さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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何か後々刺されてもおかしくないような気がしてきたし、刺されたら刺されたでまた曇らせそう…(こなみかん)。



どうして

僕の父には、僕以外にもたくさんの子どもがいる。

僕の父の、慈善事業的とも呼べる『その家』のことはあまりにも有名で、そこに引き取られれば将来が約束されるともっぱらの噂で、父の子どもであるなら誰しもが父が自分に会いに来て、『その家』に連れて行ってくれないだろうかと夢想することだろう。

けれど、

 

「どうして」

 

僕の元に、父は来なかった。

物心着いた時も、小学生になった時も、中学生になった時も、ましてやトレセン学園に入学するようになった時も!!

父は、一度たりとも会いに来てはくれなかった。

 

「どうしてですか……父さん」

 

僕は、父に認識すらされていない。

その事実が、僕の心に影を落としていた。

 

「僕では……ダメだったんですか?」

 

僕が優秀であれば、父は僕を見てくれただろうか?

そう思った僕は、トレセン学園に入ったあとジュニア期からそれはもう苛烈なトレーニングを積んだ。

元から実力はあるがスパルタ気味なトレーナーであったのだけど、そこにさらに拍車をかけて。

そして僕は、

 

『───強い!強すぎる!!G1レースでも大差をつけて今ゴールインッ!!』

 

どこまでも、圧巻に次ぐ圧巻。

ライバルたちをちぎっては投げちぎっては投げの大活躍である。

ウイニングライブをセンターで踊った数も、数え切れないほど。

 

「はは……ははは……」

 

そんな僕の活躍に、父は何も言わなかった。

それどころか、連絡すらない始末。

 

「どうしてですか……父さん」

 

これでも、僕は父に認識されない。

その事実が、僕の心に影を落としていた。

だから僕は考えたのだ。

どうすれば父が僕を見てくれるのかを。

そしてたどり着いた答えが───。

 

 

世間の大半が、僕が僕の子どもみんなを引き取っている、もしくは面倒を見ていると思っているようだが、実のところは違う。

子どもたちを引き取っているのは、引き取らないままでいると精神的・肉体的に重大な悪影響を及ぼす可能性があると判断した場合のみだ。

例えば、家庭内暴力を受けていたり虐待されていたり、ネグレクトや育児放棄などを受けていたりした場合である。

そういった子どもは、まず親元から引き離す必要があるが、その次に問題となるのがその後の生活基盤である。

普通ならば児童養護施設に預けるなりして生活を立て直すのだが、中にはそうもいかない場合がある。

それは───親の愛情を知らず歪んで育ってしまった子どもたちの場合だ。

そんな子たちのために作ったのが件の家であって、引き取る必要のない、いわゆる家庭環境の問題がない子ならば…自分が会いに行く必要もないと。

だって家族に愛されて過ごしてたところにいきなり『パパだよ〜』って知らない人が来たら嫌でしょう?

 

「お、"あの子"すごいなあ」





僕:
シルバーバレット。
我が子たち全員を引き取っているわけではない。
引き取っているのは家庭環境に問題があり、健全に育てない子たちであって、家庭環境に何も問題がない子はそのままその家庭で過ごさせている。
でも圧倒的に家庭環境がヤバい子が大勢のせいで、引き取られなかった方の子がエグいぐらい拗らせてる。
「自分には父さんに選ばれるほどの才能がないんだ…!」ってなってるけど、そんなことないんだよな。
ホント銀弾さァ…。
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