さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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共存。
依存。



受け入れて

ここに閉じ込められて幾許か。

欲しいものがあればなんだって与えられる、見る人が見れば羨ましいだろう生活ではあろうが。

 

「ただいまです、先輩」

「お〜」

 

振り返ると同時に、足についた枷の鎖から音がする。

こんなの着けなくとも逃げないというのに。

 

「ご飯、ちゃんと食べてますか? またお菓子で済ませてないでしょうね?」

「食べてるよ、大丈夫」

「ほんとですか?……あ、またゲームの時間破ってますよね?ダメです! 先輩にはちゃんと健康的な生活をしてもらわないと!」

「いや、あれは……」

 

あながち間違ってはいない。

が、しかし。

 

「…まあ、とりあえずご飯食べましょう。手伝いますよ」

「ん」

 

ある程度はできあがっていたので食器に盛り付けて運んでもらう。

 

「……」

 

もう随分と太陽の光を浴びていない。

許されるのは家で過ごすことと料理だけ。

なので俺の肌の色はひどく白くなってしまったし、運動不足で筋肉も落ちた。

 

「……先輩」

「ん?」

「もう、やめましょう?こんな生活」

 

後輩が言った。

……何をやめるのだろう。

食事?ゲーム?それとも……。

 

「僕、先輩が好きです」

「うん」

「だから、もうやめましょうよ……」

 

彼は泣いていた。

俺は、彼の涙を初めて見たかもしれない。

 

「先輩は今のままじゃ幸せになれないです!こんなのは間違ってる!」

「……でも、俺がいいって言ってるだろ」

 

まァた不安になってら。

お前がしたことだろうに。

勝手に不安になって、勝手に手放そうとして。

ほんと、甘ったれてる。

 

「ずっと考えてたんです」

 

彼は続ける。

 

「どうしたら先輩が幸せになれるのか」

 

そりゃもう聞いたよ。

俺は首輪をつけてもいいから……って言っただろ?

 

「でも、いくら考えても無理でした」

 

そりゃそうさ。

俺はこの生活に満足しているんだから。

 

「俺はしあわせだよ」

 

そう言うと、彼は酷い顔をした。

俺がいいって言ってるんだから、…このまま幸せでいようじゃないか。

 

「だから、もういいよ。ありがとう」

「……先輩」

「ん?」

「僕は……先輩が好きです」

 

ああ、知ってるよ。

でも、俺はそれに応えようと努力している。

 

「だから……」

 

もう、諦めろ。

そう言おうとしたが、彼はまた口を開いた。

 

「先輩がそんなだから、そんなだから…ッ!」

 

押し倒される。

ひどい顔、それでも目はギラギラとしていて。

 

「…おいで、俺の、可愛い【飛行機雲】」

 

自分の身をそのまま明け渡すと凄まじい勢いで貪られ始める。

 

「いいよ。お前だから、いいんだよ」

 

そう、耳元で囁いた。





ぼくらふたりきり。
しあわせ。
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