろう!キィエアアアアアアアアアアアアアアッ‼」

「喜んでいる場合か!」

俺と野村は店内を回り道しながら出口に向かって全速力で走る。

目の前の非現実的な光景に興奮しきっている野村は店内に店員と客がいるにもかかわらず、我を忘れた状態で口から奇声を上げながら、自家製の小型爆弾をまるで、節分の豆まきのように、黒い何かと化したカエデに向かって投げまくる。

コンビニの出口に向かって走る俺と野村は当然、店内の爆発に巻き込まれる。

背後から襲い掛かる爆風によって、俺と野村はコンビニの外に放り出される。

「山下...まずいぞ...これでは、アイツを生きたまま捕獲できるかどうか...」

「野村ァ...お前、自分がなにをしたかわかってるのか!」

「ああ。わかってるさ...僕は目の前の怪奇現象に夢中になって、店内の店員や客の命を無視した...でも、山下、店員と客の避難誘導なんてしてたら、俺とお前は死んでいた、ちがうか?」

「そ、それは...」

「お前は確かに、先輩とやらを救うために、カエデと共に今日、自爆するつもり、死ぬつもりだったのかもしれない...でも僕にはそんなの関係ない、僕は見てみたいんだ、科学の常識をぶち壊すような現象をね...」

「お前は俺に、化学は人を幸せにするためにあって、友を人間爆弾にするためにあるんじゃない、と言った...あれはウソだったのか...!」

「ウソじゃない...でも、桜原カエデの異形を見てしまった以上、僕はもう、自分の好奇心を自分で止めることができない...すまんな、山下...僕はもう、僕が欲しいものを手に入れるためだったら、どんな犠牲もいとわない...」

爆炎を上げるコンビニから、あの黒い何かが出現する。

「山下、見ろ...『アレ』はすばらしい耐久力だ...」

変わってしまった友の姿が山下テツヤの胸を締めつける。

決着の時は近い...。

 

次回予告 山下テツヤ その9

 




次回もお楽しみに
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