問題児たちが裏ボスと出逢うそうですよ?   作:問題児愛

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裏ボス系主人公を書いてみたかった、ただそれだけ。


邂逅編
邂逅


箱庭・〝世界の果て〟付近。

眠っていた少女が目を覚ます。

その少女は奇抜な容姿をしていた。

長髪で真ん中から右側が白銀、真ん中から左側が漆黒。

瞳も、右眼は白銀、左眼は漆黒。

服装も、真ん中から右側が白、真ん中から左側が黒のワンピースのようなもの。

そして頭部から生えた『角』も、右角は白、左角は黒と、真ん中から左右反対の色を持つ不思議な存在であった。

白黒少女は、空から落ちてくる何かを見つけて微笑する。

 

「………ふむ、ようやく動き出したか」

 

龍眼で落ちてくる三人と一匹を見つめる。

金髪にヘッドホンの学ラン少年。

黒髪ロングにリボンの制服少女。

茶髪ショートにヘアピンの私服少女。

そして三毛猫。

かの女王が召喚した異世界人。

さぞかしその者達の有するギフトは面白いことだろう。

 

「貴様らはこの箱庭に、一体何を齎してくれる?嗚呼、楽しみだ」

 

白黒少女は箱庭に訪れた『変化』に期待しつつ、再び眠りについた。

 

 

 

 

白黒少女が眠りについて一刻半ほど。

何やら近くで戦闘しているのか、騒々しかった。

白黒少女は目を覚ますと、不愉快そうに眉を顰めて起き上がる。

そして騒々しい方角を睨むと、軽く左腕を振るった。

瞬間―――耳を劈くような轟音と共に、左腕を振るった方角の森林が一直線に消し飛んだ。

比喩ではなく、文字通り消し飛んで、その一直線は焦土と化していた。

白黒少女は自ら作り出した『道』を通って、戦闘があった場所へと神速で移動する。

するとそこには、唖然として立ち(?)尽くす巨躯な大蛇と、臨戦態勢で白黒少女を睨みつける金髪少年がいた。

しかし眠りを妨げられたからか、白黒少女が一人と一体を睨んで問う。

 

「貴様らか?我輩の安眠の妨害をした者共は?」

 

「あ?テメェこそ何者だよ。人様の楽しみに横槍入れやがって」

 

白黒少女の凄みに、負けじと怒りをぶつける金髪少年。

大蛇―――蛇神の方は、白黒少女を見やると急に怯えたような声音で言った。

 

『―――ッ!!?あ、貴女様はまさか!?な、何故このような場所に居るのですか!?』

 

「あん?どうしたんだよヘビ?そいつを知ってるのか?」

 

『………人間、悪い事は言わん!今すぐその御方に謝るべきだ!死にたくなければなッ!!』

 

「………は?」

 

蛇神の狼狽っぷりに、金髪少年は怪訝な顔で見つめる。

白黒少女は、蛇神の方を見つめて思い出したように手を打った。

 

「ん?ああ、貴様はあの御方の。なれば貴様は見逃そう」

 

『ほ、本当ですか!?』

 

「うむ。如何に我輩とて、あの御方とコトを構えたくはないからな」

 

白黒少女はそう言うと、金髪少年に向き直り一言。

 

「だが貴様は駄目だ。我輩の安眠妨害の罪、万死に値する」

 

「カッ、テメェこそ俺の楽しみを奪ったんだ。覚悟は出来てるんだろうな?」

 

殺気の籠った声音で言い、拳を構える金髪少年。

まさに一触即発といった状況で、蛇神が慌てて忠告する。

 

『ば、馬鹿か貴様!?その御方は我とは比べ物にならない存在だぞ!?この箱庭の上層に棲う最強種の一角ッ!【純血の龍種】なのだからな!』

 

「龍!?」

 

途端金髪少年の瞳がキラキラと輝き、怒りの感情はどこかへ消え去っていた。

興味津々といった調子で見つめてくる金髪少年に、白黒少女が不思議そうに小首を傾げる。

 

「なんだ少年?我輩の顔に何かついてる?」

 

「いやなに、あんたの正体が龍と知って戦いたいと思っただけだが?」

 

金髪少年が嬉々として答えると、白黒少女が驚いたように目を見開き、すぐに目を細めて笑う。

 

「ふふ、いいだろう。どのみち貴様を逃すつもりはない。掛かってくるといい少年」

 

「ヤハハハ!そうこなくっちゃな!」

 

獰猛な笑顔と共に駆け出した金髪少年は、第三宇宙速度というデタラメな速さで白黒少女に肉薄し、右拳を振るった。

その金髪少年の一撃を白黒少女は―――人差し指のみで受け止めた。

 

「なっ………!?」

 

「どうした少年?この程度では我輩を満足させることは出来んぞ?」

 

「チッ!オラァッ!!」

 

右拳を引っ込めた金髪少年は、左脚を軸に右脚で回し蹴りを決めようとするが、これも白黒少女は人差し指のみで受け止める。

金髪少年は、拳も蹴りさえ通用しない白黒少女に舌打ちして一旦距離を取る。

どう攻めるべきか考えていた―――その時。

 

「ようやく見つけたのですよ十六夜さん!」

 

「あん?」

 

十六夜と呼ばれた金髪少年の下に、ウサ耳少女が現れた。

金髪少年―――改め十六夜がウサ耳少女に振り返って不思議そうな顔をして口を開く。

 

「あれ、お前黒ウサギか?どうしたんだその髪の色」

 

「あ、これはですね―――じゃなくて!」

 

黒ウサギと呼ばれたウサ耳少女が、十六夜に向かって文句の一つを言おうとしたが、彼の向かい側にいる白黒少女を見て驚愕の声を上げた。

 

「え!?り、輪廻様!?」

 

「………兎娘か、久しいな。こうして会うのは三年振りだ、息災か?」

 

「は、はい!黒ウサギは元気元気なのですよ!」

 

むん!と元気アピールするウサ耳少女―――改め黒ウサギ。

それを聞いて微笑する輪廻と呼ばれた白黒少女。

そんな二人を見回していた十六夜が訊ねる。

 

「なんだ?お前ら知り合いなのか?」

 

「YES!この御方は永劫輪廻様。三年前までは色々とお世話になっておりました!」

 

「ふうん?」

 

黒ウサギが返すと、十六夜は考え込んだ。

三年前というワードも気になるが、それ以上に白黒少女の名前だ。

永劫と輪廻、そして【龍】。

十六夜の推測が間違いでなければ、白黒少女―――改め永劫輪廻の正体はアレのはず。

早速確かめる為に十六夜は輪廻に問うた。

 

「………なあ、あんた」

 

「ん?」

 

「永劫と輪廻を名乗りかつ【龍】のあんたは―――ウロボロスだったりするのか?」

 

「へ?」

 

「ほう?」

 

十六夜の質問に驚く黒ウサギと、感心して目を細める輪廻。

その反応にニヤリと笑って十六夜が確認する。

 

「正解か?」

 

「ああ、正解だ。名だけで我輩の正体を看破するとは、な。中々の博識な少年だ」

 

「す、凄いのです!十六夜さんってば知能派だったのですね!」

 

「それほどでもないさ」

 

冷静に返す輪廻と、興奮する黒ウサギ、ヤハハと笑う十六夜。

 

「あんたのその見た目も、ウロボロスを表してるんだな」

 

「うむ。名に関しては〝ウロボロス〟を名乗るコミュニティが存在するから偽名を使って区別しているに過ぎないがな」

 

「へえ?名乗るって事はあんたが創ったコミュニティではないんだな。自分の名前を勝手に使われて不満はねえのか?」

 

「不満はない。それに我輩はそこのコミュニティの最終兵器みたいなものだからな。勝手に使われたというのは語弊がある」

 

「そうかい。んで、そんなあんたがこんな場所で油売ってていいのかよ」

 

「問題ない。我輩は最終兵器ゆえこうして暇を持て余しているからな。勝手気侭に振る舞ったところで咎められることはない」

 

つまりは十六夜と同じで暇人もとい暇龍らしい。

それならばやることは一つしかない。

十六夜は輪廻に提案する。

 

「なあ、あんた。暇ならもっと俺と遊んでくれよ」

 

「ほう?」

 

輪廻が目を細めて微笑する。

黒ウサギはギョッと目を剥いて声を上げた。

 

「い、十六夜さん!?輪廻様に挑むおつもりですか!?」

 

「ああ。つかもう既に始まってるんだよなあこれが♪」

 

「そうなのですね♪―――ってなんですとおおおおおおおおッ!!?」

 

十六夜の嬉々とした声音でとんでもないことを口にして、黒ウサギが絶叫する。

輪廻が黒ウサギの肩を掴んで言う。

 

「安心しろ、兎娘。軽く遊んでやる程度だ。少年もそれで構わないな?」

 

「おう。あまりにもつまらないものだったら許さねえけどな」

 

「ふむ、善処しよう」

 

十六夜の言葉に頷いて、輪廻が宙に浮いた。

黒ウサギが不安そうに十六夜と輪廻を見比べている。

輪廻はやれやれと苦笑しながら黒ウサギを見つめ、ゆっくりと右手を掲げる。

すると掲げた右手の上に小さな水球が発生した。

その数は計九つ。

それを一つ、十六夜に向けて指で弾き飛ばす。

神速で飛来する水球を、十六夜はつまらなそうに見つめ―――殴りつけた。

 

『「……………は?」』

 

十六夜の行動に素っ頓狂な声を漏らす蛇神と黒ウサギ。

神速に反応出来る動体視力もそうだが、その速度で飛来した水球を素手で殴るなど予想外過ぎた。

水球と十六夜の拳がしばしの鬩ぎ合いを見せると、水球がパンッと破裂したかのように霧散した。

 

『「なっ―――――!?」』

 

素手で輪廻の生み出した水球を霧散させた光景を見て愕然とする蛇神と黒ウサギ。

一方、水球を消し飛ばした十六夜は、怪訝な顔で輪廻を見つめ訊いた。

 

「………おい、何だよさっきの。本当にそのサイズが持つ質量か?」

 

「ほう、気づいたか。そうだ、本来のサイズはこんなものではない」

 

輪廻は一つの水球を上空に指で弾き飛ばす。

途端、急速に水球のサイズが大きくなっていき―――極大な水球へと変化した。

 

「コレが本来のサイズだ、少年」

 

「………ハハ、こいつは魂消た。あのサイズを圧縮して作ったものがそれなのかよ」

 

「怖気付いたか?」

 

「まさか、その逆だよ。どんどん撃って来いよ!全部相手になるぜ!」

 

「ふふ、そうか。では―――残りは一気に全部撃ってやろう」

 

微笑と共に輪廻が指で弾き飛ばす―――のではなく、指を軽く動かして全ての水球を十六夜に向けて撃ち放った。

それを十六夜は嬉々として両の拳を振るい、全ての水球を殴りつけ霧散させていった。

しかしそれだけでは足りないのか爆音と共に跳躍、第三宇宙速度を遥かに凌駕した速さで輪廻に肉薄し、踵落としを見舞おうとする十六夜。

だがやはりその一撃も輪廻に人差し指で受け止められる。

 

「そう急くな、少年。貴様が我輩との肉弾戦を望むのはまだ早い」

 

「チッ!」

 

舌打ちする十六夜を、輪廻は指で弾き飛ばす。

神速の一撃を、腕をクロスさせて受けた十六夜。

 

「―――ぐっ!?」

 

先の水球とは比較にならない一撃を貰って十六夜の身体は呆気なく弾き飛ばされ、滝壺に叩きつけられた。

 

「い、十六夜さん!?」

 

黒ウサギは悲鳴を上げて十六夜の下へと駆け出す。

滝壺から頭を出した十六夜は、輪廻を睨み付ける。

乾ききっていた服と体がずぶ濡れになったせいだろう。

つまり五体満足で健在だった。

それを確認した黒ウサギがホッと胸を撫で下ろす。

地に降り立った輪廻は、蛇神の下へと歩み寄り言う。

 

「蛇娘、貴様がギフトを用意しろ。我輩との戦闘の際、ギフト未使用のあの少年と『続き』をやる気力があるのならば止めはしないがな」

 

『なっ―――!?』

 

蛇神は思わず耳を疑った。

先程までの戦闘で、あの人間が一度もギフトを使っていないということに。

輪廻の生み出した水球一つ一つが、蛇神の全霊を遥かに凌駕していた為、それを拳のみで全て砕いた十六夜に挑めるはずなどなかった。

蛇神は輪廻の提案を受け入れるほかなかった。

滝壺から出てきた十六夜に、輪廻が微笑して告げた。

 

「貴様との戯れ、少しは楽しめたぞ少年。もし次に会った時、我輩との肉弾戦を望むのであれば―――ギフトを使うことだ。さすれば我輩に一矢報いることが出来るやもしれんぞ?」

 

「何?」

 

「へ?ギフトを使うと、ですって!?」

 

十六夜が眉を顰め、黒ウサギが目をいっぱいに見開き驚愕する。

ギフト未使用で戦っていたとはどういうことか。

それについて問いただそうとしたが、既に輪廻の姿は跡形もなく消えていた。




次回 拉致

一、白夜叉に拉致されて尋問される。

二、早すぎた再会。

三、問題児たちのギフトに興味津々。
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