超地球救済戦記!真・ダンザイオーΩ〈オメガ>~戦争もやめねぇ!環境破壊もやめねぇ!バカで愚かな人類は身長170センチ以下で無職童貞ニートの俺が全員滅ぼす!~   作:かにグラタン

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第三十七話 断罪王Σと不思議系美少女ミドリ。人の仕事のやり方ににブツブツと自分の価値観を押し付けてくるやつはちゃんとヘルメットをして一輪車で会社に出勤しろ!

第三十七話 断罪王Σと不思議系美少女ミドリ。人の仕事のやり方ににブツブツと自分の価値観を押し付けてくるやつはちゃんとヘルメットをして一輪車で会社に出勤しろ!

 

 

僕は公園のベンチに座ってボーッとしていた。

「おじさん、おもしろい顔してるね?」

白のニットに茶色の長いスカートが特徴的な髪の長い美少女が僕に話かけてきた。

僕の手は反射的にその美少女の頬を叩く動作を開始していた。

僕の手が美少女の頬に直撃することはなかった。

でも、僕の目の前には美少女は存在した。

「残念でした!ミドリの完全勝利!」

幽霊...?

「今、ミドリのこと幽霊だと思ったでしょ?残念でした!ミドリの完全勝利!」

「君は、ミドリっていう名前なのか」

僕はそう言いながら右足をミドリちゃんの顎に向かって振り上げる。

「私に質問しながら攻撃すれば、当たると思ったんでしょ?残念でした!ミドリの完全勝利!」

ミドリちゃんは僕の心が読めるのか?

僕はベンチを持ち上げて時計回りに振り回す。

しかし、ベンチはミドリちゃんの体に当たらない。

攻撃が当たる瞬間だけ、一時的にミドリちゃんの体が透明になってしまうのだ。

「残念でした!ミドリの完全勝利!」

僕の正面にいるはずのミドリちゃんの声が背後から聞こえてくる。

「今、私が目の前にいるのに、どうして後ろから私の声が聞こえてくるんだろうって思ったでしょう?ミドリの完全勝利!」

後ろを向くとミドリちゃんがいる。

前を向くとミドリちゃんがいる。

右にも、左にもミドリちゃんがいる。

僕が新たに出現したミドリちゃんの存在を五感で確認するたびに、ミドリちゃんが増えていく。

十人、二十人、三十人。

僕のいる公園がミドリちゃんでいっぱいになる。

ミドリちゃんは増えるたびに、僕の動揺を指摘して、僕をあざ笑う。

これは、いったい、何がどうなっているんだ?

「シンゴォォォォォォォォーッ!」

僕の衣服は粉々に破れ、筋肉が膨張し、皮膚を鋼鉄の装甲が覆う。

断罪王Σに変神した僕は全身の毛穴から超高熱のビームを全方位に発射する。

無数の超高熱のビームが大量発生したミドリちゃんの体に直撃し、公園内が爆炎に包まれる。

しかし、公園内に死体らしきものは確認できない。

そして、目の前の景色が突然、虹色になり、歪み始める。

上からミドリちゃんの声が聞こえてくる。

「さっきのビームあんまり意味なかったね。残念でした!ミドリの完全勝利!」

上を向くと、空がミドリちゃんになっていた。

「うああああああああああああああああッ!」

僕は目の前で起きている現象に恐怖の叫び声を上げることしかできなかった。

木がミドリちゃんになっているのを確認して、地面に目を背けると、今度は地面がミドリちゃんになっていた。

地面から目を背けて遊具に目を向けると、今度は遊具がミドリちゃんになっていた。

「無駄よ、何度現実から目を背けても、おじさんが見るものすべてがミドリになるの。景色も空気も世界そのものがミドリになるから、おじさんがどうあがいても、ミドリの完全勝利なの」

僕は全身の毛穴からまた無数のビームを周囲に向かって一斉発射した。

僕の周りにいる、様々な物体になったミドリちゃんが爆散していく。

「無駄だよ、おじさん。そんなことしても、ミドリにはたどりつけない」

公園は僕の攻撃で焼け野原になっていた。

見晴らしの良くなった公園から見える四方八方の家やマンション、アパートがミドリちゃんに変化する。

僕は全身の毛穴から、無数のビームを一斉発射する。

周りの家やマンション、アパートが爆発する。

瓦礫の山と化した、住宅、マンション、アパートからはミドリちゃんの遺体は出てこなかった。

「はい残念、ミドリの完全勝利!」

瓦礫の山を形成している、家の残骸の数々がミドリちゃんになる。

僕はもう、ミドリちゃんの存在そのものを見て見ぬふりすることにした。

僕は変神を解除して全裸のまま、移動を開始する。

しかし、建物が電柱が自動車が、すれ違う人々がミドリちゃんに変化する。

「無駄だよ私のこと無視しても、現実はなにも変わらない。残念だったね、ミドリの完全勝利!」

現実...?

そうか、そういうことか!

ミドリちゃんは現実そのものだったのだ。

僕は目に見えるすべての景色がミドリちゃんになる現実を拒絶せずに、全て受け入れることにした。

そうすると、それが僕の中で常識化して、いつからか全く違和感を感じなくなっていた。

公衆トイレに写る僕も、もちろんミドリちゃんになっていた。

空気も文字もこの世のありとあらゆる景色と現象がミドリちゃんになったのだ。

それの、なにが悪いんだ!

人の世界と価値観は時間と共に常に変わっていく。

それと同じことだ。

僕はいつしか、全ての理由において当たり前の存在と化したミドリちゃんについて考えるのをやめていた。

当たり前のことは、当たり前のことなのだ。

なぜ地球上に空気があるのか、疑問を抱いても抱かなくても、地球上に空気があるのと同じように、僕はもうミドリちゃんについて考えるのをやめてしまった。

でも、それはミドリちゃんの存在を無視することと同じ意味を持っていた。

目の前のミドリちゃんが悲しそうな顔をしている。

この世の全てにおいて当たり前の存在と化したミドリちゃん。

そして、その当たり前のことについて疑問を抱くことをやめてしまうということは、世界中の全ての人びとがミドリちゃんについて考えるのをやめてしまうのと同じなのだ。

「おじさんも、みんなみたいに私を無視するんだね」

「別に無視なんてしてないよ、ミドリちゃんは人間の血の色がどうして赤いのか知っているかい?」

「そんなの、考えたってどうしようもないわ」

「それと同じさ、ミドリちゃんがこの世界のありとあらゆるものに変化したところで、僕もみんなもいつしかその原因について考えるのをやめてしまう」

「私はただ、みんなに私の存在を理解してほしかっただけなのに、私が話かけた人間はいつも私について考えるのをやめてしまう」

「君はおそらく、幽霊でもなければ、超能力者でもない、この世界の人間の概念では説明できない存在。故に誰からも理解されず、気がついた時には忘れ去られている。人間はみんな考えても仕方のないことより、考えて楽しいことを優先する生き物だからね」

「そう、人々が常に楽しさを追及する生き物である限り、私の心は満たされない」

「ミドリちゃんは孤独だったんだね」

「私の存在を理解してくれたのはおじさんがはじめてよ」

「僕には昔、僕にしか見えない友達がいたんだ、不思議だろ?」

「ええ、不思議ね」

「人々は自分たちの価値観で解決できないことは全て不思議の三文字で片付けてしまう。つまり考えるのを拒否してしまう」

「それって、私の存在そのものね」

「ああ、君は不思議だ。だから、もう僕は君にはもう興味がない。君が僕の目の前でどんな怪奇現象を起こしても、それは不思議なことで完結してしまう」

「もう興味がないってことは、私に興味があった時もあったの?」

「ああ、もちろんさ。だから君が周りの人間たちにしてきたことは、自覚がなくても、少なからずその人間の中に残っているんだよ」

「そうなのかな?」

「ああ、きっとそうさ」

ミドリちゃんが嬉しそうに笑っている。

それが僕が最後に見たミドリちゃんの姿だった。

それ以降、空も木も大地も、この世のありとあらゆるものがミドリちゃんに変化することはなかった。

もしかしたら、本当は空も木も大地も、ありとあらゆるものがミドリちゃんに変化している現実について、僕の脳が考えるのをやめてしまっているだけかもしれない。

それでも、僕はまだ、ミドリちゃんのことを覚えていた。

 

次回予告 断罪王Σと就活美少女マキネ。職場でえこひいきをするやつは毎朝中身が白飯のみの弁当を作って昼食時に便所で食べろ!

 

 

 




次回もお楽しみに
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