アクセル・ワールド外伝 ~炎神の胎動~   作:ダルクス

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第1話:「Encounter;邂逅」

『す…好きです! 僕と付き合って下さい!』

 

『…』

 

そう言って俺は、震える手でなけなしのお小遣いをはたいて買った、一番きれいな花束を彼女に差し出す。体は緊張のあまりに強張り、顔は火照って紅くなり、全身からは大量の汗が噴き出し、マトモに彼女の顔を見る事すらできず、うつむきながら彼女に告白した。

その日…俺は意を決して以前から想い続けていた彼女に告白することにした。

俺にとっては人生最大の難関…だがこの難関を突破すれば、彼女との幸せな交際の日々が始ま…―!

 

『…ごめんなさい』

 

『…え?』

 

 

 

それは…あまりにもあっさりとした答えだった。

 

 

 

『私、あなたのことなんとも思ってないから』

 

 

 

俺が何年もの間ずっと想いを募ってきたのに比べれば…あまりにもあっさりであっけない…。

 

 

 

『ちょ、ちょっと…!』

 

『さよなら』

 

 

 

思わず花束を取り落とし、俺に背を向け去っていく彼女に背中を、俺は手を伸ばして掴もうとする。しかし…何故かその場から動くことができない。

 

 

 

『バイバイ…一輝君』

 

 

 

俺の恋は…まるで終春の桜のように、その日儚く散った…。

 

 

 

 

 

―――――1話:「Encounter;邂逅」―――――

 

 

 

 

 

「…はぁ」

 

あれから3年、俺は今年の春から中学2年生になった。

通うのは近くの公立中学、小学校の場所からも近いので、昔の友達も何人か通っている。

…で、俺はと言うと久々に昔のことを思い出してしまい、朝から意気消沈していた。

あの時…もしも彼女が俺の告白を受け入れてくれていれば…今頃は…。

 

「おっす遠藤、おはよう!」ドンッ

 

「おっ…と!」

 

と、その時突然俺の背中が後ろから押され、俺の見知った人物が声をかける。

 

「なんだ、斎藤か…」

 

「なんだとはなんだ! せっかく小学校からの親友が朝の挨拶をしてやったというのに!」

 

こいつの名前は斎藤啓介、俺の小学校からの友達だ。

本人は自称「親友」を名乗っているが…正直俺はそこまで中が良いとは思ってはいない。

 

「朝からテンションたけーなぁ…生憎俺は朝からそんなに元気にはなれない」

 

と、俺は無気力で答える。

 

「んだよ冷めてんなぁ。…もしかしてお前、まだ小学生の頃引きずってんの?」

 

「…!」

 

斎藤の言葉に、思わずギクッとする。

こいつ…なんでわかるんだ…?

 

「『こいつ…なんでわかるんだ…?』って顔してんな? 当たり前だろ、小房からの付き合いなんだぜ、俺らは」

 

「…」

 

「いい加減シャキっとしろよ、女に一人振られたからってなんだ! それも人生が始まったばかりの小学生の時に! 女なんて星の数ほどいるんだぜ? またすぐいい女が見つかるって」

 

「…星に手は届かないがな」

 

「おまっ…なんでそういうネガティブな事言うかねぇ…」

 

…言われなくたってわかってる…自分がこのままじゃいけないってことぐらい…。

でも…忘れられないんだ、あの時の胸の苦しみ…あの時の喪失感…。

また俺に好きな女性ができたりなんかしたら…そのときの感覚をまた味わうことになるんじゃないかと考えると…とてもじゃないがまた恋なんてしようとは思わなかった。

あれ以来、俺は軽い女性恐怖症に陥り、マトモに女子と話をすることもなかった。

俺だってなんとかして克服したいと思ってはいるが…―

 

「おい! 見ろよ遠藤!」

 

突然斎藤が大声をあげ、俺の腕を引っ張ると前方を指さす。

指さしたそこには、近所でも話題のお嬢様高校、「私立セント・アルタイル女学院」の女生徒達の登校風景だった。

皆、お嬢様なだけあって高そうな外車で送ってもらったり、友達と共に楽しそうな会話をしながら校門を通っていく。中には首に付けてるニューロリンカー同士を直結させて会話人達もいる。

 

「おっと! こうしちゃいられない! 視界スクショ視界スクショ…っと」

 

と、斎藤は自分の首に装着しているニューロリンカーを起動させ、手で目の前の画面を操作すると視界スクリーンショットを使って写真を撮ろうとする。

…が

 

「あ、あれ? シャッターが降りねぇぞ?」

 

いくら画面上のシャッターをタッチしても写真が撮られることはなかった。

 

「どうやらこの女学院の周囲には、盗撮防止用の特殊なジャミングが施されてるみたいだな」

 

なんたっていいところの名門女学院だ、そりゃあ盗撮防止用のジャミングの2つや3つは学校周辺に張り巡らされているだろうな。

 

「んだよ~…気を持たせやがって。しゃーねー、さっさと行こうぜ」

 

写真が撮れないのだとわかれば斎藤の行動は早い、さっさと学校に向かってしまった。

 

「おう、俺も……ん?」

 

その時、何か誰かからの視線を感じた俺はその視線の主を探る。

そして…見つけた。おそらくは染めたのではなく、天然と思われる金色の髪を靡かせ、背が高く、赤い瞳をした、清楚そうなその女学生は、周囲の友達の話には耳もくれず、俺の方をじっと見つめている。

やべっ…斎藤なんかと校門の前で騒いでたから目つけられたかな…。

あんな奴と一緒にされるのはゴメンだ、俺はその視線をスルーし、斎藤の後を追って学校に向かった。

 

………

……

 

「あ~あ、終わった終わった…ようやく終わった」

 

一日の授業が終わり、俺はそのまま自宅に帰る。

放課後、また斎藤が「学内ローカルネットのゲームで遊ぼうぜ」と誘ってきたが、生憎今日は断ることにした。

というのも、どうも今日は朝からあの時のことが頭に浮かんでしまってどうにも何事にも乗る気にはなれなかった。

 

「…ただいまー」

 

テンションの低いまま自宅に帰ると、俺とは対照的にテンションの高い母が、おそらく夕飯を作ってる途中だったのだろう、エプロン姿で出迎えてくれた。

 

「おかえりかーくん♪ 今日は学校どうだった?」

 

「別にどうもしねーよ…てかさ、その『かーくん』て呼び方いい加減やめてくんない?」

 

靴を脱ぎながら、「ウザい」という顔を母に見せつけながら俺は呟く。

この俺の顔を見れば少しは俺の今の気持ちも察してくれるだろうな…と思っていたが、あいにくウチの母はそんなことはお構いなしだ。

名前が「一輝」だから「かーくん」…このあまりにも安易で、そして子供っぽい呼ばれ方に、俺はいい加減うんざりしていた。百歩譲って小学生の頃はまだ良かったが…さすがに中学生にもなると…もし斎藤のような同年齢の友人に聞かれたらいい笑い者だ…。

 

「え~? だって小さいころから『かーくん』て呼んでたんだもん…今更他の呼び方でなんて呼べないよ~。あ、今日お父さん早く帰ってくるって」

 

「…またウザったいのが一人増えんのかよ」

 

いつもなら俺の父親は仕事で帰りが遅くなって夕飯時には帰って来ないのだが、今日はいつもよりも早く帰ってくるらしい。

俺は親父がいない方が気が楽だった…嫌いだというわけではないんだが、親父がいるとまたさっきみたいに「学校はどうだった?」としつこく聞いてくるし、テレビの番組がいつも野球中継になるし、風呂に入るのだって遅くなる。

 

「なによその言い方~。ちょっとカズキ!?」

 

「そういう風に名前で呼んでくれよ。部屋にいるけど、勝手に入ってくんなよ? 飯になったら呼んでくれ」

 

まだ何か言いたそうな母親を無視し、俺は二階にある自分の部屋へと階段を速足で登っていった。

 

「全く…反抗期かしらねぇ」

 

………

……

 

ったく、こちとら朝から気分悪いってのに、みんなそんなことはお構いなしだ…。

こんな時は一人でネットサーフィンをするに限る。そうすればすぐにでも気が紛れるし、時間が経つのだって早く感じる。俺はニューロリンカーを起動し、ネットに接続する。

最初はお気に入りの記事が載っているまとめ系ブログのサイト、そこの記事をだいたい見終わったら、今度は現在進行形でレスがついている掲示板を見てみる。

…どれもこれもどこかで見たことがあって大した面白みもないような話題ばかり…こういう読み応えのない話題ばかりになると、とたんにページの進むスピードが早くなってしまう。俺はもっとじっくりしたものが読みたいのに…。

 

「…ん?」

 

その時、ふと俺はその掲示板のトップページの左上端のところに小さい■があることに気が付いた。

なにかと思い、タッチしてみると…突然白いトップページが一転して黒い画面に変わった。

 

「な…なんじゃこりゃ…?」

 

とりあえず、画面をスクロールしてそのサイトを見てみる。

いくつもなにかのタイトルと思わしき文字列が並び、その文字列の右端には数字が書いてあった。

その事から俺は察した、このサイトは所謂『裏掲示板』…つまりなにかしらの危ない話題を扱っている掲示板なんだとわかった。

こんなところに長いは無用…急いで「戻る」のキーを押そうとした。

しかし、そのスレタイトルの数々が俺の視界に入り、俺は無意識にそのタイトルを読んでいた。

 

「…? …『加速使って試験受かったったwww』…? 『加速使って五万円も稼いでやったぜwww』…?」

 

なんだ…? この「加速」っていう言葉の意味は…? 何かの暗号なのか…?

確かに皆、この「加速」とやらを使って試験に合格したりギャンブルに勝ったりしているそうだが…やはり何か違法なアプリなのか?

さっきは戻ろうと思ったが、次々に出てくる「加速」という単語について俺は興味が湧き、その掲示板を閲覧してみることにした。

どのスレも「加速を使って○○をやった」という内容ばかりだったが、俺はあるスレに目が止まった。

 

「『加速世界対戦待ちスレPart57』…?」

 

まるで対戦ゲームの交流場のようなタイトルに、俺は興味を惹かれ、試しにそのスレタイトルをタップして中を開いてみる。

そこには『渋谷ハチ公前広場で待ってます、誰か対戦しましょう!』、『スカイツリーに誰かいます?』といった、まるでオンラインゲームで相手を待つかのようなレスが数多くあった。

 

「…あれ?」

 

そして俺は気づいた。ここに書いてある地名…ほとんどが東京都内にある地区名や建築物名、観光名所ばかりだった。つまりはこの東京内で今この時間、その場所で何かが行われているということになる。

そしてこのスレタイトル…〝対戦″という言葉が使われている以上、なにかゲームやスポーツのような〝対戦″がその場所で行われているということになる。さらに、そのスレは今やPart57…結構な伸び具合だ。

つまりかなりの人達がその〝加速″という何らかの手段を用いて、そして東京都内でその〝加速″を用いた対戦が行われているということになる。

と、そんな事を一人で考えている合間にもスレは伸びていき、さきほどの対戦待ちにレスがついた。

内容は「自分でよければお相手しますよ」、「今ちょうどスカイツリーに遊びに来てるんで、対戦しましょうか?」といったものだった。

今この瞬間…その〝対戦″とやらが始まる…できることならその〝対戦″とやらを実際に見てみたいが…生憎ここは渋谷区にも墨田区にも面していない…近場でない以上、今から行って見れるもんじゃない…。なのでリロードし、しばらくスレの伸び具合を見ていたときだった。

 

 

 

573:加速する名無し2047/05/24(水)18:49:25.73 ID:t2ldXXXX

いやぁ…まいりましたよ。お強いですねぇ

 

 

 

「…!?」

 

そのレスIDを見る限り、先ほどハチ公前で対戦相手を募集していた人物と同一のものと思われる。このレスから察するに、もう対戦は終わったようだ。

しかし…まだものの1分と経っていない。何の対戦をしていたにしろ、早すぎる。

すると、今度はその対戦相手と思わしき人物からの返信レスがきた。

 

 

 

574:加速する名無し2047/05/24(水)18:49:58.21 ID:5gnqXXXX

>>573

いえいえ、そんなことないですよ

僕なんて2年前に始めてこの前ようやくレベル5になったばかりですし

むしろ近距離技に弱い赤の属性でよく戦ってましたよ

 

 

 

レベル…? 対戦していくのに各自レベルがあるのか…?

それに属性…? 一体何のことなんだ…?

新しい単語の出現に首をひねっていると、今度はまた別の人物からのレスがあった。

 

 

 

602:加速する名無し2047/05/24(水)18:57:23.01 ID:h7v0XXXX

ランド・クローラーとかいうデュエルアバターマジ氏ね

言動も厨二っぽいしコミュ障だしチキン攻撃ばっかりしてきやがる

おまいらもこいつとは対戦すんなよ

 

 

 

「デュエル…アバター…?」

 

また新しい単語が…〝アバター″という名から察するに自分の化身…つまりオンラインゲーム等で自分が操作するキャラクターのようなものだろうか?

そして『ランド・クローラー』という名称…これはおそらくそのアバターのリングネームのようなものだろう。

これらのことから察するに、この裏掲示板の住人は皆〝加速″という現象、あるいは特殊な能力のようなものを操り、東京都内の場所でその加速を用いた〝対戦″をし、そしてその対戦には自分を模した〝デュエルアバター″を用いる…。

ここまできたらだいたいのことはわかる…これはいわゆる〝対戦ゲーム″なのだと。ゲームを行うにあたって、現時点でわかっている必要なことは4点…それは対戦時間が恐ろしく短いということ、自分が操るキャラによって対戦の優劣を決める属性のようなものがあること、ゲーム進行方法はレベルアップ式だということ、そしてアバターネームが存在するということ。

となると、これを見ていた当の俺は興味をそそられずにはいられなかった。俺もその〝加速″とやらを操ってみたい…その加速を用いて対戦もしてみたい!

…しかし、どうやって対戦するのだろうか…?

ニューロリンカーが普及してからのゲームというのは、実際にリアルマネーを用いてゲームショップでゲームのダウンロードソフトを購入し、それをニューロリンカー内にインストールして行うというものだ。

だが、こんな〝加速″などという裏技が得られるダウンロードソフトなど、普通の店では見たことがない。ましてやこんな裏掲示板を作ってまで交流を持っている者たちのいるほどだ、表立って手に入るものではないだろう。

 

「どうすれば…」

 

俺は別のウィンドウを開き、検索画面を表示する。検索単語は『加速』、『対戦』、そして『デュエルアバター』…俺が今ここで聞きいれた3つの単語だ。

結果は…0件。今度は3つの単語すべてでなく、いくつかに分けて検索してみる。

だがしかし、表示される検索結果は俺が今この裏掲示板で仕入れた知識とは全く関係のない内容ばかり…。検索画面を閉じ、再び裏掲示板のウィンドウを開く。

…頼りはこいつらだけか…。

正直、こんな真似をすれば馬鹿にされて叩かれるのはわかっている。

だが俺は知りたい…その〝加速″という能力が、もしかしたら俺の人生を…この無気力な生き方を変えてくれるかもしれない!

意を決して、俺は掲示板上に表示される『立』というコマンドを押す。

表示されたのは…スレ立ての画面。初めにスレタイ、そして本文を入力する。

 

 

 

スレタイ:【お聞きしたいのですが】

1 :加速する名無し:2047/05/24(水) 19:13:05.38 ID:ka91XXXX

自分は今日、初めてこの掲示板に入りました

そこでROMってて思ったのですが、皆さんよく加速という単語を使いますよね?

あれってなんなんでしょうか?よければ自分にも教えてはくれませんか?

 

 

 

う~ん…これではただの「クレクレ厨」に見えなくもない…十中八九叩かれるレスで埋め尽くされるだろうな。やはりもう少しへりくだった文面で書いた方がいいか…?

書きなおそうとした、ちょうどその時。

 

「かーくん! ご飯だよ~」

 

下の階から母親の俺を呼ぶ声が聞こえた。

…チッ、肝心なところで呼ばれてしまった…仕方ない、このまま投稿するか。

文面を直すことなく、下にある「書き込み」ボタンを押す。

しばらくして「投稿が完了しました」という文が表示された。今はこれで様子を見て、飯を食い終わった頃にもう一度確認してみよう。

 

「ね~、ご飯だってば~」

 

「うっせぇなぁ、今行くよ!」

 

………

……

 

カチャカチャ…

 

食卓には俺と母親と父親、3人で食卓につく。

最初の「いただきます」という挨拶以外、これといった会話はなく、カチャカチャとスプーンと食器の触れる音だけがリビングに響く。

今日の夕食はカレーだ。

…俺は正直、あまりカレーは好きではない。なぜならカレーにした翌日の朝飯は決まってカレーライスになり、最悪の場合は次の日の夕飯もまたカレーになるかもしれないからだ。

ったく…いい加減作る分量考えろっての…。

 

「どうだカズキ、学校の方は?」

 

しばらく間をおいて、親父が口を開いた。

やっぱり出た…この文句。もううんざりだ…。

 

「…別に…どうもしねーよ」

 

俺は親父に目線を合わせることなくもくもくとカレーを頬張りながら答える。

 

「親父の方こそ、会社はどうなんだよ?」

 

「ん~…別にどうもしないかな」

 

ほれみろ。自分だって同じこと聞かれたら同じように答えるしかないくせに…。

 

「ま、当たり前が一番いいさ」

 

と、親父はへらへら笑いながらそう答えた。

 

「…ごちそうさま」

 

空になったカレー皿を片づけ、台所の方に持っていく。

 

「もういいの? おかわりは?」

 

「いらない。どうせ明日の朝飯もカレーなんだろ。親父、今日は先に風呂入ってくれよ」

 

「お、おう…」

 

それだけ言って、俺は2階の部屋に向かった。

 

「…はぁ~あ、やっぱり反抗期かしらねぇ…」

 

「なぁに、あのくらいの年頃の男ってのはそういうもんさ、俺にも覚えがある」

 

と、カズキの母、遠藤紀美子は若干不安になりながらも、父、遠藤学は何故かニコニコしながらそう答えた。

 

………

……

 

部屋に戻るやいなや、俺はニューロリンカーの電源を入れ、先ほど立てたスレの状態を確かめる。

レス数は6…中を開いてみると。

 

「うわぁ…やっぱり叩かれてんなぁ…」

 

「1げと」「新参乙」「半年ROMってろ新参」「お前ここは初めてか?肩の力抜けよ」「新参は帰って、どうぞ(迫真)」といったレスが、レスナンバー2~6を占めていた。

やっぱりこんなところで聞こうとした俺が馬鹿だったか…と、若干諦めかけた時だった。

新たなレスがついた。

 

「…?」

 

見るとそれは…アドレス? メールのアドレスのようだ。

なに…? なにかいかがわしいサイトへの入会メールか何かじゃないだろうか…?

妙なトラブルはゴメンだ…構わず無視しようとしたときだった。

 

レスの流れが…止まった。

 

そこから俺はリロードを繰り返し、5分…10分と時間が経ったが、一向にレスが来る様子はない。

戻って他のスレを見てみると、他は通常通り盛っている。

一体何故ここだけが…?

飽きられた、と言えばそれまでになる。だが俺はどうしても、あの最後についたレス…メールアドレスの記されたレスが気になって仕方がなかった。

また自分の立てたスレの方に戻り、そのレスをじっと見つめる。

…アドレス番号はいたって普通のもの…特に意味のない半角の数字と小文字の羅列…もしこれがいかがわしいサイトへの入会メールなら、アドレスの文面でそういった意味が捉えられるはずだ。

…もしも…もしもこれが〝加速″へのヒントとなるのなら…!

意を決して、俺はアドレス部分を押す。

そして開かれるメール作成のウィンドウ。宛先はもちろんそのアドレス…。

どうすればいいのだろうか…このまま空メールを送ればいいのだろうか…?

いや…もし〝加速″について教えてくれるという人の残したアドレスだというなら、せめて挨拶くらいは…。

俺はメール本文に、短く3文字「どうも」とだけ書いた。

そして…送信。もしこれがいかがわしいサイトへの入会メールだったら…まぁこちらのアドレスを変更すれば大丈夫だろう。しばらく反応を待つことにした。

返信はすぐに来た。その内容は…?

 

 

 

『加速のこと、知りたい?』




どうも、ダルクスです。
いつもは別の小説を書かせているのですが、今回はこのアクセル・ワールドの外伝小説を書かせていただくことになりました。
自分、アクセル・ワールドはアニメから入って完全にアニメを見ただけの知識で書いています。なので何か不備があれば申し訳ないです!(一応漫画版や原作もこれから読んでいこうと思ってますが)

主人公は中学2年生という思春期真っただ中でありながら女性に興味が無いという少し珍しいキャラです。
思春期だから当然それ特有の親への反発もあります。でも別に嫌いなわけではないのでご安心を。

この後主人公へのブレイン・バーストの説明等が続き、原作を知っている人にとっては退屈だとは思いますが、長い目で見守っていて下さい!
それではまた次回!

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