まぁ、楽しそうに走ってますよ。
あの青々としたターフから去った僕が今いる場所は母であるリリィ等々が共に暮らす牧場だ。
僕が小さい頃は普通の規模の牧場だったはずだけど年々なんか…おっきくなってきて。
(まさか模擬ターフができるとは)
調教用とはまた別で。
「もっと広いところで、あわよくばあの頃みたいに走りたいな〜…」と考えてたらシレッとできてたのだ。
そこで僕含め僕の子どもたちや親類も暇さえあれば軽く走るようにしている。
「ま、今日も確認しとくか」
とぼやきつつ僕は牧場の柵をひと通り見回りして異常がないかチェックする。
この牧場にはいま現在僕の子どもがそこそこ(もう大人になってる幾頭+まだまだちみっ子が大半)と僕の母ときょうだい何頭かと僕ら家族より前からこの牧場にいる古株の家族が何組かいる。
牧場の柵は結構高くて子どもが乗り越えられない高さにしてあるし、もし乗り越えられたとしてもカメラがあるからすぐに発見できるだろう。
「うん、今日も異常なし」
と確認を終えて家に戻ろうとすると……。
「おとうさん!」と僕を呼ぶ声がする。
「ん?」と声の方に振り向けばそこにはまだちみっこい方の我が子が…。
「なんでいるのかな?」
「ん〜?ぴょいっとしてきた!」
「ぴょいっとしてきたのかあ…」
元気いっぱいに「ぴょいっとしてきた」と言ってのける我が子に僕は苦笑しつつ、
「そうか〜……。お父さんは今からお家に戻るけどどうする?」
「いっしょいく!」
「……わかった。じゃあ一緒に帰ろうか」
「うん!」
元気よく返事してくれたのでそのまま僕と僕の子どもは共に牧場から家…という名の厩舎へと戻った。
それはそれとして、
(それにしてもうちの子元気だなあ)
としみじみ思う僕だった。
*
フッと走る。
上に騎手くんがいない分スピードを考えなくちゃいけないけど、それでも走る。
「はあっ!はあっ!」と息遣いが荒くなっても走るのをやめない。
だって楽しいから。
騎手くんと一緒に走ることができないのはちょっと寂しいけど……でもそれ以上に気持ちいいし楽しいんだから仕方がない。
だから僕は今日も楽しく走ります!
『今日も元気だなあ、バレットは』
『走らんかったらバレットじゃないでしょ』
『それはそう』
そう言いながら少し遠くからシルバーバレットを眺めるのは牧場の人々。
「今日も元気だな」と騎手くんこと、白峰さんではないけれど、それでもターフを駆け回る彼を見て牧場の人々は微笑ましく思うのだった。
「ひゃっは〜!た〜のし〜!!」
その視線の先でシルバーバレットが爆走してそうな…?
今日も元気いっぱい!