まだ老いぬ。
シルバーバレットはミーハーである。
「すごいねぇ」
しかしその目は、ミーハーにしてはあまりにもギラギラとしていて。
その目を見るたびに周りの人間は苦虫を噛み潰したような顔をする。
「三冠バだもんね」
どれほど老いようとも。
その欲は潰えず。
「あの子なら自分を倒せるだろうか」とどこぞのラスボスのようなことを言っていたらしい。
「なんていうか、長生きっていいよね!」
そういう奴に執着するヤツらは大変だろうなぁと、その姿を見てサンデーサイレンスはいつものように苦笑した。
*
ありゃあ倒されなかったからこそ、いつまでもああなままだ。
神格化だってされるし、当人もいつの間にかその扱いを当然のように思ってしまう。
口ではその扱いを嫌がってはいるが。
「キミ、強いねえ」
琴線に引っかかる相手を見つけるや否や、神格化扱いされているのを逆手にとって関わりに行くのはやめた方がいいと思う。
止めようとした職員もお前が醸し出す圧に屈して何も出来やしないし、そもそもその歳のジジイが出すべき圧じゃねぇと思うんだそれは。
「キミのレースは全部見たよ、全部。キミ、いいねぇ」
いやだからそのギラつく目やめろ。
お前それ誰にでもやるだろ。
「あ、ありがとうございます……?」
ほら見ろ困ってんじゃねぇか。
……いや、コイツも大概だな?
困惑しながらも目線は外さねぇし。
「うん、うん、うん」
そのギラついた目のまま頷くなジジイ。
……ああもう! なんでこのジジイは!
「……なァ、」
「ん?」
「帰るぞ」
「えぇ〜!?」
またねぇ〜、と手を振るジジイに周りのやつらはなんとも言えない顔をしていて。
「問題になったら自分でなんとかしろよ…?」
「あ、ちょ、いたいいたい」
思わず掴んでいた手に力を入れれば、抗議の声が上がったが無視だ無視。
……ったく! なんでこのジジイは!
「あのさぁ」
「なぁに」
「前も面倒なことなったろ」
「なったよ」
きょとんと首を傾げる姿にも慣れたというか、慣れざるを得なかったというべきか。
変なところは覚えているくせに、自分に起こった危機的なことはすぐさま忘れるニワトリ体質には困ったものだ。
「もう少しいろいろ考えろ」
「だって、わかるでしょ」
でもさ、と拗ねたように尖らせた口。
「キミは僕のこと、守ってくれるもんね」
……その目だ!
だからその目がダメなんだ!
「……ったく!」
「わ!」
ぐい、と手を引けば驚いたような声を上げる。
そんなジジイに思わずため息を吐いてしまうのも仕方がないと思うのだ。
ずっとずっとずっと…餓えている。