趣味悪〜…とは言うけれど。
「俺のこと好き、とか趣味悪いな…」
うげ…とでもいうように顔を顰めてそう言う人は何度生まれ変わっても変わらず僕の『大切』に居座る人で。
けれどいつもよりも好意の言葉を素直に受け取ってくれない姿に、少しの違和感を感じた。
「え、と……どうしたんですか?僕のこと嫌いですか?」
「別にそういうわけじゃ……」
「じゃあなんで……」
「……だってお前、俺よりも良い子いっぱいいるだろ」
そう言って伏せられた目を見て、僕は思わず叫んでいた。
「そんなわけないじゃないですか!!僕がどれだけ貴方を想っているか知らないんですか!?」
「……っ!」
驚いたように顔を上げた彼の肩を強く掴みながら続ける。
「確かに最初は僕の一方的な想いでしたけど!今は違うでしょう!?ちゃんと思い出してるくせに!」
「そ、んな……こと……」
「ある!だって先輩、僕のこと好きでしょう!?」
「……っ、でも俺は」
そう言って目を逸らそうとする彼の顔を両手で優しく包んで、しっかりと目を合わさせる。
「先輩、僕の目を見て」
「…………やだ」
「お願い。ちゃんと聞いてください」
「……やだ」
「どうして?そんなにイヤですか?」
「……言いたく、ない」
頑なに拒否する彼に思わず溜め息をこぼすと、彼は肩を跳ねさせて、怯えたような顔をした。
「先輩」
「……ごめっ……なさい」
「ねぇ、どうしてそんなに怖がるの?」
「別に、俺は……」
目を逸らして逃げようとする彼を逃がさないというようにしっかりと見つめる。すると彼は観念したようにポツリと呟いた。
「……怖いんだよ」
「何がですか?」
「お前と居ると自分が自分じゃなくなりそうで……いつかお前が離れていった時に耐えられる気がしない」
そう言って自嘲気味に笑う彼を見て、僕は…。
「……ふふっ」
「なっ!お前、人が真剣に悩んでるのに!!」
「だって先輩、可愛い」
「……は?」
心底理解できないと言う顔をする彼に向かって続ける。
「先輩、本当に僕のことが大好きなんですね!」
「はぁ!?」
そう叫ぶ彼は耳まで真っ赤で。
そんな姿が愛おしくて思わず抱きしめると、彼は体を硬直させた。
そしてそのまま彼の耳元で囁くように話す。
「ねぇ先輩、僕は貴方が好きです」
「……知ってるよ」
…でも、先輩は分かってないのだ。
先輩が思っている以上に僕は、僕は…。
「ねぇ、先輩。僕が貴方をどれだけ想っているか知ってますか ?」
「……知らない」
「そうですか……なら」
僕の気持ちを、蔑ろにしないでほしい。
他でもない、あなたが。
「愛してますよ」
でも何だかんだと嬉しいくせに。