さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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でも家族の前では。



名誉の負傷

今日も傷が増えていく。

そのことにホワイトバックは苦笑しながら自分で手当する。

殴られたり、ちょっと切られたりしたが、ホワイトバックは傷の治りが異常に早い。

なので、少し安静にしていればすぐに治ってしまうのだ。

安静にしていれば、だが。

 

「さて」

 

最後に残った野郎を処理して、ホワイトバックは立ち上がる。

そして、そのまま山の奥に進んでいく。

 

「よしっ」

 

ぽいっと捨ててから家に戻る。

たぶん娘にはケガしたの何だりはバレるだろうが娘も娘なのでちょっと顔を顰めて「親父…」と言う程度で終わりだろう。

ホワイトバックはそう考えて、家に入る。

そして、すぐに娘と孫の気配を家の中から探す。

すると、娘がキッチンで料理を作っているのを見つけた。

ホワイトバックは機嫌をよくして娘の元へ向かう。

 

「ただいまぁ!」

 

そう言って後ろから娘を抱きしめるホワイトバック。

娘はそんな父親の奇行に呆れながらも言う。

 

「おけーり……って、またケガしたな!? 」

「えへへ、バレた〜?」

「…アイツにはバレんようにしろよ。チビも言っちゃあダメだぞ」

「「はぁい」」

 

自分や娘や孫はこのことが普通だから「気をつけてね」で済ませてくれるが義息子であり、娘の夫であるヒカルイマイにバレたら面倒なことになるのは確実なので。

 

「で? 今日は何やったんだ?」

「追っかけてきたから殴った」

「またか……」

 

娘は呆れながら料理を続ける。

娘が言うようにホワイトバックはしょっちゅう自身をつけてくるヤツをボコる。

その度に怪我してバレて義息子に怒られるのだが、ホワイトバックは気にした様子がない。

 

「ったく……まぁいい。風呂入ってこい」

「はぁい!」

 

娘はもう諦めたようにため息を吐くと、ホワイトバックを風呂場へと向かわせるのだった。

 

 

「…いつつ、染みる染みるゥ〜!」

 

ゆっくり風呂に浸かりながら、それでも傷に沁みるのにホワイトバックは声を上げる。

 

「でも、いいねぇ。守るものがあるって」

 

ホワイトバックはそう言うと、湯船から出て体を洗い始めるのだった。

 

「あ、バックさん。今日は遅かったな」

 

ホワイトバックが風呂から上がるとヒカルイマイは夕食を食べながらそう声をかけてくる。

 

「おう! 今日もいっぱい殴ってきたヨ!」

 

そう言って胸を張るホワイトバックにヒカルイマイは呆れながらも言う。

 

「……怪我してないか?」

「ん? あ〜、大丈夫大丈夫」

「……はぁ〜……ったく……ほら」

「ワ」

 

ぐいっと引っ張られるままにホワイトバックはストンと座る。

 

「手当てすっから、ちょっと待ってろ」

「…はぁい」





体中傷だらけなバックおじいちゃん。
たぶん孫に泣かれるのがいちばん抑止力になりそう。
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