だから、鬼にでも何にでも。
「ざ、ザンさん、なにを…」
「もう、我慢ならねぇんだよ」
「やっ!?」
その日、誰もいない部屋の中でホワイトバックは友人であるザンさんにウマ乗りになられていた。
抵抗したくとも大切な友人なので暴力に訴えられないし、逃げたくても上からのしかかってくるザンさんの方が力が強くて動けない。
「ははっ、大人しくしてろって。別に酷いことはしねぇよ」
「でっ、でも……やっ!」
遂には泣き始めたホワイトバックにザンさんは無自覚に舌なめずりする。
それにまた「ヒッ!」と悲鳴をあげるホワイトバックの服に手をかけ、脱がせようとする。
「やっ!やだっ!」
「大人しくしてろって」
「やだぁっ!!」
必死に抵抗するも、結局は服を脱がされてしまい、露になった素肌にザンさんの手が這わされる。
そして……。
「み、見ないでぇ…!」
「……」
ザンさんの眼前に現れたのは…凄まじい色の痣と、綺麗には巻かれているが少し血の滲んでいる包帯で。
「……お前、これ……」
「やっ!みっ、見ないでって……いっ!」
「この怪我、どうした?」
「こ、転んだだけだって……!」
「そんなわけねぇだろ。こんな酷い怪我、どうやったらできるんだよ」
「そっ、それは……」
言い淀むホワイトバックにザンさんはまた唇を舐める。
そして……。
「なぁ……俺さ……お前のこと好きなんだ」
「……は……?」
突然そんなことを言われ困惑するホワイトバックに対して、ザンさんは真剣だ。
「だから、お前を守れる関係になりたい」
「……ザンさん……」
「なぁ……ダメか?」
「……」
ホワイトバックは暫く考え込み、そして……。
「ごめん」
そう答えた。
「……そっか」
「うん……でもさ、その……」
「ん?」
「……ありがとう」
「……あぁ」
こうして2人は友情を深めたのだった……と、思っているのはホワイトバックだけだろう。
(本気なんだがな…)
ずっと見てきたからこそ分かるのだ。
変に庇った歩き方とか、そういうのが。
それでも当の本人はいつも通りに振る舞うままで、そんなのが、続くなら───。
(攫って、閉じ込めて、二度とそんなことがないように)
そして、
(お前が、お前を大切にできるように…)
愛して、溶かして、グズグズにして。
その体に、刻み込んで…。
「ホワイトバック」
「ん?」
「……愛してる」
そう耳元で囁けば、ホワイトバックは顔を真っ赤にしたのだった。
(……絶対に逃がさないからな)
・
・
・
するすると包帯を巻く。
もう手馴れたものだ。
痛いのも、苦しいのも、隠すのも。
けれど、
「また、怪我したのか」
「…なんでわかるノ?」
「お前が好きだから」
「…からかわないでヨ」
「からかってねぇよ」
傷を負うことを是とするバックさんといつも心配しっぱなしなザンさんっていう話。