アーニャ、タロウと縁結ぶ   作:助5103

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すいません、今日は雑です


アーニャ、たんていになる

七話「アーニャ、たんていになる」

 

 

 

 

 

 

 

 

波乱の大演劇会から数日経ったその日、観客席に訪れていた著名人達がロイドの身体能力を買いたいと彼本人の前にぞくぞくと現れていいた。サーカスの大道芸や映画のスタントマンなど、体を使う仕事を依頼されるも世間に自分の名を知らしめる間抜けな行為は当然だが出来るわけがなく、多くの声を断ってきた。そう…彼が求めるのはスカウトマンの声ではない、お目当てはデズモンド家の人間に興味を引かせられたかどうかである。

 

だが、聞いた話によればどうやら入学式にも姿を現さなかったらしく、例え名門エリート校であっても決して姿を安易に見せる事はないらしい。ならば、少なくとも国家統一党総裁のドノバン・デズモンドは現れていなかったのかもしれない…やはり懇談会に参加する以外彼との接触は難しいものとなるだろう

 

 

「(とはいえ、流石に誰も見にきていない事はないだろう…)」

 

 

 

「(だが、やはりアーニャとデズモンド家の息子を仲良くさせるのが無難だったか…?)」

 

 

 

 

…となれば、向こうの動きはどうなるかは一先ず置いておくとしてロイドが着目したのはもう一つの重要任務、オペレーション〈桃〉(ペェスカ〉。ドン家の末裔であるタロウの動向調査とその監視…今まで彼に振り回されっぱなしの現在、ロイドは本格的にタロウの謎を解明すべく行動を開始した

 

 

「(奴のプライベートははっきりいって謎に包まれている)」

 

 

 

「(よくよく考えれば、奴と会うたびに色んな職についているような気がする…)」

 

 

 

 

今のところ確認できる範囲では教師、配達員、調理教員と様々な仕事を掛け持ちしている。もはや一般人間のバイタリティを逸脱している…何よりも、彼は特別な超能力のような物も所持している。あれがなんなのかは見ただけで判別は難しいものの、タロウが只者ではない事は確かである。

 

 

「ドン・モモタロウ…お前の正体を暴いてやる」

 

 

 

タロウが勤めているシロクマの社内にはあらかじめ盗聴器を仕込んである。その他にも彼のシフト表、社員の個人情報も全て彼の手の内…それも全て情報屋として営むフランキーによるおかげである

 

そして今日、タロウは出勤日で今が彼と接触するのには絶好のタイミング。ロイドは配達員の姿に早変わりし、本社へと向う

 

 

 

 

 

 

 

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「と、言うわけで今日からここに務めることになったマイケル君だ。みんな仲良くしてね」

 

 

「マイケル・スカェラです、よろしくお願いします!」

 

 

 

場所は変わり、とある一社の社内…住民からは広く支持されている中小企業の配達会社「シロクマ」にて一人の男が入社した。その男は一眼見れば好青年、特に変わりのない普通の人間にも見えるが

 

 

 

「(まずは潜入完了…)」

 

 

 

それは全くのウソである、中身は西国が誇る伝説のスパイ…コードネームは黄昏である。

そんな彼の特徴の一つといえば、その完璧な変装である。こうして数々の任務をこなし難なく乗り越えてきた黄昏は、今までターゲットにその正体を気づかれた事は一回としてない。故に対象者にとっては、黄昏は神出鬼没のようなものである

 

最も、彼の正体に気づいたとしても、既に手も足も出ない状態であるが…

 

 

 

そんな人間は現れたと知らずに従業員達は黄昏改めてマイケルをめでたく迎えている。

そんな中では、ターゲットのタロウは新入社員が来たのにもかかわらず黙々と荷物の積み込み作業をしている。マイケルを気に留める必要は一切ないという事なのか…

 

 

 

 

「んじゃ、君の教育係はあそこにいるタロウ君だから…色々な事教えて貰ってね」

 

 

 

「はい、以上で歓迎会な終わり〜」

 

 

爆速の速さで歓迎会は終わり、「分からないことあったら俺らに聞いてくれよな!」と、暖かい言葉を送ってならそれぞれ仕事に移った先輩の作業員達。それに笑顔で対応した黄昏だったが、幸運にもタロウとの接触をスムーズに図る事ができ、心の中でしたり顔を浮かべた

 

 

 

「(これは大チャンスだ、まさかこうして合理的にドン・モモタロウと距離を縮める事が出来るとは…!)」

 

 

 

「(これならば奴の繊細動きもこの目でチェックする事が出来る…!)」

 

 

「(いや、黄昏よ…これくらいの事で浮かれるな!奴は未知数でどんな事をしでかすか分からん…)」

 

 

 

 

冷酷非情のスパイである事を己に再び叩き直した黄昏はタロウの方へと接近する

 

 

「どうも!これからこの会社に勤めさせてさせて頂く、マイケル・スカェラです!」

 

 

「よろしくお願いします」

 

 

先程の歓迎会で見せた嘘の表情でタロウにそう挨拶するも、相変わらず無表情な顔立ちでこう答えた

 

 

 

 

「あんたか、宜しく」

 

 

 

「なら早速仕事だ、俺についてこい」

 

 

 

「はい!」

 

 

 

「(お前が何者か、この目で確かめてさせてもらおう…)」

 

 

 

タロウに対しても特に怪しまれる事もなく、黄昏は彼の指示に従いながらも配達員の仕事を補助する事となった。ここまでの手早さは流石伝説のスパイと言った所だが、こんなにも順調である事に対して逆に違和感を感じていた。ここまですんなりいける訳がない、相手はあのドン家であるのだから…

 

そんな不安は、配達の為に乗用車で同伴している時に的中してしまった。

 

 

 

「ここで言うが、何故俺の会社に入ってきた?」

 

「はい?」

 

 

 

「アンタの変装はお見通しだぞ」

 

 

これまでポーカーフェイスを装っていた黄昏の顔は、タロウの一言によって少し歪み始めた。そう、彼の変装をとっくに見破っていたのだ。これ以上の誤魔化しは無駄か、と黄昏はマイケルとしての顔をやめて黄会話を続けた

 

 

「この間も言ったはずだ、君の行動を監視させてもらうと…」

 

 

「ほお、それで潜入してきたと」

 

 

 

「君が普通の人間ではない事は分かっている」

 

 

ロイドが脳裏に浮かべたのは演劇で見せたタロウのあの姿。珍妙な登場の仕方をしたせいであの時はろくに考えていなかった…が、あの姿はなんだったのか。

もしくは自分が裏でスパイ活動をするように、タロウもまた一般の姿を装っているとして、あれが裏の姿だというのか…

 

 

 

 

 

「…まぁ、どのみちあんたには教えない」

 

 

 

「……それは、自分の目で見てみろと?」

 

 

 

フッ、と笑みを浮かべたタロウは黄昏の言葉を返す

 

 

 

「その通りだ」

 

 

 

「それに、我がお供が凄腕のスパイというのも中々面白い!」

 

 

「…それさっきから言ってるけど、そもそも俺は君のお供になったつもりはないのだが…?」

 

 

 

「俺が認めた者はその時点でお供とみなしているからな」

 

 

 

「それのどこがおかしい?」

 

 

 

堂々と理不尽な事を口にするタロウ。彼にとっての「お供」とはどういう意味かは全く分からないが、それがタロウなりの拘りなのだろう。というかそう納得するしかない

 

 

 

 

「あぁ…そう…」

 

 

 

 

「(やはりこいつ意味わからん)」

 

タロウとの対話はある意味レベルが高いので、黄昏も何も返す言葉もなく会話は終了した。

 

 

「さて」

 

 

 

「着いたぞ」

 

 

なんだかんだで配達場所に着く二人であった…

 

 

 

 

 

 

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「ひま」

 

 

 

時は同じくして、黄昏のシロクマ配達会社潜入ミッションに無事同行させて貰えなかったアーニャは、リビングのソファーで死んだ目つきをしながら大の字で広がっていた。

今日は日曜日の学校がない日、だが家でやる事は特にない。お気に入りのアニメは全て明後日にあり、日曜のお昼時は意味のわからんドキュメンタリーばかりやっている。

 

そんなものはどうでもいい、アニメを見させろ…そんな不満を募らせながらも無心で辺りを見回す。

すると、そこで偶然目にしたのはウキウキでこちらを見ているヨルの姿があった。人が退屈しているのを嬉しがっているのだろうか、だとしたら此方の癪に触るがそうでもないらしい

 

 

「見て下さいアーニャさんっ!このチケットを!」

 

 

 

「…」

 

 

嬉しそうに天高く腕を開けた上げる。2枚の紙を持っており、それには…「バーリント国立動物園チケット」と綴られている。

そう、あの「動物園」である

 

 

 

「!!」

 

 

 

その日アーニャは喜びによる人生最大のジャンプ記録を更新した…

 

 

 

 

 

 

 

 

「らいおん!」

 

「ぺんぎん!」

 

「ぱんだ!」

 

 

「なんか変ないきもの!」

 

 

そこからの行動は早く、フォージャー家から約数分程の距離にあるバーリント国立動物園へと訪れた…しかし何故動物園でチケットが必要かと言うと、この動物園は通常の動物園より希少の高い動物達を保護してある為他の動物園よりも今まで見た事もない生き物達が勢揃いしている場所なのだ。故に多くの国民達がその動物園に訪れたいと殺到しており、その高い集客率からチケット制へと変更になったのだと…

 

そしてヨルは、その抽選で当たるチケットを見事手に入れ今に至る。

 

 

 

「みたことないどうぶつさんいっぱい!」

 

 

「すごいですね…私でももお目にかからなかった動物さん達ばかりです…」

 

 

 

一方、今まで退屈だったアーニャの心は見たことのない動物を見ることで塵のように吹き飛んでいた。ウキウキとはしゃぎながらお馴染みの動物と、絶滅危惧種に認定された非常にレアな生物などをじっと観察していた。

 

 

「はは…このどうぶつ知ってる?」

 

 

「すみません…私はあまりこういった生物学には疎く…」

 

 

アーニャは指差したその先を見たヨルは思わず絶句した。その先にはもちろん動物がいたのだが…それが最悪のタイミングで交尾真っ盛りの途中だったのだ。あのような生物達はそういう本能と性質を持って生きているのだから仕方のない事…

とはいっても、彼女は異性と手を結ぶ事さえも顔がすぐ火照ってしまう程うぶな女性である事と、動物でもあまり教育的に悪い物を見させてしまうアーニャをなんとしてでも回避するべくその場を離れようとした

 

 

「なんか、ぞうさんたってる」

 

 

「しっ!」

 

 

決してやましい意味ではない方の言葉である事は分かったが、そそくさにアーニャを抱えて逃げるのだった

 

 

 

 

 

 

「あそこにぬいぐるみさんがいっぱいありますよ」

 

 

「おー!」

 

 

 

 

販売コーナーには、多くの動物がデフォルト化したグッズがずらりと並んでいる。キーホルダー、クリアファイル、文房具、タオルケットなどなど…日用生活に使えそうな品物も動物の可愛らしいデザインが描かれて売られていた。

その中で特にアーニャの目を惹きつけたのは

これまた大きなぬいぐるみである。

 

 

「この中から選んでいいですよ!」

 

 

「やった〜!」

 

 

先程の破廉恥な光景を脳内から抹消させる為にヨルはぬいぐるみを好きなだけ買っていいという暴挙に手を出した…だがこれで動物園の探訪は和やかに終わると思っていた。

 

 

 

「何にしようかな〜らいおんさん?それととぞうさん?」

 

 

 

「らいおんさんにしましょう」

 

 

 

そんな事はなかった。即答でライオンの方を

半ば強制的に買わせたヨルはアーニャの手に持っていたゾウのぬいぐるみを速やかに商品棚の所へ戻し、事なきを得る。恐らくうやむやに出来ただろう…

 

 

 

「あれ?」

 

 

 

 

アーニャはヨルのお会計を待っている時にとある人物に視線を移した。

 

 

「ますたー?」

 

 

「こんなとこで会うなんて、奇遇だね」

 

 

 

 

そこにいたのは、例の人助けの件で出会った喫茶店「ドーブラ」のマスターだった。

彼も同じくして運良くチケットを手に入れ、この動物園に訪れていた。

だが、まだ面識のないヨルにとってはマスターがどんな人物なのかアーニャに尋ねる

 

「この方は?」

 

 

 

「この間ジュースおごってくれたいい人」

 

 

「あら、そうなんですね」

 

 

アーニャに覚えてもらっていたのかマスターはフフッ、と軽く微笑んでいた

 

 

 

「マスター、と呼んでいただければ」

 

 

「初めまして、マスターさん。私はヨル・フォージャーと申します」

 

 

品行方正でお淑やかな立ち振る舞いに、マスターがアーニャの隣に寄って「綺麗なお母さんだね」と彼女を褒めていた。

それに対して自分も嬉しなったアーニャはにっこりと微笑んだ

そうだ、とマスターはとある事を思い出してアーニャにこう言った

 

 

「まだ今度うちの喫茶店においでよ…君の好きなぴーなっつ、ちゃんと用意してるからね」

 

「ほんと!?アーニャ嬉しい!」

 

 

 

「よかったですね、アーニャさん」

 

 

 

ピーナッツにやたら食いつきがいいアーニャはいっそうテンションが上がっていた。しかしそんな和やかな雰囲気はある出来事によって一変した…

 

 

 

「キャーッ!」

 

 

 

それは女性の悲鳴だった。販売コーナーから遠く離れた場所に、人が血を流して倒れていたのだ

 

 

 

 

「…なんかあった?」

 

 

 

「あれは…どうやら事件みたいだね」

 

 

「じ、事件!?」

 

マスターの一言で二人は驚愕する。マスターは遠い距離でも、あの倒れている人間が既に命を絶ってしまっているという事まで分析していた。そのマスターの推測は当たり、何人もの大人がわらわらとその現場に集まって事態は大きくなっていた

 

 

「(じけん…これは…)」

 

 

さっきまで温和的な空間が広がっていた動物園が一変し、不穏な空気が漂い始めていたがアーニャは事件というワードを聞いてとある事を連想する。夕方の6時から放映されているミステリーアニメ「名探偵スピカ」の事である。ごく普通の子供が難事件を次々と解決していく人気アニメ…その展開が、今まさに現実として起こっていた!

 

 

 

「(これは…アーニャ、めいたんていになる時…!!)」

 

 

 

そう…今ならお気に入りであるアニメの主人公になれると、アーニャは考えていた!

 

 

 

 

 

 

 

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「これからどうなるのでしょうか…」

 

 

「さあね…」

 

 

三人は事件現場の近くに居合わせていた事からその他数人の目撃者と共に館内のスタッフルームにて保安局が来るまで一時待機となった…しかし、その室内の空気は非常に重い。

 

 

 

 

「(やっぱりこの中にはんにんが…?)」

 

 

 

アーニャはこの中に真犯人がいるのだろうと、スピカになりきりながらヨル達を除いた人間達を観察していた。確かに、この中に犯人がいる可能性もなくはないだろう…だとしたらそいつがいつ襲ってくるかも分からない…つまり、ここにいる事はかなり危険な事であると考えに至る。

 

アーニャが考え込む中、まるで脳内から直接語りかけてくるようにとある男の声がいきなり聞こえ始める

 

 

「(アーニャちゃん)」

 

 

「(…ん?このこえは…)」

 

 

「(聞こえるんでしょ?僕の心の声…)」

 

 

 

アーニャに話しかけていたのはマスターだった。彼は自分が心の中が読めると知っていたのだった。マスターの方へ振り返ると誰にも悟られないように、と心で呟きながらもマスターは人差し指を口元に当てて沈黙のジェスチャーをアーニャに向けていた。

 

「(な、なぜアーニャがこころよめるの知ってる…!?)」

 

 

「(それはまた後で、とりあえず…この事件は今、ここで誰かが解決しないとダメだと思うよ)」

 

 

 

「(どういうこと?)」

 

 

 

マスターのその言葉にアーニャを首を傾げた。マスターは現場急行する保安局の実態を知っていた…東国の国内防諜機関を担う国家保安局「SSS(STATE SECURITY SERVICE)」の目的は国内の治安維持。今まで数多くのスパイや情報提供者(スティンカー)を確保しては、東国を脅かす者を手当たり次第ねじ伏せてきた。治安を維持する、とまでなら聞こえはいいが、彼らの手段を問わないやり方は住民からも充分恐れられる程だった。

 

逮捕状もなしに強制連行、怪しい人物は普段の行動を監視&盗聴、場合によっては暴行&脅迫アリの取り調べ(というか拷問)

などと、警察というにはだいぶ手荒が過ぎる程のやり口でこの国を取り締まってきた。こうして住民からは「秘密警察」と呼ばれる程、不審な行動を犯せばただでは済まされない組織であるのだ。

 

ましてやこの事件では今回の被害者である 館内の役員…秘密警察は館内にある絶滅危惧種の貴重な動物を盗む為に至った行為だと推測され、ここにいる関係者達が事実を述べるまで非道な手で尋問するに違いない…それならばある意味ヨルの身にも危険が及ぶだろう…

 

 

「(ここに来るまでは恐らく数分もない…それまで、犯人を特定しないと)」

 

 

 

「(アーニャたち、あぶないめに…!?)」

 

 

ブルブル、と考えただけ恐怖に包まれたアーニャ。

 

 

「(そう、だからそうならないためには…)」

 

 

 

 

 

「(君が名探偵になって解決しなくちゃいけない)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みなさん、よくお集まりいただきますた…」 

 

パッ、とスポットライトに当たる一人の少女アーニャ。茶色のハンチング帽とコートに身を包み、パイプ(勿論なにも入ってない)を加えながら話を進めていく…

 

 

「その理由はほかでもありません、それは…」

 

 

「この中にしんはんにんがいるからですす!」

 

 

 

まさに、名探偵アーニャの爆誕である!!!

 

 

 

 

 

 

「アーニャさん、その格好はなんですか…??」

 

 

「こまかい事はどうでもいいのだよ…じょしゅくん」

 

 

 

どうやらヨルは助手という立場らしい。

 

 

 

「お嬢ちゃん…すまんが俺は君の探偵ごっこに付き合ってる暇はないんだよ」

 

 

「まぁ、本当に真犯人がいるんなら秘密警察が来る前とっとと捕まえて欲しいモンだが…」

 

 

と、ため息をつきながらアーニャに話しかけた中年の男…何を隠そう、この男は美容グッズ販売会社「アルフォード・ホールディングス」CEOである。

せっかくの休日が台無しだ、と事の事態に嫌気がさした彼はいかにも社長らしい図々しい態度を取る。

 

 

 

「そうねぇ…ここにいるのなら、早く暴いて欲しいのだけれど…」

 

 

と、不安の表情を浮かべる老婦人…こちらは去年ごろに学校教師を退職した事で、一人旅としてこの動物園を訪れていた。

 

 

 

「一応言っておきますけど…僕は先程まで人命救助に回ったんですよ?そんな僕が人殺しする訳がない」

 

 

年齢がひと回り下がり、好青年の印象を持つ男子大学生…提出予定のレポートの息抜きとして偶々手に入ったチケットを利用し、この動物園に訪れたのだと。

 

「(確かに…彼はここの関係者の中では一番被害者の近くにいた…)」

 

 

 

「(だが…それで疑いが晴れる理由にはならない)」

 

 

 

遠目で見ていたマスターも彼が人命救助に努めていたのは分かっていた。嘘はついてはいないが、何か彼には怪しい「何か」を感じている…

 

 

 

 

 

「あの…アーニャさん、本当に分かるんですか?」

 

 

 

「うむ」

 

 

 

「あのひとをさつがいしたのは…あなたです!」

 

 

「な!俺ぇ!?」

 

 

アーニャはそう指名したのは…大学生の男だった。

 

 

 

「だから、俺やってないっていったよねぇ!?なんで俺になんの?」

 

 

 

 

「そういうのなら、さつがいに使ったトリックをお見せしましょう」

 

 

アーニャが口にした瞬間、周りの背景が事件現場の様子に切り替わった。

 

 

 

「あなたがもちいたさつがいトリックはつまり、どくさつです!」

 

 

名推理、と言わんばかりの表情でアーニャはトリックの全貌を掘り明かしていく

 

 

 

「ひがいしゃの人差し指をよくみてくらさい…」

 

 

「ペロ…」

 

 

ヨルは人差し指についた白い粉を舐める

 

 

 

「これは…シアン化カリウム!」

 

 

被害者の指には粉が付着していた…が、それよりも粉を舐めても平気なヨルの方がよっぽど気になるのだが…

 

 

「恐らくこの男の人はよく指を舐める癖があったのかもしれない…」

 

 

「それを利用してあなたは、なにかしらの方法によって指にどくをふちゃくさせてひがいしゃを殺した…」

 

 

 

テクテクと、アーニャは彼を追い詰めるように距離を縮める

正直いって話のほとんどが探偵アニメの真似事なだけのへっぽこ推理なのだが、何故か名推理の雰囲気を出して自慢気に話していたので誰もツッコミをいれなかった

 

 

 

「ふっふっふ…これがさつじんトリックのぜんぼー…」

 

 

「これが、今回のじけんのしんそーです!」

 

 

 

名探偵スピカの名台詞であるその言葉を叫びながら、彼に勢いよく指を指した。

子供にしてはいい線を言っているのだが、それでもチグハグな推理に対して中年のアルフォードは馬鹿にするような表情でアーニャに物申した

 

 

 

「おいおいおい、いくらなんでも無理やり過ぎるだろその推理…それで犯人が諦めると…」

 

 

「ああ、このガキの言う通りだよ…」

 

 

「えぇ!?」

 

 

 

「あら…」

 

 

「(やっぱり、か…)」

 

 

大学生はアーニャの推理によって自身が全てやった事を暴露し始めた。そん事で自供する訳がない、とアルフォードが言っていた矢先の事だったので本人含めて一同が驚きの声を上げていた。

 

 

 

「す、すごいです…!!まさか本当に当てちゃうなんて…!!」

 

 

 

「ふ…」

 

 

 

ここまでくればアーニャが本当の探偵のように見えてきたヨルがアーニャを激烈に褒め出した。一方ドヤ顔をしながらカッコつけているアーニャは、スーパー愉悦モードに突入している。

 

 

 

「なぜ、あなたはなぜそんなひどい事をしたのですか…?」

 

 

「アイツはな…」

 

 

 

「俺の彼女奪ったんだ!」

 

 

 

大学生は悲しみの顔から一転して恨み節を吐き捨てながら事の事情を説明する。

 

 

 

「アイツのせいでヨォ…ちくしょう!!」

 

 

 

「わっ」

 

 

すると大学生は突然アーニャを持ち上げてどこかへ連れ去ってしまう。恐らく自暴放棄からなのか腹いせにアーニャに危害を加えるつもりなのだろう

 

 

 

「あ、アーニャさん!」

 

 

 

「おいおい!」

 

 

 

「ど、どうなるでしょうか…」

 

 

 

他の二人も大学生の暴走に困惑するも、マスターが落ち着かせるように言葉を並べる

 

 

 

「大丈夫ですよ、あの女性の方…結構強いので…」

 

 

 

彼は知っていた。ヨルが常人の能力と逸脱している人間である事を…そんな音速のスピードで追いかけるヨルの背中を彼は見守るように見続けていた

 

 

 

 

 

 

「うわ〜〜〜〜」

 

 

「このガキめ…変に抜かしやがって…」

 

 

「クソ…俺の人生がァ…クソぉぉぉ!!」

 

 

 

 

青年の発する怨念はやがて形となって現れて、彼を包み込むように纏わりついていた。

そしてその中からは悍ましい姿の化け物に変貌した。

 

 

「ば、ばけものーーーっ!!?」

 

 

 

「ウンガァ〜ッ!」

 

 

大口を開けたサメの口内にワシを咥えたライオンがマトリョーシカの様に飛び出した頭部、トラの頭蓋骨の眼窩辺りからゾウの牙が突き出た胸部で構成され、顔部分からして、野生動物の弱肉強食な食物連鎖を端的に表している様にも見える…いかにま悪趣味な造形でもある。動物鬼と呼ぶに相応しいその怪人は背中から翼を生やして上空へと飛んでいった

 

 

 

 

「ギャァァ〜〜〜!!!」

 

 

 

ミイラのような表情を浮かべるアーニャは顔面蒼白になりながら悲鳴を上げていた。子供なら高い空に飛んでもキャッキャする物かもしれないが、横に得体の知らない化け物と同伴なら当然怖いわけである

 

 

「あ、あの男はどこに…!?」

 

 

 

一方上空へと飛んだ事も知らずにアーニャの行方が分からなくなってしまったヨルは館内に出て辺りを見回していた。

 

 

「必ず…見つけ出してみせます!」

 

 

「無事でいてください!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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アーニャ達が異常事態になっている一方で、潜入中の黄昏は昼休憩に差し掛かった所で、食事中のタロウと二人で話を持ちかけた。今なら従業員達は外食へと向かっている、そう…今がチャンスなのだ

 

 

 

 

「ところで」

 

「なんだ」

 

 

「君は一人暮らしなのか?」

 

 

 

「そうだが、それがどうかしたのか」

 

 

 

「君の子供について聞きたくね」

 

 

 

 

なるほどなぁ、と弁当を一口頬張ってタロウは自身の子供時代の話を切り出した

 

 

 

「俺は昔友達がいなかった」

 

 

「(うん、だろうな)」

 

 

 

大体の掛け合いでそんな匂いが大体感じていた。

 

 

 

「昔はここから離れた団地に父親と二人で住んでいてな」

 

 

「近所の人間と馴染む為に色々と周りの手伝いを率先してやっていたんだ」

 

 

 

 

彼は当時の風景を思い出しながら話を進めていく

 

『こんにちわ』

 

『あら、いらっしゃい…どちら様』

 

 

 

『同じ団地に住むタロウだ、これでアンタと縁が出来た』

 

 

 

『はぇ?』

 

 

 

『いきなりだが、掃除させてもらう』

 

 

 

『ちょ、勝手に…!!』

 

 

 

ある日はシングルマザーの女性の一室を勝手に大掃除をしたり…

 

 

 

 

『誰だお前?』

 

 

 

『俺はタロウ、これでお前たちとも縁ができた』

 

 

 

『俺と鬼ごっこだ!』

 

 

 

ある日は同い年の子供達と鬼ごっこの誘いを投げかけたのだが…

 

 

 

『ハァ!』

 

 

『『『うぁぁぁ!!』』』

 

 

鬼ごっこでも光の速さで子供達を捕まえてすぐに終わったり、逃げる側でも早すぎて捕まえられなかったりと、他の遊びをやってもタロウの圧倒的な身体能力に負かされてしまう…

 

 

『タロウ、お前と遊んでもつまんねぇんだよ!!』

 

 

 

『きさまらが弱いからだろう!!』

 

 

『そういうとこだわ!!』

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーと、色々とやってみたがどれも失敗続きで終わってしまい、終いには団地に無理やり追い出されてしまってな…」

 

 

「(マジかこいつ、なんとく想像出来てたが幼少期もこんな感じだったとは…)」

 

 

 

タロウの一貫した性格に黄昏は裏の顔で思わずドン引きしていた。

彼は自分の場違いな発言や自己的な行動でも全て絶対的に「正しい」と信じ抜く人間であり、加えて人に対してデリカシーや気遣いをする行為が皆無な為か他人にとって一方的なありがた迷惑となるのが現状である。

彼の人間像がますます分かって来た黄昏は、さらに言及を進める

 

 

 

「それで…?」

 

 

「まぁ、高校生の時には少し事件に絡んでしまってな」

 

 

 

「反組織が女性に危害を加えていたから助けた時の話だが…」

 

 

 

 

『おい』

 

 

 

『あぁ…?』

 

 

『んだテメェ…ノコノコ割ってきやがってよ…ブッコロされてぇのかァ!?」

 

 

 

『断る!』

 

 

『クソが、死ねぇ!』

 

 

五、六人の男に囲まれながらもタロウは四方八方に撃ちまくる弾丸をほんの数ミリの動きによって繊細に、かつ正確に避けていった。

そのままタロウは、弾丸を指で正確に跳ね返す

 

 

『ガッ!』

 

 

 

『なっ!?』

 

 

それは男達の体に当たる訳でもなく、持っていた拳銃を全て跳ね返したのだ

 

『ば、化け物ォォ!!』

 

 

 

『うぁぁああ!!!』

 

 

 

 

撃ち尽くした彼らはタロウの神業レベルの芸当にビクついてその場から離れてしまった

 

 

 

 

 

 

「まぁ、俺は喧嘩をしたくないんでな…いくら反組織といえども、人を殺すのは理に反していると思っての判断だった訳だ…」

 

 

「(なるほどわかった、コイツヨルさんと同じタイプだ)」

 

 

黄昏はタロウの化け物エピソードによってそう断定した。今までその目で見てきた事もあるが、タロウは正しく男版ヨルである。

いや、知能的な部分を鑑みるとヨル以上のハイスペックを持っているかもしれない…ここまで超人的な力を持っているとなると、神が何故タロウにここまで常軌を逸した人格を与えたのかは納得である

 

 

「…!!」

 

 

一通り話し終えたタロウはいきなり立ち上がる

 

 

「どうした?」

 

 

「なんでもない…!」

 

 

と、言いながらもタロウは猛スピードで社内から飛び出していった。

 

 

 

 

「(…全然なんでもなくねぇじゃねぇか!!)」

 

 

 

 

タロウの突然の行動を追うべく、黄昏も外へ出ていったのだった…

 

 

 

 

 

 

「あそこに動物鬼が…!」

 

 

飛び出したタロウは空にいる謎の飛来生物に目線を向けてそう口ずさんだ。

そして謎の片手銃を取り出して丸型の窪みに歯車のアイテムをはめ込んだ

 

 

 

「アバターチェンジ!」

 

 

 

「(アバター…チェンジ?)」

 

 

追いついた黄昏は壁際から覗き込むようにタロウの様子を観察していた。

 

 

 

【DON!DON!DON!DONBURAKO!】

 

 

 

「ふっ!」

 

 

上空に撃ち飛ばすと頭上から現れたギアがタロウの全身を被さった。

 

 

【DON!MOMOTARO‼︎】

 

 

 

「アーッハッハッハッハッハッハッハッ!!!」

 

 

「(あの姿は…!!!)」

 

 

「(ああやって姿を変えていたのか…!?一体どういうメカニズムで…!)」

 

 

 

スーツカラーは赤色で、顔には桃の葉に見立てた大きなサングラスに、後頭部には丁髷が乗せられている。そして変身直後に扇子を煽りながら豪快に笑い飛ばしていた。

 

 

 

「(あれが奴の本当の姿か…!)」

 

 

「さあ、勝負勝負!!」

 

 

ドンモモタロウは上空に向けて銃を乱射する。その銃弾は動物鬼の羽に当たった事でどんどんと落下していった。

「みたか!」としてやったりの表情を見せるものの、よく見れば奴の懐に抱えているのがアーニャである事に気づく。その事は、同じく監視していた黄昏もアーニャの存在に気づく

 

 

 

「あ、アーニャ!?や

 

 

「そぉら!」

 

 

脅威のジャンプ力でアーニャを落下寸前よりもスマートにキャッチした。

 

 

「毎度世話を焼かすお供だ!!」

 

 

救出成功したドンモモタロウが取り出したのは彼が得物とする専用剣、人呼んで「ザングラソード」 …その名に違わず、枠に嵌めて刀剣型に仕立てたまさにサングラスと言った感じの奇抜な見た目だ。

垂直落下した事でダメージを食らう動物鬼に目線を向ける。丁寧とはいえない雑な抱え方でアーニャを背負ったまま動物鬼との戦闘を開始する。ただ、彼女は彼女でとっくに意識がない状態でもあるが…

 

 

「アニマル‼︎アニマル‼︎アニマルゥゥ!!」

 

「ふんッ!」

 

 

起き上がった動物鬼は彼に真っ向勝負を無言で受け止め、そのまま一直線へと突撃していった。が、ドンモモタロウの間合いへと完全に誘い出された所でゼロ距離に迫った動物鬼の懐にザングラソードの上身を当てる

 

 

 

【hey‼︎hey‼︎hey‼︎comeon‼︎】

 

 

 

「ザングラソード…」

 

 

 

【ABATARO-ZAN‼︎】

 

 

 

 

「快 桃 乱 麻ァ!!」

 

 

 

 

鍔のギアディスクを回す事でエネルギーをチャージし、その為刀身が七色の光の線を纏い、動物鬼の胴体が豪快にぶった斬る。

 

それは実に呆気ないものであり、動物鬼の怨念は爆発で焼き払われると共に取り付いた大学生の元から消滅し元の姿へと戻っていた…

 

 

 

「⁉︎こ、この世のおわり…?」

 

 

 

一方、爆発音で意識を取り戻したアーニャは今がどういう状況か追いつかないでいた。いきなり変な怪人に誘拐されては、気がつけば今度は赤の男に肩に担がれている…摩訶不思議な体験には流石のアーニャも何これの一言に尽きるだろう…

 

だが、そんな中でこの男の事を少し知っている気がした。そう…あの時演劇で派手な登場をして現れたあの男である

 

 

 

「おっさん、だれ?」

 

 

 

「…」

 

 

ガン無視である

 

 

 

 

「ハーッハッハッハッハッ!!」

 

 

 

「(何コイツこわ!)」

 

 

 

盛大に笑うという突然の奇行に、先程とはまた別の恐怖を感じるアーニャであった。それと同時に彼女は短いハプニングによる疲れか、再び意識が自然と途絶えてしまった。珍妙なこの男に少しだけの既視感を感じていたのが、もう一度その瞼を開いた時にはロイドの後ろ姿が視界に広がっていた。

 

 

 

「うぃ…?」

 

  

 

「大丈夫か、アーニャ」

 

 

 

「あのおっさんは?」

 

 

「どっかに消えたよ、全く」

 

 

 

「(アイツ、俺の前に現れた瞬間に突然消えやがった…一体なんなんだ、ドン・モモタロウという男は…)」

 

 

 

「(どん…ももたろー?アイツの名前?)」

 

 

 

ロイドが愚痴るように心の中で呟いた中で現れた謎の名前。恐らく、あの全身赤男の名前なのだろう…どうしてロイドが彼の名を知っているのかは置いといて、とりあえずアーニャは意識を取り戻した所で辺りを見回した

例の男子大学生は、まだうつ伏せになったまま動いていない。気づけば秘密警察の人間もチラホラと見かける

そしていかにも偉そうな風貌をした中尉かロイドの元へやってきた。

 

 

 

「館内のスタッフルームに待機していたお二人から既に事情を聞いている、君がどうやら事件の犯人を突き止めたとか…」

 

 

 

「そ、そうなのか…?」

 

 

 

「…!」

 

 

立て続けのハプニングで忘れていたアーニャは自分が名推理で犯人をほぼ撃退していた事を思い出す。

 

 

「あい、そうです」

 

 

コワモテ相手だったからかアーニャは首を取れそうなくらいに縦に激しく振った

 

 

「ありがとう、お陰で尋問の手間が省けた…事情はまた後で聞くとするよ」

 

 

 

「(アーニャ、ピンチをぶじ切り抜けた…)」   

 

 

事態が収束し始めるの確認し、改めて安堵をする。すると向こうから車と同じスピードで走ってくる女性がこちらに近づいて来るのに気づく。

 

 

「ロイドさん‼︎‼︎‼︎」

 

 

 

「…どうしたの、ヨルさん?」

 

 

 

「今さっき北区の周辺を五周程周っていたのですが…アーニャさんの姿が全く見当たらなくて…」

 

 

「(ヨルさん残念だね…上なんだ)」

 

 

 

半泣きの状態で、ヨルは常人では考えれなれない台詞を吐くのに対しロイドは哀れみながらも心の中でそう小さく呟いた。かと言っても骨折れ損のくたびれもうけと言うほど骨を折れてもなく、くたびれてもないのでそこまで身体の心配はしていなかった。

その後「はは、ばか」と軽く罵られて軽くショックになる彼女を横に、ロイドはアーニャに語り掛ける

 

 

 

 

「…なんだか、お前のお陰で助かったみたいだな」

 

 

 

「…」

 

 

 

アーニャはチラリと向こうの物影でこちらを見守る男に目を向けた

 

 

 「(ホントは、ますたーにこころの中で教えてくれた事を言ってただけ…)」

 

 

 

「(て事は…ますたーは本当の名探偵…?)」

 

 

 

今までの推理はマスターが心の中を通じてアーニャにアドバイスを促していたのだ。だが、彼が一瞬にして事件の真相を突き止められたのは何故なのか…それはアーニャでさえも分からなかった

 

 

 

「またおいでね、お嬢さん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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