ガデテル小説書いている方と同じ課題で1作書いてみようという事になりました。
テーマは「ホラーガデテル」
東北地方のとある妖怪をベースに書いてみました。
雰囲気は流行り神や死印、NGをやってましたのでそれを出せたらなあ…といった感じです。
とある夏の浮遊城。燦々と太陽が照りつける日。
「ああもう!暑いったらありゃしない!」
パラソルが設置されたベンチで、暑い暑いと言うのはマリアン。
「ちょっと暴れないでよ、ただでさえツラいのに余計に暑くなる」
その隣で缶ジュースを飲むソヒ、さっき買ったばかりなのに中はもうぬるくなっていた。
「はぁー…空を飛んでいるから涼しいと思ったら、雲もない上に太陽に近いからね〜」
そんな2人にヘラヘラしながら会話するのはガーディアンの女騎士だ。
「きゃははは!つめたーい!」
3人の目線の先には浮遊城に流れる水辺で白き野獣のシロと遊んでいる姫さま。
姫さまは女騎士がこちらを見ていることに気づくと楽しそうに手を振る。
女騎士も笑顔で姫さまに手を振りかえす。
「この暑さでも姫さまは元気ねー、羨ましいわ」
「ならアンタも混ざれば良いじゃない」
「いや、水遊びとかそういう歳じゃないし…」
「そう?アンタより長生きしてそうな奴も水辺にいるけど?」
マリアンはとある場所を指差す。
ソヒと女騎士が見たのは、ぷかぷかと水辺に浮かぶアオバ、流れるプールの要領で水路を移動していた。
「アオバのやつ何してんの!?」
思わず立ち上がりツッコミを入れるソヒ、しかしすぐにベンチに座る。
「ああ、急に大声出すからまずます体温上がったんだけど…涼しい部屋で休みたい…」
「姫さまを見るようにみんなで決めたんだからちゃんといないと」
「くっ…今頃みんな旅館でココの氷魔法で涼んでいると思うと腹立つわ」
拳を握り、悔しがるソヒとマリアン。
「もうこの場で涼しくなる事を考えないと」
「姫さまと一緒に水遊びでもするの?」
「悪いけど日焼けはNGだから」
女騎士の提案にインドアな2人からは動きたくないという意見が出る。
「なら怖い話とかどう?」
「怖い話ねぇ…この前マギトンバスターを整備してたら螺子が一本余ったわ」
「こっわ!ちょっとソヒ、変な事言わないで!」
「怖いけど、ちょっと違うような…」
銃を扱う者であれば震える話であるが何か違う気がする女騎士。
「じゃあ脳筋君が話してよ」
「私?」
「そうね、言い出しっぺなんだし話すべきね」
「じゃあ私が訓練兵時代に聞いたとっておきのを1つ」
女騎士はソヒとマリアンの方に顔を近づける。
「これは先輩の先輩から聞いた話なんだけどね…」
「新入り、ボサっとすんな!」
「先輩!待ってくださいよ!」
カンタベリー王国のとある森の中を2人のガーディアンが歩いていた。2人はとある任務の為にこの森のある場所へと向かっている。
「新入り、移動がてら今回の任務について再確認するぞ」
「はい!」
先輩ガーディアンは歩きながら、今回の任務内容を話し始める。
「今回、我々が向かうのはこの森の奥にある屋敷、通称“梟屋敷“だ、古い建物らしく取り壊す事になった、その事前調査をする為に我々が向かう」
「取り壊す前の調査なら何もガーディアンでなくても良かったのでは?」
「お前、任務書読んでないのか?…失踪者が出たからだ」
「失踪者ですか?」
「ああ、1週間前に梟屋敷で肝試ししていた若い奴が1人いなくなって今だに見つからまま、失踪が魔物の仕業かもしれないから上層部が危険と判断し、軍陣の設営経験のある我々が赴く事になった」
「さっきから気になってたんですけど、何で梟屋敷って名前なんですかね…」
「それはだな…」
『ホホーゥ』
突如、自分達の周りから梟の鳴き声が聴こえてくる。
あたりを見渡すと梟が何羽か木に止まっていた。
「とまあこのように、この辺りには何故か梟がやたら多く生息しているんだ」
その時、ゾクリとした視線を新人ガーディアンは感じる。
辺りを見回すが、ここにいるのは自分と先輩そして梟達だ、梟はさっきより数が増えている気がする。
「せ…先輩?何だか梟達、私達を見てません?」
「何言ってんだ?そんなわけないだろう」
先輩ガーディアンは気にせず森の奥へと向かっていく、新人ガーディアンもなんとも言えない不気味さを抱えつつもついて行った。
館に到着した2人は早速、扉を開けた。
「外観も中も思っていたより綺麗だな」
「うう、不気味ですね」
「では調査を行うが、さっき話した通りこの館で失踪者が出てるからな、何が起こるか分からんから絶対に離れるなよ」
「了解です!」
2人は館の1階、2階と調査を行う。
「む…ここにもか」
先輩ガーディアンは部屋を開けるとある物を凝視する。
「木彫りの梟…どの部屋にも置かれてますね」
2人は館中の部屋を調べて回ってたが、形や大きさに差はあれど、どの部屋にも木彫りの梟が置かれているのに気づいた。
「そうだな、何だってこんなに置いとく必要があるんだ?」
「う〜ん…分からないです、流石は梟屋敷としか言えませんね」
新人ガーディアンは木彫りの梟を手に取る。
ギ…ギギギ…
その時、不気味な音と共に梟の首が1人でに動きこちらを見る。
「ひっ…!」
思わず持っていた木彫りの梟を投げ捨てる。
「どうした!?」
「い…今…梟の首が動いて…」
先輩ガーディアンは落ちた木彫りの梟を拾い、手に取ると調べ始める。
「ん?この梟、首に稼働部なんてついてないぞ」
こちらに木彫りの梟を見せる先輩、確かに首などに稼働部はなく、おかしい所はない。
「あ…あれ?でも確かに」
「まあこんな不気味なところにいると色々とおっかなく見えてしまうかもな、あとは地下室を調べてさっさと帰ろう」
「は…はい」
先ほどのは見間違いだと思いつつ、地下室へ向かう事にした。
地下室には通じるドアは一つのみ。
「む?ドアが開かん」
鍵がかかっているのか、はたまた立て付けが悪くなっているのか押しても引いてもドアは開かない。
「取り壊す予定の建物だしいっそ壊すか」
「ちょっと待ってください!どれどれ…」
新人ガーディアンがドアノブに手をかけると、何もないようにドアが開いた。
「あ、開きました」
「暗いな、明かりをつけろ」
部屋に入り、腰に携えていたランプに火をつける2人。
「おわっ!」
「ひぃ…‼︎」
目の飛び込んできた光景に2人は悲鳴をあげる。
そこには棚から床までこれでもかと置かれた大量の木彫りの梟達、そして部屋の中央では女性が倒れていた。
「おい!アンタ大丈夫か?」
すかさず先輩ガーディアンが駆け寄る。
「う…」
「意識はあるな、新入り!調査は一旦中止だ、戻るぞ!」
「はっはい!」
先輩ガーディアンが女性を担ぐ。
バタン!
突如部屋のドアが閉まる。
「おい新入り!なぜ閉めた!?」
「し…知りません!ドアが勝手に!」
慌ててドアノブを捻るが開かない。
「あ…開かない!」
「何だと?」
べチャリ…
その時2人の背後からやけに水っぽい音が響いた。
べチャリ…
べチャリ…
ペタペタ…
バチャ…
1つではなく複数、相当な数の音が響く。
「せ…先輩」
「新入り…この子を頼む、あと絶対に振り向くな」
先輩ガーディアンは武器である大斧を構えるとドアに向かって勢いよく振り下ろす。
「うおおおおお!」
凄まじい音が室内に響くがドアは少し傷つついただけで開く様子は無い。
「なっ!?このドア木製だろ?耐えられるわけがない!?」
べチャリ…
べチャリ…
ペタペタ…
バチャ…
「先輩!さっきより音が近くに…」
「はあぁぁぁぁ!」
再度、ドアへと斧を振り下ろす、しかしドアは開かない。
…
急に音が止み、静寂に包まれる室内。
突如、新人ガーディアンの足が掴まれる。
カエセ…
カエセ
カエセ!!!
「ひぃ‼︎何かが足を掴んでます!」
「うおおおおおお!!」
咆哮と共に渾身の一撃を入れるとドアは見事に粉砕した。
「今だ!新入り、走れ!」
纏わりつく不気味な感覚を払うように足に力を込めて階段を駆け上がる2人。
「ギャアギャア!」
「うわ!梟が!どこから?」
階段を登っていると今度は梟達が2人に襲いかかる。
「っ…!おらぁ!」
先輩ガーディアンは腰に携えていたランプを投げる。
一羽の梟に当たったのか、ランプは割れ、そのまま燃え広がった。
「ギャアーーーーー!」
火を見たのか、はたまた燃える仲間に怯えたのか去っていく梟達。
脅威が去り、階段を登り切った2人はふと地下室の方へ振り返る。
燃える梟が照らしたのは、全身が血のように赤く、梟の顔をした大量の赤子のような何ががこちらを見ていた光景だった。
「…っていう話なんだって」
「いやいや、続きは!?結局2人とその女性はどうなったの?」
女騎士の話にマリアンがツッコむ。
「んーと、覚えてないや」
「へー、まあ作り話しては中々怖いんじゃない?」
ソヒが残ったジュースを飲みながら話す。
女騎士はポケットから何かを取り出すと2人に見せる。
「何これ」
「木彫りの…梟?」
「さっきの話のやつ、話してくれた先輩が私にくれた」
「「…」」
「「ギャアアアアア!」」
2人の悲鳴が浮遊城に響く。
「ぷっ…あはは!冗談だって!これはこの前カマゾンランドで拾った物、本当は返さなきゃいけないんだけど、ポケットに入れっぱなしだったみたい」
してやったりと腹を抱えて笑う女騎士、そんな女騎士を見てワナワナと震える2人。
「あーー!悔しいー!」
「脳筋君にしてやられるなんて!」
「でも一瞬だけどヒヤッとしたでしょ?」
騒がしい3人、そこにエヴァが現れた。
ビクッとする女騎士。
「新入り、仲間との親睦を深めるのは良いが、姫様の警護はどうした?」
「あっ…すいません」
「全く…ん?それは…」
エヴァは女騎士の持っていた木彫りの梟を見る。
「なぜここにそれが?」
「団長さん、これが何か知っているの?」
ソヒがエヴァに質問する。
「ああ、これは私の同期が任務で行った屋敷の物と似ていてな」
「えっ?」
「そこでは生まれる事なく亡くなった赤子を梟に見立てて供養する風習があってだな、聞いた話ではやがて木彫りの梟に魂が宿り、本物の梟となって母親を探し飛び回ると言われている」
エヴァは真剣な面持ちで話し始める。
「その館は昔から女人禁制だそうだ。梟達が女性を見ると、母親が迎えにきたのだと思いあの世に引きずり込もうとしてくるとか、地下で見つかった女性はあと少し発見するのが遅かったらそのまま衰弱死していたほど弱っていた、梟は館を取り壊す際に全て回収して教会で供養し、燃やしたはずだがなぜ持ってるんだ?」
エヴァが冗談を言うわけないので、先ほどまでの雰囲気が一変、サーっと青ざめる3人。
「あの…2人とも」
「アンタが拾ったんだから自分で対処なさい」
「ガチで呪われたアーティファクトなんて御免よ」
「ちょっちょっと待って2人とも!団長!これ本物じゃないですよね!?似てるだけですよね!?」
「私に聞かれても困る、それより姫様の警護を続けるぞ」
慌てる女騎士を叱りつけるエヴァ、そして少しずつ距離を置くソヒとマリアン、楽しそうな姫さまとシロ。
そんな様子を一羽の梟が浮遊城の高台から眺めていたのは誰も知らない。
『ホホーゥ…』