綺麗な小鳥。
ちゃんと幸せな生活だとも。
「グローリー」
傍目から見たら監禁に見えようとも。
美しい箱庭のような、僕の為だけに誂えられた家。
全てが僕の好みに合わせて、僕だけに用意されたもの。
その家の中には、たった一つだけ。
これだけは僕の好みから外れたものがある。
それは────。
「おはよう」
「グローリー……どうしたの?」
ベッドから僕を軽々と抱き上げた彼が、一室丸々を使った衣装部屋へと移動する。
僕としてはシンプルで着やすい服が何枚かあればそれでいいのだけど、何度そう言っても変わらぬまま、気づけばこんな部屋ができていた。
もうどこぞのセレブの家の衣装ルームのような有様だ。
その部屋の中央にある、大きな姿見の前へと僕を下ろす。
「今日はどれがいい?」
そんなの、一つしかない。
「この服は?」
「それはこの前も着てたじゃない」
「じゃあこれ」
「……またその色なの?」
彼が少し不満そうに言う。
でも、僕はこの色が気に入っているから仕方ない。
そして僕が指さした服を、彼はそのまま僕の体に当ててくる。
「これはどう?似合うでしょ?」
「…」
服に無頓着な僕とは違い、グローリーは意外と気にしいだ。
どうせ今日も家の敷地内から出ないというのに。
でもここにある服はみんな手触りとかが豪華なやつしかないので結局は。
「グローリーが選んで」
「え?」
「グローリーが僕に着て欲しいと思うのを、選んでよ」
「……わかった」
彼は嬉しそうに笑って、また服を選び始めた。
……本当に、彼は僕が好きだなぁ……。
「じゃあこれね」
「うん」
彼が選んだ服に袖を通すと、彼がそれを手伝うように着せてくれる。
こういう服ってなんか着るのめちゃくちゃ大変なんだよなあ。
お金がかかってるからかな?
でもまぁ……。
「えへへ……」
「どうしたの?グローリー」
鏡で後ろから着せてくれる彼を見ようとした僕に、彼はまた嬉しそうな笑みを見せる。
「……なんでもないよ」
愛おしそうに僕を見つめるその瞳が、僕は嫌いじゃない。
いやむしろ好きかもしれない。
……なんて、絶対言わないけどね!
ああ、本当に今日はいい天気だ。
こんな日に外に出ることができたらどれだけ幸せだろう。
……でも、この生活も悪くない。
「ねぇグローリー」
「なぁに?」
「今日も僕…かわいい?」
「うん。世界で一番」
「…えへへ」
「世界で一番可愛いから、外に出ちゃダメだよ」
「…またいつもと同じこと言う」
「だって可愛いんだもん」
「……はいはい」
ぬいぐるみっぽくも、ぬいぐるみにはしない恭しい手つきで抱き上げられ。
「ふふっ」
(機嫌いいな〜)
または箱の中。