さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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…ひとりでいいの。



差異

前世の記憶を持って、生まれ変わった。

生まれ変わった直後から頭の中にあったのは、マックちゃんに会うのと…あの寂しがり屋の元へ早く行ってやらねばという使命感だった。

それからだ。

前世の知識をフル活用して、様々なことを学び始めたのも……。

まず最初に行ったことは、栄養学の勉強だ。

なにせアイツはまったくといっていいほど食べないクセにトレーニングだけはいっちょ前で体はガリガリ。

それと同時に精神医学的なことも。

 

「……」

 

最期に見た、アイツの、本当の不安定な部分が焼き付いて離れないから。

 

 

「触るな」

 

そうして、ようやっと再会して触れようとした手は見るも無惨に振り払われた。

呆然とする俺を近くにいたマックちゃんが「今回、初めて会った時から…誰が話しかけてもああなんです」と、悲しそうに言った。

 

「な……んでだよ」

 

やっと出た言葉は、そんな情けない言葉だった。

だって、そうだろう?

あれだけ一緒にいて、あんなにも触れ合ってきて、最期の瞬間ですらそばにいたというのに。

なのになんで……と。

なんで今さらになってそんなことを言うのだと。

怒りにも似た感情がふつふつと沸いてくるが、しかしそれはマックちゃんによって制される。

 

「そんな感情を向けたら、もっと避けられますよ」

 

それから。

俺よりも先にアイツと付かず離れずの距離で関わっていたマックちゃんのアドバイスを聞きながら、俺もアイツと関わるようになった。

そうすると、

 

「離してよ」

「嫌だ」

 

拒絶されようが一回で離さない方がいいと分かって。

 

「よォ、バレット」

「…また来たの」

 

"それ"が当然だと思われるぐらいに攻めるべきだと、理解した。

そんな日常を過ごしたある日、

 

「やめてよ、僕にかかわらないで!!」

 

そう、アイツが泣き出した。

頭を抱えて、ヘッタクソな泣き方して、嫌だ嫌だと駄々をコネて。

 

「もう嫌なんだ!置いていかれるのは!!僕はもう……あんな思いをするのは二度とごめんだ!!」

 

そう叫んだ。

アイツの、本音だった。

俺は、アイツのことをなにも知らなかったのだ。

"知っている"だけで、本当に理解していなかったのだと。

だから、聞いたのだ。

「じゃあ本当に一人になればいいじゃないか」と。

そんな俺の問いに対して帰ってきた答えは、あまりにも悲痛で胸を抉られるようだったけれど。

 

「ひとりぼっちは、いやだから…」

 

傷つきたくない。

けれど、ひとりは嫌だ。

聞けば俺やマックちゃん以外にもきょうだいに置いて逝かれ、我が子の一部にも置いて逝かれ、最後に残ったのは実母だけだったのだと。

 

きょうだい(あの子たち)も、大半が大切な相手に置いて逝かれてた」

 

だから。

 

「僕は、もう……傷つきたくないんだ……」

 

"ひとり"が嫌で、けれど"みんな"といてもまた置いていかれるかもしれないから不安になるのだと。

そんなアイツに俺は言った。

 

「なら、俺がそばにいるよ」

「……え?」

「俺だけじゃないさ、マックちゃんもいるだろ?それに……他のやつもテメェを一人にはさせないだろ」

 

そう。

もう絶対に一人になんてさせない。

…とはいえ。

 

(この精神状況だったら、…後追いしかねんなぁ)





ひとりぼっちで、いさせてよ。
…とは、言うけれど。
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