さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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ギャップがあるの、いいよね…。



夢中にさせる!

実のところ、シルバデユールは『ファンサの神』として名高い。

レースは興味ないけれど、シルバデユールは好きというファンがファンミーティングの際に大挙して訪れるほどには、その人気ぶりは凄まじい。

 

「ええと、そこの照明は…」

 

ファンサにおいて、シルバデユールは妥協を許さない。

自身で実地に赴いては照明の角度から何からまで事細かに指示を出す姿は、もはや学生というよりはどこかのプロデューサーのようで。

 

「あ、あの……シルバデユールさん」

 

そんな彼女の徹底したこだわりは、ファンミーティングのスタッフにも発揮される。

 

「握手会とか、出来ませんかね……?」

「……はい?」

「ですから、その、握手会を……」

「……はぁ」

 

しかし、それはあくまでファンを想った『ファンサ』としてのもの。

決して『プロの仕事』ではない。

だからこそ、シルバデユールは妥協しない。が、

 

「昔なら今知らず、今のあなたが握手会なんてやった日にはどうなるか分かってるんですか?」

 

いま現在となっては、シルバデユールの人気も前に増して凄まじくなってしまい。

果てには日本をも飛び出して、普通に海外のテレビ番組に登場したり、個人で世界一周公演したり…などと、『普通のトレセン学園生』とはあまりにもかけ離れた存在と化してしまった。

 

「握手会なんて、今のあなたなら軽く1万人くらい集まってしまいますよ?」

「は、はぁ……そうですよね……」

 

とうにシルバデユールはアイドルとして世界トップクラスに、誰もが知る著名人も彼女のファン…なんてよく聞く話。

『シルバデユール』という名を知らない者は産まれたばかりの赤ちゃんだけなんて、そんな冗談が飛び交うのも珍しくない。

 

「それに握手会であなたに気軽に触れられる…なんてやったら、……私、泣いちゃいますよ?」

 

そんなシルバデユールを信奉…いや、慕うファンは数多い。

彼女に魅せられて、あるいはその人柄に惚れ込んで……と理由は様々だが、とにかく『シルバデユール』というウマ娘は今や日本を代表するスターなのだ。

しかし、そんな彼女にも悩みはあるようで。

 

「う、ううう、き、ききき、緊張したあ…!」

 

 

「相変わらず人気だな、お前」

「あ、【心の叫び】…!」

 

コソコソと学園内を移動している親友に声をかければ、今日もビックぅぅぅ!と大きく肩を跳ねさせるシルバデユール。

 

「い、いや、その……今日はちょっと、ね……」

「?」

「……この前のライブもすごい熱狂でさ」

「あぁ…なるほど。ならこっちだ」

「えっ」

 

アイドルではない時は極端に鈍いコイツはおめおめと人前に出したが最後、ファンに囲まれて身動きが取れなくなってしまう。

だから普段はこうしてコソコソと移動するのが常なのだが……今日は少し事情が異なるようだ。

 

「お前、この後はトレーニングだろ?」

「う、うん……」

「……なら本当にこっちだ」

 

そうして俺はシルバデユールを先導するようにして廊下を歩き始めたのだった。





完璧なアイドルと超人見知りが同居してる難儀なシルバデユールさん。
世界中誰もが知るアイドルで、アイドル一本にならねぇかな〜と世間からは思われているが本人としてはレースの方に重きを置いているんだよね。
そんな大人気アイドルさんです。
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