九話「すぱいににんばおり」
「用件とはなんだ」
その日、フォージャー家に来訪する事となったタロウはソファーの上でロイドの「とある用件」について問い出した。
「…いままで付き纏っていた俺が言うのもなんなのだが、頼みがある」
「ほぉ…」
「今夜一日だけ、俺のフリをして欲しい」
ロイド、ヨルはとある重大な危機に直面していた。
これからこの家にとある青年が来訪する、名はユーリ・ブライア…姉のヨル・フォージャーをこよなく溺愛している実弟である。彼女の為なら火の中海の中宇宙の中まで走り回る程の異常なコンプレックスを持つ彼が、今宵この家に訪れるのだ
「まさか今日来るとは思っていなくてね、俺は夜から別の要件があって家を出ないといけないんだ」
「別にいいだろう、何か見られたくないものでもあるのか?」
「そうさ…」
念のために説明しておくと、フォージャー夫妻は偽装夫婦で構成されている。その事を一応叔父に値する彼に悟られてはいけない。
そうして二人ゴリゴリの新婚夫婦を装う為に模様替えや仲睦まじい様子が撮られた写真などを配置し、いかにも「私たちはラブラブ」ですと言わんばかりのアピールによって前回件は無事に難を流れる事が出来たのだった。
しかし、彼はまたしても二人の前へと現れる事となり前回とは違ってアポ無し突撃訪問という更にタチの悪い事態がロイドの前に直面していた。
そんな日に、ロイドはスパイ「黄昏」としてとある任務の依頼とまる被りしてしまった為、タロウにそんな頼みを懇願したのだ。
「すみませんタロウさん…私からも是非このお願いを…」
「その弟とやらはあんたの顔を既に知っているんだろう?俺がフリをしていても、直ぐにバレる」
「それについては心配はない」
ロイドは数百の顔を持つ変装の達人としての異名を持つ男でもあり、自分そっくりの男を作り出すのも勿論彼にとっては造作をない事。身長やスタイルもどことなく一致しているタロウが、特に適任だったのだ
しかし隣にはヨルがいる為かあまり口に出して言えないが、その事を唯一知っているタロウは彼の目を見ては「なるほど」と心を読んだかのように静かに頷きーー
「まぁ、あんたがなんとかするというのなら問題はないだろう…」
「とはいえ、悪いが…その頼みは受け付けられない」
「な⁉︎」
まさかのお断りにロイドも感嘆の声を出した
「俺はウソがつけない」
「ウ…ウソって、たかが演技だぞ⁉︎」
「そ…そうですよ!ちょっとウソついたからって、そう簡単に泥棒の始まりにはなりません!」
そんな二人の必死の説得だったが、タロウは頑固たる意志を表情に表した
「どうだろうな」
「(く…まぁ、それはそうか…任務の最重要人物にこんな事頼むのが間違いだった…だが彼以外に務まる人間は、はっきりいっていない)」
「(ここで引き下がる訳にはいかん…)」
「嘘と演技はまるで違う…」
「そうなのか…?」
なんとかして彼が協力してもらえるように話の折り合いをつけるロイド
「ああ、そうだ。試しに一度だけ俺になったつもりで喋ってみてくれないか…」
「例えばだが、「僕はロイド・フォージャーと申します」と…」
「…」
タロウは乗り気ではないものの、食い下がらないロイドにやや押され気味な状況の中でそのセリフを口に発しようとした
「僕は…」
「…」
タロウの様子をじっと見つめるフォージャー夫妻…
「僕は……」
「(そんなに詰まるのか?)」
「ウ…グッ…アァ…ッ!」
「…だ、大丈夫ですか?」
愚痴るに出そうとすればするほどタロウの顔色はどんどん悪化し始めていき、その異常な様子に気づき始めた二人はタロウの元に近寄ろうしたがーー
ピタリと時が止まったかのようにタロウの身体は固まりながら倒れ込んでしまった
「……ど、どういう事だ」
今何が起きているか分からないロイドだったが、ヨルは念のためにタロウの体調を確認する為に脈を確認した
「あ…」
ヨルはその時一瞬にして青ざめた
「脈がない…」
「…え」
「(なんだってぇぇぇぇえ‼︎??)」
「そ、そんな‼︎何故だ⁉︎何故急に命を落としてしまったんだ⁉︎」
「わ、わかりませぇ〜ん‼︎」
と、今まで意識のなかったタロウは取り戻したのか急に起き上がった
「「い、生き返ったぁ⁉︎」」
「……やはり、だめか…」
「…まさか、君…」
プルプルと、人生で初めて驚いたと言わざるおえない動揺した様子で彼にこう言及した
「嘘をつくと、「死ぬ」のか⁉︎」
衝撃の事実が発覚し冷静さを取り戻すロイド。しかし一方でヨルは何事もなかったかのように家事の手伝いに慎んでいるように見えるが、死人が蘇った光景がループして脳内に流れ続けているのでまだ動揺が見えている。おかげで洗っている皿も毎度割れている音が立て続けに響いていた
「(スパイ歴十数年のこの俺は、今人生で一番といってもいいくらいの問題を迎えている)」
「(このタロウという男、掘り起こす度にその奇天烈な人間性に圧倒されてばかりだ)」
「(生きていてあんなみっともない声を出した事は、今でも忘れん…)」
お化け屋敷にでも入ったのかと言うくらいの絶叫を先程してしまったロイドは今更ながら後悔している。
「つくづく君に驚くばかりだよ」
「そうか」
「(いやマジでそうだわ!)」
一方のタロウは言わずもがな平常運転である
「(とはいえ、任務を放棄する訳にはいかん…)」
「(確か、今宵の任務はバーリント南区に位置する美術館に仕込まれた爆弾の処理だったか…)」
テロ組織やはたまたギャングのような抗争組織が裏の世界で暗躍し続けているここバーリントではそういった物騒な計画が密かに行われている。よりによって中々手の離せない任務をこの日に受け渡されてしまったのは彼の運の悪さかもしれない。しかし事情を言えばその任務を破棄する事は出来るかもしれないが、その行為は彼の固定信念を裏切る事になるのだ。
「両国の人間達が絶えず笑い合える世界を作る」…それは彼のスパイ活動を続ける思いであり原動力である。【あの悲劇】を未来に生きる子供達に遭わせない為、彼は任務を放棄する事は毛頭なかった。
最も、破棄しようにも上層部の口から「なんとかしろ」の一言で一蹴されるのが関の山…まさしく鬼である
「(仕方ない…面倒だったが、【あの手】でやるしかない)」
一流のスパイはいかなる状況に置いても数手用意する事が当たり前で、無論ロイドは避けていたある方法でこの場を乗り切ることを決心した
「タロウ君、ちょっといいかな」
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「姉さぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」
改めて説明するが、 ユーリ・ブライアはヨル・フォージャーの血の繋がった弟である。そして姉に対しては口上では外交省と説明しているがその真相は秘密警察と呼ばれる組織である。
とある事情で親の元から離れた二人は、この厳しい世界の中で手を取り合いながら生きてきた。そんな唯一の家族であるヨルに対しては言わずもがな深い愛情を持っている。
故に、その感情は時折暴走する事があり今回その例の一つである
勢いよく扉が開かれた先には一人の青年が嬉しさが含まれた声で来訪する
「いらっしゃ〜い、ちゃんとお元気してましたか?」
「うん!大丈夫、見ての通りだよ!」
ひらり、と回って五体満足である事を主張する彼だったがその笑顔は時折一瞬にして消え去りある男の方へと視線を向けた
「久しぶり、ユーリ君」
去年と全く変わらないロイドの姿がそこにはあった。が、実際はロイド本人ではなく変装していたタロウが不自然に口をパクパクさせながらユーリに話しかけていたのだ。
そして、もう一つ違和感があるのは耳元に装着されてある小型機器…
そう、これこそロイドが考案した作戦…その名も「二人羽織作戦」である
「(…この小型機器から、俺の声を発してあたかもタロウ君が喋っているように見せている…)」
「(そしてもう一つのスピーカーを通じて彼には到底盗み聞きされない音量で会話出来る事も可能…!)」
本物のロイドはバーリント南区にある美術館の通気口にて、軽装備した状態でタロウ達の様子はスピーカーを通じて確認していた。
「(情報によると爆弾を仕掛けこの組織は今夜の十時に合わせて起動するらしい…)」
「(警備員に紛れて忍び込んでいるみたいだが、さほど有名な組織ではない…俺の手にかかれば足元にも及ばん程度の武力だが、油断してはいけない)」
「(何故なら、それよりも重大に任務が今始まっているのだから…!)」
そんなフォージャー宅では、密かに両国平和が懸かった戦いの火蓋が切って落とされようとしていた。
「ロイド兄さん、姉さんに何か怪しい事はしていませんよね?」
「していない」
因みに今の返答はタロウ本人が答えている。この受け答えに関してはどちらにせよ本当の事なので違和感を持たれる事はないが…
「そっか…」
「まぁ、細かい事は食べながら話そうよ…せっかく会えたらから久しぶりに姉さんの手料理食べたいな」
「そんな事かと思って、もう用意しましたよ!」
意気揚々と自慢の作品をテーブルに出すヨル。一方のユーリはと言うとロイドに視線を外さぬまま夕食の準備を手伝っていた
「(俺を審査しているというわけか)」
どうやら姉の夫脳が只者ではないと薄々勘付かれているかもしれない。
「では、いただきましょうか」
「いやぁ〜久しぶりだなぁ…!」
「…」
「(タロウさん)」
「(…なんだ)」
「(ロイドさんからの連絡はきていますか?)」
「(いや、まだ連絡は取れていない…)」
彼が音信不通という事は今現在任務の遂行中であるという事…四六時中タロウのサポートを行えるという訳でもない為、今は非常に危険な状態である
そんな時、ユーリからこわな事を言い渡される
「兄さんも食べようよ」
「当然、姉さんの手料理は毎日食べているもんね」
「…」
「勿論だよ」
間一髪の所でロイドが通信機を用いてタロウのフォローを行った。本来ならば、タロウは「そんな事はない」と言いかけていたのだが、彼が合図を出した事で完全無欠のラブラブ夫婦というイメージを崩す事なく乗り切った。
つい先程身をもってタロウの特性を知ったヨルはどっと冷や汗をかいたが、ここからユーリによる悪意なき追撃が二人を襲った
「はい、どうぞ」
ユーリが手渡そうとしたのは彼女特製のビーフストロガノフ…らしき料理である。それをよそった皿を渡し、タロウに食べさせようとしていた
「(…はっ!)」
その時ヨルに、電流走るーー
「(しまった…!タロウさんは特に料理には厳しい!!ロイドさんならともかく、私の料理を食べればきっと厳しい点数を言い渡すハズ…!!)」
「あ、ロイドさんは確か既に夕食を済ませたんですよね!」
「え?まさか、兄さんは姉さんを置いて一人で夕食を食べに行ったとでもいうのか…!?」
「あぁ…っ!そういう事では…!!」
何か誤魔化そうとすれば彼の気迫は段々と激しくなっていく…彼女は身体能力こそずば抜けているものの、こういった嘘のつき方や機転の効きが悪くお陰様で状況は悪化していく一方であった
だが、無言を貫いたロイド(タロウ)は遂にその口を開いた。
「そうだな」
「え!?」
「…そうだよね!そりゃ、例え夕食を済ませたとしても食べるのが姉さんの夫の務めだよね!」
「…」
「(ヤバい…ハッキリとは言えんが、ヨルさんな料理なんか食べれば…彼はきっと酷評してしまう!)」
「なんとかしなければ…」
「いたぞ!」
「クソ!例のスパイか!!」
タロウの行動に危惧するロイドだが、一方でテロ組織の構成員にせんぷくした様子を見られてしまい、任務としても危機的な状況に陥ってしまっていた。
正直言って今フォローしなければ不味いのだが、こちらも疎かに出来る訳でもないので仕方なく通信機を一旦オフにして彼らの撃退に徹する判断を下した
「やむおえん…!」
双方の状況がよろしくない方向に向かいつつある所で、タロウはヨルの手料理に手を出した。
「(ど、どうしたら…!)」
「どう?」
「二十五《万点!》」
「え?」
「ん?」
タロウはいつものように低評価点を述べようとしていたが、付け足すようにロイドが咄嗟の判断で遮るように言った。ユーリにとって変わった褒め方をしていると目を細めながらもう一度タロウの言葉を聞き返した
「な、なんて?」
「二十五《満点だよ!うん、やっぱりいつ食べても美味しい!》」
「そっか…」
「そんなに気に入っているんだね…なんだか嬉しいよ」
しかしユーリにとってはその反応に違和感を覚える事なくむしろロイドの言葉に感動しかけていた。秘密警察所属であるだけあって洞察力と観察眼には優れた物をもっているものの、それはヨルの話題となれば無意味になぬてしまう。現にタロウの声を怪しむ事なく、平然と話を進めている
「ほ…よかったです…」
「なんとか間に合ったな…」
テロ組織に追われたロイドはというと、たかが少数の雑魚組織同然の人間を蹴散らすにはどうやら10秒もかからず片付けられるらしく、軽装備をした彼らでさえも地べたにくたばって気絶していた。
ものの一瞬の出来事の如く、戦闘を終了させたのだ。
タロウもさることながら、ロイドも中々の化け物である
いとまず危機は過ぎ去った…かと思いきや、ここでまた一つユーリが大爆弾発言を落とした
「去年も来たけれど、アンタなら姉さんを任せていいかなって薄々思っていたんだよ…」
「でもね!」
ユーリは酒瓶をガン!とテーブルに叩きつけ
「やっぱり二人は怪しいと思っている!」
「本当に愛しているのかどうか!」
「えぇ!?」
「!」
「ここに来て思ったんだ…前は見れなかったけど、二人はまだキ…」
「も、もうそれは忘れなさい!」
前回もまた波乱の戦いだったのか、その光景を思い出し、紅潮したヨルはユーリを無理やり黙らせた。
「なんだよ!姉さん恥ずかしいの?でも、お互い愛してるんだよね?」
「う…」
「……そこまで言うのなら、みせてやろう(何が何だか分からんが)」
「うぇぇ!?」
ここでまたしても恥じらいのないタロウが彼女の賛同なしに自分達が本当の夫婦(の見せかけ)である事を見せつけるためにキスは実行しようとする。
「(ただでさえロイドさん本人ですらこんなにも動揺してしまうのに…それが他の人となれば私…‼︎)」
「何ィーッ!?き、キスだとォーッ!!?」
例え見た目が自分であるとしても、赤の他人が妻とキスするなど聞いているだけでも普通は考えたくないだろう。いや、スパイならば仮初の関係に対しても冷酷であるべきなのだろうが、この家庭生活の中で芽生え膨らんだ感情というのは彼を刺激するのには充分な物だった。故に今、ロイドは非常に動揺している。
「クソ…なんて事だ!こんな事…絶対にあってはいけない!」
「…この野郎ォ…これでもくたばれ!」
「やかましいわ!」
ムクリと起き上がった組織の残党が銃で彼を撃とうとしたがそんな事はどうでもいい、言わんばかりに花瓶を投げつけて撃退する程ロイドは今フォージャー宅で起こっている惨劇に目が離せなかった。
だが、残念ながら声だけではどうする事も出来ずただ追い詰められる二人…
「何なの⁉︎二人は夫婦じゃないの⁉︎」
「う…」
「(こ、こうなったら…!)」
いつの間にか迫りゆくロイド(タロウ)から一旦離れ、近くにあったワインを掴んだ途端、その中身を一気に飲む。
彼女の一つの特徴として、非常にお酒に酔いやすい体質であり例え少量のものだとしても直ぐに泥酔状態に突入出来る為、酔う事で恥ずかしさを紛らわそうとしていた。
「ひっく……」
「さぁ‼︎二人共…僕の目の前で今度こそ証明してみてくれ‼︎」
「(アカーーン‼︎‼︎)」
後もう少し、数センチで本当に唇同士が触れ合いそうになるその時ーー
「ああ、もうやっぱり無理ですッ!」
ゴス、と衝撃波が一体に広がる程の人並み外れたヨルの鉄拳がロイド(タロウ)の顔にクリティカルヒット…!
避ける事もなく無論反撃する事もしなかったタロウは微動だにせず、モロに喰らった。
これには姉を知る弟も仰天である
「ああ‼︎ね、姉さん!」
「…ハッ!」
「す、すみませぇん!」
「大丈夫だよ(中々いい拳だった…流石の俺でも少し身体がのけぞったが、やはりお供として十分の強さ…)」
「…そんな…!」
血だらけのタロウと必死に謝るヨル…そんな二人の異常空間を前にして、ユーリはこの世の物とは思えない顔つきでその様子を見ていた。
「そんなまさか…あの姉さんの必殺パンチを食らって立っていられる人間がいるとは…‼︎」
「(やはり、流石は姉さんの夫を務める男と言う事か…)」
「(それに比べて僕はァ!)」
彼の図太い神経と底無しの頑丈さ、過去何度も自分の家の壁が彼女の手によって葬られた事か…そんな殺人兵器(誇張なし)のヨルを堂々と受け入れる彼を前に、己の下劣さを憎んだ
「兄さんは凄い‼︎」
「急にどうしたの?」
未だ不自然なタロウのアテレコを続けるのを気に留めないユーリはそんな突拍子もない褒め言葉を投げかけた
「僕は確信したんだ…貴方こそ、姉さんの夫に相応しい男だったんだって事を‼︎」
「…ユーリくん」
「さあ、持っていきやがるといい‼︎姉さんの全てを…」
「う…」
とは言ったものの、涙がダムが崩壊したかのように一気に流れ込みーー
「うぁぁぁあ‼︎‼︎」
例え自分が認めたとしても、やはり長年いた家族が他の男に持っていかれるのは辛いのだろう…そんなユーリは酔った勢いからか家の外まで出て行ったしまった
「ああ!い、一体どこへ!」
「どうやら終わったようだな」
ともかく一先ずは難を逃れたと、タロウは既に素の状態で喋っていた。奇妙な弟だったが、あれはあれで姉に対する愛情の形なのだろう。
恐らくまた戻ってくるかもしれないので少し待つ事にしたが、代わりにやってきたのは青パジャマを着たアーニャだった。
先程の轟音で起きて睡眠を遮られてしまったのか、やや不機嫌でこちらに向かってきた
「ちち、はは…うるせえ」
「あ、すいません…」
「…」
「(なんだ、お供か…)」
「ん?」
いままで目もろくに開けてないアーニャがその時パチクリと目を大きく見開いてその言葉を耳にする。ロイドがアーニャの事を「お供」と呼ぶのはあり得ない、もしそんな呼び方をする男がいるとしたら…
「たろう?」
「え⁉︎」
「…ああ、そうだ」
この時アーニャは思考を巡らせる。何故かロイドの姿をしたタロウ…そして今宵から何故かヨルと一緒にいた…
「はは、うわきした‼︎‼︎」
「ち、違います‼︎」
「うわき‼︎たろう、くそやろうぉーッ‼︎」
「…何故そうなる」
友に何故か裏切られたショックとヨルの浮気疑惑に号泣するアーニャ、それを必死にに宥めるヨルとただ困惑するタロウ…事態は先程とは打って変わったカオスな状態へと成り果てる
「お供にはバレたが…どうすればいい」
《そんな事を言われてもなぁ…まぁ、バレた事は仕方ないが…》
「ちびゃぁ〜〜〜っ‼︎‼︎」
「はぁ…」
一方ロイドはというと爆弾の処理をとっくに済ませており、事の事態は収束に向かっていた。が、向こうも向こうで大変な事になっている為か度重なる危機にため息を漏らすロイド
「…何故こうも面倒な事が続くんだか…」