今日も明日も元気なファザコン。
クロスグレイは父にオグリキャップを持つシルバーチャンプと父にタマモクロスを持つ牝バとの間に生まれた子どもだった。
『芦毛のウマは走らない』───その言説を覆した
とはいえ、
「おとん、ただいまぁ」
「う、うん…おかえりグレイ」
クロスグレイは端的に言えば…ファザコンだった。
「おとんが心配やねん」と表向きは言っているがその実は。
「まだご飯食ってないんやろ?作るわ」
「え、い、いや大丈夫…」
「アカンアカン、おとんは体力つけなあ」
「いや、その……でも……」
「はよ食べて風呂入って寝や。おとんが倒れたらオレも困るし」
「う……うん」
クロスグレイの押しに弱いシルバーチャンプだった。
そんな父は、基本ひとりで暮らしているが放っておくとすぐに食事を最低限にしてガリガリになるのでこうやって暇さえあればクロスグレイが食事を作りに来ている。
そして、そんなクロスグレイは父を養うために『競走』で稼いだ金のほとんどを家に入れていた。
「おとんがおらんかったらオレはレースに出れへんし」
「いや……でも……」
「ええから!ほら、風呂沸かしとるからはよ入って!」
「……うん」
シルバーチャンプは、クロスグレイの言われるがままに風呂に向かい。
そんな父の背中を見送ると……クロスグレイはため息を吐いた。
「…おとんてば、オレが相手やからって不用心な」
今日もふわふわとした父に呆れながらも……。
「ま、そのおかげでオレはおとんを独り占めできるからええねんけど」
クロスグレイは、風呂から帰ってきた父に抱きつく。
「あ~、おとんの匂いや~」
「……グレイ?」
息子が抱きついてきたことにシルバーチャンプが気づいた時にはもう遅かった。
「えへ……えへへ……」
「……グレイ?」
「この匂いも好きやし……」
「あの……?」
「この手も好きやし……」
「えと……あの……?」
「声も好きやし、顔もめっちゃかわいいし……」
「……グレイ?」
シルバーチャンプは、息子に抱きつかれて身動きが取れなくなっていた。
「な?おとん」
「うん?」
そして……。
「オレ、おとん欲しいねん」
「……!?」
とんでもないことを言い出した息子にシルバーチャンプは絶句するしかなかったのだった。
そんな父に構わずクロスグレイは続ける。
「オレがおらんかったらおとんは飯も食えへんねん」
「……うん」
「やから……」
「グレイ?」
「オレに養われてな?おとん♡」
シルバーチャンプは、息子に抱きつかれながら……。
(……これは……まずい)
そう思わずにはいられなかったのだった。
史実から初恋が父で、好きなタイプも父(なので基本的に父の血が入った牝馬に興奮してしまう悲しい定め)なクロスグレイくん。
見た目的には父であるチャンプよりも大きい、【白い稲妻】似の青年。
でもほぼ黒い毛並みな芦毛くんです。