アーニャ、タロウと縁結ぶ   作:助5103

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拙くてすみません、結構歴ある方なんですが一向に満足がいかない…


たいけつじなん

三話「たいけつじなん」

 

 

 

「おい」

 

 

「なんだ?」

 

 

 とある日の休み時間、みんなにとって嬉しいチャイムが鳴り、お弁当箱を早々と並べ始めるクラスメイト達や食堂に向かう生徒がいたり、休息のひと時を味わう中でアーニャとベッキーもその準備をしていたところにとある男児に声を掛けられる。

 

 

 

ダミアン・デズモンド

 

 

クラスが変わってからしょっちゅうアーニャ達のクラスに来る。彼女に話しかけてはちょっかいをかけ続け、それが一年続く。何故彼がそこまで執着するかというと、そこに嫌いという理由はなく…

 

 

 

「何?またちょっかいかけんの?」

 

 

 

「ちげぇ、今日はマジで用があんだよ」

 

 

 

 

「ほう…言ってみよ」

 

 

 

上から目線で聞き返すアーニャに通常は悪口の一つや二つ吐き捨てるが今日は珍しく聞き流して本題に入った

 

 

「お前…最近になって聞くんだがよ…」

 

 

 

 

 

「「タロウ」って奴とどんな関係なんだ?」

 

 

 

 

アーニャに一方的な好意を寄せているのだった(しかも本人には多少バレている)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…たろう?あのたろうか?」

 

 

 

「ああ…別に気になっている訳ではないぞ?友達も少ないちんちくりんに他の人間と関わっているのか確かめに来ただけで…」

 

 

 

「あー、それ私も気になる!どんな人なの?」

 

 

 

「たろうはアーニャのお友」

 

 

「ん?」

 

 

 

皆が耳を傾けいる中、衝撃の事実にダミアンも目をパチクリさせて聞き返した。

それもそのはず、ベッキーとぐらいでしかつるんでいる光景しか見かけなかったのにも関わらずある日突然男の友達が出来た事を唐突にカミングアウトした為、二、三秒程脳の機能が停止しかけのだった。

 

 

 

「今…なんて?」

 

 

 

何かの間違いかもしれない、と言い聞かせて聞き返す

 

 

 

「たろうはお友」

 

 

 

 

「お…」

 

 

 

「おともぉぉぉぉぉぉ!!!???」

 

 

 

 

校舎全体が揺らぐ程の声がこの日全ての生徒たちが耳に届いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どういう事だよ…!なんでッ…?」

 

 

 

あの言葉がグルグルと永遠に回り続けるダミアン。あれから目にも止まらぬスピードで駆けて行った彼は校舎の隅っこでずっとブツブツと呟き続けている。

もういっその事正直に伝えればいいのに…と野次を投げたい所だが彼の心はそう正直なものではなかった。

 

 

「タロウ」はどんな人物なのか、自分をさしおえて親密になろうとしているのは何故なのか。新たな恋敵…いや、手強い敵が増えた事に若干の焦りと多大な嫉妬を生む

 

 

 

 

「タロウ…」

 

 

 

チラリと壁際ならこっそりアーニャ達の会話を聞いた事があったが(ここまでくると彼の変態的な所に問題があるが気にしないでヨシ)タロウの話題になると忽然と態度が変わり、いつも楽しそうに話しているのを思い出す。

自分には見せないあの笑顔…

 

 

 

「まさか…」

 

 

 

 

考えれば考える程恐ろしい事を思い浮かべる。まさか…もしや友達以上の存在にまで…

 

 

 

 

「あぁぁぁああ…!」

 

 

ゾンビのような絶望を受ける声を出す。例えればムンクの叫びのような表情を浮かべるがダミアンの超上流階級のプライドを思い出しなんとか平静を保つ

 

 

 

「とりあえず…何がなんでも調べてやる…」

 

 

「こうしてはいられねぇ…今すぐ「タロウ」とかいう憎き輩を探さねぇと…!」

 

 

「じゃないとアーニャがぁ…!」

 

 

 

 

 

時は一刻を争う、多少の早退がなんだとマッハの速度で手続きを済ませて本拠地へと早急に向かう。

 

 

「(確か…シロクマとかいう配達会社の奴だったか…)」

 

 

アーニャがこぼした情報を手がかりにダミアンも電話でデズモンド家関係者全員にタロウの詮索命令を下す。

 

一瞬校舎から出る時にアーニャが近くにいたような気がしたが…

 

 

「(待ってろよ…!今すぐ俺が助けてやる!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、俺に決闘を持ち込んできたわけか」

 

 

「そういう事だ」

 

 

 

 

 

 

ダミアン氏の手早い行動によってタロウの場所を特定する事が出来た。全くご苦労なものだとタロウは彼の熱意を労うものの、決闘と聞けば無視する訳にもいかないら。

 

だが、それよりも重要な事をタロウに聞く必要があった

 

 

「一応聞くが…お前、アイツの何なんだ?」

 

 

 

「お供だ」

 

 

 

 

「ぐぉぉおお……!」

 

彼がそう答えた瞬間にダミアンは芋虫のようにくねらせて苦しみの声を漏らす。一体何がしたいんだといいたげな表情のタロウ

 

 

 

 

「ていうか…なんでお前なんだよ!!俺はてっきり他のクラスの連中共かと思ったんだぞ!!?」

 

 

「それが調べてみれば…いい歳した大人じゃねぇか!!何歳離れたチビと戯れてんだ!!?」

 

 

 

苦しんだかと思いきや急に逆ギレをかます彼だが、タロウはそれに動じず答える

 

 

 

 

「それの何がおかしい?」

 

 

 

「おかしいだろ!!!!」

 

 

 

 

 

「…いいか、お供に年齢など関係ない。誰にだってお供になれる…そう、お前もだ!!」

 

 

 

ビシッと指を指されるダミアンは絶対ならねぇ、と全力で否定した。

 

どうやら彼は想像以上に頭がおかしい奴なのかと今の会話から察した。となれば何故こんな不届き者にあのチンチクリンが懐いているのか余計に意味がわからなくなり、我慢の限界に達する寸前でダミアンはそろそろ話を切り出した

 

 

「もういい、お前がとんでもない奴だというのは分かった…だから!お前に決闘を申し込む!」

 

 

 

「決闘か、いいだろう!!」

 

 

 

清々しい程に承諾したタロウ、かえって腹が立つ。

 

 

 

 

「しかしだ!武力でやりあうのは俺も気が引ける。」

 

 

 

「…そうだな、今から一日の中で俺に一本当ててみろ!」

 

「一回でもな!」

 

 

 

 

 

「ほお…面白ぇじゃねぇか」

 

 

 

「その勝負…俺が絶対勝ってやる!!」

 

 

 

一人のお供を賭けた(本人は何も知らない)仁義なき戦いが、今宵にて幕を切った。

ダミアンはこの勝負にて勝つという強い意志を見せたが、タロウという存在がどれだけ人間離れしているのか彼はこの時まだ想像すらついていなかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

デズモンド家次男VSシロクマ宅急便社員

 

 

 

レディファイッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルールはなんでもあり!タロウに何らかの手段を用いて見事に不意をつければ勝利、もしくはタロウに対して何らかの勝負を仕掛けて勝利するのもヨシ!!とにかくもう何でもあり!!ホントに!

 

 

 

 

 

 

まず、ダミアンの仕掛ける攻撃は遠くからの狙撃作戦。この日の為にジャンク店にて取り急ぎで購入したウォーターガンでタロウを遠くからアタック!

 

「(まさかこの俺様が一般庶民の店内に入るとは…)」

 

 

「(まぁいい、そんな事言っている暇はない…俺様にとって大一番の勝負!別にあのチンチクリンが大事とか大切とか思ってないけど売った勝負は絶対に返す!)」

 

 

ぶつくさと喋っている間に会社からず姿を現すタロウ。この日は朝イチからの仕事の為荷物の詰め込み等を行なっている。完全視覚外にいるダミアンは今が絶好のチャンスだと感じ取り勢いよく発射させた

 

 

 

「今だ!」

 

 

 

狙いはど真ん中に命中する筈だったが、最初から彼の位置がバレていたかのようにどこで取り出したか分からない鍋蓋でダミアンの奇襲を見事にガードした。

 

 

 

「はぁ!?」

 

 

 

「やはりそこにいたか」

 

 

 

「腕立て千回だ!」

 

 

「う、腕立て千回ィ!?」

 

 

 

「まさか…お前には何もペナルティは下されないと思っていたのか?」

 

 

「決闘である以上、それ相応の覚悟をするんだ…それが分かったら早速始めろ!」

 

 

 

「……ぐ」

 

 

「男に二言はねぇぇぇえ!!!」

 

 

勝負は常にフェアであれ…ここで断る訳にはいかないと言い聞かせながら道路の端で腕立てを始める。何故こんな事をしているのか分からないが考えれば無駄だと悟り、とにかく身体を動かした

 

 

「(なぜこの俺様がぁぁ!?)」

 

 

 

「タロウォォ!!貴様覚えていろぉぉお!」

 

 

 

 

 

 

 

 

一般庶民に屈辱の仕打ちを食らってしまうダミアンだったが、めげずに次の作戦へと移行した。

 

あれ以上の奇襲を仕掛けて駄目ならば、無駄な小細工を仕掛けても彼を上回るのは不可能だと察したダミアンは真っ向から勝負を仕掛ける手荒な作戦を練り始める

 

 

 

 

「こうなれば…頭を使った勝負で挑んでやる!」

 

 

 

 

 

彼が考えついたのは、ボードゲームである。

 

 

 

 

「(この俺様は、ボードゲームの中で特にオセロが得意なのだ!)」

 

 

 

タロウ解析班(急遽作った)によればオセロは全くの未経験らしく、それに比べてダミアンは現在無敗の記録を持つほどの実力を持っている。

 

 

これなら勝てる!と勝ちの確信をしたダミアン。多少のルールは教えなければならないが、一度見ただけで一瞬にして達人級の強さに早変わり、なんてさえしなければ負けるなんて事はほぼあり得ない。そう、きっと…

 

 

 

「と、言うわけで次はオセロで勝負だ!」

 

 

 

場所は変わりダミアンはシロクマの社内へと訪れる。「デズモンド様がお越しになられたぞ!?」と社員一同はすぐさまお召し物を出そうと大騒動になる一方でタロウは相変わらず一つも変わらない表情でダミアンが差し出したオセロ入門編の教科書をまじまじと見ていた。

 

 

「ほう、ボードゲームか…しかし俺はやった事がない」

 

 

 

「(計画通り)」

 

ニヤリ、と黒幕級の邪悪な笑顔をこぼすダミアン。

 

 

「(これで、コイツを今度こそコテンパンにしてやるのだ…!)」

 

 

 

 

「さて、やろうか」

 

 

 

「…い、いいのか?」

 

 

 

「ああ」

 

 

 

「もう大体のルールは理解した」

 

 

 

 

「(…まだ流し読みしかしてないよな?)」

 

 

 

「(まあ…いいか)」

 

 

わずか5分程度で本を閉じるタロウ。もう見る必要がないとダミアンに返してしまうあたり余程の余裕があると見込んだ。

だがそんな簡単なものではないとすぐに味合わせてやる、タロウの挑発じみた行動に癪に触ったダミアンは早速一試合目を開始する。

 

 

 

 

 

「(…ん?)」

 

 

 

 

「(あれ?)」

 

 

 

「(あれあれあれ…???)」

 

 

徐々に手数を増やしていくとこれまた不思議な事にどんどんと相手の色に染まっていく。

しかし一手ごとに1秒にも満たない速さで進んでいく為、ダミアンのペースが崩れてしまい…

 

 

 

 

「俺の勝ちだ」

 

 

 

タロウの圧倒的勝利というダミアンにとって予想だにしない結果に何故こうなっているか理解が追いついていない。人生で初めて負けた相手がまさに宿敵といえる人間である事にかつてない醜態を晒したと思い込んだ

 

 

 

「どうする?もう一試合やるか?」

 

 

 

 

「…」

 

 

 

ダミアンは歯を強く軋ませながらも…

 

 

 

「参りましたァ…」

 

 

 

「そうか…なら!」

 

 

 

ビシッ!と彼に向けて勢いよく指を指したタロウはダミアンにお仕置きという名のペナルティを叩き込んだ

 

 

 

 

「スクワット千回!!!」

 

 

 

「ちくしょぉぉおおおお!!」

 

毎度毎度と律儀に言うことに従うのも気になるが、かなり上の立場であるダミアンがタロウに屈辱を受けた事と、接待のクソもない対応をするタロウに対して社員全員に激震が走ったのだった…

 

しかしこれは正々堂々の真剣勝負、手を抜いたマネや中途半端な態度は一切許されない死闘…二人もそれを理解した上でその戦いを受けた。

 

こうしてダミアンの足がパンパンになって後々泣く始末になったのは置いといて、それでも彼は懲りることなくタロウに新たな勝負を仕掛けた

 

 

 

「(奇襲、知恵と来たら…次は力の勝負だ!)」

 

 

「(だが、普通に考えて俺様がアイツに勝てる訳がない…)」

 

 

 

 

「という事だから、我が一家一番の力自慢を呼んだ!」

 

 

「ついに助っ人に頼ったか!」

 

 

 

「うるせぇ!」

 

 

 

 

筋骨隆々、まさしくその言葉に相応しいボディを持つデズモンド家直属のボディガード…彼の成績こそ優秀なもので、数々の暴力団や暗殺からダミアンを守り抜いた、まさに【鉄壁】呼ばれる巨大の男…

 

 

「君がタロウ君か…」

 

 

「ああ」

 

 

「だが、今は少し手が離せない状況だ」

 

 

「確かに、さっきから何やってんだ貴様は?」

 

 

 

「花に水をやっている」

 

 

 

今日は配達でなく、会社前に植えられたチューリップやバラなどの植物に手入れをしていた。

 

ここは大人しく待っていようと待機していた

ダミアン達だが、やがて作業を終えたタロウが再び彼らの前に姿を現した

 

「…待たせたな」

 

 

「よし…早速勝負といくぞ!」

 

 

 

ドン!!と大量に積み重なった瓦をタロウに前に出した。用するにこれは単純な力比べである

 

 

 

「こいつをどれだけ壊せるか!貴様はこの男と勝負してもらう!!」

 

 

 

「君がタロウだね…」

 

 

「ああ」

 

 

ズオォ…と空気が一段と重くなるのを感じる。それだけ彼の圧が凄まじいのかもしれないがそれに臆せずタロウは毅然とした状態で彼と目を向き合う

 

 

 

「他の人間に手を借りるのはどうかと思うが…まぁいいだろう」

 

 

 

「ハッハッハ…随分と自信ありげに見えるが

…」

 

 

 

 

そこに突然用意された積み重なる瓦を、彼はそれを片手にいともたやすく真っ二つにかち割る

 

 

 

 

 

 

「これでもまだそう言えるかな?」

 

 

 

「ほお…あんた、中々やるな」

 

なかなかのパワーだ、と彼を関心する一方で

ダミアンはタロウの顔を見て嘲笑う。内心ではこの男の怪力にさぞ竦んでしまっているだろうと卑劣な笑みでタロウを見た

 

 

 

「(ククク…次はお前が屈辱を味わう番だ、タロウ!)」

 

 

 

雪辱を晴らすのは今だと言わんばかりにタロウを急かすが…

 

 

 

 

「こんなもの、造作もない」

 

 

 

「代わりにこいつを割ってみせよう」

 

 

 

 

「これは…」

 

 

先程とは材質が違う鉄製の瓦を六十段ほど積み重ね、タロウは片手で豆腐を割るかのように粉砕した。

 

 

 

 

「あ…」

 

 

 

「まぁ、こんな所だが…」

 

 

 

 

人間離れしたその馬鹿力に目が点になるダミアンは、この世のものとは思えない目でタロウを見ていた。

テレビでは格闘アニメや超能力ものの作品が出回っている現実でそれ堂々の事が起こってしまえば誰でも考える事を一瞬やめてしまう。

そんな状況を陥っているダミアンはタロウと粉々になった瓦を交互に見て…

 

 

 

「(コイツ、バケモンすぎるだろ!!!?)」

 

 

 

 

 

そう痛感したのだった。

 

 

 

 

「クソ…だからって諦めてたまるかよ…!?おい!お前もアイツと同じ奴でまた…」

 

 

 

「マイリマシタ…」

 

 

「おおぉい!!??」

 

 

 

自信満々であの芸当を見せたものの、その遥か上を悠に超えられたのかあっという間に戦意喪失してしまう巨漢の男はタロウにひざまづいていた。某ボクシング漫画の如く真っ白になっていた彼はもうタロウとの競り合いに追いつけずリタイア、となれば…

 

 

 

「お前の負けだなチビ助!」

 

 

「さぁ…もう分かっているだろ?」

 

 

「あ…ああ…」

 

 

「縄跳び三千回!!」

 

 

 

 

「せっかく筋肉痛が治ったのによぉおおお!!」

 

 

 

例のお仕置きは冷酷にも下されたダミアンはまたもや身体がバキバキになる始末に。

もう降参すればいい話だが、彼にはどうしても勝たなければならない理由があった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

________________________________________

 

 

 

「あいつ、弱点ねぇのかよ!!」

 

 

 

タロウの超人的能力をとことん味わったダミアンは原っぱで大の字になってそう叫んだ。

あの後、何度も勝負を仕掛けのだが案の定惨敗。

 

運の勝負のロシアンルーレット(わさび入りのシュークリーム)では全てダミアンが外れを引き、ゲーム、徒競走、指スマ、ありとあらゆるジャンルで攻めたが全て無駄になる。

 

運に関して数打ちゃ当たる感覚で仕掛けているのだが、その理論は最初からなかったかのようにタロウを負かす事は出来なかった。

 

 

 

「くそくそくそぉ〜!!」

 

 

 

「どうすりゃいいんだよぉ〜!!」

 

 

あれだけ容赦のなく、そして隙のない人間は初めて出会った。自分を持ち上げてばかりの卑屈な人間ばかりとしか巡り会えなかったが、ここまで悔しい思いをしたのはいつぶりだろうか。もしかすれば、初めてかもしれない…

 

ダミアンはふと頭の中でひとりの顔を思い浮かべる

 

ピンク色で腹のたつ顔をしてこちら見るあの女の子…

 

 

 

 

「…って、いやいや!なんでここでアイツか出てくんだよ!」

 

 

 

ジタバタとその顔をもみくちゃにしようとする、そんな一部の人にとっては愛くるしい動きをする彼にあの男がやってきた

 

 

 

 

 

「ほお…」

 

 

「!?」

 

 

 

「そういうことか…」

 

 

 

 

「タロウ、貴様か…何のようだ!!」

 

 

 

「俺様は今無償に苛立っている!勿論貴様のせいでな!!」

 

 

「何故俺だ」

 

 

「分かんだろそれぐらい!!」

 

 

こいつと会うと碌なく事がない、しっしっと今は話す気もない様子なダミアンを無視してタロウは彼にこう問いかけた。

 

 

 

 

「お前…もしや…」

 

 

「何だよ!」

 

 

「アイツの事が好きみたいだな!!」

 

 

 

 

 

その台詞を聞き数秒黙って、桃のように頬が染まり初めた頃に大きな声を上げた

 

 

 

「はぁぁぁぁぁああ!!??」

 

 

 

「何かあるとにらんでいたが、やはりそうだとは…」

 

 

「これで勝負を仕掛けた納得もいく」

 

 

 

ニヤリと、普段みせないタロウのそんな表情をダミアンに向けるも一番知られたくない事をバラされた彼にとっては穴があったら入りたい状態になっていた。

 

 

 

 

「何か言っているのか全然分からん!!バカか貴様は!?大バカかぁ!!」

 

 

 

「俺はタロウだ」

 

 

 

「ちがぁぁう!そうじゃない!!」

 

 

 

どんどんと彼にとって最悪な状況が回り始める中でさらに追い討ちかけるような事態が起きてしまう…

 

 

 

 

「アイツには言わないのか?」

 

 

「…だからちげえっつぅの!俺はただ…お前の敗北する瞬間を見たくだな…」

 

 

 

「どうだか…」

 

 

 

 

「子供は正直であれ…好きなものは好きと、素直に言うべきだ!!」

 

 

 

 

「うるせえ俺様に指図すんな!!」

 

 

 

とはいえ少し早めの思春期真っ逆さまを迎えるダミアンとって女の子、日頃ブスと罵っている人間に「好き」なんていくら金を積まれても出来ぬ事だった。

どこまでも正直になれない男、ダミアンに向けて正直者のタロウはどうしものかと頭を悩ませていると…

 

 

 

「二人、何してんの?」

 

 

 

 

「お供か」

 

 

 

「!?お、おまっ…!」

 

 

この勝負の発端である(勝手に)アーニャが二人の前に訪れていた。どうやら飼い犬の散歩でよくここを通っているらしく、タロウと

ダミアンがいつの間にか仲良くなっているのだと思い込んだ彼女はダミアンに理由を問う。

 

そんな最悪のタイミングでばったりあってしまったダミアンはバツが悪そうな顔で後ずさる。

 

 

 

「たろうのおともになったのか?」

 

 

「そ、そ…そんなんじゃねぇよ!!つかおともって何だよそもそも!」

 

 

 

 

「ああ…そうだ、ちょうどいい」

 

 

「こいつ、お前の事が好きらしいぞ」

 

 

 

「○!※□◇#△!!?」

 

 

突拍子もない発言で石にされたかのようにダミアンはカチコチに固まった。

何でもかんでも正直に発言してしまう…これはタロウの性というか、そればかりはどうしようもない事なのだが…

 

 

文字に起こせないほどの声を発するダミアンは目が飛び出る程の顔でパニックになる

 

 

 

「テメェタロウこの野郎!!!?」

 

 

 

「なんだ…正直に話せと言ったが、お前は中々前に出ない。だから俺が…」

 

 

 

「もう、喋るな」

 

 

ズイってと、人生最大の激昂ぶりを見せながらタロウにドアップで近づける

 

 

 

 

「もう、喋るな!!!!」

 

 

「俺はお前の気持ちを…」

 

 

 

もう、だめだ…コイツは話が通じない…オワッタ、とガックリと膝から崩れ落ちる。

ボシュー、と口から煙を出しているとアーニャが近づいてくる。

今更言っても散々悪口を吐き捨てたり意地悪な行動を繰り返している為かきっと自分の事をよく思っていないだろう、だがそれは自業自得で、仕方のない事だと諦めきっていたが…

 

 

 

「ほーん…」

 

 

ニヤニヤと、例の顔を浮かべながらも消沈したダミアンの周りをグルグル回る。

 

「あ、あのな…これは勘違いなんだ。本当にマジでマジで、全部アイツの嘘で…」

 

 

 

「アーニャ、嬉しいぞ〜」

 

 

チラリと、彼女の顔を見たが二パッと笑っていた。

 

思っていた結果と違う、むしろこれは…

 

 

 

「(これは…成功って事?)」

 

 

 

「お?早く帰らないと…ちちに怒られる」

 

 

「んじゃ、また!」

 

 

「ああ、気をつけて帰れよ」

 

 

 

颯爽と家路へと急ぐアーニャ。一方ダミアンはまたもや石状態になって喋りも動きもせずに硬直していた。

 

 

「どうした」

 

 

裾を引っ張るも反応はない

 

 

 

 

「死んだのか」

 

 

 

 

「…な」

 

 

「?」

 

 

「なんで、あんな事言ったんだ?」

 

 

 

 

以前からタロウというのはライバル的な存在だと勝手に認識していた。アーニャと親交があり、自分以上に距離が近い関係になりつつあるタロウに深い嫉妬心を覚えていた。

勝負を仕掛けたのもそんな男を越えれば自分もアーニャと悪くない関係になれるかもしれない、と考えていたからだった。

 

しかし、彼の行動はむしろ自分とアーニャの間を縮めようとしていた。ライバルであるはずのタロウがまさかのキューピット的な行動に出たのだった。

 

 

 

「あんなに理不尽なことをしたのに…」

 

 

 

「もっと正直になれ」

 

 

 

 

タロウは屈んだ状態でダミアンの正面に向けてそう口にする

 

 

「え?」

 

 

 

「さっきも、アイツはとても嬉しそうだった。きっとお前と仲良くしたいのだろう」

 

 

 

「そういう事だ…言ってみれば、人はそれを受け止めてくれる。」

 

 

 

「!」

 

 

ダミアンの心は大きく揺れる。こんなにも器が広く、あんなにも自分と対等に接してくれた人間は他にもいない。

 

 

「(…金、名誉、安泰、そんなものばかり目にしかしてない奴らが俺にばかりこぞってやってきやがる)」

 

 

「(でも、この男は違う…)」

 

 

 

 

世界有数のデズモンド家の長男ではなく、ひとりの人間として接するタロウにこう願いを申した

 

 

 

 

「兄貴!これから、兄貴って呼ばせてくれぇ!」

 

 

 

「兄貴だと?」

 

 

 

「俺は兄貴みたいな人になりてぇ!だから、一生ついて行きたいんだ!」

 

 

 

「…」

 

突然の申し出にタロウは考える。つまりは…

 

 

 

 

「お供になりたいって事か!」

 

 

「ああ!」

 

 

 

「ほう、面白い!!お前には縁を感じる!!」

 

 

 

「俺についてこおおぃ!!」

 

 

 

「まずは夕日にダッシュだぁ!」

 

 

「おっす!!」

 

 

テンション爆上がりのタロウはダミアンを引き連れ夕日に向かって走り始めた。何故、突然走るのかは不明だが幾つかの勝負を経て二人は親密な関係になった。

勘違いで始まり、勘違いで終わる。そんな妄想が過ぎた少年ダミアンはこうして兄貴と慕い始めたタロウの背中を追いかけるべく走り続けたのであった

 

 




補足
ダミアン君について

結構キャラ崩壊しかけてますが、タロウのドンブラ効果によるデバフがかかっていると解釈してください。



じか〜いじかい、「うたがいスパイ」 お楽しみに…


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